前回のコラムでは、加速度的に緊迫の度合いを増している中東情勢について触れました。その後たった1週間の間に、非常に多くの出来事が進んでおり、その速さに驚かされます。今回は金融経済・国際情勢の両面から、現在何が起きつつあるのかについて述べてまいりたいと思います。
金融・経済面
この4月、大手米銀の決算が相次いで発表されました。IMFが損失規模が1兆ドルに達するだろうと発表するなど、終わりの見えない損失拡大を受けて悲観的なムードでしたが、決算内容はなぜか「それほど悪くない」と受け止められ(実際に、計上された損失規模は事前予想よりも小さいものでした)、ダウ・ナスダック共に力強い上昇を見せました。外国為替相場でも、これまでのドル安基調をあざ笑うようにドル高傾向が強まりました。
[ワシントン 8日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は8日、クレジット市場の混乱が一段と拡大し、金融機関の損失は1兆ドルに迫る可能性があるとして、世界経済の成長リスクが強まったとの見方を示した。
IMFは半期に1度の世界金融安定報告で、金融システムのレバレッジの程度を把握することに失敗しており、それが無秩序な形で巻き戻されるリスクがあると指摘。米経済成長の鈍化でクレジット損失が拡大し、状況は悪化する可能性があるとした。
IMFの金融・資本市場部門ディレクターは記者会見で「経済成長が大幅に鈍化するなか、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) 危機を発端とするクレジット問題は拡大する見通し」と指摘。「信用の悪化は、クレジットの領域全般から高級住宅および商業用住宅ローン市場、企業の信用市場まで拡大している。債務不履行率は幅広く上昇する見通しだ」と述べた。
IMFは、金融機関の評価損や損失は9450億ドルに達すると推定。ただ、この推定は3月の市況に基づいたもので、それ以降状況はある程度改善していると付け加えた。金融市場は損失見通しを過剰に見積もっているかとの問いには言及を避けた。
一方で、失業者数や破産者、住宅差し押さえの数はこれまでに無い規模に達しております。世界経済を支えてきたアメリカの個人消費が消滅しつつある事を裏付けるニュース、統計が次々と発表されています。
2008年の4~6月は、サブプライムローンの支払い金利が大幅に上昇する利用者が数多くおり、破産者が続出するのではないかと考えられます(低所得者向けのサブプライムローンでは、一定期間経過後に急激に支払い金利が上昇すると言う「オプションARM」と言う仕組みを採用しています)
差し押さえ関連データをまとめる米リアルティトラックが15日発表したところによれば、3月の米住宅差し押さえ申請は前年同月比で57%増え、銀行が担保権を実行し差し押さえた物件数は2倍余りに急増した。変動金利型住宅ローン(ARM)の金利が上昇し、金融機関に住宅を明け渡す保有者が増えた。
リアルティトラックによると、差し押さえ手続きのいずれかの段階にある物件数は全米で23万4000件。これは538件に1件の割合となる。差し押さえ率はネバダ、カリフォルニア、フロリダの各州で高かった。差し押さえの前年比増加はこれで2年3カ月連続。3月の差し押さえ申請は前月比では5%増。
シティグループのアナリストらによれば、今年は約4600億ドル(約46兆4000億円)相当のARMの金利が切り替わる。リアルティトラックによると、競売の通知は前年同月比32%増えた。同社のジェームズ・サッカチオ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「立ち退きに応じる」住宅保有者が増えていることを示す数字だと指摘した。
ヘッジファンド、ローゼン・リアル・エステート・セキュリティーズのケネス・ローゼン会長は「まだ底は遠い」として、「差し押さえ手続きは今年いっぱい増え続けるだろう」と述べた。さらに、差し押さえが既に供給過剰に陥っている住宅市場の在庫を増やし、価格下落は少なくとも来年いっぱい続くだろうとの見方を示した。リーマン・ブラザーズ・ホールディングスは今年と2009年で約250万戸の差し押さえ物件が市場に出回ると予想している。
3月の担保権実行は前年同月比で129%増えた。ネバダ州の差し押さえは139世帯に1件の割合で、全米で最悪だった。カリフォルニアは204世帯に1件。フロリダは282世帯に1件。
住宅価格・不動産価格が上昇し続ける間は、住宅や不動産を担保に自由に借金をして消費を謳歌する事が出来ました。住宅・不動産がキャッシングマシーン代わりだったと言えましょう。価格が上昇し続ける限りは、それに合わせて与信額も広がる事になりますので、安心してお金を借りる事が出来るわけです。借金を借金で返済すると言う仕組みで、バブルが成長し、信用が創造されて行きました。
ところがその構造が昨年夏、臨界点を越えて崩壊を始めました。
日本円で1000兆円を越えるアメリカの個人消費を支えていた、住宅・不動産バブルの屋台骨が崩れ始めたのです。
こうした深刻な状況にも関わらず、米国金融機関の決算にはそれほど損失が見られませんでした。保有する多くの資産が買い手が付かず、流動性が確保できず、実質的に紙切れ同然です。それならば、決算書には現状を反映する深刻な数字が現れるはず──ところが、実際にはそうなりませんでした。
先日、4月11日にG7が開催されたのですが、民間金融機関の要人をアウトリーチ会合に招くと言う異例の展開でした。そこで何が話し合われたのか──そのヒントになるのが以下の「SECからの手紙」です。
[日経新聞] SECからの手紙
米国の全上場企業の最高財務責任者(CFO)に米証券取引委員会(SEC)から手紙が届いた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻になるなか、盛られていたのは実質的な時価評価の後退だった。
手紙が取り上げているのは米財務会計基準審議会(FASB)が二〇〇七年十一月に導入した新会計基準「FAS157」。企業がこれに基づくSEC提出書類(フォーム10-K)を作る際の考え方を示している。(opinion letter)
FAS157は有価証券を性質に応じて三つに分類。
流動性が高く時価が測れるレベル1、
参照できる指標があるレベル2、
取引が薄く時価がないレベル3だ。
手紙は広範な有価証券をレベル3に分類できるとしている。本来レベル2に入るものでも今は市場がゆがんでいるとの解釈だ。そのうえでレベル3について、どういう方法で評価したかのモデルを開示するように求めている。
例えばサブプライムローンを組み込んだ証券化商品などレベル2の参照価格はトリプルA格でもとの価格の五〇%程度。それをレベル3と見なし、開示モデルによる評価を公正価格(フェアバリュー)として構わないというわけだ。開示モデルさえしっかりしていれば七〇%と評価することも可能になる。
これによって金融機関のサブプライム関連損失の抑制効果が見込める。レベル2には債務担保証券(CDO)やLBO(借り入れで資金量を増やした買収)融資などかなりの資産が入る。
一部の会計士はレベル2を市場の参照価格を使って厳格評価する姿勢だった。その場合、債務超過に陥る金融機関が出て、連鎖破綻が起きかねなかった。SECは会計士へのけん制も狙ったもようだ。
市場原理主義者から見れば時価会計の後退は許せない。しかし、会計士ショックによる金融メルトダウンは防がねばならない。いまは理想論を振りかざせるような生やさしい局面ではない。
買い手が付かず紙切れ同然の「レベル3資産」を損失計上しなくてよい──もっと踏み込んで言えば、政府が「粉飾決算」に対してお墨付きを与えたとも受け取れる内容なのです。連鎖破綻を未然に防ぐと言う大義名分があるとは言え、これは会計規則そのものの改変に等しく、投資家からの信頼を失うような暴挙です。
こうして、「やけに体裁の良い決算書」が並ぶ結果になったのですが、実態は深刻な事に変わりはありません。そのため、国際的な自己資本比率規制を維持できなくなる危険が出てきます。当然、増資するなどして資本を増強しなければなりません。
裏を返せば、決算本体よりもその直後に発表される「増資・新株発行」などのニュースが金融機関の抱える負債の実際の姿を現している事になるのです。
危険資産(=価格下落の危険に晒されている資産)に対する最低自己資本比率は8%とされている事をふまえると、増資額の12.5倍が「新たに増えた危険資産の規模」であると推測する事ができます。
例えばJPモルガンの場合、6000億円の資本増強を行っているので、その12.5倍──7兆5000億円が「新たに増えた負債の実態規模」であると考える事ができます。
米銀大手JPモルガン・チェースが近く、60億ドル(約6000億円)の資本増強をすることが分かった。米メディアが16日、関係者の話として伝えた。期間10年間で配当利回り7・9%の優先株を発行するという。同社は1~3月期決算で、サブプライム住宅ローン問題関連の損失が約70億ドルに膨らんだため、純利益が前年同期比50・4%減の23億7300万ドルの大幅減益となった。今回の増資はサブプライム関連損失処理に伴う財務強化策の一環とみられる。(共同)
米国証券取引委員会の通達に従い、米国金融機関は紙切れの「レベル3資産」を決算書から外して損失計上を先送りする事で時間を稼ぐつもりなのでしょうか? 単なる先送りだけでは、座して死を待つようなものです。益々ソフトランディングが困難になるだけです。
果たして米国の金融界──ひいては米国政府は、どんな手を打とうとしているのでしょうか?
ここで、金融経済から国際情勢へ目を向けてみたいと思います。
中東和平へ向けた動きは進展するのか?
先日、米国政府やイスラエル政府の非難をものともせず、カーター前大統領による和平外交が展開されました。その成果もあってか、ハマス・シリアとイスラエルの間でやり取りが始まっています。
ハマス・イスラエル間の条件交渉ですが、カーター大統領との対談の後にハマス最高幹部・マシャール氏は、「1967年以前の国境に戻すのなら停戦を受け入れる準備はある。だが、イスラエルの存在は認めない」とコメントしました。当然ながら、米国・イスラエルの双方から激しい批判の声が上がりました。
カーター大統領の説得もあってか「パレスチナ民衆が望むのなら、ハマスの方針に固執はしない」と言うコメントもしていますが、「これまで何度も停戦してきたが、その度にイスラエル側からの攻撃でパレスチナの民間人が犠牲になっている」と言う強い不信感が和平交渉の前に立ちはだかりそうです。
包括的な枠組みの和平進展は難しい状況ですが、ガザ封鎖についてはエジプトのスレイマン情報省長官が仲介する形で交渉が進んでいます。
ハマス側は「ガザ地区の封鎖を解除せよ」と主張、イスラエル側は「それならばロケット攻撃を止めよ」と主張し、双方とも譲らない状況です。また、イスラエル側には「ガザの封鎖を解除したらハマスを利する(物資・武器が搬入される)のではないか?」と言う疑いが強く、政権基盤の弱いオルメルト政権が国内の反発を押さえて話を進める事は難しいかもしれません(ハマスとの直接対話ではなく、エジプトを仲介に立てているのも、政権基盤の弱さを表していると考えられます)。
しかも、イスラエルへロケット攻撃を続けている「イスラム聖戦」などの武装組織は「イスラエル側と交渉の余地はない」と強硬な姿勢を崩していません。仮にイスラエルとハマス間で条件交渉が成立したとしても、ハマスがイスラム聖戦を説得してロケット攻撃をやめさせられるかどうか、見通しは不透明ではないでしょうか。
【参考】アルジャジーラ:Hamas ready to accept 1967 borders
【参考】エルサレムポスト:Suleiman to present truce to Israel
一方、イスラエルはシリアに対して具体的な条件を提示しました。その内容とは「イスラエルはゴラン高原を完全に放棄し、シリアに返還する」と言うものです。一見すると歴史的な歩み寄りの様に見えるのですが、その付帯条件がシリアにとっては見過ごせないものになっています。
「シリアはハマス・ヒズボラへの協力・援助を打ち切り、イランと距離を置け」と言うものなのです。反イスラエル・反米で結束している彼ら(イラン、ハマス、ヒズボラ、シリア)を分断するような内容です。もしシリアが「ゴラン高原返還」と言う条件に飛びつけば、その代償として同盟関係に修復が難しい亀裂が走る可能性があります。イラン、ハマス、ヒズボラ、シリア間の結束が乱れ、バラバラになってから、再度ゴラン高原を奪い返すと言うシナリオがイスラエル側に隠されていても、さほど不自然ではないでしょう。シリア側に取っては、そうそう飲めるような条件ではありません。
【参考】エルサレムポスト:Diplomatic officials: Syria must cut terror ties
【参考】ロシア・ノーボスチ:Israel says ready to swap Golan Heights for peace with Syria
アメリカ・イスラエル間の関係はどうなる?
一方、緊密な同盟関係にあるように見えるアメリカ・イスラエルですが、それを揺さぶるような事件が起こりました。アメリカ、ニュージャージー州の米軍関連施設で働いていた技術者のベン・アミ・カディシュ氏が、イスラエルに核関連技術を含む機密情報を長年に渡って流していたとしてスパイ容疑で逮捕されたのです。
イスラエル側は直ちに「今回の事件で、アメリカとの同盟関係が揺らぐ事はない」と言う声明を発表しましたが、今回のスパイ容疑の逮捕はイスラエル側にとって少なからぬ衝撃を与えた事でしょう。今までのアメリカでは考えられない行動です。アメリカ内部も、イスラエルを巡って一枚岩と言うわけではなさそうです。
【参考】イラン国営通信:'Israeli spy' arrested in US
【参考】産経ニュース:イスラエルに核機密を提供 元機械技師の米国人逮捕
急速に歩み寄る米朝、そしてシリアへの圧力
中東で和平へ向けた動きが進む中、極東においては米朝が急接近しつつあります。先日行われた米朝協議の後、北朝鮮側は「内容にとても満足している」と言う旨のコメントをしており、ライス長官も「核関連施設の査察検証が終わる前に、テロ支援国家指定解除もありうる」と述べるなど、雪解け機運が急速に高まっています。
【参考】ロシア・ノーボスチ:North Korea hails recent nuclear talks with U.S.
【参考】毎日新聞:北朝鮮・核問題:核申告「検証手段の確保必要」 完了前テロ国家解除も--米国務長官
アメリカ国内からも「北朝鮮に対して譲歩し過ぎではないか」と批判の声が上がっていますが、ブッシュ政権は畳み掛けるように「北朝鮮がシリアに対して核開発支援をしていた」と言う内容の報告を行いました。その報告に際して、北朝鮮はアメリカ側に立った証人となっています。
これにより、焦点が北朝鮮問題から「シリアの核開発疑惑問題」へ切り替わってしまう可能性が出てきました。シリア側は「根拠の乏しいでっちあげだ」と反発しています。米国議会でも、民主党のゲーリー・アッカーマン議員が「これはアメリカをイラク戦争に引きずり込んだ時と同じ手口の情報操作だ」と、ブッシュ政権を激しく非難しています。
しかし、事態はシリアが窮地に追い込まれる方向に進んでいます。このまま、2003年のイラク侵攻の時と同様に、「核疑惑施設の査察」「大量破壊兵器保有の疑惑」とプロセスが進み、ついには「シリア侵攻」と言う運びになるやもしれません。
【参考】イラン国営通信:CIA will talk about 'Syria N-plant'
【参考】アルジャジーラ:Syria denies N Korea nuclear nexus
イスラエル側はゴラン高原返還をカードに、アメリカ側は北朝鮮を証人とした核開発疑惑でシリアを揺さぶると言うこのやり方は、まさに連携攻撃と言うべきでしょう。イスラエルのトラップカードを拒否すれば、核開発疑惑でアメリカが侵攻する。かといってゴラン高原返還を受け入れれば、消えることの無い亀裂・対立が同盟国・同盟勢力との間に生じる──シリアは、国の命運を左右する重大な選択を迫られていると言っても過言ではないでしょう。
攻撃的布陣を進めるアメリカ
ブッシュ政権は、陸軍大将のペトレイアス司令官を中央軍司令官に任命しました。前任者のファロン元司令官の後を引き継ぐことになり、3年の任期中は中東とアフガニスタンの戦略を担当する事になります。ペトレイアス司令官は、イラク増派戦略の立役者であり、イラン戦略を巡ってブッシュ政権と対立していたファロン司令官と比べてアグレッシブなスタンスを取るのではないかと考えられます。
前任者のファロン元司令官は、イラン侵攻に反対して政権との間で確執があったと言う指摘もされております。そのファロン元司令官は任期途中で辞任し、そのまま米軍を退役、その後にファロン元司令官とは対照的なスタンスのペトレイアス司令官が後任に抜擢──と言う流れからもブッシュ政権の方針を感じ取る事が出来ます。(これまでも米軍中央司令官になった人物はイラン侵攻に反対しており、ジニ元大将(退役)、アビザイド大将も米軍のイラン侵攻には反対のスタンスでした)
【参考】CNN:イラク管轄の米中央軍、新司令官にペトレイアス氏を任命
【参考】時事通信:米中央軍司令官が正式辞任=後任にペトレアス氏も
イランに対する攻撃的姿勢は、米軍人事だけにはとどまりません。クルド人の武装組織PKK(クルド労働者党)とPJAK(クルディスタン自由生命党)がアメリカとイスラエルの支援を受けて、イランで転覆工作を狙っているとトルコの日刊紙・カムフリエット誌が報じています。
カムフリエット誌によると、PKKは米軍から脅される形でPJAKに合流し、イラン国内での各種破壊活動に加わったと言う経緯との事です。
トルコ軍は最近、イラク北部を空爆するなどPKKに対して攻勢に出ていますが、それに押される形でPKKがPJAKと行動を共にしたと言う構図が伺えます。(トルコ軍に対してイラク北部のPKK拠点空爆を認めたのはアメリカ政府との事です)
イラン側はトルコ政府と協議を行い、PKKとPJAKに対して共同で対処すると言う内容の覚書に署名しました。PKKとPJAKは、トルコとイランから挟撃される格好になります。生き残りを掛けて戦わざるを得ないクルド人武装組織をアメリカが支援──間接的かつ水面下ながらも、アメリカによるイラン侵攻は着実に進んでいる印象を受けます。
【参考】トルコ・デイリー・ニュース:Iran and Turkey to discuss PKK, PJAK
【参考】イラン国営通信:'US urges PKK insurgents to join PJAK'
その先に待つものは?
中東における覇権が相対的に低下傾向にあり、存亡の危機を迎えるのは時間の問題となっているイスラエルと、金融危機に陥り、新たな需要バブルを喚起する必要に迫られているアメリカは、ここに来て「中東における戦争」と言うキーワードを介して利害を共有しているように思われます。
アメリカなしでは中東で生存できないイスラエルにとって、イラク駐留米軍撤退は死活問題です。頼りのアメリカではブッシュ政権も任期はあとわずか。そして大統領選を控えて、イラク撤退を臨む世論も高まっています。共和党のマケイン候補が勝利できなければ、イスラエルは米軍の存在と言う大きな支援を最悪のタイミングで失う事になります。
今までは米国のユダヤ人コミュニティの影響力が強いこともあって、アメリカの中東政策(=イスラエル支援政策)は安定していたのですが、最近はイスラエルのスパイがFBIに逮捕されるなど、イスラエルにとっては少し懸念すべき情勢になりつつあります。そうなると、ブッシュ政権の任期が続いているうちに何かしらの手を打っておかねばならないと、イスラエル・ブッシュ政権の両者が考えていても不思議ではありません。
アメリカとしても、今までアメリカを支えてきた膨大な個人消費が今回の金融危機で消滅しつつあるため、時間が残されているうちに新たな需要を見つけ出さねばなりません。
企業の決算における会計基準緩和を行って(=損失計上の先送り)時間を稼いでいる間に、戦争をトリガーとした大きな需要を喚起・創出する──これは今のアメリカに残された数少ない選択肢の一つかもしれません。
ファンダメンタル的には極めて深刻な事態に陥っているにも関わらず、実態はなかなか決算書に反映されず、不可解なドル高が続いている裏には、そうした事情が隠されているのではないでしょうか。
