インフレ前夜・通貨膨張フェーズに突入する英国


 今日は気になるニュースを取り上げ、考察して参りたいと思います。
 それは、英国が「通貨膨張」の段階に本格的に突入するというものです。
 以下のニュースをご覧ください。

[2009/3/6][Bloomberg] BOE's King 'Groping in the Dark' as U.K. Prints Money (Update1)

March 6 (Bloomberg) -- Bank of England Governor Mervyn King, criticized for his initial response to the credit crisis, is now embarking on one of the biggest risks in British economic history.

The central bank yesterday won authority to print as much as 150 billion pounds ($212 billion) and pump it into an economy facing its worst recession since World War II, after cutting interest rates close to zero. With markets clogged and economic activity shriveling, King can't be sure the gamble will work.

元記事URL:http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aPMSo8jv5RHM


 「紙幣を増刷する英国、暗中模索の英国中央銀行のキング総裁」といったタイトルの記事です。
 この中では、英国が紙幣を増刷して国債を1500億ポンド分買い入れると述べられています。

 中央銀行が直接国債を買い入れるのは御法度とされています。
 「国債の市中消化の原則」と言われるもので、日本では法律で禁じられています。つまり、「日銀は直接国債を買うことができない」のです。(他の先進国でも原則禁止されています)

 いったん中央銀行が国債の買い入れを通して政府に資金を提供すると、歯止めがきかなくなり、ハイパーインフレに突入する危険が高いためです。

 中央銀行は紙幣をどんどん増刷し、財務省はどんどん国債を増刷します。この歯車が回転し始めると、もうブレーキがきかなくなります。(国債が紙幣・通貨の裏付けとなっています。通貨・紙幣と国債は表裏一体です)
 こうして通貨の価値が水増しされて、相対的に強烈な物価上昇を招いてしまうのです。
 

通貨量が膨張する英国

 英国で流通している紙幣と通貨は、約500億ポンドとされています。
 もしここで「1500億ポンド」の通貨が新たに発行されたらどうなるでしょうか?

 物やサービスを含めた「経済規模」は変わらないのに、通貨の流通量が「3倍」になってしまうのです。
 この供給のギャップを埋めるように力が働き、物価が上昇してゆくことは火を見るよりも明らかでしょう。

 しかも、英国が抱える負債は天文学的な規模(数百兆円規模)ですから、1500億ポンドの増刷ではとてもまかないきれません。そうなると、10倍、20倍・・・と際限なく物価が上昇してしまいます。
 
 これは非常に危険な賭けであり、英国金融当局もうまく行くとは考えていないはずです。
 歴史を見ると、同様の政策をとって失敗した例が多く見られるからです。
 たとえば、第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレです。
 そして、最近ではジンバブエです。
 
 恐らく、もはや他に打つ手が残されていないのでしょう。
 負けると分かっている勝負に賭けるしかないほどに英国は追い詰められているのです。

 

世界的に広がる通貨膨張の動き

 そして、FRB(米国連邦準備制度理事会:米国の中央銀行の役割を果たしている株式会社)も、長期米国債の買い入れへ向けて検討を進めていると見られています。
 
 世界的に「通貨膨張(=ハイパーインフレの事前段階)」に突入する雰囲気が広がっている模様です。
 
 恐らく日本も、世界から一週遅れでインフレに突入する可能性があります。
 各自が過去のインフレの事例を調べ、どのような対策を講じるべきか、今のうちから研究と準備を進めておくべきではないでしょうか。

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