世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL144

孫子用間篇口語訳 孫子はいう。 およそ十万の軍隊を起こして千里の外に出征することになれば、民衆の経費や公家の出費も一日に千金をも費すことになり、国の内外ともに大騒ぎで農事にもはげめないものが七十万家もできることになる。そして数年間も対持したうえで一日の決戦を争うのである。 それにもかかわらず、爵位や俸禄や百金を与えることを惜しんで、敵情を知ろうとしないのは、不仁(民衆を愛しあわれまたいこと)の甚だしいものである。人民を率いる将軍とはいえず、君主の補佐ともいえず、勝利の主ともいえない。だから、聡明な君主やすぐれた将軍が行動を起こして敵に勝ち、人なみはずれた成功を収める理由は、あらかじめ敵情を知ることによってである。あらかじめ知ることは、鬼神のおかげで(祈ったり占ったりする神秘的な方法で)できるのではなく、過去のでき事によって類推できるのでもなく、自然界の規律によってためしはかれるのでもない。...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL143

現在、休載中 孫子謀攻篇 孫子曰わく、  凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ およそ軍事力を用いる原則としては、敵国を保全したまま勝つのが最上の策で、敵国を撃破して勝つのは次善の策である。 故に上兵は謀を伐つ。其の次ぎは交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。攻城の法は、已むを得ざるが為めなり。  軍事力の最高の運用法は、敵の策謀を未然に打ち破ることである。 その次は敵国と友好国との同盟関係を断ち切ることである。 その次は敵の野戦軍を撃破することである。  最も劣るのは敵の城を攻撃することである。城を攻めるという方法は、他に手段がなくてやむを得ずに行なう。                  今回は、現在と将来の国際情勢を孫子謀攻篇を基にして、読み解いてみたい。孫子は2000年前シナ大陸における実際の戦乱の中で到達した、戦争や人間の本質に対する深い洞察に基...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL142

胡錦濤中国国家主席とゴルバチョフ元ソ連大統領 今回は、前回に引き続き、激動の中東情勢の今後を検討する上で、私の分析の原点に立ち返り、「ランドパワーとシーパワー」の視点に立ち返って、今後の推移を展望してみる。米軍のイラン攻撃計画がBBCにすっぱ抜かれたのは、アメリカのイランに対する恫喝である。これは、戦国時代の城攻めがそうであったように、心理戦の一環なのだ。軍事戦略として、本気で攻撃するなら、その意図を秘匿するし、ブラフなら、情報を開示する。関係者の処罰がない以上、これは、意図的なリークとして、後者と見る。 <参考> ------------引用-------------- http://www.asahi.com/international/update/0220/012.html?ref=rss 米、イラン空爆計画を策定 英BBC報道 2007年02月20日20時18分  英BBCは1...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL141

今回は、前回に引き続き、アメリカの中東戦略を検討したい。六カ国協議が決着した事で、二正面作戦の恐れが無くなったアメリカは、完全にイランとの戦争モードに入ったようだ。 戦争前のお家芸であり、お約束イベントの「在米資産凍結」と「情報操作」を始めたのだ。戦前のアメリカが1941年8月1日、日本陸軍の南部仏印侵攻に対して、石油全面禁輸、在米邦人の資産凍結を実施した事などが参考になるだろう。 <参考> ------------引用-------------- http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070217-00000019-jij-int イラン3企業の資産凍結=核開発関与で-米財務省 2月17日7時0分配信 時事通信 ワシントン16日時事】米財務省は16日、イランの核開発に関与しているとして、新たに同国の3企業に対し、米国内資産の凍結や在米企業・個人との取引...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL140

“アレキサンダー大王イッソスの戦い” B.C.333   今回は、前回に引き続き、「二正面作戦」を放棄したアメリカの国家戦略について、検討してみたい。  まず、「二正面作戦」とは、「世界の重要地域二箇所で大規模な戦争を同時に戦うこと」と定義できる。この二箇所とは長い間欧州とアジアであった。第二次大戦で、アメリカはアジアと欧州の二箇所で戦った。その後の冷戦におけるアメリカの国家戦略は、2と1/2戦略と呼ばれた。    アメリカの戦略に変化を生んだのは、ベトナム戦争だ。アジア太平洋地域にも関することだが、軍事的に何が起ったかというと、それはアメリカの2と1/2(二か二分の一)戦略が1と1/2戦略になったことだ。 これはどういうことかと言うと、アメリカが想定していた仮想敵国はソビエトだ。東ヨーロッパはソビエトが覇権をにぎりその勢力下にある。西ヨーロッパはアメリカの同盟国なので、このヨーロッパ...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL139

今回は、戦略の要諦としての、「兵力の分散と集中」について、考えてみたい。孫子も「十をもって、一を攻める」と述べている。兵力の集中は用兵の真髄とするところで、同じ戦力でもこちら十、敵は十に分散したならば十の戦力で一の敵を撃破する事が出来る。  つまり、戦略を構築する上で、「兵力の差」は絶対的なものではなく相対的なもので、敵が数の上で上回っていても戦力を分散させその弱点にこちらの戦力を集中させる事で勝機をつかむ。   敵を分散させるには、こちらの動向を察知されないようにする事で、敵はどこから進攻してくるか分からず無駄な兵力を防御に割く事になり分散する。もう一つはこちらも分散する事で敵の分散を誘発する事である。その場合はこちらの集中の速度が勝機を決定づける。 例えばネルソン提督はある場所に二隻のフリゲート艦を派遣するに当たって、部下の艦長に対して、「敵艦二隻に遭遇した場合には各自がそれぞれ一隻を...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL138

<紹介> “Environment 2007,28 Jan – 31 Jan, 2007 JAPAN TODAY in UAE” の成功を、心よりお祈りします。 http://www.ee-uae.com/index.cfm?fuseaction=Exhibition.Pages&pageName=Exhibition&parent=Exhibition ------------引用-------------- http://www.jetro.go.jp/events/tradefair/20060808110-event ジェトロは、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ市で開催されるの中東地域最大規模の環境見本市「ENVIRONMENT 2007」において「JAPAN TODAY 2007」と銘打つ日本館を初めて設置します。 これは2006年12月に日本とアラブ首長国連邦(UA...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL137

今回は、中東を支配するためのインド洋戦略について考えてみたい。ランドパワーとシーパワーが世界の覇権をかけて争うとき、必ず、中東の支配権を争奪する。 その場合、近代以降の世界史が教えることは、インド洋の制海権を確保した最強のシーパワーが、エネルギー供給源である、最重要の中東の支配権を得るということだ。   これは、英国の3C政策とドイツの3B政策の衝突の結果としての第一次世界大戦、米英間の中東争奪としての第二次世界大戦、米ソ冷戦でも繰り返された「世界史のパターンだ」。「インド洋を制するものは中東を制し、世界を制する」ということだ。 現代の911以降の日英米軍の中東やインド洋への戦力投射も、全ては、この文脈で理解すべきだ。  すなわち、「シーパワーとランドパワーの中東争奪戦が本格化」したことが、今日の中東の争乱事態の背景だ。 そして、ランドパワー陣営で、最も、中東を欲してい...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略新春特別企画最終号

今回は、新春特別企画の最終回ということで、号外、その1、その2で見てきた日本の過去のインド洋戦略とその蹉跌についての検討をふまえ、「もし江田島孔明が、1941年12月の時点で日本の陸海軍の統帥権を掌握していたら、どのように戦ったか」という、シミュレーションをしてみたい。独断と偏見、思い込みに裏打ちされて、「歴史のIf」を検討することほど楽しいものはないので、しばし、お付き合いいただきたい。 まず、太平洋戦争の本質とは何だったのかについて、考えてみたい。 太平洋戦争について、「自衛戦争」だったとか、「植民地解放戦争」だったとの主張もあるが、私は、そのような考えは取らない。 自衛戦争かどうかについては、戦略の観点から、実は、大した意味は持たない。戦争は勝たなければならず、自衛戦争でさえあれば、敗北が正当化されるものではない。 植民地解放戦争かどうかについては、単に結果論として、戦後、アジアにお...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL136

今回は、ブッシュ政権が画策する対イラク2万人増派の影響を検討してみる。 まず、この時期に増派が検討されているのは、増派によってテロ組織に大攻勢をかけ、一旦、治安が回復するとその後の撤退が可能になるという思惑からだろう。 しかし、過去の戦史を見ると、このような決定は、最悪の戦略である、「兵力の逐次投入」でしかなく、失敗することは見えている。 <参考> ------------引用-------------- http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070113/usa070113006.htm 「4つの戦争 同時進行」米国防長官、増派に理解求める  【ワシントン=有元隆志】ゲーツ米国防長官は12日、ブッシュ大統領が発表したイラク新政策をめぐる上院軍事委員会の公聴会で証言し、混迷を続けるイラクの現状について「4つの戦争が同時に進行している」との見方を示し、2万...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略新春特別号その2

前号に引き続き、日本にとってのインド洋とは何なのかを、その歴史を通して、検討してみたい。まず、私が年末の号外である、「海洋国家連合のインド洋戦略」や新春特別号その1で述べたことを要約すると、「シーパワーにとっての対外政策は多国籍企業の企業活動そのもの」ということができる。  これは、我々が通常思い浮かべる「主権、領土、国民」を要素とする従来型の国家像が、実はランドパワーである欧州大陸で30年戦争後に生まれた概念ということを考えれば、大航海時代以降のインド洋の覇者であるポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスは、国家というより、現代的なグローバルな多国籍企業の魁として捉えるべきだということだ。 つまり、シーパワーのエトスが、実は、「主権、領土、国民」の護持にあるのではなく、「交易によるあくなき利潤追求」すなわち「資本主義」にあることを理解すれば、時代によってその扱う交易品が、奴隷であったり、...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL135

今回は、ロシアの資源戦略の問題点について、検討したい。 私のコラムは、世界史を基礎にしてランドパワーとシーパワーの戦略を読み解くことが目的であり、そのため、ランドパワーとシーパワーの決戦正面としての中東と、ランドパワーの総帥としてのロシアプーチン政権についての分析が大半を占めることになる。 孫子曰く、「敵を知り己を知らば百戦危うからず 」 周知のように、ロシアはプーチン政権下で、石油、ガスといったエネルギー資源を戦略の柱に据えだした。 ロシアは石油生産は世界第2位。ガスは1位で、ガス埋蔵量は世界全体の3割以上を占める。プーチン大統領は1994年のサンクトペテルブルク副市長時代に書いた論文では、「ロシアの豊かな資源を活用すれば、世界的な大国の座を取り戻すことができる」と早々と主張していた。空前の石油価格高騰で、プーチンの夢が実現するかにみえる。 冷戦時代のソ連はICBM、SLBM、戦略空軍3...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 新春特別号その1

掲載日(7日前編、14日中篇、21日後編予定) 今回は、平成十九年新春を記念して、「日本のインド洋戦略」を、その歴史的経緯、蹉跌を見ていくことで、検討してみたい。  日本人は、海というと、日本海や東シナ海、太平洋を思い浮かべる。たしかに、近世以前の日本人にとって、海とはこれらを指していた。しかし、近世以降、具体的には、大航海時代を経て、地球が「グローバルな一つの経済圏」として認識されてくるようになると、より重要な意味を持つのは、インド洋になった。 日本とインド洋が直接結ばれるようになったのは、よく知られる、1543年の中国船に乗ったポルトガル人が種子島に漂着し、鉄砲を伝えてからだ。1549年のイエズス会士フランシスコ・ザビエルの来日とあいまって、この時期のポルトガル、すなわち「世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略号外」http://www.teamrenzan.com/arc...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL134

今回は、フセインの処刑によって、新たな局面を迎える中東情勢の今後を、主に、イスラエルの立場で検討してみたい。 まず、今後の中東情勢がどのような展開をするかに関わらず、イスラエルの将来は、非常に暗いと言わざるをえないことは、私の過去のコラムをご覧いただければ、お分かりいただけるであろう。要約すると、イスラエルの抱える問題とは、ユダヤ人口の減少、ムスリム人口の増大、アメリカにおける親ユダヤ勢力の退潮といった潜在的なトレンドの中で、イラク戦争にアメリカが敗北し、イラク撤退がほぼ確実になったことにある。 この状況は、「援軍を失った篭城戦」に等しく、時間の経過がそのまま不利に繋がる。世界史を概観しても、似たような戦略状況において、局面を打開できたのは、織田信長の桶狭間以外には、ほとんどない。逆に、攻囲側が、篭城側をあらゆる手段で篭絡し、城を落としていく例は、枚挙に暇が無い。つまり、「援軍の無い篭城」...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略号外

-「海洋国家連合にとってのインド洋戦略」- 今回は、年末特別企画として、来るべき海洋国家連合にとってのインド洋戦略を私の過去のメルマガからインド洋に関連する部分を抜粋し、編集することで、検討してみたい。 まず、私の戦略構築の手法は、常に、その地域の歴史的背景を検討するところから始まる。 まず、世界史を概観して、地理上の発見により、南北アメリカが世界史に登場してくる以前は、ユーラシア東西交易の主要なルートは陸のシルクロードと海のシルクロードだった。 陸のシルクロード とは、数千年の歴史を持つ、アジアとヨーロッパを結ぶ東西交通路である。大別して、北から、北緯50度付近の草原 (ステップ) 地帯を東西に横断するステップ路があり、遊牧民に利用されてきた。 次に、北緯40度付近に点在する中央アジアのオアシスを結ぶオアシス路がある。 海のシルクロードとは、紅海またはペルシャ湾から東南アジアを経て華南に...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL133

今回は、イラク戦争の結末が見えたことで、遂に動き出した、「中東版NATO」の展望を検討してみたい。 まず、この時期に、英国のブレア首相が、UAEのドバイを訪問し、「穏健派諸国による対イラン同盟」を提示した理由について、前号を読まれた読者はお分かりであろう。 シーパワー連合が、イラクを東西に分割し、西イラクを西ドイツとみなし、湾岸穏健派諸国を核として、チグリス-ユーフラテスからナイルまでを島とする、「新たなシーパワー連合」すなわち、「中東版NATO」を設立するための、地ならしをブレアが行っているのだ。私の過去のメルマガを読まれた方には周知の事実だが、英国はシーパワーの中核である「国際金融資本」の宗家であり、今回のブレア中東訪問の動きは、国際金融資本がお家芸である、均衡戦略から、中東を支配していく方針を鮮明にしたものである。アメリカが二つ目の空母戦闘群のペルシャ湾岸への派遣を検討しているのも、...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL132

今回は、既にアメリカのイラク撤退が決まった中東情勢の今後について、同じようなランドパワーの歴史とのアナロジーを見つつ、検討したい。アメリカの今後のイラク政策は、下記記事に見られるごとく、米軍の段階的撤退やイラン、シリアとの直接対話になるだろう。 <参考> ------------引用-------------- http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061208AT2M0701W07122006.html 対イラク超党派報告書、イラン“歓迎”・イスラエル反発  米超党派の「イラク研究グループ」(ISG)が提出した報告書で米軍の段階的撤退やイラン、シリアとの直接対話を打ち出したことに、中東諸国では思惑が交錯している。イランは米軍のイラク早期撤収を対話の条件に挙げ、シリアも“歓迎”の意向を示す。一方、イランと敵対するイスラエルは反発し、スンニ派中心の穏健ア...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL131

今回は、ロシアとEUそして、世界の将来について、検討してみる。 まず、冷戦終結後のロシアについては、以前書いたが、「トロイの木馬戦略」をとっていると見るべきだ。 <参考> ------------引用-------------- http://www.jp-tr.com/icerik/efsane/truva.html ギリシャ軍にある戦略が浮かびました。それは、車輪の付いた大きな木製の馬を作り、その中に兵士が隠れるという計画でした。そこで早速、大きな木馬を作りギリシャ軍の兵士達は声を顰めて隠れました。一方残りの兵士達はあたかも戦争を放棄し、ギリシャへ戻るように見せかけて、舟出したのです。トロイ軍はすぐに木馬を見つけ不思議に思い眺めていると、そばから一人のギリシャ兵士がやって来ました。そして彼はギリシャ軍は戦いを諦め帰郷することを決めたが皆、彼を嫌っていたため彼だけを置き去りにして行ってし...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL130

今回は、遂に、内戦として、収拾がつかない状況えあることが、メディアにも認定されだしたイラク情勢の今後と、米国が取りうる戦略を検討してみる。 <参考> ------------引用-------------- http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20061129/eve_____kok_____000.shtml イラク治安状況判断 米有力紙も『内戦』  【ワシントン=小栗康之】イラクの宗派抗争による治安悪化を受けて米紙ニューヨーク・タイムズは二十八日、イラクの現状を「内戦」と表現することを発表した。同紙は声明で「イラクでの戦いを内戦と定義づけるのはふさわしくないと主張することは難しい」と説明した。  米メディアの多くはこれまで「イラクでの戦い」との表現を使用。しかし、二十七日、NBCテレビが内戦と表現すると報じたほか、ロサンゼルス・タイムズ紙やクリスチャン・サ...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL129

今回は、イラク戦争の結果が見えたことで、遂に始まった、NATOの発展的解消及び、海洋国家連合結成と中東問題につき、前例としての3C政策と3B政策との対比において、検討してみたい。 <参考> ------------引用-------------- http://www.asahi.com/international/update/1122/005.html?ref=rss NATO、日本など「グローバル・パートナー」承認へ 2006年11月22日10時11分  米国務省のバーンズ次官は21日、ラトビアの首都リガで来週開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、NATOの加盟候補国ではないもののアフガニスタンなどで密接に協力する日本や韓国など5カ国を対象に、「グローバル・パートナー」と名づけた新たな協力国グループとして組織、共同訓練などの活動を強化するよう米国として提案する、と明らかにし...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL128

今回も、前回に引き続き、アメリカの選挙結果が今後の世界に与える影響につき、検討してみたい。 まず、伝統的視点に立てば、民主党とは、労働組合やマイノリティといった、社会的弱者を基盤としてきた。産業界では、鉄鋼や軍事といった重厚長大分野が共和党であったのに対し、金融やITといった、隙間産業、新興産業がその基盤だ。非常に大雑把な言い方をすれば、共和党が軍人の政党であるのに対して、民主党は商人の政党という訳だ。 しかし、この伝統的区別も、実際には、かなり、意義を失い、米国内のヒスパニックやムスリムあるいは、無党派層の増大という点で、共和党、民主党に本質的な区別が無くなっている。今回の中間選挙の「共和党惨敗」という結果は、その事を如実に表している。そして、重要な点として、その増大する無党派は、明確にイラク戦争に「No」と言ったのだ。この無党派の増大は、間違いなくアメリカのモンロー化に拍車をかけるだろ...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL127

今回は、米国中間選挙の結果を受けて、今後のアメリカと日米関係について、考えてみたい。結果として、上下両院で民主党が多数を占めた。上院は、日本では接戦などと報道されているが、 改選分は全体の3分の1の33議席。非改選とあわせて民主51vs共和50で、多数派を民主に取られてしまった。 そのうち24が民主で共和はわずか9の惨敗だ。つまり、「共和党惨敗」が正しい結果なのだ。2年後は民主党政権だろう。 まず、今回の選挙の最大の争点は、いうまでもなく、イラク戦争の是非であった。イラク戦争については、ネオコンと呼ばれるイスラエルの代理人によって主導され、嘘で練り固められた理由で始められた、開戦前から必敗の戦争であったことを、ようやく、アメリカ人も理解しだしたようだ。私は、この点をイラク戦争開戦の前から一貫して主張しているほとんど唯一の論者だろうと考えている。 参考までに、私が二年前に書いたコラムの抜粋を...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL126

<紹介> 江田島孔明対談レポート http://www.teamrenzan.com/archives/writer/mineyama/3_1.html 今回は、戦略を構築する上で、歴史を学ぶことの重要性について、私見を述べてみたい。 まず、歴史とはいったい何であろうか。歴史はまさしく、人類発生と同時にあるが、それが文書化されたのは、「歴史の父」の名を冠されるギリシアの史家ヘロドトスが書いた「ヒストリアイ」が端緒であろう。ヘロドトスは前五世紀のペルシア戦争を頂点とする東西抗争、東方諸国の歴史につき、ギリシア人と異邦人とが果した偉大な事跡、両者が争うに至った原因を後世に伝えるべくこれを書いた。何よりもまず正確さが重視され、豊富に織りこまれた説話は長巻を飽かず読ませる魅力をもつ。 ヘロドトスは「ヒストリアイ」を次のようにはじめる。「本書は、ハリカルナッソス出身のヘロドトスが、人間界の出来事が時...

文明史的に見たエネルギー戦略の将来(3)

前回の文明史的に見たエネルギー戦略の将来(2)に続く 今回は、アクエリアスこそが、資本主義のゼロサムゲームから人類を脱却させ、新しい文明の位相を生むために必要なことを検討したい。 前号で、シーパワーの発展には、技術革新のみならず、株式会社や海上保険に代表される、「リスクの分散」制度が必要であり、これを生み出せなかった「明」は、結局はランドパワーに回帰し、これを生み出した西欧は、その後アメリカにいたる「資本主義」を生み、現代まで続いている。  この点が「皇帝の船」と「資本家の船」の相違であり、皇帝の船は一代限りだが、資本家の船は資本の出し手がある限り永続し、場所を変え、時代を超えるのだ。そして、この「リスク分散」を担保する根本的制度が「会計」だ。  会計の始原は、地中海海上交易のため、14世紀前半の北イタリア地域で誕生後、都市間の商業ネットワークに載ってそれぞれの都市において相前後して確...

文明史的に見たエネルギー戦略の将来(2)

前回の文明史的に見たエネルギー戦略の将来(1)に続く  アクエリアス(水素文明)の文明史的意義を検討したい。まず、文明とエネルギーには、どのような関連があるのだろうか。前号で述べたように、アクエリアスは第4次エネルギー革命だ。その前段階として、木炭を用いた火の使用、化石燃料(石炭や石油)の使用、そして核の使用という、3次に渡るエネルギー革命を人類は経験してきた。  それぞれの時代において、エネルギーは移動と軍事により多く消費されてきたと言える。薪を使って起こした火(木炭)が、主要なエネルギーであった時代は移動は、馬やラクダや帆船が主流であったが、火薬を生んだことで大砲や鉄砲を実用化した。産業革命の原点は、木炭から石炭コークスに燃料を切り替えた所から始まる。つまり本質的には動力革命なのである。木炭よりははるかに強力なエネルギー源である石炭が、銑鉄の製造に使用されなかったのは、石炭が硫黄を含ん...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL125

今回は、米国政府が断定した、北朝鮮によるドル札偽造問題について検討したい。 アメリカが、北朝鮮に対する制裁に真剣なのは、実は核実験したからではなく、ドル札偽造による、基軸通貨の信用毀損を防ぐためだ。通貨の信用を毀損する行為は、核による攻撃を受けること以上の、安全保障上の問題であるという認識が根底にある。 まず、アメリカが世界の覇権国であるといえるには、相応の軍事力とそれを支える経済力が必要だ。そして、現在のアメリカを考えてみれば、「経済力」と呼べるものはほとんどなく唯一、ドルが「基軸通貨」であるという一点でもってのみ世界を支配している。この基軸通貨とは一体、何であろうか。 はっきり言えば、基軸通貨は国連やその他の国際機関で公式に承認して決定したわけではなく、国際為替相場での取引が多い通貨を、一般に主要通貨(Major Currency)と呼ぶ。具体的には、米ドル、ユーロ、円、ポンド、スイス...

文明史的に見たエネルギー戦略の将来(1)

今回は、来るべきアクエリアス(水素文明)の文明史的な意義について、検討してみる。  まず、人類は火の使用により、照明・暖を取る・獣から身を守る・食物に火を通すなど多くの利益を得た。「火の使用により初めて人類は文明を持つ余裕を持てた。」と考える人もおり、火を文明の象徴と考える人もいる。その後も火は人間の生活の中で非常に大きな地位を占め、水の供給と共に火を起こすための燃料の確保は全ての時代において政治の基本となっている。  これを第一のエネルギー革命と考えると、火の使用は人類と動物の分岐点となったといえよう。この火を主要なエネルギーとする時代は古代から中世を通じて変化せず、この時代の人類の歴史の動きはどちらかといえば、緩慢だった。交通や通信手段は馬やラクダであり、シルクロードに代表される交通路を制した勢力が覇権を握る、いわゆるランドパワーの時代といえる。  次に、重要な変革は、イギリスで起きた...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL124

<中近東諸国調略の鍵> http://www.teamrenzan.com/archives/company/masdar.html 「アラブ首長国連邦アブダビ首長国のMASDARプロジェクトにおける日本企業参加説明会をご案内申し上げます。」 今回は、前回に引き続き、極東情勢の推移を見ていきたい。 昨今の北朝鮮核実験に際して、評論家の中には、「アメリカを牽制するため、中国が裏で糸を引いてやらせている」だとか、「イラン攻撃を阻止するため極東で北朝鮮を使ってアメリカを陽動している」等と述べているものがあるが、全くの見当違いだ。中国は、東北地方の経済発展とオリンピックの実施が最優先事項であり、そのために、北朝鮮の国家体制が邪魔という立場であるし、かつ、「意図ではなく能力」により評価するという地政学の観点から、国境を隣接する北朝鮮が核保有に走ることを中国は断じて認めるわけはない。北の核保有は、北...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL123

<中近東諸国調略の鍵> http://www.teamrenzan.com/archives/company/masdar.html 「アラブ首長国連邦アブダビ首長国のMASDARプロジェクトにおける日本企業参加説明会をご案内申し上げます。」 今回は、北朝鮮の核実験の影響と、今後の展開について検討してみたい。 まず、重要な点として、ランドパワーとシーパワーの接点であり、緩衝地帯でもある北朝鮮が核を保有することで、どのような地政学上のパワーバランスの変化があるかだ。北朝鮮の核は小型であり、ミサイルへの搭載が不可能なようで、現時点での運搬手段は航空機か艦船に限られている。つまり、第二次大戦のアメリカの保有したリトルボーイやファットマンと同じだ。このような状況では、核兵器をもったところで投射能力の関係から、影響がある範囲は限られる。その範囲とは中ロ韓だ。アメリカには到底到達しないし、日本について...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL122

今回は、最近起きた日本のエネルギー政策についての、大失敗について検討するとともに、あるべきエネルギー戦略について考えてみる。大失敗とは、いうまでもなくサハリン1、2及びアザデガンだ。サハリン1は米エクソンモービルが主導する資源開発プロジェクトであり、サハリン2は、サハリン北東部沖大規模プロジェクトであり、ロイヤルダッチシェル・三井物産・三菱商事が出資するサハリンエナジー社が事業主体となっている。 サハリン1及びサハリン2の開発プロジェクトは、不安定さを増す中東諸国への原油輸入依存率が90%を超える日本にとって、安定的なエネルギー資源輸入先の確保や多様化を進める上でとても重要な意味合いを持つプロジェクトであった。  それだけに、これまで三井物産や三菱商事は年間1,600万トン近いLNG(液化天然ガス)を輸入している東京電力や東京ガス、といった大量のエネルギーを消費している大口顧客との契約を取...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL121

前回で、来るべきアクエリアスの時代において、米国や英国との提携が必要な点を検討した。米英はそのもてる技術で、必ずやブレークスルーを起こし、アクエリアスを実現するだろう。米国の保有する原子力空母等は、実は軍事目的以外にもそのまま、原子炉の空き時間を使って海水の電気分解をし、水素を生成する等の運用ができ、「水素の島」構想には最も向いているし、安全性も商用の原発よりも高いだろう。例えば、グアム島を原発の母港として、退役した原子力空母や実働空母の遊休時間を使って、海水の分解から水素を生成し、日本までもってくるということも考えられる。コスト面で空母の削減が叫ばれている今日、米海軍にとっても、渡りに船のアルバイトになるだろう。 今回は、英米シーパワーの武器としての、「金融」について、考えてみたい。シーパワーとは、以前見たように、海峡(チョークポイント)を支配することで、世界を支配しようとする。目指すと...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL120

今回も、前号に引き続き、中近東調略の必要性について、検討してみたい。 まず、日本が中近東地域と友好を深める戦略的意義はどこにあるだろうか。一つには、中近東は日本が原油の90%を依存している地域であり、エネルギーの安定供給の観点から、この地域との友好関係は不可欠だといえる。   さらに、中近東は、世界の交通の要衝が集中しており、チョークポイントやピボタルポイントを抱え、ランドパワーロシアの南下、すなわち地中海やインド洋への進出を防ぐ拠点でもある。端的に言えば、中近東はユーラシアの中原であり、関が原なのだ。 次に、戦略の常道として、「遠交近攻」の必要性が挙げられる。『遠交近攻』とは中国の戦国時代に范雎(はんしょ)が唱えた戦略である。遠方の国と親しくして、近い国を攻め取る外交戦略で、「史記」によると、もと魏の臣であった范雎が秦王に、秦から遠い齊や楚とは同盟し、近い韓・魏・趙などを攻めよと説き、秦...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL119

前回は、チョークポイントとしての海峡の支配が、ピボタルポイントに直結するシーパワーの最重要な戦略だということを説明した。今回は、このような観点から、シーパワーとしてのイギリスの中近東との関わりを見てみたい。全号で紹介したように、中近東は、世界のチョークポイントの中でも、最重要なスエズ運河やホルムズ海峡が存在し、東西文明の接点でもあり、原油の供給源であり、ピボタルポイントとしてのイスタンブールやコンスタンチノープルを含むなど、世界の中で最も重要な位置を占める。 イギリスが中近東に本格的に関与を始めたのは、スエズ運河の買収以降であるが、ここでは、オスマントルコの崩壊とイギリスの関与を見てみたい。端的にいって、イギリスは、植民地インドをはじめとするインド洋沿岸諸国の支配やアジア諸国との交易において、中継地点に位置し、チョークポイントやピボタルポイントを支配し、邪魔になるこのオスマントルコを、第一...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL118

前回は、地政学の目的が、地理上のピボタルポイント(転換点)と、それを繋ぐフォールトライン(断層線)を探すことだということを説明した。そして、世界史上のピボタルポイントとフォールトラインはエルサレムとイスタンブールであり、両都市を繋ぐ線だということがお分かりいただけただろう。今回は、中近東地域の重要性について、地政学のもう一つの論点であるチョークポイントの観点から検討したい。 まず、チョークポイント (Chokepoint)は、地政学上、陸上交通路や海上交通路において、「最も狭くなっている隘路」つまり、そこを封鎖されると、移動や輸送が不可能になる交通上の険所と言える。例えば、日本における東海道では、箱根や大井川がこれに相当する。言い方を変えると、チョークポーントを認識し、そこを封鎖することで、交通の規制を行うことができ、対立する政治勢力に打撃を与えることができる場所なのだ。シーパワーの観点か...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL117

今回は、中東情勢の今後を、地政学の観点から検討してみたい。まず、地政学の目的は、地理上のピボタルポイント(転換点)と、それを繋ぐフォールトライン(断層線)を探すことだ。 ピボタルポイントとは、そこを押さえると、全体を支配できる、オセロゲームのコーナーのような土地であり、煎じ詰めて言えば、過去の世界史や日本史上の支配者は、全てこのピボタルポイント(転換点)と、それを繋ぐフォールトライン(断層線)を支配することに注力していたと言える。ピボタルポイント(転換点)と、それを繋ぐフォールトライン(断層線)の支配に成功すれば、他の地域の支配には、重要な意味がなく、用意にひっくり返される。例えば、日本史のピボタルポイント(転換点)と、それを繋ぐフォールトライン(断層線)は、間違いなく、関が原と大坂であり、両者を繋ぐ線だ。この線上の地域を支配すれば、他の地域の支配権がどのようになっていようと、体勢に影響な...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL116

今回のイスラエルの戦争の意味を考えてみる。まず、考えなければならないのが、戦争の形態が大きく変わったということだ。 ヒズボラの長距離ミサイルでの攻撃は、イスラエルの国防戦略の中核を成していた「戦略的縦深」が意味を失いつつあることを示している。またヒズボラによる短距離のロケット砲やミサイルによる一斉攻撃も、イスラエルの防衛のあり方を再考させるに十分なものであった。ロケットの発射準備と目標を攻撃する間の時間が極端に短いために迎撃が難しいので、射程の短いミサイルほど補足が難しいからである。 さらに、戦車や軍艦までも、ミサイルの標的になれば、容易に撃破され、従来型の軍事戦略が意味を失うことにもなった。この結果は、世界の軍事関係者に大きな衝撃を与えただろう。ミサイルが戦局や戦略を大きく変えることは、冷戦期からはっきりしていた。いうまでもなく、ICBMの登場は、従来型のランドパワーとシーパワーの地政学...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL115

今回は、イスラエル問題の根底にある、ネオコンやイスラエルを建国した、「ロシ ア・東欧系ユダヤ人」の問題を理解するために、以下の資料を紹介する。イスラエル 右派やネオコンといった「右派ユダヤ人」の思想傾向や闘争的世界観といった彼らの 価値観を理解するには彼らがロシアや東欧で辿って来た歴史的な背景、バックグラン ドを理解する必要がある。この資料の全てが正しいかどうか、私には分からないが、 かなりの真実が含まれていると考える。以下の資料はその点で多くの示唆を与える。 重要な点として、ロシアVSユダヤの闘争は、ヒズボラがイラン経由で手に入れている ロシア製のMetis-M対戦車ミサイルが実際に戦闘で使われ、イスラエル国防軍の戦車 を撃破しているように、現在進行形であり、日本は、日露戦争以来、ユダヤ側に立っ てこの闘争に参戦しているということだ。かなり貴重な資料なので、全文を引用す る。 <参考> ...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL114

今回は、イラク情勢を見てみたい。 イラクでは、私の予想どうり、内戦の危機が高まり、米軍撤退が議論されだした。私は、今日の事態をイラク戦争開戦 の前から予測していた。以下はVOL22からの抜粋。 事態はこのどおり推移している。後述するように、アメリカのイラク戦争は孫子の兵法に完全に違背している。 「イラクにおいて、反米攻撃がやまず、一向に沈静化の見通しが立たないどころか、一部では米軍は実質的に敗退しているという報道もある。世の識者、評論家の中には、現在の状況が理解できず、イラク戦争の見通しに自身が持てないまま事態の推移を見守っている人が多い。特に親米といわれる人々は、このような状況に対して無視を決め込んでいるとしか思えない。 △ 私は、昨年のイラク戦争開始前から、この戦争は泥沼化し、結果的にアメリカは敗退する。唯一それを避けるには、インダス川から紅海、地中海で囲まれたエリアを核攻撃により、根...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL113

前回に引き続き、ヒートアップを続ける中東情勢の今後を検討してみたい。まず、事態が混乱すればするほど、原点に立ち返って考察するというのが私の基本的立場だ。以下はVOL15からの抜粋。ほぼ、私の予測どおりに動いているので、再掲する。ポイントは、イスラエルの孤立化と中国によりイランの核ミサイルが整備されたことだ。この点が、紛争の根底にある。 イスラエルの現状を理解するには、建国からの歴史を考察する必要がある。  第一次大戦後の中東の石油利権をめぐって、英米は対立する。米国は現地勢力のうちサウド家を援助したが、英国は現地諜報員トマス・E・ロレンス大尉(いわゆる「アラビアのロレンス」)の進言に基づきハシム家を推して、両者は死闘を展開。結果は「ロレンスが負け」、サウド家が勝ってサウド家のアラビア、サウジアラビア王国が誕生した。  英国は17世紀の二度の革命により、実質的に共和制であり、19世紀のVic...

中国経済の問題点と豪州との経済的相互補完性

1. 本作の主題及び仮説  21世紀はアジアの時代といわれる。人口やGDPで世界の大部分を占めるこの地域が、世界の経済的牽引車となるという主張である。現在の中国沿岸部の発展を見ていると、この主張にも一理あるように思える。しかし、仔細に見ていくと、この地域の抱える矛盾は相当に大きく、楽観を許さないどころか、大波乱を迎える可能性もある。 現在の中国政府共産党は、安全保障と社会の秩序維持のため、中央集権圧制支配をしいている。それに反して上海や香港といった沿岸部は交易による利得を求める。問題は、相対的に発展を遂げる沿岸部と取り残される農村、国営企業、自然環境破壊にさらされる内陸部との矛盾が利害対立を起こし、破綻を迎えないかということである。             反面、アジア太平洋圏には、いくつかの島国もしくは海洋国家(台湾、シンガポール、オーストラリア(豪州)、NZ等)がある。これら島国の方...

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL112

今回は、ヒートアップを続ける中東情勢を検討してみたい。 私は、現在の国際情勢の中心にはイスラエルの存在があり、イスラエルの出方を見れば、国際情勢の大半は分析できると考えている。なぜなら、イスラエルは超大国アメリカを裏から操り、イスラエルのコントロールは、アメリカにもなく、その意味で、イスラエルは国際情勢の中心だ。アメリカがイスラエルに対して行なっている、直接的な軍事援助と武器売却の総額は 下記の通りだ。 2001年から2005年の軍事援助金の総額は、毎年平均して25億~30億ドル(約3000億~3500億円)で大きな変動なく推移。この金額は、イスラエルの軍事予算の2割