「踊りが日常です」田中 泯という生き方

正直言うと、日本が世界に誇る舞台芸術のひとつとして「舞踏」があるのを知ってはいたものの、それほどの興味もなかった。実際に見たことがあるのは「山海塾」という舞踏グループがモスクワ公演をくらいのものだし、それ以上特別な知識はなにもなかった。ただ、今回は偶然にも「土方巽(ひじかたたつみ)」と並んで、舞踏時代を築き上げ、現在は山梨県を拠点に「踊りが日常」という生活をしている「田中 泯」という人のことを知り、大変興味を持ったので、彼の芸術とその周辺の時代や出来事について考えてみたいと思う。 それにしても、元来演劇に興味があるとはいえ、自分の関心の方向が「舞踏」に向いてくることになるとは以前ならば想像もしていなかった。本当のことをいうと、元々の性質は「食わず嫌い」なもので、滅多なことでは「新しい風」に急に当たってみようなんて思わない。どちらかというと、言葉を使わない舞踊よりも、分からない言語でも言葉...