環境の変化に逆らう人、環境の変化に順応する人

特集橋前勇悟コラムニストの書き下ろし(月曜日の「秋月便り」に掲載開始)


 最近の情勢を見ておりますと、「環境の変化に逆らおうとする人」と「環境の変化に順応する人」で運命が分かれているような印象を受けます。
 
 ここで言う「環境の変化」とは、「巨大な米国市場を前提とした経済システム」が崩壊するということです。
 
 これまで、値上がりを続ける米国住宅不動産市場を背景に、「住宅を担保としたローン」で旺盛な消費をしていた米国の個人――しかし、そのような巨大消費・需要は、もう戻ってこないことでしょう。
 
 しかし、それでもかつての栄光を忘れられず「2009年の後半には、大底を打つ」と、引きつった顔で無理矢理楽観論を吐く人を見ると、哀れみを禁じ得ません
 
 かつての「米国絶対神話」にすがりつこうとする人たちは、どうも「共食いの傾向」が強いようです。
 
 沈み行く豪華客船とも言える「米国号」に最後まで居残ろうとして、残された席を巡って蹴落としあっているような印象です。
 
 もちろん、船体には修復不能な穴が空いていますので、どんどん浸水してきます。
 
 上の客席へ移動し続けなければ、おぼれ死んでしまうでしょう。
 
 だから、残された席を巡って、壮絶な共食いを繰り広げるのではないでしょうか。
 
 
 「儲かるから」と言って、株式や債券・証券に不動産と言った金融商品に手を出した人たちは、あまりの損害の大きさに追い詰められ、人格的にも破たんを来たし始めるケースが多いようです。
 
 数年前とはまるで別人のようになっているケースも少なくないようです。
 
 「共食いのコロシアム」のようになってしまった社会・経済システムは、もはや崩壊は避けられないでしょう。
 
 経済アナリストの藤原先生がおっしゃっていたように、「儲け」を求心力とした組織やコミュニティ、人間関係は、あっさり崩壊すると思います。
 
 仲間割れとか内紛などとは距離を置くべきでしょう。
 
 そんな組織は、さっさと見限った方が良いのではないでしょうか。あまりにも時間や精神力に体力、経費の無駄です。

 そのような社会・経済にずるずると依存するよりは、環境の変化に対応すべく、新しい道を切り開いた方がよほど前向きではないでしょうか。
 
 それよりも、これから到来するであろう「適切な需要によって循環する社会・経済」に向けて、試行錯誤してゆく方がよほど健全ではないでしょうか。
 
 十分な技能を持った人が、社会が必要とするものを、時期を合わせて適宜供給するという仕組みに移行する中、日本人が持つ「職人気質」こそ、まさに求められている素養になるのではないかと思います。
 
 答えは簡単――シンプルに「原点回帰」といったところではないでしょうか。

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