地方の復権 ~『青き黄金』の国、ジパング~

1.中央集権型社会システムの崩壊、地方の復権

 世界のグローバル金融システムがリアルタイムに崩壊している事は、もはや言を待ちません。中央集権型の社会システムを維持する機能は急速に失われつつあります。いくら増税しようが、いくら歳出削減をしようが、延命措置にすらならないでしょう。権力の一極集中の時代はもはや終わりを告げています。あらゆるものが分散化してゆく時代の流れに、人の手で逆らう事は不可能です。    都市を中心とする中央集権型システムが終焉を迎えつつある一方、地方の復権の機運が水面下で高まりつつあります。十分な財力を持つ層の間で、地方移住の動きがあります。共通しているのは、自給自足的な生活スタイルを望み、確立しようとしている事です。21世紀が水と食糧を巡る動乱の時代になる事を、知っている人間は知っているのです。    都市部に残されるのは、情報弱者や経済弱者になる事でしょう。都市部の生活環境が急激に悪化しつつあるのに、事実を知らされず、しがみつくしかないのです。もはや、都市部は人が住むべき場所ではなくなり始めています。    都市の衰退と地方の復権──その潮流、その事実から目をそむけるのなら、終焉を迎える時代と共に心中するしかないでしょう。    では、こうした時代の潮流の背景で、何が起こっているのでしょうか?      

2.全世界規模の砂漠化、農地の喪失

   世界各地の砂漠化については以前よりも問題を指摘する声がありました。しかし今や、砂漠化・水資源不足は切実な問題として全世界を覆い始めているのです。    毎年、全世界で500~600万ヘクタールの農地が砂漠化しています。  世界の灌漑農地約3億ヘクタールのうち、既に1/3が塩害の被害にあっています。統計上は農地としてカウントされていますが、実質的に農業生産は困難な事でしょう。塩が一面に吹き出し、苗が根付かない農地では、まともな収穫など期待できるはずがありません。  さらに、約40%の灌漑農地では、土壌の劣化が進行し、生産力の低下が問題となっています。農業に不可欠な表土が、疲弊し、乾燥し、次々と喪失されているのです。ほんの数十センチの表土形勢にさえ、極めて長い年月を要します。数千年の時をかけなければ、失われた表土は復元されないのです。 

 このように、全世界的規模で大半の農地が近い将来耕作不可能の不毛の地に転落してしまうのです。継続不可能な消耗型農業が続けば、10年も経たないうちに深刻な食糧問題が現実となって我々に襲い掛かるでしょう。 
 
 

3.水資源問題

 
 地球上の7割は海に覆われており、水ならば豊富にあるように思えます。
 しかし、我々人類の生存に不可欠なのは、アクセス可能な淡水資源なのです。塩分濃度の高い海水ではないのです。
 現在、その淡水資源が危機的状況に晒されています。
 
 世界の食糧を支える米国、その中でも中西部の穀倉地帯を支えているのが膨大な地下水源です。そのアメリカの地下水源に深刻な問題が起こっています。代表的な地下水源・オガララ帯水層は、あと20年以内に枯渇し、農業生産どころか生活必需水さえ確保できない状況になると指摘されています。バイオエタノールを切り札に据えたアメリカの食糧安全保障戦略ですが、水資源の浪費が続けば、10年も維持する事すら出来ないでしょう。オガララ帯水層は、太古の昔から悠久の時を経て蓄えられた化石水資源です。一度使ってしまったら、半永久的に戻らないのです。北米は砂漠化し、不毛の地になるのは火を見るよりも明らかです。
 
 オーストラリアはでは、前例のない干ばつに見舞われ、地下水枯渇が非常に深刻なレベルに達しています。政府が灌漑を禁止通達するほど、水資源が不足しています。生活水の確保に必死で、農業に水資源をまわすどころの話ではありません。家畜飼料となる穀物を輸入しなければならないほどに追い詰められています。
 
 中国においても水資源問題は深刻な国家レベルの問題です。
 北部の黄河は、何度も渇水し、流れが止まり、河である事すら危うい状況です。北京周辺では都市部の生活水源確保のため、周辺の池や川の水を農業に使う事さえ制限せざるを得ません。水が豊富といわれている南部でさえ、もはや安全ではありません。湖南省中南部でさえ、地下水の水位が下がり、あちこちの井戸が枯れ、頻繁に出水制限が加えられている有様です。環境破壊が進み、大地が水を蓄えられないのです。雨が降っても、表土が流出するばかりで、どんどん保水力が失われています。洪水が起きやすくなり、そしてさらに表土が流出し、保水力が失われ、水資源が足りなくなり、雨が降れば簡単に水害が発生してしまう──そんな悪循環に陥っているのです。
 
 カザフスタン・ウズベキスタンの水がめであった、世界第四位の湖であったアラル海は、もはや消滅しつつあります。水は80%以上失われ、塩分濃度が高くなり、漁業は壊滅、周辺地域の農業も大打撃を受け、ゴーストタウン化が進行しています。

 インドのパンジャブ州では、地下水位低下が顕著です。地下水位は数十メートルも下がり、現在では100メートル以上の深さまで掘っても、水がなかなか出てこないのです。農業維持コストが飛躍的上昇し、穀物生産量の低下はもはや回避困難となっています。
 
 今後、世界の穀倉地帯として大変大きな期待が寄せられているブラジル──そこで行われているのは持続不可能な農業です。アマゾンの密林が開拓され、次々と耕作地化されています。ですが、急激な地下水の消費がついにアマゾン川の大渇水となって表面化しました。アマゾン密林の砂漠化は急速な勢いで進行しており、今後50年以内にアマゾン熱帯雨林の半分以上が砂漠化すると予測されています。
 
 膨大な水資源を消費し、短期間に大量に農産物を生産し、短期的利潤を最大化する──投機的な視点では、最適な戦略かもしれませんが、こんなやり方は本来的に持続不可能です。
 
 近い将来、食糧問題が危機的な域に達すると言う構造的要因が、このように明確に存在し、解消されないままであるのです。
 
 継続的に農業をできる地域は限られてくるのです。
 
 
 

4.『青き黄金』に恵まれた日本


 世界的に見て、今後水と食糧を巡る熾烈な争いが起こるのは明白です。自国内で水と食糧を賄える事は非常に有利なポイントとなります。その点で日本は、持続可能な水資源に恵まれています。
 
 水資源賦存量(みずしげんふそんりょう)と言う、人口一人当たりが利用できる理論上の水の量を現した指標があります。その数字では、日本は世界平均の7690トン/人・年よりも少ない、4430トン/人・年です。
 ところが、水資源賦存量で言うならば、水資源不足で苦しむオーストラリアは20000トン/人・年です。日本の5倍もあります。しかし、干ばつで苦しんでいるのです。
 水資源賦存量は人口が極端に少ない国や、国土が極端に広い国になると値が跳ね上がると言う性質を持っています。必ずしも実態を反映した指標とは言えない側面があります。
  
 結局大事なのは、『アクセス可能な淡水資源がどれくらいあるか』です。
 いくら国土が広くても、取得困難な水資源ではいけないのです。採算が合う、現実的にアクセス可能な淡水資源でなければならないのです。数千キロものパイプラインを敷設しなければ取得できない水では、供給そのものが困難なのです。
 
 その点日本は、過去と比較すれば林野が減少したとは言え、国土の大半が森林です。大地の保水力が高い為、環境破壊が進んだ他国よりも水害に対して非常に強い耐性を持っています。そして、その保水力のお陰で雨が降らない季節にも安定的に水が供給されるのです。
 ただ、急峻な地形のため、大半の淡水はそのまま海に流れてしまっています。しかし、あちこちに川がある事は、水資源確保の上で非常に有利なポイントです。水資源が各所に分散しており、容易にアクセスできる場所に大量の淡水があるのです。 

 もはや水はタダではありません。"BLUE GOLD"──青き黄金と呼ばれ始めているのです。淡水は世界的に見ても、希少資源となりつつあるのです。日本は、大量の"BLUE GOLD"を保有する資源国なのです。
 
 

5.我々が取るべき道


 大量の水資源と耕作可能な土地がある日本の地方は、資源の塊です。膨大な『青い金』を埋蔵する、肥沃な大地です。
 大企業は、次の時代を見越して動き始めています。セブンイレブン、ファミリーマート、イオンなどの大企業は、自社の農地を次々と獲得し、水資源と耕作可能な大地を囲い込み始めています。

 かつて、ロックフェラー家は、石油の時代の到来を予感し、石油王の地位を確かなものとしました。そして、現在の世界統治者としての基盤を築き上げました。
 今後、石油の時代は終わり、『青い金』──淡水資源の時代がやってきます。
 
 
それを知っている一部の勢力は既に水面下で活発に動き始めています。
 
 安定的に、豊富な水資源が供給される日本が、ターゲットから外れる訳がありません。
 
 日本は、黄金の国、それも青き黄金の国、ジパングなのです。
 
 今、日本の農業を壊滅させ、邪魔者を追い出し、青き黄金に恵まれた日本の大地を経済的・資本的に支配しようと言う動きがあります。自治体の危機的財政、破綻、地方分権の動きも、それとは無関係ではありません。非常に密接な関係があります。
 
 衰亡する都市に固執している時ではありません。
 
 我々日本人は、母国に眠る膨大な青き黄金の価値を正しく把握しなければなりません。
 
 その青き黄金の価値を知るならば、自ずと地方の復権の意味が分かる事でしょう。
 
 そう遠くない将来、日本の地方は、資源の宝庫に生まれ変わるのですから。

関連水素文明の夜明け(東京販売会著者出席 平成20年8月17日)

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