【環境企業】ダイムラー・ベンツ

NECARとはNew Electric Carの略語でダイムラー・クライスラーの燃料電池駆動の試作車の名前である。NECAR1とNECAR2はバンタイプでNECAR3・NECAR4・NECAR5はメルセデス・ベンツのAクラスが基本型である。NECAR1ではまだまだぎこちない機械の塊のようだったものも小型化等が進み、NECAR5では車内空間も快適になっている。また水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFCプロジェクト)にも参加し、水素燃料のバスなど環境を考慮した次世代モビリティ実現に積極的に務めている。

ダイムラー・ベンツとは?

1886年1月29日ドイツ帝国ベルリンの特許局はCarl Friedrich Benzに世界初のガソリンエンジン動力の車両として特許登録証を発行(ベンツ&カンパニー)。Gottlieb Wilhelm Daimlerもほぼ同じときに独自にガソリンエンジン搭載車両に成功し自動車を誕生させた(ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト社)。蒸気機関車と馬車が当たり前だった頃、自動車の発明はまさにモビリティ革命だった。2人はお互いに良きライバルとして技術革新に邁進し、性能・品質を向上させるため1926年両社は合併しダイムラー・ベンツ社となった。一般的に私達が高級車として知っているメルセデスベンツが誕生したのは1901年。ニース開催の自動車レースに出たダイムラー社のレーシングカーの名称であり、販売を手がけたEmil Jellinekの末娘Mercedezに由来する。

左:Gottlieb Wilhelm Daimler 右:Carl Friedrich Benz

燃料電池車

1994年ダイムラー・ベンツはNECARⅠを発表してから、世界の自動車メーカーは21世紀の自動車市場で生き残るために燃料電池車を開発・量産することに着手した。ダイムラークライスラー(当初ダイムラー・ベンツ)は燃料電池開発競争を牽引しており、その後もNECARシリーズが環境負荷を減らし排ガスを減らすモビリティを追求してきた。1996年圧縮水素を燃料にした6人乗りミニバンNECARⅡを発表。翌年には小型乗用車メルセデスベンツAクラスをベースにメタノール(液体水素貯蔵媒体)燃料のNECAR3を公開。世界で初めて車内に水素を取り出す改質器を搭載した。1999年、最高速度:時速145km、当時最長の航続距離400kmを達成したNECWR4をアメリカワシントンで発表し、カリフォルニア州規制分類Zero Emission Vhicle(ZEV)に認定された。この車は燃料電池システム全体をフロア部に収納し、5人乗りと積載空間を車内に確保した。

それから350気圧の圧縮水素を用いたNECAR4 advancedを経て2000年11月7日にはNECAR5とJeep Commander2ができた。 NECAR5はNECAR3の駆動システムの容積を半分に成功したメタノール改質式燃料自動車で、通常の内燃エンジンであるメルセデスベンツAクラスと同じスペースに燃料電池システム全体を収納している。NECAR3では燃料電池2個で50kw出力であったところも1個で75kw出力とシステム効率も50%向上し、エネルギー効率はガソリンエンジンの約2倍。最高速度は時速150kmに達成した。またジープコマンダー2の方は燃料電池システムの前後に2つ電動モーターと先進バッテリーを組み合わせたハイブリッド式で、燃費効率は従来のSports Utility Vehicle(SUV)の2倍である。ほとんど無公害の燃料電池車が実用段階に達し、量産化モデルの燃料をメタノールに決めた。 メタノール燃料電池車の市場投入までに水素燃料のバスの販売をしようとダイムラー・クライスラーは計画、商用として燃料電池スタック10個搭載の全長12m、出力250kw、航続距離250km、58人乗りのNeBusを試作した。また航続距離も最大300kmに延び、定員70名、時速80kmを出す後継モデルもある。

 

燃料電池車というとついつい車自体の性能、技術革新ばかりに目がいく。ところが、もうこれらは充分にガソリンエンジン車に取って代わる準備ができている。コストが問題だという人々もいるだろうが、大量に普及すれば燃費も考えてそんなに大問題とならないようだ。水素自動車において重要な課題は「水素」そのものをどのように手に入れるか?ということだ。ガソリンとお別れしてもガソリンスタンドの代わりに水素スタンドが必要で、中東の原油がいらないスタンドもどこからか水素を手に入れなければいけないことを忘れてはならない。電気分解や化石燃料からの抽出など様々な方法が検討されているが、そちらの解決をメインに行動する者は少ない。そして更に問題となるのがどのようにして水素を運ぶのか?ということである。水素エネルギー社会の実現を目指してもパイプラインでは簡単に運ぶことができない。

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