橋前です。
しばらく時間が空いてしまったのですが、ブランクを取り戻しながら記事をお届けしたいと思います。
テーマとしては、自給自足の生活を手探りで実現する、と銘打ち、これまでの試行と結果や、現在進行中の内容も含めて書いて参りたいと思います。
自給自足を思い立つ:金融と経済の構造の歴史的転換を感じて
私自身は、東北の田舎に引っ込んでいるのですが、日々インターネットで海外の動向を見るにつけ、世界の金融と経済のシステムが地殻変動的と言って良いほどに、変化していることを感じます。
恐らく、そう遠くない将来、国際決済通貨であるドルがその機能を果たさなくなると思います。
そうなった場合、食糧や燃料など、今まで当たり前のように手に入っていたものが、欠乏する事態が十分考えられます。
特に日本は、耕作可能な土地が豊富にあるにも関わらず、輸出企業の収益を確保する為に、食糧自給率の制約を課せられてきました。
食糧の安全保障は、国民生活にとって死活的なものです。
札束に任せて世界中から食糧を買い漁ればそれで良いというわけには、もう行かなくなるのではないかと思います。
最近になって、食糧自給率の問題が知られるようになり、自給自足体制を目指す人も増え始めたように感じられます。
私もそのクチなのですが、では自給自足体制とはどうやって作れば良いのか? ということで、実際に手探りで試行錯誤をやってみようと思い立ったわけです。
まずは開墾
私の実家に、いくばくかの土地があったので、野菜を作ってみようということになりました。
最初は、200坪ほどの原っぱから、開墾を始めました。(確か、1年くらい前のことでしょうか)
草が伸び放題だったので、とにかく草刈カマを使って、雑草を刈り尽すことになりました。
茎の部分を刈るだけでなく、地中にある根の部分もちゃんと掘り起こして取り除かなければなりません。
とにかく、手首や親指の付け根部分の筋肉が疲れました。手が小刻みに震えて、物を握るのが億劫になります。
刈り取った雑草は、一箇所に集め、穴を掘って埋めました。しばらくすると微生物に分解されて、肥料みたいになります。
雑草だけならよかったのですが、ここの原っぱには、しの竹が雑草に混じって生い茂っていました。
これがかなりの強敵でした。草刈カマだけでは、どうにも処理しきれません。
地中深くにがっちりと根を張っており、それが竹なのですから。
そこで、スコップで地面ごと掘り起し、竹の根を手で掴み、土を振り落とします。
土を付けたままだと、元気を取り戻して竹が伸びてきます。
竹の場合、掘り起こしたもの全体を、一箇所に集めておき、しばらく乾燥させました。
2週間くらい乾燥させれば、さすがに復活はしないようでした。スコップで、ザクザクと分断して、穴を掘って埋めます。雑草の場合よりも時間がかかりますが、竹もやがて分解されて茶色く溶けて、肥料のようになりました。
こうやって、仕事の合間や週末を使いながら、少しずつ開墾を進めました。
結局、秋から春先までかけて、原野に等しかった原っぱが畑に生まれ変わりました。
私の体重も、5Kgぐらいスリムになりました。
有機肥料を確保する
こうやって開墾した畑は、区画を小さく分けて、何種類もの作物を植えることになりました。 自給自足的・循環的スタイルを目指すということで、化学肥料は一切使わず、有機肥料で行こうということになりました。そこで、退職後に農業をたしなんでいる父に助言をもらい、『発酵した豚糞』を有機肥料として使うことにしました。私が住んでいる地域には、豚を飼育している施設があり、発酵させた豚糞を無償で地域の人々に提供しています。本来であれば、産業廃棄物扱いということらしいのですが、有機肥料として提供すれば一石二鳥、ということなのでしょう。
車に乗って、豚舎が並ぶ施設内に入ると、なかなかメリハリの利いたアンモニア臭が鼻をつきます。
発酵させた豚糞は、トタン屋根の工場みたいな建物の中に山のごとく積んでありました。
積もった豚糞はいずれも乾燥しており、小石や砂利のような大きさです。色はほぼ黒です。
有機的・タンパク質的な香ばしさと、アンモニア臭が濃厚に混じった空気が、建物内に充満しています。
臭気を払うためのものでしょうか、大量のお香が炊いてあり、白い煙がもうもうと立ち上っています。
空になった豚の飼料袋が何枚も重ねてあり、豚糞の入れ物として自由に持っていって下さいと掲示してあります。
共有用のスコップを使って、豚糞の山を崩します。すると、熱気がもうもうと迫ってきます。
現在進行形で発酵が進んでいるためです。強烈かつ濃厚なアンモニア臭がします。
発酵している豚糞は本当に熱いです。60度はありそうです。素手ではとても触れません。
飼料袋に7分目ほど、豚糞をつめます。すると、重さは20~30Kgでしょうか。
なかなかの重さです。一袋ずつ車に乗せて行きます。
こうやって一度に4~5袋ほど豚糞をもらっては、畑に撒いていきます。
熊手などを使って、畑の土と豚糞をよくかき混ぜます。
しばらくの間は発酵が進む為、すぐには種まきをしてはならないそうです。
仕事の合間や週末を使いながら、結局1ヶ月くらいかかりました。
作物別の試行錯誤
こうやって畑の準備も整い、何種類もの作物を植えていきました。
ジャガイモ、ダイコン、とうもろこし、ナス、ピーマン、シシトウ、オクラ、
ニンジン、タマネギ、ニンニク、ネギ、えんどう豆、大豆、いんげん豆、春菊、
とろろいも、自然薯、カボチャ、スイカ、落花生、白菜、キャベツ、レタス、
ちぢみ菜、京菜、くだん草、ほうれん草、小松菜、チンゲンサイ
こうやってリストにすると、どうも収拾が付かなくなりそうなので、個別の作物ごとに触れて行きたいと思います。
(1)小松菜とチンゲンサイ
あぶらな科の作物で、育てやすい作物です。しかし、あっというまに虫が集まって来て食い荒らされます。
路地栽培はとても難しいです。穴だらけになって、とても収穫になりません。
第一弾は惨憺たる有様で、5センチにも達しないうちに、虫に食われて全滅してしまいました。
集まって来る虫なのですが、ほんの1~2ミリほどの黒くて小さな虫、ヨトウムシという芋虫、そしてモンシロチョウの幼虫です。
- 1~2ミリの虫は、ノミのようにすばしっこくジャンプします。やっつけるのに一苦労です。ウリハムシの仲間のようでした。
- ヨトウムシですが、根元からバッサリ食いちぎって来ます。やられた株の周辺を、草刈カマなどでほじくり返すと、丸まった状態でコロンと飛び出してきます。
- モンシロチョウですが、葉の裏に1ミリほどの細長くて白い卵を産み付けます。これを見つけ次第、潰していくのですが、どうしても撃ち漏らしが出てくる為、幼虫になったものが葉を食い荒らします。
あぶらな科の作物は、芽が伸びる段階で、ほんのりと甘味を感じさせる匂いを発しています。その匂いが、虫をたくさんひきつけるのではないでしょうか。
虫との格闘で、いろいろと実験をしてみました。
自宅にある植木鉢を使い、いろいろな道具を使って小松菜とチンゲンサイを育てる試験をしました。
・ペットボトルによるガード
ペットボトルの底を、包丁でスパっと切り落とし、それを地面にかぶせるわけです。
これは、円柱型のミニ・温室のようなもので、効果は抜群でした。
湿度・温度も保たれるので、芽の成長もかなり早いです。
(頂にあるキャップ部から空気の出入りがあるので、内部温度が高くなりすぎることもありません)
ただし、ペットボトル内で伸びすぎると、ひょろひょろになってしまいます。
ペットボトルの支えをなくすと、ぽきんと折れてしまう場合が出てきます。
予め大きなペットボトル内(3~4リットルサイズくらい)で収穫まで育てるか、5センチほどに成長した時点でペットボトルをはずすのが良さそうです。
ベランダや裏庭でも十分使える方法だと思います。
狭いスペースの中で促成栽培する時には良いと思います。
・防虫ネットで覆う
これも効果十分です。ただし、種まき直後から防虫ネットで覆っておかないと、途中で紛れ込んだ虫がネット内部で大暴れです。特にモンシロチョウの卵が残っていたら、さあ大変です。防虫ネットをめくり上げては、やっつけ、元に戻す、の繰り返しで骨が折れます。
・穴あきマルチシート+ビニルでトンネル
アーチ型の枠で骨組みを作り、ビニールのトンネルを作るというものです。
虫の侵入も妨げますし、温度も保てるので、促成栽培に必須です。
ただし、水分の供給が難しいので、あらかじめ穴があいたマルチシート(地面を覆う薄いシート)で畑を覆っておきます。そうすれば、地表面の水分蒸発をだいぶ抑える事ができるからです。
一番理想的なのは、この穴あきマルチシートとビニルトンネルの組み合わせだと思います。
ですが、手間隙がかかるので、大量に作りたい時にはこれですね。
すこし長くなってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。
次回は、小松菜とチンゲンサイを育てた結果や、種まきの時期、時期ごとの成長速度について書いてまいりたいと思います。

コメント
私も同じ思いから畑をやり始めて20年近くになります。
はじめは虫が出ますが、数年有機栽培を続けると生態系が出来上がり、虫を食べる虫が発生してきます。ただアブラナ科の植物につく、黒い小さな甲虫は(つまもうとすると転がる虫)は処置なしです。
豚糞も、近頃は抗生物質などが含まれてるらしく、有機飼育のでなければ危なかったりします。油かすも遺伝子組み換えがほとんど。なかなか虫以外の敵も手強いですよ。
Posted by きくりん at 2008年10月 6日 13:29
コメントありがとうございます。
20年近いキャリアとは、すごいですね。
有機栽培を続けると、独自の食物連鎖生態系が出来上がるのですね。農薬を使わずとも自然に害虫が駆除されるのは便利──というよりは、それが自然の姿なのでしょうね。
豚糞についてのその注意は初耳でした。
抗生物質が生物濃縮されて、豚糞に混じり、農作物にどんな影響を与えるのか、調べなければなりませんね。
油粕の方は、遺伝子組み換えですか・・・いやはや有機肥料の確保も、骨が折れますね・・・
Posted by 橋前勇悟 at 2008年10月 8日 08:11
半農半xでしょうから、なるべく楽をして農業とお付き合いするのが肝心です。最近お亡くなりになった愛媛の福岡正信さんの「わら一本の革命」を是非お読み下さい。
それに雑草をコンポストしてそれを肥料替わりに使用する農法を実施している秀明という団体もあります。
遺伝子組み換えでない本物の種は川口さんの主催する「妙なる畑の会」で入手できます。
Posted by 花子 at 2008年10月10日 12:58
花子さん、コメントありがとうございます。
秀明や妙なる畑の会の情報をありがとうございました。
さっそく検索してサイトを読ませていただきました。
うーむ、興味深いと申しますか、まさに生態系の観察に根ざした共生と申しますか、
まさに循環型の農業ではないかと、第一印象的には感じました。
自分の家から出る生ゴミで肥料を作って、それで野菜を作って消費する。
そして、その辺にあるものや環境で、やりくりする農業というのは、これからの時代観とぴったりではないかと個人的ですが思いました。
Posted by 橋前勇悟 at 2008年10月10日 21:15
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