今回も、前号に引き続き、中近東調略の必要性について、検討してみたい。
まず、日本が中近東地域と友好を深める戦略的意義はどこにあるだろうか。一つには、中近東は日本が原油の90%を依存している地域であり、エネルギーの安定供給の観点から、この地域との友好関係は不可欠だといえる。
さらに、中近東は、世界の交通の要衝が集中しており、チョークポイントやピボタルポイントを抱え、ランドパワーロシアの南下、すなわち地中海やインド洋への進出を防ぐ拠点でもある。端的に言えば、中近東はユーラシアの中原であり、関が原なのだ。
次に、戦略の常道として、「遠交近攻」の必要性が挙げられる。『遠交近攻』とは中国の戦国時代に范雎(はんしょ)が唱えた戦略である。遠方の国と親しくして、近い国を攻め取る外交戦略で、「史記」によると、もと魏の臣であった范雎が秦王に、秦から遠い齊や楚とは同盟し、近い韓・魏・趙などを攻めよと説き、秦はこれを入れて6国を滅ぼしたという。
この戦略は、例えば、古代ローマ帝国はしばしば東部に国境を接するパルティアへの侵入を企て、そのためパルティアとローマはしばしば戦った。ローマ軍は歩兵の密集軍団を基本としたが、パルティア軍は重装の騎兵が基本であった。パルティア軍はその機動力でローマ軍を翻弄した。クラッスス、カエサル、アントニウスらのパルティア遠征はいずれも失敗におわり、アウグストゥスは20B.C.パルティアと平和条約を結んだ。その後カラカラおよびマクリヌス帝のとき、ローマ軍がバビロニア、メディアに侵入すると、パルティアはこれを撃退し、ローマに賠償金を支払わせた。パルティアにかわってイランの支配者となったササン朝は、パルティア以上に積極的にローマと抗争し、終始ローマに対し優勢を保った。このような状況で、ローマはパルティアの背後のインドや東南アジアと直接結ぶためのインド洋航路の開拓をした。紀元後1世紀半ばにモンスーン(貿易風)を利用する画期的な航海法が編み出されたため、南インドはローマ帝国との交易で非常に栄え、貿易赤字に悩んだウェスパシアヌス帝が金の持ち出しを禁止したほどであった。さらに、2 世紀頃メコンデルタに生まれた「扶南」と呼ばれた国(現在のベトナム)の都オケオの遺跡からは当時のローマ帝国の金貨なども出土し、扶南が東西交易の中継点として、このメコンデルタの地に栄えたことを物語っている。このように、インド洋を使って、ローマはインドや東南アジアと直接結ぶことで、パルティアやササン朝ペルシャに対する包囲網を敷いたのだ。
同じような事例は、例えば、フランスとスコットランドが1295年に"旧同盟"を結び、この協定はイングランドが二国のどちらを侵略した時も、片方の国がイングランドを襲い封じ込める事を意味した、相互防御盟約による反英同盟を築いた例等が挙げられる。日本史においては、織田信長に対する、本願寺顕如や足利義昭が中心となり構築した、武田、上杉、毛利、浅井、朝倉による反信長包囲網なども例に挙げられよう。
このように、「遠交近攻」は歴史に裏打ちされた地政学戦略なのだ。同じ事を、マキャベリズムの祖マキャベリは「隣国を援助する国は滅びる。」と言った。これを地で行っていたのが戦前戦後の日本だろう。隣国とは当然、中国、朝鮮半島である。
このような中韓重視の反省と、上述の地政学戦略の観点から、外務省は、南西アジア、ASEAN諸国への外交を統括する「南アジア部」を設置することを決定した。また、経済産業省も、東南アジア諸国とオセアニアをFTAで結ぶ経済連帯構想を発表した。日本がこのようなアジア外交を展開するのは、中国、韓国、インドが台頭していることに加え、日本のアジア諸国との自由貿易協定が出遅れているからだ。そして、今また、湾岸諸国との連携を深める動きが実現しつつある。
<参考>
http://www.excite.co.jp/News/economy/20060921104545/Kyodo_20060921a287010s20060921104545.html
湾岸諸国と連携強化へ 日本、FTAで初会合
[ 09月21日 10時45分 ]
共同通信
「政府は21日午前、サウジアラビアなど中近東の6つの産油国で構成する湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)締結を目指し、初会合を外務省内で開いた。
会合は22日までの2日間の予定で、GCCからはサウジの財務省の次官など6カ国の代表団が参加し、日本は藪中三十二外務審議官らが出席。
中近東諸国とのFTA交渉は初めてで、サウジなど巨大産油国との経済関係を強化し、原油や天然ガスの安定確保につなげたい考えだ。
藪中外務審議官は冒頭で「今日は重要な交渉の始まりだ。第1回の会合で実質的な進展があることを期待している」とあいさつした。 」
このような、遠交近攻および、海洋国家連合の観点から、日英同盟を再結成しようという、私の積年の主張が、終に、英国政府よりも主張されだした。
<参考>
http://www.wedge.co.jp/c_1.html
デービット・ハウエル(英上院議員)
「日本と英連邦の民主主義ネットワークで世界の安定を目指せ
米国の一国覇権主義の限界とその間隙をついた中国の不穏な動き。イラクや中近東で見られるように、世界の経済、安全保障体制は揺らぎはじめている。国連が本来の機能を果たせなくなりつつある今こそ、日本と英連邦が力を発揮していくべきだ。日本と英国、そして英連邦の重要な一員であるインドを中核メンバーとする自由・民主主義国家ネットワークが、対等な関係で米国を支えていく。これこそが、世界を安定化させるために必要な、21世紀型の新たな国際関係モデルである。英連邦は、慈善活動をし、高潔な願望を述べ、あまたの非公式組織に祝福の言葉を述べるばかりの実質的意味のない国際機関である、という認識は完全に過去のものとなった。世界が全く新しい状況に直面している中で、英連邦はこれまでの自己喪失状態を脱し、世界共有の課題の解決に指導力を発揮する気構えを持つべきである。……(本文より)」
以上のような理解を前提にして、日本と英国がどのようにして連携し、中近東地域に関与することができか検討してみたい。
まず、英国は、中近東への関与ついて、日本よりはるかに長い歴史と経験をもっており、人的ネットワークも豊富である旨は前号で述べた。英国はチョークポイントであるスエズ、喜望峰、マラッカ海峡を支配することで、インド洋を内海として支配していた時期があり、旧宗主国として、インド洋への影響力は決して無視できず、英連邦加盟国もこの地域には非常に多い。
英国との提携について考える場合、どのような形で相互補完関係に入ることができるかが重要となる。まず、かっての日英同盟では、英国は、日本の海軍力で、極東および、インドの利権を守ろうとしていた。1902年1月30日、ロンドンにおいて日本の全権大使林董と英国外相ランスタウンにより「日英同盟」が締結された。この条約に明文でロシアのことは書かれていないが、この時点での両国の懸念は、日清戦争後のロシアの南下政策にあった。この条文の中で、中国における英国の権益を日本が尊重する、また日本の中国における権益と韓国における権益を英国が尊重する。そしてこの両国の権益に害を成すものに対して両国は「利害を共有する」ものであるというものであり参戦義務はなかった。
1904年に日露戦争が勃発し、1905年に戦況も終わりかけていた頃、1905年の8月12日、日英同盟の第一次改訂が行われた。ここで、この中立条項が削除され、「日本の敵は英国の敵、英国の敵は日本の敵」という内容になる。ただしその適用範囲は、朝鮮半島、中国、インドだった。つまりインドにおいて、英国が攻撃された場合には日本は参戦し、東アジアにおいて日本が攻撃された場合には英国も直ちに加勢すると言う内容に改訂された。このように、英国は、日本の海軍力に期待している。この状況は、アフガン戦争以降、海上自衛隊がインド洋に展開し続けていることを見ても、何ら変化していないといえる。
日本が英国と提携できるのは、海軍以外にはないのだろうか。実は、この問題こそが、中近東問題解決の鍵を握っている。英国は日本と同じ島国であり、資源に乏しく、エネルギーの安定供給に不安がある。例えば、イギリスとノルウェーにまたがる北海油田は、1970年代のオイルショックを機に、開発が進められた。80年代中ごろには、生産量はノルウェー分も含め日量300万バレルを超え、非OPEC(石油輸出国機構)原油の中心として、OPECから原油価格決定権を取り戻す役目も果たした。最盛期の99年には日量590万バレルを生産した。しかし、2000年以降、急速に生産量が落ち込んでいる。ヨーロッパでも数少ないエネルギー輸出国だったイギリスは、2004年から天然ガスの純輸入国に転じた。原油も、今年にも純輸入国に転じる可能性が強まっている。この結果イギリスのBBCなどでは、エネルギー自給率は2020年には10%にまで低下すると予想している。
すでに、ロイヤル・ダッチ・シェルやBPなど、北海油田に採掘権益を持っていたメジャー(国際石油資本)各社は、権益を他の石油企業に売り渡しており、撤退に踏み切っている。 イギリスにとっては、トラの子ともいえる北海油田を失う時代に直面しているわけだが、これに追い打ちをかけたのが、今冬のロシアによるウクライナヘの天然ガス供給停止だった。 シーパワーであり、ランドパワーからの独立心の強いイギリスでは、エネルギーをランドパワーであるロシアに依存することを警戒しており、これがエネルギー政策の見直しの一因にもなっている。
<参考>http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/other/10186/
「原子力再評価」の動きが世界的に広がる中、米国に続き、英国でも原発新設の動きが具体化した。原油価格の高騰に加え、中国やインドのエネルギー需要の急増で石油資源の枯渇懸念が台頭し、エネルギー安全保障の面で原子力がクローズアップされている。さらに、地球温暖化対策で温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力が見直されていることも再評価の背景にある。
特に英国の場合は、「温暖化対策で世界をリードする」との思惑から、意欲的なCO2削減計画を打ち出している。一方で、これまでは「脱原発政策」をとり、原発の新設を凍結。風力や太陽光発電など新エネルギーで代替する計画を進めてきた。ただ、削減期限が迫る中、代替計画は現実性が乏しく、原発新設にカジを切らざるを得なかったのが実情だ。
さらに、「電力欠乏の危機」という、より切迫した問題にも直面している。原発の耐用年数は60年程度。1956年に世界で初めて商用原発を稼働させた英国では、大半の原発が60年代に運転を開始しており、老朽化による廃炉ラッシュを迎えている。現在稼働中の原発は23基あるが、これに対し、すでに廃炉や運転停止となった原発が22基もある。しかも、脱原発の結果、90年以降、新規着工が途絶えている。
英国のエネルギー需要を支えてきた北海油田も、産出量が年々減少しており、資源枯渇が現実のものとなりつつある。電力の安定供給を確保する上でも、廃炉となった原発を代替建設する「リプレース」を含めた新設は不可避だったといえる。
すでに原発新設へと政策転換し、具体的な新設計画が動き出している米国でも、現在稼働中の104基の大半が70年代の運転開始で、これまでに28基が廃炉・運転停止となった。79年以降、新規着工がなく、今後、本格化する廃炉ラッシュに備える上でも、相当数の原発新設が必要といわれている。
55基が稼働する日本では、運転開始から30年を超えた原発が11基あり、「2030年以降に廃炉ラッシュが始まる」(電力会社)という。原発新設は、各国共通の課題となっている。
ただ、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を契機に脱原発へと転換した欧州では、日本と同様に原発アレルギーが強い。ドイツやイタリアは依然として脱原発を掲げており、英国でも新設計画に対する住民の反発が予想されている。(小塩史人)
このような、北海油田枯渇が既に既定路線となっている状況で、エネルギーの問題を根本的に解決するには、「水素化による燃料電池化」すなわち、アクエリアス社会の実現しかない。水素の確保について、現在、様々な技術が開発されているが、現時点で選択肢となるのは原発と風力、波力、太陽光等のハイブリッドにより、水の電気分解から、水素を抽出するための「水素アイランド」を構築することだが、その立地は、無人島や離島がよく、英国の北海沿岸にある、シェトランド諸島等が候補となる。なぜ、このような離島がよいかといえば、万一原発事故が発生しても、被害を極小化できるからだ。
現状の英国や欧州での、政権の保守化に伴う原発推進の動きは、「各国毎の原発保有」が問題となる。この場合、原発の放射性廃棄物や事故、テロといった様々なリスクを各国が負うことになる。しかし、原発でタービンを回して電力を確保することをあきらめ、いったん原発で作った電気で水を分解し、水素を抽出し、有機ハイドライド方式により(水素を常温常圧で、液体の化学物質に貯蔵する方式により水素を貯蔵した有機ハイドライドは灯油と同様の性状であり既存のタンクローリー車やケミカルタンカー等で輸送が可能なため、高圧水素や液体水素等に比べ供給コストも安く、柔軟に輸送・供給できるメリットがある。)各国に輸送し、燃料電池をまかなえば、原発リスクの集中化が達成でき、それだけ安全性も増すことになる。EUの成り立ちが、石炭や鉄鋼の共同管理であったことを考えれば、原発と風力や波力や太陽光を組み合わせた「水素の島」構想は現実味があるといえるだろう。なお、この原発を使う方法は暫定解であり、長期的には、以下のような方法により、水素が確保されるだろう。
<参考>
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20040906303.html
原材料水と太陽光はいくらでも使える。汚染物質を排出して空気を汚すこともない。そうやって得られる生成物も、環境にやさしくて素晴らしい、未来の燃料として称賛されている。水素エコノミー[水素燃料が普及した社会]へようこそ。
理屈の上では非の打ちどころがない水素燃料だが、問題は山積している。水素は宇宙で最も豊富に存在する元素だ。だが、水素は非常に「浮気性」で、何であれ近くを通りかかった原子と、ほとんど見境なく結合してしまう性質を持つ。たとえば、酸素のような原子に優しく抱擁されると、水を生成する。また炭素のような薄汚れた手で触られると、化石燃料になる。純粋な形の水素はなかなか見当たらない。
現在のところ、水素燃料を作り出すコストは、水素燃料が生み出すエネルギーの価値を上回っている。水素燃料を生成するには、水を電気分解するか、天然ガスなどの化石燃料から水素を抽出するか、どちらかの手段をとらなくてはいけないからだ。
だが世界中の科学者たちは、より低コストで水素を生成する方法をいち早く見つけようと競い合っている。先週も、米国、イギリス、オーストラリアの科学者グループがそれぞれに重要な成果を発表した。
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学『原材料・エネルギー変換研究センター』のクリストファー・ソレル教授は、「実用に耐える知的財産(IP)を開発した者が、将来、現在の石油輸出国機構(OPEC)と同じ立場になれるのだから、競争になるのも当然だろう」と述べた。
先週、ソレル教授をはじめとする研究者たちは、自分たちの研究所で開発された先進的な素材によって、安価に水から水素を生成するソーラーパネルが7年以内に製品化されるとの展望を示した。この生成方法は、ソーラー水素生成として知られている。
やはり先週、米国ではバージニア工科大学の研究グループが太陽光を使った別の水素生成法を発表したが、そのリーダーを務めるカレン・ブリューワー氏は、オーストラリアのチームほどは熱くなっていない。
「競争だという感じはしない。研究者たちは協力しながら熱心に研究しているし、自分たちの研究がどこまで進んでいるかといった情報も非常に気軽に交換している。確かに結果を出さなければいけないというプレッシャーは感じている。誰だって一番になりたいからだ」と、ブリューワー氏は語った。
水素燃料そのものは新しい発想ではない。最初の水素燃料電池はウィリアム・グローブ卿によって1839年に発明されている。だが、温室効果ガスを抑制し、石油への依存をなくすことを目的に、この技術への関心が高まったのは最近になってからだ。
米国では昨年、連邦政府が12億ドルをかけた『水素燃料構想』を打ち出した。ヨーロッパや日本にも重要な研究プログラムが存在する。だが、水素エコノミーを実現するには、水素生成のコストを下げなければならない。
ニューサウスウェールズ大学のソレル教授によると、同大学の研究グループは酸化チタンセラミックに手を加えた素材をソーラーパネルに使用し、課題となっているコスト削減に成功したという。酸化チタンには適切な半導体特性と耐水性があるため、ソーラー水素の研究に多用されている。しかし、手を加えないままでは効率の面で十分ではない。
そこで、ソレル教授のグループは、酸化チタンの特性を微妙に変える10の重要な要素を突きとめた。そしてこの要素を操作することで、効率をかなり向上させたという。だが、この技術にはまだ改善の余地がある。この研究グループの次の課題は、特性に影響を与える要素を変化させて、さらに質の良い材料を作り出すことだ。
「装置を作るまでには5~7年かかるだろうが、必要な人的・物的資源さえ獲得できればもっと早く実現できる」と、ソレル教授は語った。「まだ解明できていないことが何かということは把握しているし、自分たちが何を目指しているかもわかっている。あとはただ、何千回も繰り返して実験を行なうだけだ」
「(今回の発表はみな)楽観的で、まだ解明されていない部分を残しているが、こうした発表ではよくあることだ」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)『エネルギー・環境研究所』の「地域における代替電力分析グループ」の責任者、スティーブン・R・コナーズ氏は述べた。コナーズ氏は、すべてのソーラー水素計画に共通する未解決の課題として、太陽光量の変動、水の純度、蓄電や配電といった問題を挙げている。
それでも、太陽エネルギーを使って水を分解する方法の開発は、水素研究における最も重要な分野の1つだ。
「太陽光は基本的に未利用の資源だから、水素生成に使用してもエネルギーコストは一切かからない」と、バージニア工科大学のブリューワー氏は言う。
ブリューワー氏のグループは、超分子分子と分子が相互に作用することにより、新しい機能を持つような分子を使って電子を集めようと、開発を進めている。
これはよくできた仕組みだ。通常、電子どうしは反発しあうが、ブリューワー氏のグループが開発した分子マシンは、電子を集めて活性金属のある場所へと送りこむ電子はそこで水から水素を分離する役割を果たす。
科学者たちが研究している技術は、太陽光を使ったものばかりではない。イギリスのリーズ大学『エネルギー・資源研究所』の研究グループは先週、ひまわり油、空気、水蒸気だけで水素を生成する装置を試験的に開発したと発表した。この装置には、2種類の非常に特殊な触媒1つはニッケルから、もう1つは炭素から作られているが使われている。2つの触媒を交互に使用して酸素または二酸化炭素を蓄積・放出する間に、水素が断続的に生成される。
この研究グループの声明によると、このシステムを使ってガソリンスタンドに水素を供給し、自動車に充填できる可能性があるという。これは、水素燃料研究の重要性を示すさらなる証拠だ、とブリューワー氏は述べた。だが、水素エコノミーがいつ登場するかを予想するのはかなり難しい。
「現時点では、知識不足というよりは、利用できる人的・物的資源の不足が著しいのだと思う。結局のところ、水素エコノミーの実現までにかかる時間は、人々がどれだけの資源を割く気になるか、という点にかかっている」と、ブリューワー氏は指摘している。」
このような、水素化の技術は、日英米といったシーパワーが握っており、ランドパワーを追い詰める切り札になる。ここに、日英提携の可能性がある。そして、日英提携により、水素化技術を実現し、二酸化炭素排出を押さえることで、地球温暖化を防止し、かつ、水素化技術を中近東諸国に提供することにより、中近東の水素化と、彼らにとって死活問題であるバイプロダクトとしての水の量産が可能になり、温暖化防止、砂漠の緑化、結果として中近東をシーパワー陣営に繋ぎとめることができるようになる。つまり、現在、我々がアラブに原油を依存しているように、彼らは、水素化の技術を保有する我々に水を依存することになるのだ。これは、彼我の立場、力関係を180度転換させることになる。
そして、このような調略はまさに英国のお家芸であり、日本はそれに協力すべきである。これを第十八計擒賊擒王策「賊を擒えんには王を擒えよ(ぞくをとらえんには、おうをとらえよ)」という。中国の杜甫の詩、「人を射んとすればまず馬を射よ、賊を擒えんとせばまず王を擒えよ」から。
日本では「将を射んとすれば、馬を射よ」という諺になっている。アラブへの道はシーパワーの宗家であるロンドンにおいて、開かれている。
この戦略の骨子は、有史以来、ピボタルポイントや水や原油の奪い合いにより、幾多の諸民族が興亡をくりかえしてきたため、自然を破壊し、荒々しい闘争的一神教を生んだ中近東の文明のベクトルを、シーパワーが「水」を提供する事により、かってのような緑を回復させ、調和と融合の文明へと向けるという日本にとっても重大な文明的、世界史的意義をもっている。地球環境が危機を迎えた今日、アクエリアスによる温暖化防止、中近東緑化の重要性は地球の運命をも左右するといっても過言ではない。そして、この戦略は原油や天然ガスをエネルギー戦略の柱とするロシアや資源パラノイアと化した中国と、必ず対立する。日本史の関が原合戦は、家康と三成の事前の調略で決着がついた。しかし、来るべき、中近東を舞台にした現代の関が原は、同じように事前の調略で決着がつくだろうか。むしろ、この調略を実現させないと、中近東には核戦争による破壊が現実のものとなる。時間は、あまり残されていない。
<参考>
http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/eurasian/060213.html
「ロシアは今年、ウクライナとの価格交渉決裂や大寒波により、欧州向けガス供給を二度にわたり削減した。特にウクライナ向け供給を政治目的に利用したことで「エネルギーの安定供給国」としての信頼性は大きく揺らいだ。厳冬期にガスを削減されたイタリアは今回のG8財務相会合で、資源国に安定供給を促す声明案提出の動きを見せ、ロシアへの不信感を示した。
ロシアが石油企業ユコス解体など石油業界の国家支配を強めたことや、ユコス危機を石油価格高騰に誘導したことも、7カ国が求める石油業界透明化に逆行した。
ロシア石油産業の国有化比率は2年前まで7%だったが、現在は27%。シベリアの刑務所に投獄されたホドルコフスキー元ユコス社長が見せしめとなり、民間石油企業の幹部はすべて政権寄りに寝返った。
欧米はプーチン政権のエネルギー戦略を「現代版エネルギー帝国主義」(英紙ガーディアン)とみなしつつあるが、石油価格高騰やエネルギー需給逼迫の中で、ロシアの独走を阻むカードがないことも事実だ。プーチン・ペースのエネルギー論議が進みそうだ。 」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060923/mng_____kakushin000.shtml
サハリン2事業中止命令、外資権益を排除
「日本企業も出資するロシア・サハリン州の石油・天然ガス開発計画「サハリン2」に対し、ロシア政府が事実上の事業中止命令を出した。環境対策の不備を名目としながら、外資独占で進められてきた事業の主導権を奪い、ロシア政府系企業に与えるのが真の狙いといわれる。手段を選ばぬプーチン政権の戦略に、資源小国・日本もほんろうされている。(モスクワ・稲熊均、経済部・古川雅和)」
