世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL142


胡錦濤中国国家主席とゴルバチョフ元ソ連大統領

今回は、前回に引き続き、激動の中東情勢の今後を検討する上で、私の分析の原点に立ち返り、「ランドパワーとシーパワー」の視点に立ち返って、今後の推移を展望してみる。米軍のイラン攻撃計画がBBCにすっぱ抜かれたのは、アメリカのイランに対する恫喝である。これは、戦国時代の城攻めがそうであったように、心理戦の一環なのだ。軍事戦略として、本気で攻撃するなら、その意図を秘匿するし、ブラフなら、情報を開示する。関係者の処罰がない以上、これは、意図的なリークとして、後者と見る。


<参考>
------------引用--------------
http://www.asahi.com/international/update/0220/012.html?ref=rss
米、イラン空爆計画を策定 英BBC報道
2007年02月20日20時18分
 英BBCは19日、外交筋の話として、米政府がイランの核関連施設だけでなく、主要な軍事施設に大規模な空爆を行う非常事態計画を策定したと報じた。米中央軍司令部(米フロリダ州)はすでにイラン国内の標的を選定。イランの核問題の外交による解決を目指し欧米の橋渡し役を果たしてきた英政府筋は、米政府が武力行使の意向を示唆することで、イラン側がかえって態度を硬化させかねないとの懸念を示している。
 BBCによると、米中央軍司令部が選定した標的には、イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設をはじめ、イスファハンのウラン転換施設、アラクの重水製造施設、ブシェールの原子力発電所が含まれる。これに加え、空軍と海軍の基地、ミサイル関連施設、各種司令部と攻撃対象は極めて広い範囲に及ぶという。
 米政府は現時点では武力行使に慎重な構えを崩していない。だが、BBCは、イランが核兵器を開発していると確認された場合か、イランが隣国イラクで米軍を攻撃し、多数の死者が出た場合、米軍が非常事態計画を実行に移す可能性を指摘した。
 ブッシュ米大統領は今月14日の記者会見で、イラン革命防衛隊内の部隊が隣国イラクのシーア派民兵組織に供与した高性能爆弾で米兵が殺傷されたとの疑惑に言及。イラン指導部の関与については不明としつつ、「何らかの手段を講じる」と牽制(けんせい)していた。
 一方、イラン側は国連安全保障理事会が求めるウラン濃縮活動の停止に応じない方針を改めて示しており、追加制裁決議に向け、米国を中心とした関係国の駆け引きが激しさを増している。
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まず、私の見るところ、世界はランドパワーとシーパワーの二陣営に分かれつつある。一方の盟主はモスクワであり、もう一方の盟主はニューヨークとワシントンだ。

ここで、モスクワを中心とする陣営とニューヨーク、ワシントンを中心とする陣営の最前線は言うまでも無いが、イラン-イラク国境だ。

このような理解を前提として、モスクワ陣営の問題点を検討してみたい。まず、モスクワ陣営はランドパワー連合であり、ランドパワーである以上、その行動には歴史的法則がある。つまり、ランドパワーの宿命として、行動予測が、ある程度、いや、私のレベルになると、98%くらいの確度で可能なのだ。そして、彼らの行動を予測する上での最も重要な教材は「歴史」だ。

例えば、日本の戦国時代は、今後の世界戦国時代を読み解く上での生きた教材だ。応仁の乱以降、大坂夏の陣にいたる、160年程の歴史を仔細に俯瞰すれば、人間の本質、争いの核心、戦術発展の方向性といった点で、非常に多くの示唆を得ることが可能だ。

このような視点に立って、戦国時代の日本と今日の世界情勢を対比させつつ、今後の中東情勢を検討してみたい。このような分析アプローチは、世の評論家数あれど、私しかとる事はないであろう。

まず、ランドパワー同士の連合や同盟の本質とは、いったい、何であろうか。実は、この問いに対する回答こそが、今後の世界情勢を読み解く上で、最も重要かつ核心的な示唆となる。

私は、ランドパワー同士の連合とは「力のバランスと利害の一致の均衡点」にのみ存在することができると考えている。

この点を、日本の戦国時代を教材に見てみたい。
VOL141で紹介した甲相駿三国同盟(今川、北条、武田の三国同盟)は国境を接するランドパワー同士の同盟として、現在の、モスクワ-北京-テヘラン反米枢軸と対比できる。

ここで、甲相駿三国同盟が成立したのは、一つには、今川が強大であり、武田や北条の侵略を寄せ付けず、かつ、今川の戦略目標が西(尾張や京)を向いていたという条件が必要だ。

今川義元の画像(大聖寺所蔵)
今川義元の画像(大聖寺所蔵) [今川義元]

武田にしても、東海道への進出が不可能なら、今川と同盟して信州に進出するしかないとの選択だ。この点に、上記の「力のバランスと利害の一致の均衡点」が存在したため、三国同盟は成立した。

次に、どうやって、この甲相駿三国同盟が崩壊したかを見てみたい。言うまでも無いが、永禄3年(1560年)の桶狭間の合戦で今川義元が織田信長に敗北し、嫡子の今川氏真が弔い合戦を放棄するという失態を犯したためだ。

検証・桶狭間戦
検証・桶狭間戦 [検証・桶狭間戦]
検証・桶狭間戦
検証・桶狭間戦 [検証・桶狭間戦]

氏真は蹴鞠を好み、和歌をたしなむ文化人であったようだが、軍事に関する才覚は持ち合わせていなかったようだ。1562年に元家臣であった三河の松平元康(徳川家康)を攻撃したが振わず1566年頃までに三河を失い、徳川氏の独立を許す。その後、徳川家康と武田信玄は、今川領である遠江と駿河を大井川を境に分け合うという密約を結ぶ。
1568年、信玄はそれまで今川・北条と結んでいた甲相駿三国同盟を破棄し、電撃的に駿河へ侵攻する。今川軍も応戦するものの戦い半ばで総崩れとなり、氏真は駿河を放棄し朝比奈氏の掛川城に籠城する。この氏真を攻めたのが、遠江へ侵攻した家康である。

その後、氏真は、相模の北条氏を頼って落ち延び、ここに、戦国大名今川氏は滅びると同時に三国同盟も滅んだ。この間、桶狭間から、たった8年!その後、武田氏も北条氏も、世代交代後、それぞれ織田信長、豊臣秀吉に滅ぼされるのだから、三国同盟崩壊によるパワーバランスの変化は、この駿河、甲斐、相模三国の地政学的な位置づけを根本的に規定したことが分かるであろう。なお、今川氏真は、戦国大名としての立場を失った後、家康の庇護を得て、江戸で高家として、幕府仕えた。夫人は北条氏の出身だが、最後まで連れ添い、大変、仲がよかったという。大名としての立場は失ったものの、人間としての幸せはあるいは、あったのではなかろうかと推察される。
このように、「力のバランスと利害の一致の均衡点」を失えば、ランドパワーは容易に滅びるのだ。そして、歴史を見ても、偉大な指導者は、「力のバランスと利害の一致の均衡点」を見出し、その確保に全力を傾け、成功した。
世界史では「力のバランスと利害の一致の均衡点」を見出すことに成功した指導者がビスマルクで失敗した指導者がヒトラーだ。が知る限り、ランドパワーの指導者で、この罠に嵌らず、優れた外交手腕を発揮したのは、プロイセン首相を務めたビスマルクである。ランドパワーたるプロイセンの周囲には、ロシア、オーストリア、フランス、イギリスという列強があり、神聖ローマ帝国全体をさえ纏め得ないプロイセンに勝機はあり得なかった。
 ところが彼は、列強各国が抱いていたフランス憎しの感情を利用して対仏同盟を主導し、最終的に普仏戦争に勝利してフランスに城下の盟を誓わせた。対内的にも恐怖政治を誘導することなく、巧みな内政を駆使し、オーストリアを除く旧神聖ローマ帝国領の大半を併呑した。
 最終的に武力行使という手段を使ったが、これはフランスに外交上の完全な敗北を認識させるために行使したもので、国を賭けての戦争ではなかったことに特徴がある。あくまで外交というソフトなアプローチで望み、ときには利益をちらつかせ、ときには威嚇を見せつけ、武力行使を極力伴うことなく戦略上の勝利を築き上げた。オーストリアと戦争した際には、ウィーンまで進軍すべしという参謀の進言をはねつけ停戦し、後の対仏戦の際のオーストリアの好意的中立を勝ち取った。
 ビスマルクはドイツ帝国には海外植民地は不要との立場だった。外交政策を尽くした上で、その延長に必要最小限の戦争を考える、孫子にも通じる戦略である。反対に、次世代のウィルヘルム皇帝と幕僚は第一次大戦後、亡命先のオランダで孫子を手に取り、「もっと早く読むべきだった」と悔やんだとされる。

 ビスマルクを失って以降、ウィルヘルム皇帝の海外植民政策はイギリスのそれと対立し、第一次大戦に至る。ウィルヘルム皇帝は第一次大戦後、亡命先のオランダで孫子を手に取り、「もっと早く読むべきだった」と悔やんだとされる。
これは、ビスマルクを武田信玄、ウィルヘルム皇帝は勝頼とみなせば理解できる。
世の中が乱れれば、乱れるほど、この「力のバランスと利害の一致の均衡点」を見出すことが難しくなり、いったんそれを見誤れば、容易に崩壊する。それが、ランドパワーの宿命だ。注意すべきは、近代的意味での国家とは、国民のものでなければならない事だ。これはフランス革命以来の鉄則であり、国によって官僚制や資本家の力の強弱こそあれ、「国民国家」という定義を否定できるものではない。
 言い方を変えると、「国家のオーナーが存在せず、指導者の民主的交代が有りうる」ことが近代国家の最低条件だ。しかし、ロシアや中国に代表されるランドパワーにはこの定義が当てはまらず、それぞれ、スターリンや毛沢東が、内戦や外戦を勝ち抜いて建国したことをみても、ランドパワーの本質を戦国大名と考えると、戦国大名の本質とは言うまでも無く「戦争に勝つ」ということで、戦争に勝ち残ったことをもって、支配の正当性としているわけだ。
中国や旧ソ連の体制とはそのように理解すれば、「近代的国家ではなく、あくまで毛沢東やスターリンといった大名の封土」という意味がわかるだろう。

 こういう戦国大名体制の問題点とは何であろうか。それは「戦争に勝った」大名を失えば、容易に滅びるということだ。これは、信玄を失った武田家や道三を失った斉藤家あるいは、三国時代の魏や蜀が曹操や孔明を失い、あっけなく滅んだことを見ればわかるであろう。ナポレオンやヒトラーやサダム・フセインもこの点において、差は全く無い。

 要するに、旧ソ連の崩壊や現在の中国の争乱(確実に崩壊への序曲)とは、とりもなおさず「毛沢東やスターリンといった戦国大名(オーナー)を失い、その統治の正当性、能力を失ったため崩壊した」ということにほかならず、別の言い方をすると、江沢民や胡 錦濤といった「戦争に勝った経験がなく、官僚でしかない人間」にはランドパワー大国たる中国を押さえることができないのだ。
 もっとはっきり言えば、実戦の経験が無いランドパワーの指導者は、国内の反対勢力に「舐められる」のだ。
以上のような理解を前提に、モスクワ-北京-テヘラン枢軸の今後を予測してみる。
まず、この三カ国の中で、本気でシーパワー連合と対立しようとしているのは、モスクワしかないと考えられる。何故なら、北京やテヘランは経済発展のために、シーパワーの資本や技術を必要としているからだ。彼らにとって、シーパワーとガチンコ対決する必然性というのは、実は存在しない。むしろ、シーパワーとガチンコ対決する上で、先端兵器の自主開発力とエネルギー資源確保は必要条件だが、独力でこれらを達成できるのは、モスクワだけだ。つまり、北京やテヘランは、実力的にシーパワーに対抗することができないのだ。これは、要するに、第二次世界大戦前夜、世界がブロック化していく中で、負け組みの日独伊が同盟を組んだ戦略状況と同じだ。
では、何故、北京とテヘランはモスクワと組んでいるのか。其の理由の最大のものは、シーパワーを操る国際金融資本との間で、「力のバランスと利害の一致の均衡点」を見出すために、同盟しているのだ。これは、例えば、会社で言えば、資本家の代表である経営者に対して、弱い立場の労働者が団体交渉するようなものだ。
すなわち、上記のような本質的な脆弱さをもった、相対的に弱い立場のランドパワーを労働者、シーパワーを資本家と置き換えると、現在起きていることの真相が見えてくる。すなわち、中東大乱というのは、「スト(戦争)突入前夜の春闘(条件闘争)」なのだということが。
経営側は何とかストを回避したい。労働側は賃上げを達成したい。ではその落としどころは?御用組合がよくやる手だが、「スト突入直前での妥結」だ。このシナリオは実は労使で水面下で意識あわせが行われ、いわば、阿吽の呼吸でなされなければならない。
そして、上述の三国同盟が、今川義元の討ち死に後、あっけなく滅び、ドイツ帝国がビスマルクの退任後、簡単に崩壊したことに見られるように、ランドパワーの「力のバランスと利害の一致の均衡点」を見出す事は、優秀な指導にのみ可能だということが分かる。
このように考えると、現在のランドパワーの指導者、プーチン、胡 錦濤、アフマデネジャドは、それぞれ、スターリン、毛沢東、ホメイニという下克上の戦国大名の二代目であることが分かる。
つまり、三国同盟を締結した武田信玄、今川義元、北条氏康をそれぞれ、スターリン、毛沢東、ホメイニと置き返ると、プーチン、胡 錦濤、アフマデネジャドは、それぞれ、武田勝頼、今川氏真、北条氏政に該当する。
このような、二代目が領国経営に着手すると、先代には従っていた、国内の反対勢力が徹底的に反発し、求心力が弱くなるという法則が働く。それを阻止するためにも、外国勢力と手を結び、政権基盤を固めようとするのだ。これが、現在起きていることの真相だ。
このように考えると、シーパワー連合は、この二代目ランドパワー連合をどのように料理すべきか。ここにこそ、戦略家としての能力が試される事になる。
いうまでもなく、この状況で、シーパワー連合が取るべきは、ランドパワー連合の「離間策」だ。具体的には、モスクワと北京、モスクワとテヘラン、北京とテヘランのそれぞれに対して、離間策を仕掛け、三国の中でも、最も脆弱性の高い、北京を脱落させ、対ロシア鉄砲玉に使うのだ。前例としては、毛沢東がソ連と手を切って、日米陣営に加入し、冷戦におけるパワーバランスを大きく変化させた事が上げられる。毛沢東は、スターリンの後ろ盾で、第二次世界大戦を勝ち抜き、事実上、北京はモスクワの傘下であったのだ。これは、上述の甲相駿三国同盟の時代の日本に例えれば、スターリンが今川で毛沢東は松平という関係に相当する。スターリン死後、ソ連傘下から抜け出し、日米陣営に走った毛沢東の戦略は、まさに、今川義元死後、独立し、織田信長と同盟を結んだ松平元康(徳川家康)と同じであろう。

<参考>
------------引用--------------
http://www.21c-journal.net/book/20moutaku.html

 だが、毛沢東は違っていた。アメリカと共同で日本人民を支配しているとは言え、実際には自分自身もアメリカの支配下にある日本独占の中には、“親米独占”と“反米独占”とがあると見た毛沢東は、その矛盾を利用して日本独占を分断し、アメリカに対抗する勢力として中国と世界人民の側に獲得しようとした。

 ニクソン訪中時をはるかに上回る歓待をし、戦争賠償請求権をあっさりと放棄し、日米「安保」条約の存在をも認めて田中を驚かせた周恩来の外交は、毛沢東の戦略に沿って第二世界である日本を獲得するという強い方向性に裏付けられたものであった。

 「田中角栄と毛沢東」と題するこの本の最大の焦点は、これまで「政治の話はいっさいなかった」とされていた二人の会談の本当の中身を、ねばり強い取材によって明らかにしたことである。ページ数にしてほんの2ページほどにしかならないこの部分の記述は、これまでのどの記録にも記されていないものであり、毛沢東が「組むというのなら徹底して組もうではありませんか」と田中に日中同盟を呼びかけるという大胆なものであった。

 「三つの世界論」が、単に世界を解釈するためのものではなく、世界の矛盾関係を換えるための戦略であるということの意味はこういうことなのか。感銘を受けたのはまさにこの点であった。
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このように考えると、ランドパワーの同盟関係とは、強固に見えて、実は、非常に脆いという事が言える。ちょっとしたパワーバランスの変化が全体の崩壊に容易に繋がるのだ。シーパワーはこのようなランドパワーの脆さを理解した上で、「蜂の一刺し」をその弱点に与え、一揆を起こさせ、ダム決壊させる。これが、教科書に書かれた、ランドパワーの潰し方のお手本だ。映画スターウォーズでXウィングファイターがたった一発のプロトン魚雷を排気路に打ち込み、デス・スターを崩壊させたのと一緒だ。
それでは、現在の三国同盟において、「蜂の一刺し」に最も弱いのはどこか。私が見るところ、それは北京だ。
まず、プーチンはKGBに支えられた政権であり、国内の治安、軍事部門もかなり、掌握している。唯一の問題は国内のイスラム教徒だが、ソ連崩壊の偽装により、南部のムスリム地域を分離し、チェチェンを除き、それほど大きな国境紛争や民族問題を有し有していない。
次に、イランだが、こちらも、国内はシーア派で団結しており、分裂の可能性は小さい。何よりも、イラン、ロシア両国は資源大国であり、エネルギー供給に不安はない。
では、北京はどうか。私が見るところ、胡 錦濤は、江沢民の上海閥との権力闘争のみならず、人民解放軍すら、完全に掌握しているか不明であり、所詮、党官僚上がりの秀才としての印象しかない。旧ソ連のゴルバチョフに通じるキャラなのだ。
シナの歴史を見れば分かるが、あの広大な大陸を掌握するには、徹底したマキャベリズムと戦争の勝利は、必要条件だ。毛並みの良さや秀才であることなど、全く不要だし、むしろ有害ですらある。
この事につき、毛沢東は「政権は銃から生まれる」や反秦クーデターを指揮した陳勝は「王侯将相いずくんぞ種あらんや」(王や諸侯、将軍、宰相になるのに家柄が必要なわけではない。誰でもそういった顕位に登ることができるのだ)という名言を吐いた。これは、シナの歴史の核心を示すもので、政権は常にクーデターで、下層階級出身者が勝ち取ることこそが、「王道」すなわちあるべき姿ということだ。
そう考えると、秀才かつ能吏である胡 錦濤はキャラ的にシナの統治にふさわしくない人材と言える。
そして、VOL137で見たように、北京には、資源大国であるモスクワやテヘランと比べて、エネルギー確保に致命的弱点がある。つまり、原油輸入国でありながら、原油の戦略備蓄が存在しないのだ。
さらに、北京の抱える問題点として、
① 失業率と貧富の差が非常に大きく、富まざる者の人口が膨大(数億人?)盲流となって、都市部に流入
② 水のボトルネックが深刻
③ まともな社会福祉制度がないため、高齢化に対応できない
④ 国有企業や金融部門の改革が進まない
⑤ 経済の外資依存度が高すぎる(輸出の半分は外資系)
⑥ 技術レベルが低く、国際競争力のあるソニーやホンダに相当する国内企業(外資除く)は少ない。低価格労働力のみが売り物で為替を低く抑えることでのみ、達成される。
⑦ 一党独裁により、汚職の浄化機能が働かない
⑧ 法治でなく人治、ルールが突然変更される
⑨ 米国、日本、台湾など投資と貿易相手国と多くの摩擦、安保問題を抱えている
⑩ 農村や内陸部の改革が進まず、膨大な不良債権と化している
⑪ 日本や先進国との間で人の移動自由化は民族問題、犯罪発生を生むため不可能
⑫朝鮮半島、チベット、ウィグル、内蒙古での民族問題
⑬シベリアの中国人増加がロシアとの対立を惹起
といった、内外の不安定要因を多く抱えている。さらに環境の問題がある。今後数十年を経ずしてユーラシア大陸内陸部は環境破壊により、人類の生存が難しくなる地域が増大すると推定される。例えば、中央アジアのアラル海の2/3は農業用水、工業用水の使い過ぎによって干上がってしまって、砂漠になってしまっている。中国では、北京の北、天安門から70キロの所に砂漠が出現している。すなわち地球の温暖化に伴って、中国においては砂漠が急速な拡大を見せているわけであり、北から南へ砂漠がどんどん下へ降りてきているのである。
 研究者の中には、中国では今後50年以内に3千万人の環境難民が発生すると考えている者もいる。中国の北部一帯は全部地下水の枯渇に直面しており、北京は既に、59メーター掘らないと地下水が出てこない。どんどん地下水を組み上げているから、年間1.5メートル位、地下水の水位が低下している。中国の砂漠の拡大スピードは、一年間に2460平方キロ。これを1秒間に直すと78平方メートルずつ、全中国で砂漠が拡大している。1998年までに砂漠化した土地の面積は262万平方キロ。日本の面積の7倍位が、もう砂漠になってしまっている。砂漠は北京へ進撃を続けているが、1年間に3.4キロメートルずつ進撃している。つまり、天安門まで70キロだから、このままいくと、恐らく30年から40年で北京は砂漠化するであろうと考える。
このように、北京は抱える矛盾が多すぎ、どこか一つでも穴が開けば、全体が決壊することは目に見えている。このような脆弱な北京を三国同盟から離脱させることができれば、イランも強気ではいられない。必ず、折れるだろう。そして、北京を折れさせる鍵は原油供給と通貨政策の二つで圧力をかけることだ。具体的には、ホルムズ海峡封鎖と人民元切り上げ要求だ。
すなわち、イランとの戦争になれば、ホルムズ海峡封鎖は自明でり、その事をもって、北京を恫喝する。その上、為替操作国として、批判しつつ、外資撤退に拍車をかける。これで北京は確実に折れるだろう。
逆に言えば、この圧力で北京が折れず、イランのバックアップを継続するなら、イラン攻撃は現実化するだろう。
今後は、豊臣秀吉並の城攻め戦略で、モスクワ城、北京城、テヘラン城を孤立させ、各個に落としていく、そのような戦略と調略が必要になる。秀吉はこの城攻めに無類の才能を示し、戦争を一種の経済政策や土木工事にし、死傷者がなるべくでない形で、日本の統一を行った。以下に秀吉の城攻めの代表としての三木城攻めを見てみる。北京に対する兵糧攻めを実行する上で、参考なるであろう。
<参考> 日本の食料自給率と豊臣秀吉の鳥取城攻め
城は大将やその家臣たちが生活する場所であり、一国の行政機関の中枢という役割も兼ねる。そのような性質を持つ城は当然、戦略上、防衛拠点という側面も持っている。城を守る城兵は必死に抵抗するし、攻撃側も城を包囲するには大軍を要する。したがって優れた武将は城攻めをできるだけ回避した。しかし、そのような性質を持つ城であるからこそ、それを「落とす」ということの意味は大きい。城を攻略せぬ限り完全勝利とは言いがたいのである。
ここではそういった城攻めの方法を紹介する。

城攻めで重要なポイントは

①城を孤立させること
②情報を遮断すること
③食料・弾薬の底を尽かせること

である。
そのための攻め方には大きく分けて4種類ある。城の形や構造、兵士の数やその強さ、援軍の有無などによって、どの戦法がよいか判断し、ときには数種を組み合わせて攻撃することもあった。

強襲 いわゆる、力攻めのことで、味方の犠牲を覚悟のうえで強行に城に突入する戦法。攻め入る方の兵力が少ない場合に使われた。
奇襲 城を守っている敵の油断を狙って攻撃する戦法。城の弱点を利用して忍び入り、援軍と偽って城を空けさせ、落城においこむ。
正攻法 その名のとおり正々堂々と攻撃する方法。宣戦布告状を敵に送りつけ、兵士や武器を十分に整えて出陣する。
長囲 水攻めや兵糧攻めなどの包囲戦で、持久を要する攻撃戦のことを指す。

おおまかな戦法は上の4種類であるが、もっと具体的な戦法を次に紹介する。

力攻め 「強襲」「奇襲」「正攻法」などの攻め方を全般的に指してこう呼ぶ。力を使って攻める、ということ。城攻めの基本的なパターンとして、ほとんどの場合にとり入れられた。
兵糧攻め 敵の城を完全に包囲し、食料・武器・弾薬の補給を断つ作戦。攻撃の前にあらかじめ、その領地の米・食料を高い値で買い取ってしまうのも、方法の一つ。敵の抗戦意志は弱まり、占領しやすくなる。
水攻め 長い堤防を作り、近くの河川をせきとめて、城の周囲に水を引き入れる。すると城の周りは水浸しになり、ひどいときは、湖の中に城が浮いているような状態になったという。秀吉の得意戦法の一つ。
干殺し 城内の飲料水を枯渇させるという戦法。忍者などを使って、城に通じる水源を破壊した。水はいわば城にとっての生命線。断水状態に陥った城内は、戦うどころではない。
火攻め 火を使って攻撃する方法。敵城に向かって火のついた矢を放ち、焼き討ちにするという戦法。城内に忍びを放ち、放火させるという方法もあった。
もぐら攻め 穴攻めとも呼ばれ、トンネルを掘り進んで攻める戦法のこと。鉱山の金掘り人を労役に使って、城内につながるトンネルを掘り、攻撃の突破口を開いたり、城の下に爆弾をしかけて一気に爆破させたりした。
<調略 使うのは人間の頭のみ。内部工作によって落城させるという、政治的な手段を用いた戦法。秀吉の小田原攻めや大坂冬の陣で使われた。

<参考>
------------引用--------------
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20070218/mng_____kok_____000.shtml

米の東欧MD基地建設計画
ロシア不信感
 【モスクワ=稲熊均】米国が東欧に弾道ミサイル防衛(MD)基地建設を計画していることに対するロシアの反発が激化している。プーチン大統領は「新たな(ベルリンの)壁をつくる行為」と非難。軍の高官からは、冷戦終結のさきがけとなった中距離核戦力(INF)全廃条約からの一方的離脱を求める声も上がっており、米ロ対立がさらに深刻化しそうだ。
 米国のMD基地計画はポーランドとチェコに迎撃ミサイルや追跡レーダーを配備するもので、米国はイランなどからのミサイル攻撃に対する防衛と説明している。
 しかし、ロシアは自国のミサイルが対象で、米ロ間の戦略バランスも崩れると批判。プーチン大統領は十日、ドイツ・ミュンヘンで開かれた安全保障国際会議で「ベルリンの壁は既に崩壊したのに、(米国は)再び壁をつくろうとしている」と演説、米ロ協調による国際的な安保秩序を危機に陥れると警告した。
 こうした発言を受ける形で、ロシア軍のバルエフスキー参謀総長は十五日、旧ソ連と米国が一九八七年に調印したINF条約は「意味を失った」と指摘。同参謀長によると、既にイランや北朝鮮などが中距離ミサイルを保有しており、米国より至近距離にあるロシアは対抗上、「(INF条約から)脱退する十分な根拠がある」という。
 翌十六日には上院のオゼロフ防衛・安全保障委員長が、二〇〇一年末に米国が米ロ間の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に離脱した例を挙げ、「ロシア側も米国との条約から一方的に離脱することはできる」とINF条約離脱を支持した。
 ロシアは現在、新大陸間弾道ミサイル「トーポリM」の開発を進め、今年一月には対空ミサイルシステム「TORM1」をイランに供与したことを明らかにしている。米国のMD計画への反発をテコに、軍強硬派がINF条約離脱にとどまらず、反米諸国を巻き込んだ新たなミサイル戦略を仕掛ける可能性もある。

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                    以上

コメント

>ランドパワーの脆さ

  この考えを敷衍すれば、朝鮮と中国を対立させるという手もありそうですね。
  白頭山や高句麗の帰属について中国と朝鮮(韓国)が揉めている辺りを見ても、実はあの二カ国は仲良くないのだと確信しました。
  中国の歴代政権が朝鮮を隷属させてきたのも、朝鮮の日和見的な性格を怖れていたと考えられますね。朝鮮と高句麗を同視すると歴史家の方に怒られそうですが、隋の煬帝は中華思想の観点からすると無礼極まりない聖徳太子の国書にも、返礼を送って日本と結ばざるをえなかったのでしょう。
  やはり、ランドパワーは大胆なようでいて脆いのですね。我が国の聖徳太子は、そこをきちんとわかっていたのでしょう。

  中国はロシアに対しても「天津条約の仲介」「アイグン条約」のような反感をもつ材料があるというのも、忘れてはいけないと思います。

そのとおりです。ランドパワーはどうやって分裂対立させるかが基本戦略ですそのためのカードに北も北京も使う必要があります

孔明さんの話は参考になります
私は地政学の他にハンチントンの「文明の衝突」を絡めて考えています
つまり、西欧と米国は対立するように見えて同じ文化園なので対立しないとか
ロシアは東方正教文明で西欧とは違う文明園であること
文明は対立しあうなど
ランドパワーのモロさというか中国史は常に分裂と統一の繰り返しで
1、農民発起
2、おかしな宗教が流行る
3、最初に謀反を起こす奴は失敗する
4、次に英雄が出てくる

この4点かと思います
すでに1と2は起こっており
3も起こってるかもしれませんね

まさに、中国をはじめとするランドパワーはその1-4のループをまわしているだけです