世界経済の行方

この読者コラムは2008/2/20に書いたものです。 公開される日が何時になるのかは分りませんし、内容はごくごく大雑把なものですが、 過去を振り返る日記のようなものになればと思い、投稿いたします。

アメリカのサブプライムローン問題に端を発して、CDO(金融商品の一種)価格が過大に評価されていた事がわかりました。 このCDOを大量に購入していたらしいイギリスの銀行では取り付け騒ぎがおき、 欧州では銀行間の資金の融通が出来なくなる信用収縮が起きる等、全世界に激震が走りました。

私は、これから世界経済は徐々に悪くなるのではないか、 その悪くなり方は、 日本国の1990年代、つまり「失われた10年」と同じ ではないかと考えています。 一言で言えば、世界経済は「恐慌」に突入しつつあると考えています。

私の現時点での世界経済の現状について基本認識はリチャード・クー氏の著書、 「陰」と「陽」の経済学 我々はどのような不況と戦ってきたのか にある、「陰の局面」入りをしてしまったのだというものです。 それも、これまでそうであった日本一国だけではなく、西欧及びアメリカすらもです。

欧米の投資銀行は、サブプライムローン問題に端を発するCDOの評価損で大きくバランスシートを毀損しました。 その結果、どうやら利益だけでは損失を穴埋めできないらしく、シンガポールや中東のSWFから増資を受けたりしています。 同様に、モノラインと呼ばれる再保険会社がサブプライムローン関係で、バランスシートを大きく毀損しています。

このサブプライムローン問題の震源地であり、冷戦後に世界経済の牽引役であったアメリカでは、 政府は減税をFRB(中央銀行)は利下げを打ち出し景気対策を行って、 「陰の局面」入りを阻止しようとしているように見えます。

しかしそれでもこの記事に予測されたごとく、 米経済の中心である個人消費は減少し、 そして、それがまた欧米金融機関のバランスシートを毀損し、 銀行の利益がその損失補填に回る分は投資(この場合は銀行の信用創造)が減り、 それがまた個人消費を毀損し、という 悪循環 に突入しつつあるようです。

ただ、米政府の減税策は小切手を使って税金を還付するという方式をとっている関係で、 その税金の還付が実現するのはまだ先であり、米政府の減税策に効果なかったと言い切るには早いのですが、 2001年に同様の政策を行ったところ貯蓄率が向上したとあり、米の消費は増えない可能性もあります。

デカップリング論というものがあります。曰くBRICsの様な新興国経済は先進国の経済と非連動であり、 先進国の経済悪化に影響されずに成長するだろうというものです。 しかし、新興国にも先進国に輸出している部分はあるわけで、引きずられて経済の後退は避けられないでしょう。 つまり、全世界的に経済後退が予想されます。 最近ではこの事をして「リカップリング」などと言っています。

少なくとも、 アジアにおいて対米輸出の減少はやはり景気後退に繋がります。 リカップリングとなれば、欧米の投資銀行の投資先(=信用創造先?)は、 世界中どこを探しても減少するという事を意味します。 そして投資銀行も自ら 貸し出し基準を引き締め、 その結果として 貸し渋っているので、 この問題は傾向は更に加速します。

さて、 経済学 によると前年より投資総額が増えれば経済は成長し、逆に投資総額が前年より減少すると経済は後退するそうです。

つまり、現状は全世界一斉の経済後退局面の入り口に立っているか、もう既に突入した状態でしょう。 そして、残念ながら明快な底打ちやトレンド反転のシナリオは見えていません。 以上が、私が世界経済は「恐慌」に突入しつつあると考える理由です。

サブプライムローンは、軽めに見積もっても全体で1兆ドルの損失が出ていると言われ、 これまでの増資額でどうにかなる程度ではありません。 中央銀行が幾ら量的緩和や利下げを行っても需要が不足していれば、 どんな投資銀行にも投資(=信用創造?)が出来ないので経済は成長出来ません。

日本国内はというと企業は 原材料費の高騰 を理由に消費者への販売価格を値上げしておりインフレの徴候が見られます。 しかし日本国内の景気は悪く、合わせて考えると、スタグフに入ったようにも思われます。

中国では、労働者不足と、理解はできるのですが中国政府の労働者保護が理由で人件費が高騰しており、 世界の工場としての立ち居地が怪しくなるかもしれません。 上海の不動産が高騰していたという話もあり、これも何時かは調整に入るかもしれません。

西欧においても不動産価格のバブルがあったという話はあり、これも時間の問題かもしれません。 仏ソシエテ・ジェネラル や 英ノーザン・ロック の一件など、まだ氷山の一角かもしれないのです。

恐慌に伴う世界経済の混乱は、食料自給率の低い我が国にとって災厄そのものでしょう。 せめてエネルギーが自給できれば、ある程度はこの問題を緩和できると聞いた事があります。 また、石油は過剰流動性と需要増加で高騰していますが、水素・電気中心のエネルギー体系経済を目指すなら、 恐慌時に諸外国と石油の争奪戦をやるという難事に参加せずに済むかもしれません。 それにあわせた国内のインフラ再構築は内需を大いに刺激するでしょう。 そういう方向で上手く行く事を、切に願うばかりです。

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参照:イギリスですらペイオフできず

参考:アジア通貨危機から10年

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