共産主義における宗教否定の影響
それにしても共産主義の恐ろしさというのは、実際にソ連時代を体験した世代のロシア人でなければとても分からないことだろう。しかも、外側から見れば「ソ連時代」とひと括りにして考えてしまいがちだが、革命後の混乱期だとか、その後スターリン政権下、雪解け時代、ペレストロイカ、など時期によって事情がかなり違ってくるので、それぞれの時代の苦悩というのは一貫性があるようでないのだ。 いずれの時代にも自由がなかったともいえるが、ある時期には緩んだり、また違う時期には厳しくなったり、意外とその辺りは流動性があったらしい。それでも、スターリン時代を知る人たちにとっては、戦争中よりもスターリンが亡くなるまでの辛苦というのは想像を絶するものだったという話だ。 しかし、ひとつ確実に一貫性を持ってロシアの国民を苦しめてきた(本人は苦しんでいる気はなしに)問題といえば、宗教の問題があるだろう。社会主義国樹立されるまでの帝政...
「太陽に値段が付けられるか?」それがグルジアからの問いかけ。
もしグルジアが歴史もプライドもない国だったら、どんなに楽だったろうか? 今回の南オセチアでグルジアを巻き込んだロシアとの戦闘状態を知って 本当に心からそう思った。脳裏に多くのグルジア人の友たちの顔が横切る。 遠い国の戦乱にこんなに辛く感じるのも、彼らとの短い出会いがどれだけ 強い影響を自分に与えてきたかということに他ならないだろう。 とはいえ、大半の日本人にとってグルジアはあまりにも未知の世界でしかも遠い。 さらに歴史的にもこの地域の複雑さは、本当に住んだことのない部外者が説明できる レベルのものではない。そもそも、あれだけ狭いグルジアの中に存在する多くの民族文化が いまだ同化されずにそれぞれが存在していること事態が驚くべきことだし、実際に 一度や二度行った人間にそれを語る資格はないだろう。 しかし、幸か不幸か南オセアチアから1990年代にロシアからの空爆で逃げてきた 難民の友達を持つ私...
大陸的慢心と約束不履行の国民性が墓穴を掘る
――ロシアの弱点を知り、いかにそれを利用するか? 出典:ソビエト参戦(昭和20年8月8日深夜通達、9日攻撃開始) 最近のロシアという国家や、ロシア人に対する日本国内メディアの報道に偏りを感じている。 以前から特にこの国に対しては偏向報道というのもあるが、最近はむしろ過大評価も 目につくようになってきた。数年前までの共産主義国へのマイナスイメージのオンパレードを 覆すが如く、「金満、ビジネスチャンス、資源、プーチン政権の政治・外交手腕、 エネルギー資源を持つがゆえの海外での発言権拡大」等々。 「誇張された張子の虎」がひとり歩きしている気がする。 たしかに、ここ数年のロシアの変化は目を見張るものがあるが、果たして日本人が それほどまでにひれ伏さなければならないほどの「変わり様」がどこにあるのか? 資源を掘って横流ししただけの大金で世界の富を寄せ集めたところで、決してその富を 国民に平等に分配し...
ロシアの鉄道事情
世界地図を見れば分かるように、ロシアはユーラシア大陸のほぼ全域に渡る国土を持っている。そして、実はいまだにモスクワから極東地方まで横断する自動車道が、整備されていないらしい。笑い話のようだが、日本の中古車をウラジオストク経由で輸入した場合に、鉄道網を使って西へ西へと輸送するか、あるいは近い範囲(といってもバイカル湖辺り目安)となると自走していくことになる。実際にそういう「運び屋」のラリーがあったというニュースもきいたことがある。 本当にそんなことをしているのか、ちょっと疑いたくもなる。しかし、最近はロシア国内の新車の 売り上げが伸びて中古車はそれほどでもないように思われているが、実際にはまだまだ需要があるのだ。よって、鉄道で運ぶには「待ち時間」がかかる。それならいっそ、自分で走ってしまおうというのがロシア人なのだ。この例のみならず、ロシア人というのは全体的に発想が非常に単純というか、分か...
ロシアから見たアメリカ
実を言うと、私は自分の目でアメリカという国を見たことがない。 ただ、アメリカから来る人だとか、アメリカに住んでいた人に会ったことは何度かある。 どういうわけか、日本人の多くの人は「外国」というとイメージする国が「アメリカ合衆国」という人も少なくはないようだ。(私の周りだけかもしれないが)別にそれが悪いというわけではないけど、アメリカ人とかアメリカ帰りの日本人に対して、どうもとっつきにくいものを感じてきた。良く言えば、「自己主張」ができる人たちなのだろうが、逆に言うと、「自分の押し売り」しかできないようにも見える。単純で、あまりにも深みがない。 むしろ、日本人の美徳を失った結果が、アメリカナイズのようにすら見えて仕方なかった。 一方、ロシアというと地理的には近いのに意識的に遠い国のようで、たいてい「ロシアにいた」というと、かなり珍しがられる。たしかに、歴史上ロシアという国が残してきた汚点は数...
火災にも爆発にも爆弾テロにも備えよ常に!ロシア人の危機意識。
ロシアといっても広い国だけに一概に「これがロシアの平均」ということはできないものの、全体的に見るとインフラ設備の老朽化や脆弱さは、この国のアキレス腱ともいうべき大きな問題である。 最近でこそ都市部には最新設備を備えた高級マンションだとか、高所得者向けの一戸建て 郊外別荘が流行る時代なので、ロシア人といえども、皆が老朽化の進むアパートに暮らしているわけではない。とはいえ、全体的に見るとやはり住環境の問題は現代のロシアで相当深刻なものであることに変わりはないだろう。 そもそも、ソ連時代の工業製品の質の悪さはすさまじいものであった。それがソ連崩壊後に改善したというよりは、そのまま国営企業のほとんどが倒産してしまったり、劣悪な品質の輸入品が巷に溢れたりで、十年近くは酷い状況が続いていた。やっと最近の好景気になってから、高級電化製品の宣伝も目立ちだしたが、庶民に手の届くような価格帯の工業製品の問題の...
ブリヤート共和国の民族と信仰(チベット仏教)
シベリアという土地は不思議である。私自身、あの極寒のブリヤート共和国で生きる人々に初めて出会ったとき、なぜか自分の親戚に再会したような懐かしさを覚えた。もちろんロシアでもシベリアではアジア系住民の数は比較的多いので、この共和国の首都に入る前にも少し見かけはしたし、多くの中国人や朝鮮系の人も見かけた。でも彼らに対しては何の親しみも感じなかったのに、このウランウデというモンゴル国境のブリヤート共和国首都に入った瞬間、まるで昔の日本に戻ってきた錯覚を覚えたのだ。 ロシアというのは、やはり広い国なので首都モスクワなどにいる限り、一生シベリアに関わらずに暮らす人がほとんどだ。普段の情報だって、シベリアで起こる事件やニュースには画像も入らないことも多いくらい、まるで他所の国扱いである。実際、経済的な格差だけでなく、それぞれの共和国によって人口構成比における人種や民族の占める割合も相当異なっており、ほ...
ロシアのアルメニア人
日本に帰国してしまうと、流石にアルメニア人に出会うことは皆無であるが、広いロシアで出会った人々の中で不思議な親近感を感じたのが、このアルメニア人であった。なぜ、敢えてアルメニア人なのかというと難しいが、比較的大都市で人間不信の(近所付き合いもしにくい)ところで一番開放的に受け入れてくれた最初の人がアルメニア人だったことは、偶然ではないと思う。(しかも偶然だが、彼らのアパートの部屋にはパリ在住時代に日本人画家から買った油絵が掛かっていた。)また、現地で聴いた数ある民族音楽の中でも最も心の琴線に触れたのが、アルメニアの父とも呼ばれる、ジバン・ガスパリャンのドゥドゥクの音(これが恐ろしく日本の尺八を情熱的にしたような音なのだ!)だったり、シャルル・アズナブールやハチャトリヤンの音楽から受けた影響も計り知れない。 実際問題、たとえ首都モスクワでもアルメニア人は多数派とは決していえない。コーカサスの...
「踊りが日常です」田中 泯という生き方
正直言うと、日本が世界に誇る舞台芸術のひとつとして「舞踏」があるのを知ってはいたものの、それほどの興味もなかった。実際に見たことがあるのは「山海塾」という舞踏グループがモスクワ公演をくらいのものだし、それ以上特別な知識はなにもなかった。ただ、今回は偶然にも「土方巽(ひじかたたつみ)」と並んで、舞踏時代を築き上げ、現在は山梨県を拠点に「踊りが日常」という生活をしている「田中 泯」という人のことを知り、大変興味を持ったので、彼の芸術とその周辺の時代や出来事について考えてみたいと思う。 それにしても、元来演劇に興味があるとはいえ、自分の関心の方向が「舞踏」に向いてくることになるとは以前ならば想像もしていなかった。本当のことをいうと、元々の性質は「食わず嫌い」なもので、滅多なことでは「新しい風」に急に当たってみようなんて思わない。どちらかというと、言葉を使わない舞踊よりも、分からない言語でも言葉...
ロシア演劇におけるチェーホフ
手前味噌になるが、ロシアの芸術文化の中でロシア人が最も誇りにし、かつ情熱を注いできたのが演劇であるということを知らないであの国にいる人は不幸だと思う。もちろん、すべてのロシア人が演劇好きというのは極論であるが、ある程度の知的教養を意識するレベルの人間なら、外国人である私の方が演劇に通じているということが分かると、たいていが恥じ入るか、「行きたいのは山々だがなかなか・・・」と弁解じみたことを言うくらい芝居通いができないということは、ロシアでは教養程度を測る最も簡単なバロメーターともいえるのだ。実際、劇場に行ってみれば分かるのだが、日本と違って層が厚い。しかも全然違う分野の人(たとえば、宇宙工学、建築など)が途中で演劇関係の大学院に転向してきたり、見に来る人もまるで分野違いなはずなのに、玄人批評家顔負けの毒舌で厳しいコメントが飛び出すのも当たり前で、実にチェーホフの有名戯曲などに至っては、おそ...
ロシアに見る建築物の発達と階級社会
ロシアに限らず、大国を統治するために必要なのは、巨大な権力構造ではないかと思う。その構造を支えていたのが過去には帝政ロシアの階級社会であったのだろう。今の時代では階級社会とまではいかなくとも、やはりロシアには歴然として階級とは別の呼び方になった貧富の差があり、所属する組織によって格差が広がりつつある。 ソ連時代を見ても、社会主義革命が成功した国であるにも関わらず、一度たりとも特権を持つ人々が存在しなかった時期はなかったのではないかと思われる。革命前のように明らかな農奴という奴隷に近い階級の人々が存在した時期もあったが、仮にその階級差がなくなった御蔭で貧富の差が縮まったかというと疑問だ。むしろ恩恵を受けたのは一部の都会に出てこられた農村の人々に限られ、その他大勢は富裕な農家まで革命で逃げてしまった後、途方に暮れて仕方がないから相変わらず酒に溺れ続けたということも多かっただろう。 例外的に農奴...
モスクワの学生寮の謎
ロシアという国はユーラシア大陸に位置しているが、文化的には、ヨーロッパの文化圏と言い難い気がする。 実は、留学当時に知人がモスクワに初めて来て風景などを見て、「なんだか、中国にそっくり」といちいち指摘するのを聞いたときはかなり自尊心が傷ついたといえるくらいショックであったが、(やはり、ロシア文化にある程度傾倒して留学していたので) 実際に自分が中国に行ってみると、たしかに「共通点」はあると感じた。 それはある意味、ヨーロッパ社会にある「秩序」とか「規律」が欠如した社会であるということと同時に、中国に近い部分というのが「混沌」と「雑多」という点ではないかと思われる。 そういうロシアの首都の事情は、実は表面だけを見ていては分からない。特に最近は中心部だとか、お金のある層が出入りするような場所は「見掛け倒し」であったとしても、かなり綺麗になっている。あくまで表面的に。 しかし、実際のモスクワの素...
成金趣味の新ロシア人
それにしても、ソ連崩壊後に現れてきた新ロシア人(新しい世代のロシア人、主に裕福階層を指す)の成金趣味というのは、どうにも目に余るものがある。最初のうちは、モスクワで特に目立っていたのはマフィア関係者だとか政治家のドイツ・イタリアなどの高級車だとか派手で悪趣味で機能的でない服装などの趣味であった。あの頃はまだ可愛げもあった。もちろん、やっていることは相当悪かったのか、一見して分かるほど人相の悪いヤクザがうろうろしているくらいで、モスクワ市民には直接害がないといって、それほど気にしてもいなかった。ちょうどプーチン政権になるまではそれくらいのどかなもので、マフィア同士の抗争事件は一般人には無関係という感覚だった。 しかし、今年ガスプロム15周年に呼ばれた歌手を知れば、笑ってしまいたくなる。 なんと今更、ティナターナーとディープパープルをアメリカから呼ぶらしい。多分、ロシア人にしてみれば、金がうな...
プーチン政権総括
ロシアという国家は「張子の虎」のようなものではないかと思うことがある。つい最近も日本の領空侵犯をしたロシアの戦闘機が話題になっているが、こういった派手な対外的なアピール(?)は大得意のプーチン政権も問題が国内となると、とてもそんな華々しい成果は見られないらしい。 ネットの言論は比較的まだ自由(?)なロシアのネット報道によると、いろいろな点で国内問題を放置したまま、自らの大統領任期を終えようとしつつあることが分かる。 代表的な国内問題をいくつか取り上げてみよう。 1.国内の法改正により、以前よりも地方行政でどのくらいの収賄が行われているか、非常に不透明となった。1990年代(エリッツイン大統領の時期)も決して賄賂が少なくなかったのだが、まだ透明性は保たれていた。たとえば、1997年の一例を 見れば、国会議員が9万ドルを受け取っただけで免職されていたくらいであった。それが今日では逆行し、特にプ...
ウクライナの現地情勢とロシア語アレルギー
それにしても、ロシアとウクライナの仲が悪さというのは想像以上のものがあるらしい。しかし、実際に現地に行ってみると国境を接している国だけに、お互いの領土内にかなりの割合で両者が混ざり合う地域もあるし、モスクワなどではウクライナ人の出稼ぎ労働者や売春婦が非常に多いのは有名な話だ。 そんなわけだが、ウクライナの首都キエフに行ってみると、意外にもまったくロシア語で不自由しないし、別に住民が特に嫌がっている様子もなく、ウクライナ語とロシア語が平行して使われている印象を持った。しかし、ウクライナも結構広大な国土を持つ国だけに、これも東側の話らしく、西側(ポーランドに国境を接する側)は、ソ連時代からロシア語を嫌がってロシア人観光客に対しても冷たい反応をしてきたようで、ウクライナ語優位の土地柄らしい。 そんなわけで、選挙のときも「オレンジ革命」のときも、こういう地域性が出てきて お互いに国内が協調しきらな...
【特報】ロシア新大統領、イスラエルマスコミによりユダヤ人認定される
写真出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 日本では、政財界の人間がユダヤ人かどうかなど、さほど重要なことではないので、ピンとこないかもしれないが、最近のロシアメディアの報道を見ていると、イスラエルの報道機関(HAARETZ.com,以下引用サイト英文)により、 http://www.haaretz.com/hasen/spages/957003.html 新しいロシアの大統領に就任したメドヴェージェフが「ユダヤ人」であることが ほぼ認定されたようである。なんでも、母親(ユーリヤ・ヴェニヤミノブナ)と妻(スヴェトラーナ)が 100%ユダヤ人であることと、昨年末モスクワで行われたユダヤ系組織の宗教的儀式に メドヴェージェフ本人が参加しているのが公式に確認されている。 http://www.newsru.com/russia/22feb2008/medv_5.html ...
ロシア人とクラシック音楽
最近、ロシアのオーケストラやオペラ、音楽家が頻繁に来日している。必ずしも、ロシア人が皆クラシック音楽が好きなわけではないが、オーケストラなどを維持していくための土台の部分は、帝政時代、共産主義時代、それほど揺らぐことは無かったように見える。 もちろん、革命や歴史的な変革の中で、まったく影響がなかったといえば嘘になるだろう。しかし、彼らの優先順位の中では芸術は常に「かなり上位」にあったために、守られてきたということは、たしかだろう。 ロシア人の芸術に対する理解というのは、ヨーロッパの諸国と比較してもかなり高いといえるのではないかと思うが、特にクラシック音楽に関しては、それがいえる。 それほどクラシックに関心がない人でも、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」だとか、「白鳥の湖」などの有名なメロディーくらいは知っているものである。実際、ロシア人の作曲家というのは非常に個性的な人が多くて、ハチャト...
「今の時代に追剥(おいはぎ)が存在するか?」ロシアの場合
それにしても、追剥(おいはぎ)というと時代が違うように思えるが、ロシアでは未だに信じられないような事件が、モスクワのような首都でも頻発しているのだから、ある意味、恐ろしく物騒な話である。しかし、現地に暮らしていた当時、毎日のように情けなくなるような犯罪情報やニュースを聞く度に、非常に悔しくて残念なのと同時に、「こんなにどうしようもない事が起こるにも関わらず、前向きに生きる」ことの大切さを感じていた。不思議なことだが、あの大国ではそういう芸当がしやすく、日本人よりも、簡単にちょっとしたことでは凹まないし、大事件にも動じない。そういう点は学ぶべきかもしれないのだが、なんせ犯罪件数が多すぎる。(ちなみに、火事も毎日多過ぎて驚いたが)私の伝え聞いた範囲の報道(テレビ、ラジオ、ネット)などから伝え聞いた中でも特に印象的だった"追剥的"事件を振り返ってみると・・・ 1.冬場に現れる乞食を装った(あるい...
ロシア人の好みと映画産業
最近アカデミー賞の外国映画部門にロシアの映画監督作品が2つもノミネートされているのを見て正直驚いた。個人的に、ロシア映画作品には非常に興味があるので、古い作品から最近のものまで色々と見てきたが、最近のロシア映画の勢いというのは、なんだか物凄いものがある。それが、ついにアメリカにも上陸してきたのか?という感じがした。 ひとつめのノミネート作品は、純粋にロシア国内で製作され、出演者もすべてロシア人俳優の「12」ニキータ・ミハイルコフ監督。 ふたつめは、中国・カザフスタンとの合作で、主演俳優は日本の浅野忠信さんの「モンゴル」、セルゲイ・ボドロフ監督。 まず、純粋ロシア映画の「12」がどんな映画かというと、かなり政治的な匂いもしないでもない。なぜなら、テーマになっているのが「チェチェン戦争」であり、実際にそこで無実の市民である少女を殺害した罪に問われた将校(実在する)が実刑に問われた裁判について、...
【特選コラム】ロシア人と中国人
それにしても、日本人に生まれて良かった!と海外に出ると思う瞬間がある。やっぱり、島国というのは、一見不便なようでいて、大陸のように隣国と繋がった状態で国家を維持するのと違って一種自然の要塞で守られた空間のようなものであり、大変に有難いものなのだ。 一番最初にそれを指摘してきたのは、富山から戻りの「雷鳥」で偶然隣り合わせたスリランカ人の宝石商だった。考えてみれば、スリランカも島国には違いないのだけど、いまだに人種間の問題があって、その時点(数年前)でも彼が言うには元宗主国のイギリス言論に訴えない限り、国内のゲリラ的闘争を終結させることはできないとのことで、せっかく独立しても、なかなか国内はそう簡単にまとまらないらしかった。 話がロシアと中国に戻ると、まさに表面的に繕った国家関係とは裏腹に、「犬猿の仲」とはこの二つの国の人々のことを言うのではないかというくらい相性はよくないようにお見受けした。...
赤の広場
ロシアは赤の広場で行われる軍事パレード情報 今年3月9日に行われるロシアのパレードで、モスクワ、赤の広場に戦車部隊が戻ってくるらしい!という話です。まあ、おめでたいといえばいいのか、なんといえばいいのか・・・ひたすら、ご苦労さんなことですわい。ただ、こういうパレードというのは、思いっきり色んな戦闘機やあらゆる階層の軍服なんかのオンパレードなわけで、軍事関係のマニアの方には堪らないみたいですけどね。 実は以前、神戸でロシア語習ってたときの友人で、こういう赤の広場パレードをロシア軍人に見学させてもらった人がいて、もう熱狂的に喜んで参加したそうですよ。しかし、彼の趣味の軍服での参加は丁寧に断られたらしい・・・ たしかに、マニアじゃなくても、ロシアにはいまだ軍隊っぽい意匠のモニュメントとか駅の銅像とか、あらゆるものが「嗚呼、ソ連軍の匂い」ってところがあるので、逆に部外者が見ると、非常に胡散臭いもん...
グルジア人のプライドと現実
ロシアの首都モスクワに4年ほど住んでいただけの私でも、現地にいると驚くほど多様な人種と関わるチャンスがあった。それぞれに良い面と悪い面があり、ロシア人と長く付き合えば付き合うほど日本では味わえないほどに感動的な経験も多々あった。そういう意味では、ロシア人は平均寿命は短くても、色濃い人生を送っているといえよう。 しかし、そんなロシア人でも色濃さでまったく太刀打ちできない人種がいる。私が思うに、それはグルジア人ではないかということだ。 実際にアゼルバイジャンの人からも、アルメニア人からも、ロシア人からも、今のグルジアという国の経済的、社会的現状の過酷さを聞かされ、散々「危ないから行かない方がいい」というアドバイスを受けても、どういう縁か既に二回も首都のトビリシにお邪魔した私としては、このグルジア人という謎の多い人種の奥深さと魅力、そしてその歴史には、計り知れないものがあると思う。 そもそも、今...
ロシア人の倫理観
最近のニュースを見ていると、漠然と不安を煽るような犯罪だとか、いかにも日本人全体の道徳観念がなくなってきたような印象を受けるものが多い気がする。もちろん、時代と共に残念ながら、古き良き倫理観が失われてきている部分もあるかもしれないが、依然として、良い意味の日本人らしさを残しているからこそ、この国がなんとか安泰を保っているのだと思う。 卑近な例ではあるが、つい先日のこと、私は1年程前に忘れ物をした店に立ち寄った。たいした忘れ物ではなかったのだが、ずっと気になりながら取りに行くのが遅れていたのだ。一応、忘れた当時に電話をして、取りに行く約束をしていたのを思い出したのだ。とはいえ、これだけ時間が経ったので、既に処分されていても仕方ないという気もあった。ところがこの予測は杞憂に過ぎなかった。この飲食店では、どうやら開店以来ずっとお客の忘れ物をひとつ残らず、大切に一箇所に集めて保管してくれていたよう...
ハンガリー映画から見た共産主義
日本でも、年配の人と話をすると「ロシア人」というだけで強烈な嫌悪感を持たれる方も少なくない。たしかに、第二次大戦中のソ連兵の蛮行を直接知る世代にとってあのような連中は鬼畜であって、人間でない!という気持ちはよく分かる。それと同様か、さらに激しくロシア人を憎悪する外国人もまた少なくない。特に東欧諸国だとか、旧ソ連圏の人々との間にある感情は、ただならぬものなのだろう。 一方、ロシア国内では常に第二次大戦後の悪役はドイツだった。血も涙もないが、ロシア人の軍人たちより数段男前でスポーツ選手のように均整のとれた体格のドイツ人が映画に頻出し、「情のロシア」対「冷血のドイツ」の戦いで、常にロシアが勝利するというパターンだったように思う。 最近見た映画で、共産主義時代の東欧圏を彷彿とさせてくれたのがハンガリーの映画だった。大阪で開かれていたヨーロッパ映画祭に出品された「剥製師(タクシデルミア)」というこの...
ロシア人から見た日本
正直言って、日本にいるとロシアのことは本当に見えにくい。どうしても歴史的な過去の負の感情に負けてしまって、一切の先入観なくロシアを見ることは難しい。それなのに、なぜかロシアから日本を見ると、非常にすんなりと入っているところがあって、不思議なのだ。 ロシア人ほど、あれだけ近隣の国々で嫌われていながら、自らに実感がいまいちなくて、まるで罪悪感なんてものがほとんどない人種も珍しいくらい、日本人に対してだけでなくて、ロシア人はある面、本当に過去の自分の国家が「しでかした大罪」について、ふてぶてしいくらいに他人行儀だ。 しかし、一方でそういう単純さゆえか、対日感情はなぜか非常によいし、北方領土のことや、シベリア抑留について、あまりにも事実を知らないためか、知っていても興味がないのか、政治的なことはほとんど抜きに、とにかく日本に興味がある人が異常なくらい多い。 もちろん、昨今の世界的なアニメブームや日...
ロシア人と文学(2)
2.ロシア文学と演劇 そういった読書のバックグラウンドを持ったロシア人たちというのは、自然と会話の中に文学の話が出てきてしまい、やはり、そういった会話についていけて当然という空気がある。しかも、それぞれがまったく独自の思い入れで本を読んでいるものだから、必ずしも有名作家が一定の評価を得るとは限らず、トルストイでもボロクソに言う人もあるし、ソ連時代には必読か、一種のカリスマ的扱いだったマヤコフスキーだとか、ゴーリキーでも現代ではさっぱり人気がなかったり、芝居に取り上げられるのは田舎だけだったり、いろいろと変遷はあるわけだ。 でも、やっぱりロシア人にとって特別の詩人だとか、劇作家、小説家というのは完全に時代を超越しており、常に彼らの意識のそばに存在しているようだ。特に演劇界などでは、絶対にどの劇場でもレパートリーにチェーホフ、ゴーゴリー、トルストイ、レールモントフ、ドストエフスキー、ブルガーコ...
ロシア人と文学(1)
1.流行に流されない人々の感覚。 最近は、ロシアでも社会的に「作られたブーム」があるように報道されがちだが、ところがどっこい、彼らの中でも特にインテリゲンッツイヤ(文化・教養人)の人々は流行に流されるということが非常に少ない。たしかに、寒い国だけに頑固な一面もあるからともいえなくはないが、実は大きな理由のひとつに文学的嗜好があるのではないかと思う。 笑い話のようなことだが、最近公開されていた有名なフィンランド人映画監督の作品「街の灯り」の中の冒頭シーンでは、なぜか舞台はヘルシンキのはずなのに、ロシア人の浮浪者が三人ほど連れ立って、ご丁寧にロシア語で文学談義に花を咲かせて通り過ぎるシーンがある。でも、これは「やらせ」っぽくはなく、むしろロシア人に半分染まりかけの自分から見ると、いかにも「ありそうな」ことを上手に拾い上げた、このフィンランド人監督のデビュー作品がドストエフスキーだったという事実...
ユダヤ人とロシア
1.ロシアの歴史とユダヤ ユダヤ人とロシアの関係というのは、おそらくロシアの歴史を知る人ならば、少なからず興味を持たれるのではないかというくらい、複雑かつ繊細な問題であるといえる。 もちろん、歴史上の事実において世界的にユダヤ人が迫害されてきたということは何もロシアに限ったことではなかろう。そういった歴史上の事実については、ここで多くを割かなくても、おそらく懸命な読者であれば、いろいろな情報からご存知のはずである。よって、ここでは著者がモスクワで見聞し、実際にユダヤ系ロシア人と付き合って理解できた部分と意外と知られていない情報を中心に書いてみたい。 そもそも、革命前のロシアにおけるユダヤ人差別というのは、相当に熾烈なものであったらしい。日本人でも分かりやすい代表的な例を挙げれば、画家のシャガールが現在のベラルシアに当たる地方の出身であったそうだが、彼の初期の絵画を見れば一種独特の暗いムード...
ロシア人の人生観
1.蟻とキリギリスの寓話より wikipedia アリとキリギリス 日本にいるとどうしても理解しにくいが、ロシア人と日本人の根本的な人生観の違いを示す、ひとつの好例がある。私が偶然読んでいた「美学」の本の中にあった非常に凡庸にも思える話に、そのヒントはあった。 世界中でも最もよく知られている童話作家イソップの話に「蟻とキリギリス」がある。ほとんどの方が、ご存知なのではないかと思う。この話など、今更ここに書くまでもないだろうが、一応手短に流しておく。 働き者の蟻と、怠け者のキリギリスがいた。暖かい季節の間、キリギリスはフラフラと遊びまくり、一方の蟻はせっせと働いていた。そのうちに厳しい冬がきて、蓄えのある蟻は助かったが、働かずに怠けていたキリギリスは冬の寒さの中、食べ物が見つからず、蟻に助けを求めるが、断られてしまう。 たしかこんな話であったが、結末には多少パターンもあるようなので、必ずしも...
ロシア人の国家観(2)
独立した旧ソ連の二国現状(ウクライナ、グルジア) 複雑な話ではあるが、日本と韓国の関係のように、ロシアとウクライナも非常に国民同士も仲が悪い。実際、客観的に見ても、たしかにウクライナ人の性格というのは、ロシア人より陰気で執念深いように感じたし、多くのロシア人がウクライナで嫌がらせを受けたという話をしているくらい、ソ連時代から対立は根深いようだ。 特に、同じウクライナでも東と西に大きく分けた地域によって、驚くほど文化や住民の意識が違っており、使っている言語も東はロシア語が主なのに対して、西は純粋にウクライナ語が中心となってくる。その上、西側は文化・宗教的にもポーランドなどのカトリック圏との結びつきが強いため、余計にロシア嫌いがエスカレートするらしい。 ウクライナで一時「オレンジ革命」といって騒がれた政治的な動きも、今になると、親ロシア派の巻き返しが激しく、以前ほどの影響力があるとはいえないよ...
ロシア人の国家観(1)
ロシア人の他民族性と国家意識 日本にいると、あまり見えてこないのであるが、やはり、今でも露西亜という国は、ソビエト連邦のときに繋がりのあった旧ソ連圏の諸国との間において、好き嫌い関係なく強い結びつきを保っている。その理由のひとつのは、ソ連時代に各国でロシア語教育がされており、知識階層や政治上層部などの人々の多くが、ロシアに今も住んでおり、重要な情報源がロシア語から来るということが考えられる。 そもそも、ソ連という国家戦略においては、そのような周辺諸国以外にも社会主義を広げるといった大義名分があったせいか、意外なくらいにアラブ諸国やアフリカなどからも留学生を受けて入れたりしていた時期もあって、モスクワなどはその名残で相当外国人といっても、多種多様の人々が定住している。故アラファト議長なども、意外なところでモスクワ留学経験などで、露西亜との結びつきがあったともいう。また、イスラエルは非常に積極...
