今後の日本の長期国家戦略を提言したい。
日本の技術水準は世界最高であり、人間の質も教育水準や識字率等、世界最高峰だろ。問題は、ラインがいくら優秀でも、長期的視点に立った戦略がなく、真の意味でのスタッフがいないことだ。この点。旧陸軍が英米からの評価として、兵や下士官は優秀だが、階級が上がるにつれ、凡庸となるといった点と、全く変わらない。
このような観点から、シーパワーの伝統的戦略である、勢力均衡とは何かを見てみる。
△シーパワーの勢力均衡(バランス・オブ・パワー)戦略
シーパワーは大陸が巨大なランドパワーに支配されることを徹底的に阻止しようとする。一旦、大陸が支配されると、交易の利得を上げられないし、次に狙われるのは自分だからだ。逆に、シーパワーは大陸のランドパワーを殲滅しようとは思わない。商売ができなくなるからだ。
要するに、シーパワーにとって、大陸のランドパワーが割れて、相互に牽制しあう状況で両方に武器を売ったり対立を唆したりすることで利益を得るのだ。中国古典の「漁夫の利」を地で行くこの戦略は、前号の「シーパワーにとって戦争はビジネス」を思い出してもらえばわかるだろう。
△大英帝国
英国は大陸欧州でランドパワーが巨大化した際、それをかならず、つぶす方向で努力した。ナポレオンやヒトラーが例だ。特に、第二次大戦において、イデオロギー的に相容れないソ連と組んだことは、英国の政策の本質がイデオロギーではなく、勢力均衡にあることを証明する。これは、アメリカも同じである。
△第二次大戦
問題は、第二次大戦の前、英国単独で欧州の勢力均衡が保てなくなったことだ。これは、ミュンヘン会議でドイツの要求に屈したことでもわかる。以後英国は米国の力を借りてようやく、欧州のパワーバランスを図ることができたのだ。つまり、米国なしでは大陸欧州に対抗できないのだ。これが、英国が米国の軍事戦略につきあう理由だ。同じアングロサクソンだとか同じ利権があるという次元の話ではない。このように、シーパワーの観点から、欧州を分裂させ、勢力均衡を図ることに英米は共通利益があるのだ。
第二次大戦において、英米ともに親独反ソを唱える知識人は大勢いた。ケネディの父(駐英大使)はその代表だろう。にもかかわらず、英米が最終的にソ連を援助したのは、ソ連が負けそうだったからにすぎない。勢力均衡の戦略では、強大なドイツに全欧州やソ連を支配させることは許されなかったのだ。
これは、現在のEUを巡る状況にも通じる。
△米ソ冷戦
シーパワーがとった、史上最大の勢力均衡は米ソ冷戦だろう。私は、米ソ冷戦は本質的に、上述の「シーパワーにとって、大陸のランドパワーが割れて、相互に牽制しあう状況でお互いに武器を売ったり対立を唆したりすることで利益を得る」という視点で見ることが重要と考える。
アメリカが本気でソ連を打倒としようと思えば第二次大戦直後、核兵器をアメリカが独占していた時点で可能だったのだ。実際、パットン将軍やチャーチルはそれを主張したが容れられなかった。朝鮮戦争時、マッカーサの沿海州核攻撃計画が許容されなかったのも同じ理由だろう。
△日米中関係
ソ連の弱体化で冷戦が終了すると、今度は強大な経済力をもつ日本と軍事力拡大を図る中国との間でパワーバランスを図る戦略をとった。これが90年代クリントン政権下の親中反日政策だ。
繰り返すが、「シーパワーにとって、大陸のランドパワーが割れて、相互に牽制しあう状況でお互いに武器を売ったり対立を唆したりすることで利益を得る」のだ。これは日中間を離反させ、相互牽制させる政策にもつながる。日本はアメリカの同盟国だが、アメリカは強すぎる日本を望んでいないし、日本に対して潜在的脅威、不信を感じている。そのため、中国をカードに使って日本を抑えようとするのだ。
何の事は無い。シーパワーの伝統的勢力均衡戦略で説明できる。余談だが、冷戦中(そしておそらく現在も)アメリカは対日戦を想定していた。それは、もし欧州か東アジアで米ソが衝突し、第三次大戦が生起した際、日本が局外中立を宣言し、自衛隊を米軍基地封鎖に使った場合だ。この場合、アメリカはどのような対日戦のシナリオを書いていたか、いずれ明らかになるだろう。核使用オプションもあったと思われる。
はっきり言えば、日本が独自路線を取り、軍拡を行い、反米傾向を強めたら、米+中+露+朝+韓VS日本という構図になるのだ。これはまさしく、先の大戦で先例がある。悪夢の多正面作戦は避けるしかない。更に、日本が中露と連携しようとすれば、これもアメリカにつぶされる。田中角栄・真紀子(親中)や鈴木宗男(親露)がどうなったかを思い起こす必要がある。全ての根幹はこの勢力均衡戦略なのだ。
△地域安保協力について
冷戦後の世界において、上記のような戦力均衡を廃して、地域全体での安保協力の枠組みを構築する必要があるという意見がある。大国・小国を含む全ての国が対等な立場で協力し、平和を達成する努力だ。ここでは、もはや敵・味方の区別なく、軍事力の行使は不当と考えられ、パワーポリティクスは排除されるとする。
この考えは、国連設立時の理想ではあるが、現実には大国間の思惑で機能不全に陥ったことを忘れてはいけない。この種の枠組み構築は、各国間の意見表明や連絡窓口として重要だとは考えるが、国際社会が基本的に無政府の戦国時代である以上、根本は勢力均衡をポリシーとして、国連を含むこの種の枠組みを利用できる限りは利用するというのがベストな戦略と考える。
多国間集団安保の枠組みは、基本的に無責任体制であることを忘れてはいけない。理想に浮かされ、冷徹な国際社会の現実に目を背けてはいけない。日英同盟を廃棄し、代わりに締結した戦前の4カ国条約が全く機能しなかったことを思い出す必要がある。
△現在の国際情勢
現在のアメリカが以上のような伝統的勢力均衡戦略を捨て中東直接支配に移行していることが問題だ。そしてそれは間違いなくアメリカを衰退させる。
賢明な読者諸兄は以上のような英国の立場が本質的に日本と同じだということがおわかりいただけるだろう。ここに、平成の日英同盟(第三次日英同盟)の可能性が有る。これは環太平洋連合の呼び水となる。
△在日米軍撤退
アメリカの財政破綻と中東戦争のインパクトから、在韓米軍撤退は決定したようだ。10年以内に在日米軍撤退(大幅削減)もおきるだろう。
(1)沖縄の海兵隊は中東へ
(2)岩国と三沢の航空機は撤退
(3)グアムにB2数機常駐
(4)下地島の空港をいつでも利用できるようする
になると考える。この陣容から考えられるメッセージは、「東アジアや東南アジアの中国とのパワーバランスは、米軍の後方支援の下、日本でとって、アメリカ軍は中東に集中させる」である。かっての日露戦争前とよく似た状況になってきた。ますます、英国との連携が必要になってくる。私が環太平洋連合樹立を主張するのはそのためだ。
△冷戦の経済的意味
冷戦とは、アメリカがシーパワーの観点からソ連をユーラシアに封じ込めることを狙ったものだ。それと同時に、日英独仏韓をユーラシアから切り離し、シーパワーの島国として経済発展を保証した枠組みであったことを忘れてはいけない。
この均衡が崩れたため、シーパワー諸国が経済発展できた冷戦構造は既になく、群雄割拠の戦国時代に突入したのだ。世界貿易は縮小していくだろう。自由貿易とは英国や米国といったシーパワーが強大で覇権国であった時期の産物なのだ。経済中心の物の見方が許されたのは、あくまで、この自由貿易が達成されていた、一時期にすぎない。アメリカの覇権衰退の後にくるのは経済ではなく、安保中心の時代である。
△英国に見られるシーパワーとしての自己規定
英国はEUに深入りすることは今後も無いと思われる。むしろ統一憲法の扱いではEU脱退も考えられる。EU大統領の野心をもってるブレアの退陣が一つの試金石だろう。
なぜなら、EUに深入りしても場所が場所だけに欧州の物流・交易の中心には絶対なれない。(仏中心で)大陸ヨーロッパが1つになる事によって、欧州内で陸上ルートを使った物流・交易が極めてローリスクで行えるようになった、今回の拡大もその範囲の拡大と捉える事が出来る。域内のブロック化は、大西洋への出口として重要な位置にある海運の国の英にとっては、米国のその地域内での影響力低下も伴うからメリットよりデメリット大きいだろう。
だから英国は今後もEU諸国の統合強化を妨げるように動くであろうし、実際、数世紀前からの英国の大陸欧諸国に対しての基本的な戦略だ。
具体的には独仏分断のため、東欧の発言権を増しフランスに対抗させるといったやりかただ。英国がポーランドの欧州議席数交渉を支援したのはそのためだ。
はっきり言って、英国がEUに入っている理由はEUの情報を入手し、域内を分断するためなのだ。(トロイの木馬)これは独仏の利害と対立する。
そもそもランドパワーがシーパワーに対して優位性をもてるのは域内の統一がなって海上を利用しない物流・交易が容易になった時だ。
シーパワーとしてはランドパワーが分裂状態にある事が望ましいわけで海上を支配し分断されたランドパワーをつなぎ、その間で付加価値をつけマージンを得る事で富をなす。それが出来ないと辺境に甘んじるか引きこもるかするしかない。
△勢力均衡
このように、EUの分断、勢力均衡が必要なのは米国にとっても同じだから共通の利害関係にある以上、英にとっては米>欧で米英同盟は少なくともEU崩壊までは続くだろう。
日本には、欧米という表現で、大陸欧州も英国も米国も一緒くたにする見方がある。欧米を「同じ」キリスト教国や民主主義国、白人種といった見方もそうだ。
しかし、ランドパワーとシーパワーの視点からみると、大陸欧州と英米には「本質的かつ根本的な利害の対立」があることがわかる。つまり、英米は大陸欧州を分断して勢力均衡を図ろうとするし、大陸欧州は分断されてると、英米に利用されるから統合しようとするのだ。これがEU統合、ユーロ導入の意味であり、英米とEUが相容れない本質的理由だ。
ナポレオンの頃から、二度の世界大戦、更に冷戦期を通じて、この勢力均衡が英米の基本戦略であり、それはイデオロギー的に相容れないソ連と組んでドイツを潰したことでも分かる。
地政学的にみた場合、シーパワーたるアメリカは防衛線を島国たるイギリスに置き、独仏は防衛圏外(いざという時は見捨てる)とする、二度の世界大戦から、冷戦期を貫く戦略をとっていたのだ。
アメリカは第二次大戦において、フランスを解放したではないかという向きもあろうが、44年6月という時期は、既に東部戦線で決着が着いていたのであり、ノルマンディー上陸はナチスを打倒するのに必要であったとはいえない。遅すぎたのである。むしろ、米国はフランスを防波堤にして英国を守ったという見方もできる。この対米不信感は戦後のフランス人の深層心理に深く刻まれ、ドゴールのNATO脱退、独自核武装につながる。
裏を返せば、イギリスは二度の世界大戦、さらに冷戦期を通じて、リムランドとしてアメリカの欧州関与(パワーバランスのため)の最前線となることを受け入れ、代償としてアメリカに安全保障を依存したということである。これが、アメリカの軍事戦略にイギリスが全面的に付き合う、付き合わざるを得ない本当の理由である。単なる共通の利権があるとか同じアングロサクソンだからといった次元の低い話では全くないのである。
はっきり言えば、米国は二度の世界大戦以降、冷戦期を通じて欧州を防衛していたのではない。正しくは、大陸欧州を分断して勢力均衡を図っていたのだ。そのための前線基地として英国を利用していたのだ。現在の英米と大陸欧州の角逐の根底にはこの勢力均衡戦略がある。WW2末期、欧州の第二戦線をどこにつくるかについて、チャーチルはソ連を牽制するためにバルカンから東欧に米軍が上陸すべきと主張した。しかし米国はフランスに上陸支配しかつソ連へ東欧と東ドイツを譲ったのだ。この戦略の真の意図はソ連を利用して欧州を分断し勢力均衡を図ることだと私は見ている。つまり、独仏ソの封じ込めだ。
△欧米という枠組みの虚構
このような、大陸欧州と英米の「本質的利害不一致」が冷静終結後、表面化し、ユーロ導入からEU統合拡大という対米自立戦略をとらせるのだ。
もっとはっきり言えば、「欧米」という枠組みはもともと存在せず、英米と大陸欧州諸国はお互いを利用できる限り利用して来たに過ぎない。
このような観点から、19世紀のイギリスの首相パーマストンは「大英帝国には永遠の友も永遠の敵もない。存在するのは永遠の国益だけである」と述べた。
同盟関係は友人や親戚関係というより、ビジネス上の取引関係と捉えた方が良さそうだ。取引が成立するには利害の一致が不可欠である。特に警察も裁判所もない国際社会ではなおさらだ。
欧米は同じ白人だから、文化を共有してるから、キリスト教だからいずれ和解するという見方があるが、私はこのような見方に賛成できない。血がつながっているという理由で後継者やパートナーを選ぶといずれ失敗するのは、ビジネスをやったことがある人ならわかるだろう。国家間も同じだ。
このような歴史から、大陸欧州は英国に不信感と憎しみすら抱いている。日本人には分からないことだが、大陸欧州は英国そして現在は米国をその深層心理において蛇蠍のごとく嫌っており、蔑んでいる。なぜなら、勢力均衡が彼等の戦略だからだ。英米にとって、真の同盟国は大陸欧州に存在しないのだ。EUをつぶすため、ロシアと取引することも考えられる。WW2の時のように。
EU憲法を批准すると、英国は大陸欧州に政策決定権を握られ、過去数世紀の復讐をされる可能性すらある。
最も基本的なことは、EUの基本的理想がシャルル・マーニュのカロリング朝フランク王国の再興を理想にしていることだ。EUの最高機関であるブリュッセルにあるEU理事会ビルが"シャルル・マーニュビルディング"と呼ばれているのは象徴的だ。そして、この観点から、英国はフランク王国の一部ではないのだ。
私は英国のEU離脱を予想する。
また日本も中韓印なんかと共に共同体なんか間違って作ってしまうと、全く同じ理由で主導権は中韓になる。
その場合、金だけむしりとられ、いいように利用されるのは目に見えている。その上、今以上の犯罪者の大量流入も確実だ。
連携すべきは米(あくまでシーパワーの)であり台湾であり、オセアニア(英連邦)でありアセアン諸国家であり太平洋への出口と言う重要な地位を死守すると言う結局今と全然変わらない状態がベストだ。日本の国策としては中共の分裂を妄想しつつそれを狙った動きをとるのが良い。
△地政学的考察
地政学的な話をするなら、欧州大陸はユーラシアから見れば西端の半島だ。つまり地政学的には常にユーラシア中央部(ハートランド)から脅威を受けていた。
ヨーロッパには潜在的に異民族に対する極度の警戒心が存在する。もともとヨーロッパ人には自分が優秀だとか、偉い人種という意識よりは、あの寒い環境で食料生産性の低さ、絶えず繰り返される東からの異民族の侵入(100年に1度は大規模)など、決してヨーロッパは豊かとは云えなかった。生存競争の異常な激化こそが、あのランドパワーとしてのヨーロッパの持つ対外的な攻撃性の基本なんだろう。
カエサルの頃からあったゲルマン人の周期的なヨーロッパへの攻撃、その後のフン・ゲルマンの侵攻、100年後のアバール・スラブの侵攻、ブルガル、アラブ、マジャール、タタールの頻発的な侵攻。農業生産力が低く、つねに餓死に瀕する厳しい環境。中世には黒死病もあったし。
だからそれを避けるために大陸中央部へ進出を図る衝動に駆られる(マッキンダー)わけだが、大陸中央を制覇してしまうと、欧州の非大陸的な統治方法では、広大な大陸統治が出来ず欧州の本国まで瓦解するというジレンマを抱える。(ナポレオンやヒトラーあるいはアレクサンダーが嵌ったパターンだ)今のEUもこの轍をふみつつある。
△大西洋海上交易
欧州が、なぜ、ここ400年、世界の覇権を握れるようになったか...
それは、シルクロードをオスマントルコに押さえられたため、ジェノバ商人がスペインやポルトガルを動かし大航海時代になり、他のユーラシアの文明(主にイスラム)に比べて大西洋に近く、南北アメリカ大陸を発見することによって、ユーラシア大陸と南北アメリカ大陸間の大西洋貿易が活発になり、大陸欧州を含めて、地政学的にシーパワーになったからと思われる。つまり、大西洋の海上交易ルート確保が欧州とイスラムの近代を分けたのだ。つまり、欧州のベクトルはユーラシアではなく大西洋に向いたため、発展できた。戦後の冷戦もこの文脈で考えるべき。
要するに、オスマントルコやソ連といった強大なランドパワーがハートランドを押さえた時期は欧州は大西洋に目を向け発展し、それらランドパワーが弱体化した際はユーラシアに目を向け失敗するのだ。二度の世界大戦はこの文脈で考えるべきだ。逆説的ながら、欧州を発展させるには、ハートランドを支配し、欧州の介入を許さない強大なランドパワーが必要ということになる。
つまり、近代、現代の欧州は海洋国家として自己規定ができ、大西洋にベクトルが向いていたときは発展し、ユーラシアへベクトルが向き、大陸国家となったときはナポレオンやヒトラーを例にとるまでもなく、必ず、破綻しているという歴史的法則がある。
EUが中露との連携模索する動き、ユーラシア連合を志向しているが、この文脈で考える必要がある。かつ、中ソ同盟や独ソ不可侵条約、日ソ不可侵条約を見ても分かるが、中国やロシアと同盟を継続できた例は皆無という歴史的事実を指摘したい。
日本においても、国連中心を叫び、あるいは東アジア共同体、ユーラシア連合等を提唱する評論家が存在するが、このような点を考えてほしいものだ。日本については、勢力均衡の観点から、アメリカが阻止するという事情も有る。
やがて、欧州でも最も海洋国として有利な地域にあった英国での産業革命へと結びついた。この産業革命によって、化石燃料を輸送する上でのコストの有利不利が国家、文明間の優劣に大きく影響し、前の産業革命である。
この中で、農耕中心の土地支配を根幹とするランドパワー文明では、考えられないことが起こった。それは情報「ソフト」優位というパラダイムシフトだ。
△英国の強み
英国が世界帝国を築けたのは、この情報を支配したからだ。決して資源や領土、人口の多さではない。
現在でも、英国が大陸欧州に優位しているのは、英連邦諸国とのつながりがあり英語が共通語であることともあいまって、ロイターやBBC、ロイズといった世界的情報産業が英国に集中しているためだ。
英国には世界の情報が集まり、しかも英連邦諸国にはカナダやNZ、豪州といった農業国、鉱物資源国が存在し、技術立国の日本との補完性が高い。しかも、21世紀は環境の時代である。ユーラシア大陸はどこも環境悪化に苦しめられるだろう。しかし、豪州やNZは比較的ましな環境を維持することが確実だ。人口も少ないし。これら地域が非常に重要性を帯びてくる上に、戦略的脅威も存在しない。地政学リスクが無いのだ。(一部インドネシアとの間にはあるが)
フランス主導の欧州は、この情報の観点からは、旧植民地が多い、アフリカくらいしか優位を得られない。
EU域内を除いて、鉱物資源や農産物を抑えているわけでもない。豪州やカナダに相当する国がないのだ。
ここまで考えると、日本は英国と組んで、英連邦の発展形態である、環太平洋海洋国家連合を樹立していくしかないと思われる。アメリカがシーパワーとして参加すればそれはベストであるが、中東戦争で消耗していけば難しいだろう。だから日英主導でやるしかない。
日英同盟は先例もあるし、日露戦争当時、英国経由でもたらされた情報は世界的情報網をもたない日本にとって、死活的重要性を有した。今後も有すだろう。日露戦争に勝てたのはこの情報と金融資本の出資があったためだ。この先例を復活させる必要がある。
ビスマルクの言葉とされる、「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」べきなのだ。
△資源戦略
中国の膨脹に脅かされている石油輸入のシーレーンにしろ、シベリア石油パイプラインにしろ、安定的なエネルギー確保に不安があるのが、近代日本の安全保障上の大きな問題であった。この問題はWW2において、連合国側の対日石油禁輸から開戦に踏み切らざるを得なかった時から、少しも変わらない。
しかし、環太平洋連合諸国と共同でシーパワーとして生きる戦略を固めれば、この問題を根本的に解決しうる望みが生まれる。それは我が国が世界第6位、451万平方キロに及ぶ200海里排他的経済水域(EEZ)を持っていることである。この広大な海洋を開発することで、我が国は一挙に資源・エネルギー大国となりうる。
海はエネルギーの宝庫でもある。波力発電、潮汐発電、海上風力発電などは自然に優しいエネルギー源である。また海底に眠るメタンハイドレートは天然ガスに替わるクリーンなエネルギーであり、日本周辺の埋蔵量は、日本の天然ガス消費量の約100年分に相当すると言われている。これらを開拓すれば、エネルギーの自立も夢ではない。海底にはマンガンやコバルトなど、近代工業に不可欠の戦略物資も豊富に存在している。
また食料面でも、我が国の魚類養殖は世界で最も事業化が進んでいるが、その技術をさらに発展させて人工的に孵化した稚魚を海に放流して、自然界の生産力によって成育させる「海洋牧場」が実現すれば、食料の自給率を大幅に上げることができ、今後の食糧危機にも相当の対応ができるようになる。
さらに海上に巨大な鋼鉄製ブロックをつなげて浮かべる「メガフロート」により、海上空港や、海上都市の実現も実用レベルに近づいている。これにより、国土の狭さも問題にならなくなる。
世界第六位の広大な経済水域に、我が国の先進的な科学技術を適用すれば、資源・エネルギー・食料の豊富なシーパワー大国としての未来が開けていくだろう。海こそが我らのフロンティアである。
