それにしても、日本人に生まれて良かった!と海外に出ると思う瞬間がある。やっぱり、島国というのは、一見不便なようでいて、大陸のように隣国と繋がった状態で国家を維持するのと違って一種自然の要塞で守られた空間のようなものであり、大変に有難いものなのだ。
一番最初にそれを指摘してきたのは、富山から戻りの「雷鳥」で偶然隣り合わせたスリランカ人の宝石商だった。考えてみれば、スリランカも島国には違いないのだけど、いまだに人種間の問題があって、その時点(数年前)でも彼が言うには元宗主国のイギリス言論に訴えない限り、国内のゲリラ的闘争を終結させることはできないとのことで、せっかく独立しても、なかなか国内はそう簡単にまとまらないらしかった。
話がロシアと中国に戻ると、まさに表面的に繕った国家関係とは裏腹に、「犬猿の仲」とはこの二つの国の人々のことを言うのではないかというくらい相性はよくないようにお見受けした。実際に、両国を代表するような文化人たちが仕事絡みの対立で激しく罵り合い、唾を飛ばし合い、挙句の果てには取っ組み合いをするか、あるいは、刃物でも出してくるかというくらいに言い争う光景を目にしたとき、彼らの「友好」とはこんなもんやなあーと妙に実感したのを覚えている。ある映画の撮影チームの話である。
表面的というより、経済的にはロシアも中国もお互いに「利用価値」のある間は「蜜月」を演出するつもりらしいというのはここ数年の政治的な動きに見られる。まず、サンクトペテルブルクに建設予定の現代版(?)チャイナタウンをイメージした高層ビルなんか、まさにそうだろうと思う。ロシアのテレビなどで放映される中国関係は、絶対に厳選された「良いイメージ」を国民が持つようなニュースしか流さないし、あたかも中国経済の発展ぶりは「完璧」であるように見せかけている。その一方で、阿呆の一つ覚えのように、毎回「南京大虐殺」で出してくる映像は有名な捏造ものの、辮髪中国人が後ろ手を繋がれたまま、銃で頭を吹っ飛ばされる場面ばかり。(しかも、吹っ飛ばした相手が日本人ということがこの映像からは何らはっきりしないので、片手落ちだ)
ところで、貿易関係でいうと、資源はロシア側とはいえ、目に見えるような商品では中国製のものが圧倒的に多い。モスクワでも、シベリアの果てでも、貧しい層が購入できるレベルの日用雑貨のような商品は、ほとんどが中国製品。しかも、大半はいまだに原始的なルートで国境沿いを大きな袋を担いだ働き者の中国人たちが、ロシアに行商に来て運び込まれたものである。
たしかに、一見すると中国人はロシア人に必要な物品を安価で提供するのだから、うまくいけば良好な関係が築けそうにも思える。しかし一方で、ロシア人というのは変にプライドの高いところがあって、(働きもしないくせに)中国人の金銭に対してがめついところとか、見かけに構わずに実質的に稼ぐことにのみ集中できる性質(ロマンチックの正反対)などを確実に軽蔑していると思われる。しかも、働かないロシア人の男を尻目にシベリアのロシア人の女性を「二号さん」の愛人として囲っている中国人も多々いるらしいから、尚更よく思われていないだろう。しかも、運ばれた物品の品質は劣悪なものも含まれ、ロシア人向けに流れてくる中国製品について言うなら、「安かろう、悪かろう」。さらに、国境沿いでは例の汚染物質が河川を通じて、どんどんロシアの側に流れ込んでくるという大変な事故が数年前あった。そんなこんなで、中国に対するロシア人のイメージは決してよくない。
さらに、実際にモスクワなどにいる中国人というのの大半は、学生ビザなどで入国し、実際には市場などで働く不法移民が大半である。既に完全に中国語だけで暮らせるコミュニティーもあれば、大規模な市場もあり、中国語のフリーペーパーのような新聞も発行されている。中国からの留学生に話を聞くと、多少優秀な人となると、ロシアは単に通過地点に過ぎず、できれば、ロシアを経由して、ヨーロッパ、あるいはカナダ、アメリカへの移民を希望していたりする場合もある。要するに、ロシアはビザを簡単に出してくれるし、陸続きで、しかも鉄道で北京と結ばれていたり、地理的に好条件だから中国人の海外遠征(?)の起点としては、なかなか便利ということらしい。
その一方、ロシア人も意外に北京オリンピックの影響か、中国の大学に留学しているのである。現地でロシア語と中国語の通訳を募集したら、大量に集まってくるらしい。しかも、彼らのレベルは相当高い。おそらく、ロシア人から見ても物価の安い中国なら、留学費用も安くて済むし、おまけに両国間の関係が良好な今のうちなら仕事もそこそこ見つかるのだろう。ただ、見ていると全体的に中国の油っこい料理は、淡白な味付けに慣れて育ったロシア人には合わないようだ。
こういう風に見ていると、両国の関係は比較的良好だと思われるだろうし、実際そういう面もある。しかし、連山で既に取り上げられているように、ロシア人というのは、経済面や国家事情、貧富の格差などの諸事情で、ここのところ、ずっと人口が減り続けており、特にシベリアなど、自然の気候条件が厳しく、産業がほとんどない地域では実際問題、中国人がこれ以上どんどん流入してくると、人数的にも心理的にも、明らかに圧迫されていくことだろう。しかも、中国人の方が圧倒的にエネルギッシュに働き、経済的に豊かになろうという強い意欲が感じられる。ロシア人は、ある意味、あまりにも人生に対して刹那的なので、継続的に産業を興して、地域を復興させるような能力は大多数の人にはあるまい。だからこそ、どうしても中央集権的にプーチンのような大統領が出てきて、「ぼやっと」している地方の特権階級に当たる行政の長の首を、バンバン自分の思うように動く人間に挿げ替える必要があるのも分からなくはない。
おそらく、そうでもしなければ、ロシア人は中国人に早晩に文字通り「食われて」しまいかねないのだ。悪夢として考えられるのは、気付けば周囲は人数的に圧倒的多数の中国人に包囲され、産業なども従事する人は皆、中国人、しかも、半分中国の血の入ったロシア人ばかりが幅を利かせ、ますます元からいたロシア人は働かなくて、ダラダラしているうちに駆逐されていく。国土的にロシア人と呼べる人たちが住むのはヨーロッパ寄りの方面だけになってしまうかもしれない。
大体、ロシアでもシベリアや南部のアジア系やイスラム系の人が多い地域の共和国などのほとんどは、日本人の思うような白人種のロシア人はほとんどいない。大半がむしろ、日本人から見て懐かしいような風貌の人々なのだ。そういう人たちは、歴史的に見れば、半強制的にロシアに従属させられたという意識も強いのだから、ロシアの国家が強い間は従っても、そのうち中国の方が強くなれば、寝返らないとも限らない。もともと、カザフスタンやウズベキスタンの南方に当たる中国の新彊ウイグル自治区の人々のように、中国政府の弾圧から逃れて国境を越えている人のいるところでは、国家への帰属意識より民族意識の方が高いという可能性もある。
そういう地域をも国家の領土内に抱えた、ロシアと中国。今後、この二つの国がずっと仲良くしていられるのかどうか甚だ非常に疑問だし、数年のうちには何か動きがあるに違いないと思う。そのとき、日本がどう動けば利があるのか。世界の動きが米国中心ではなくなってきた今こそ、そういうことを見極めながら外交をしていくべき時期に差し掛かっている気がする。

コメント
今度は朝鮮人のコラムを書いて下さい。
Posted by じゃぱんじん at 2008年5月 2日 12:55