世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL132

今回は、既にアメリカのイラク撤退が決まった中東情勢の今後について、同じようなランドパワーの歴史とのアナロジーを見つつ、検討したい。アメリカの今後のイラク政策は、下記記事に見られるごとく、米軍の段階的撤退やイラン、シリアとの直接対話になるだろう。
<参考>
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http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061208AT2M0701W07122006.html
対イラク超党派報告書、イラン“歓迎”・イスラエル反発
 米超党派の「イラク研究グループ」(ISG)が提出した報告書で米軍の段階的撤退やイラン、シリアとの直接対話を打ち出したことに、中東諸国では思惑が交錯している。イランは米軍のイラク早期撤収を対話の条件に挙げ、シリアも“歓迎”の意向を示す。一方、イランと敵対するイスラエルは反発し、スンニ派中心の穏健アラブ諸国は戸惑いを見せている。

 7日のイラン学生通信によると、イランのラリジャニ最高安全保障委員会事務局長はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでの講演で「米国を支援する用意はあるが、その前に米国がイラクからの米軍撤収スケジュールを確定させなければならない」と述べ、米軍の撤収計画の前倒しが協力の条件だと言明した。 (07:01)
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まず、何度も述べたことであるが、中東は、世界の関が原であり、エネルギー供給源でもあるという意味で、最重要地域だ。そこには、世界の覇権をかけてランドパワーとシーパワーが集中する。そして、覇権の争奪と平和の達成には、歴史を超えて、普遍的な法則があるはずだ。現在の中東情勢は、イラン-イラク戦争以来、間断の無い戦争が継続しており、この状況は、欧州における、近代国家の始原とされる、30年戦争とその後のウェストファリア条約の締結、さらには、20世紀の二度の世界大戦に通じるものがあると考えられる。
30年戦争は、1618年~48年の30年間に、ドイツを中心に欧州各国が参戦した宗教戦争。 きっかけは、ボヘミア王フェルディナントの新教徒圧迫が原因で、ドイツ新旧両教徒諸侯の内戦としてボヘミアで勃発。旧教側にスペイン、新教側にデンマーク・スウェーデン・フランスが加担し国際戦争に発展。
主な戦場となったドイツは国土が荒廃し、皇帝権の弱化による諸邦の分裂と相まって、著しく近代化が遅れることになった。
ウェストファリア条約は、三十年戦争を終結させた条約。 1645年からドイツの Westphalia地方のミュンスターとオスナブリュックとに分かれて 講和会議が開かれ、各国の利害が衝突してなかなかまとまらなかったが、 1648年10月24日に調印された。 この条約の結果 それまでヨーロッパで優位を誇ったハプスブルク家の勢力は後退し、 フランスとスウェーデンが強国となって台頭するようになった。 ドイツ内部ではブランデンブルクが勢力を伸ばすことになった。 したがって いちばん打撃を受けたのがオーストリアとスペインの両ハプスブルク家であった。 ドイツの諸侯は皇帝に対する独立の度合をいっそう強め、 神聖ローマ皇帝の地位はいよいよ名目的な存在となった。 オランダは独立を最終的に承認され、 またすでに中世末期に神聖ローマ帝国から事実上独立していたスイスが ウェストファリア条約で独立を正式に承認された。
  1914年から1945年にわたって戦われた二度の世界大戦についても、主要な戦場であった欧州大陸は荒廃を極め、いわゆる鉄のカーテンを挟んだ東西欧州の分断とNATOとワルシャワ条約の両陣営による冷戦がもたらされた。
   いかがであろうか。この欧州大陸における、17世紀前半と20世紀前半にそれぞれ戦われた「30年戦争」の歴史的推移と結末には相似性が見られる。
   私の国際情勢の分析手法は、各国の機密文書や機密情報、いわゆる一次情報に頼るものではなく、歴史のパターンや法則から、その傾向と結末を予測するというものだ。このような観点から、欧州大陸で繰り返された闘争の歴史と結末は、今後の中東情勢を読み解く上でも、参考になるだろう。
まず、隣接するランドパワー同士が、何らかの妥協点に達し、相互の尊重という合意点に達するまで、相当の期間の闘争を経験しないとなしえないことは、欧州の歴史が証明している。欧州では、国際秩序が回復するまで、30年の戦争を経験しなければならなかった。これを中東に当てはめて考えると、1980年のイラン・イラク戦争(イラン・イラク国境のシャトル-アラブ川河口付近の領有問題を直接的なきっかけとして勃発した戦争。 1980年0月、イラク軍のイラン侵攻によって開戦。 )から、現在にいたるまで、約30年の間、戦争を継続している。これは、歴史の法則や人間の心理について考えてみると、そろそろ厭戦気分が起きてもおかしくない。そして、中東30年戦争を戦ったシーア派とスンニ派は、チグリス・ユーフラテスを自然の国境として、「中東版ウェストファリア条約」もしくは、「中東版NATOとワルシャワ条約」を結ぶのではなかろうか。それが、もっとも自然な落とし所と考えられる。報道されるところによれば、米軍のイラク撤退後、サウジがイラク国内のスンニ派を支援するということを明らかにした。これは、事実上のイラクの東西分割、すなわち、スンニ派イラクとシーア派イラクへの分割への布石になるだろう。まさに、欧州における東西分断の最前線である、ドイツとイラクは地政学的に全く重なる。
<参考>
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http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2006-12-13T143214Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-239545-1.html
サウジ、米軍撤収ならイラク・スンニ派の支援を検討=新聞

 【ワシントン 12日 ロイター】 12日付の米ニューヨー ク・タイムズ(NYT)紙は、サウジアラビアが米政府に対し、イラクから軍を撤収させればイラクのスンニ派にシーア派と戦う資金を提供する可能性があると伝えたと報じた。
 NYTが米国およびアラブの外交筋の話として伝えたところによると、チェイニー米副大統領が11月にサウジを訪問した際、アブドラ国王がこのメッセージを伝えたという。
 副大統領のサウジ訪問は、イラク問題や、イスラエルとアラブ間の対立をどうやって解決するかなどを協議することが目的だった。この席でアブドラ国王は、シーア派が主流のイランと米国が外交交渉を行うことに強く反対したという。
 この報道について、米政府のコメントは得られていない。
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このような理解を背景に、戦略を構築してみる。まず、アメリカとしては、イラク撤退は既定路線であり、その後はサウジに兵力を集中し、スンニ派イラクをサウジに支援させるというやり方しか、ありえないだろう。そのためには、シーア派イランの脅威が大きければ大きいほどよい。
 穏健派の親米湾岸諸国の立場で考えると、イラクの東西分割により、シーア派の勢力がチグリス・ユーフラテスまで伸張してくることは好ましくはないが、現時点でそれを防ぐ手立ては存在せず、むしろ、メソポタミア地域の支配権をイランに譲ることで、イランの妥協を引き出し、停戦への合意をとりつけるしかない。イランにとっても、長年の宿願であった、メソポタミア地域の支配権が確立できるのだから、悪い話ではない。
 このように考えると、イラクを東西に分割し、チグリス・ユーフラテスを自然の国境にすると、冷戦期の欧州と同じような均衡と安定が中東にもたらされることになる。その過程で、アメリカの湾岸諸国への軍事駐留が正当化され、政権の傀儡化が進むのではないか。
 この、イラクの東西分割案は、一見、周辺国全ての利益に結びつくように見えるが、イスラエルにとっては、不安定材料になるだろう。
つまり、シーア派とスンニ派が、チグリス・ユーフラテスの線で手打ちをすれば、すなわち、それは、中東諸国全てから敵視されるイスラエルにとっては脅威となる。そのため、イスラエルにとっては、イランを何とかして、スンニ派との戦争に引き釣り込むという誘引が存在することになる。
そのため、イスラエルでは、対イラン、先制攻撃論が常に存在する。
<参考>
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http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006121501000575.html
対イラン単独攻撃辞さずイスラエル国防次官
 【エルサレム15日共同】イスラエルのエフライム・スネ国防次官は15日までに共同通信と会見、イランの核兵器保有を阻止するため「武力行使は最後の手段だが、時には唯一の手段だ」と述べ、国際社会が有効な制裁などで核開発を止められなければ、イスラエルが単独の先制攻撃を辞さない方針を言明した。
 強硬な発言の背景には、イランをけん制すると同時に、国際社会に早期に強力な行動を促す狙いがあるとみられる。スネ次官は、イランが今後数カ月で、外部の支援を得ずに核兵器製造につながるウラン濃縮技術を獲得する「手遅れの状態」に達する可能性があると強い
危機感を表明した。
 外交手段でイランの核開発を止められない場合について、次官は「イスラエルは誰にも頼らず、単独行動を想定している」と明言。作戦は「完ぺきに遂行されるだろう」と述べた。
(2006年12月15日 20時07分
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このように、中東における勢力均衡、つまり安定の達成はイスラエルにとっての死活問題だ。イスラエルは、かって、イラン・イラク戦争において、劣勢であったイランを支援し、戦争を長引かせることに腐心したように、スンニ派とシーア派が争乱を続けることが、自国の安全保障の根幹と考えている。
  このように考えていくと、中東の最大の問題は、やはり、イスラエルの出方をどう読むかだ。周知のように、イスラエルの代理人としてアメリカをイラク戦争に追い込んだネオコンは、政権を去り、アメリカの外交方針を現実主義の勢力均衡、すなわち、冷戦方式に戻すということを骨子にする「対イラク超党派報告書」が提示されたということは、アメリカはイスラエル切捨てに動くということではないか。
歴史を見れば、かつて米大統領だったレーガンもユダヤ系のロビー工作により、レバノンに派兵したことがあった。だが、アメリカ大使館に一台のワゴン車が突入し、大爆発を起こした。この爆発で米兵60人が死亡、120人が負傷した。結果として、保守層からの批判が強まったところでレーガンはポラード事件に象徴されるユダヤ離れを演出し、保守層の支持を取り戻した。ポラード事件は、八五年十一月、米国連邦捜査局(FBI)は米海軍情報分析官のユダヤ系米国人ジョナサン・ポラードをイスラエルのスパイ容疑で逮捕した事件。ポラードは米国の偵察衛星が撮影した秘密写真などの機密文書を「モサド(諜報特務局)」とは別の情報機関「レケム(科学情報局)」に渡していた。

 ポラードは終身刑で服役中だが、イスラエル政府は九五年にポラードにイスラエル国籍を付与し、釈放を要求している。
  つまり、今後の中東情勢は、アメリカによる「イスラエル切捨て」如何によって、平和裏の勢力均衡か、イスラエルによるイラン攻撃が現実のものになるかだ。
 <参考>
------------引用--------------
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200608300108
イスラエルがドイツから最新鋭の潜水艦を購入、用途はイランに対する核報復攻撃用
【テクノバーン】(2006/8/30 01:08)イスラエル国防省は今月、2隻のドルフィン級潜水艦をドイツから購入した。25日付けのワシ
【テクノバーン】(2006/8/30 01:08)イスラエル国防省は今月、2隻のドルフィン級潜水艦をドイツから購入した。25日付けのワシントンポスト紙(電子版)はこの潜水艦は「イランがイスラエルを攻撃するようなことがあればイスラエルは核兵器で報復攻撃を行うという明確な意思表示を示したもの」とする軍事専門家の見方を紹介。イスラエルとイランとの間で水面下で進行する緊張関係が終にはイスラエルをして核報復攻撃用の潜水艦を導入させるにまで至ったと紹介している。

今回、イスラエルがドイツから購入した2隻のドルフィン級潜水艦はドイツからの軍事支援協定に基づいて提供されたものとなる。

複数の消息筋の情報を総合するとドイツ国防省はイスラエル国防省の要望に応じて、ドルフィン級潜水艦に標準装備されている4つの650mm口径のミサイル発射管の内、2門を533mm口径のハプーンミサイル発射用に改造。さらに別の2門を潜水艦発射型長距離クルージングミサイル用に改造。イスラエルは2002年から核弾頭搭載可能なクルージングミサイルの実験をインド洋で実験(2002年6月15日付けワシントンポスト紙電子版)しており、この潜水艦には核弾頭を装備したクルージングミサイルを搭載してインド洋に実戦配備することによって、イランからの攻撃に対して核の傘で自国の防衛を行うものと見られている。

イスラエル政府はこれまで核兵器の保有に関しては否定も肯定もしてこなかったが、米露英仏中に次ぐ世界6位の核兵器保有国というのが共通した見方。保有する核弾頭は数100基に及ぶと見られている。

イスラエル海軍は米国との軍事支援協定に基づき、1988年に最初の1隻のドルフィン級潜水艦を米ミシシッピー州にあるノースロップ・グラマン社の造船工場で建造。米国の軍事費削減の影響を受けてこの軍事支援協定は1990年に破棄されたが、その後はドイツがアメリカに代わって軍事支援協定を締結して潜水艦の供給。この支援協定に基づく最初の潜水艦3隻は1995年にイスラエルに引き渡されていた(軍事支援協定に基づき建造費用はの半分はドイツが負担)。イスラエルは、その後、もう2隻の潜水艦の供給を受けることを強くドイツに求めていたが、ドイツ国内で紛争当事国に潜水艦を供給することに対する反対の声が高まったことを受けて、1995年からしばらくの間は供給はストップしていた。

日本人的な感覚では、核報復攻撃用の潜水艦を配備して常に臨戦態勢で望むというのは狂気の沙汰のように思えるが、イラクの核問題の専門家となるマイケル・カーピン氏はワシントンポスト紙のインタビューに応じて、航空機戦力は潜水艦に比べて脆弱性が強い。潜水艦で核の報復攻撃能力を持つことは核戦争において戦略上、非常に重要な要素なると、今回のイスラエルの決定を高く評価している。

「イランに冷静な政治的決断能力があれば核戦争の危機を犯してイスラエルに攻撃を仕掛けることはしないだろう」とワシントンポスト紙がインタービューを行った軍事専門家のポール・ビーバー氏もこの決定に好意的だ。

イスラエルの最大の支援国がアメリカ、そして核攻撃能力をもった潜水艦を提供したのがドイツ、また、イスラエルの弾道ミサイル「ジェリコ」の開発に協力したのがフランスという事実を考慮するとカーピン氏のような考え方はアメリカだけではく西欧諸国の指導者の間でも一般的な認識となっているようにも思われるところだ。

画像はイスラエル国防省が過去に公開したイスラエル海軍のドルフィン級攻撃型潜水艦(グリーンに塗られた船体が特徴)。標準では650mm魚雷発射管が6門。533mm魚雷発射管が6門装備されている(ただしドイツで生産されたものに関してはハプーンミサイルとクルージングミサイルを装備するために改造が施されている模様)。主な仕様は基準排水量1640トン、水中排水量1900トン。乗員30名。全長57.3メートルx幅6.8メートル。中東を基地にするイスラエル海軍の性格上、欧米の攻撃型潜水艦と比べるとかなり小型。
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以上

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コメント

まあ米軍が果たして
サウジに駐留できるのかだろうし
イランとサウジの仲はそう悪いのか
どうかだが
クウェートの様な小国にして見れば
イランは矢張り脅威かも知れぬし
クウェート等の小国に駐留する事は
可能かも知れないが
イスラエルがイランを攻撃し
イランが反米化した後なら
米軍はサウジに駐留出来るのかどうかだが
サウジも国内のテロや反政府運動を恐れて
欧州軍駐留を要求する可能性も
有る訳だろうか

サウジがイスラム原理勢力に傾く可能性が高いのです。それを阻止するためイランを利用します。国際金融資本の常套手段です。
マッチポンプというやつです。

http://tanakanews.com/g1219mideast.htm
サウジも親米派のバンダルのクーデターと言うのが
起こる可能性と言うのは
無いのかどうかだが
この侭ではアブドラ国王が
反米的な政策を採る可能性も
高い訳だろうか

サウジの政変に拠る民主化を
ケリーが仕組んで居た等と言う情報が
以前有ったかも知れぬが
バンダルがクーデターを起こして
親米的な政策を行っても
反米的な国民は此れに
付いて行くのかだが
中立的な政策を行うなら
反発を受けない可能性は
有るかも知れぬし
この侭アブドラ国王がサウジを支配すれば
サウジはイランやユーロ側に傾くと言う事だろうか

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