革命前夜
水を一次資源とするエネルギー供給システムは、遠からず実用化の段階を迎える。そして直ちに世界中へと普及するようになってゆくだろう。待っているための時間は既にない。このモデルを核にしたエネルギーシステムを速やかに供給していくことによって、最も合理的な社会システムを逸早く構築していかなければならない。水素エネルギーの登場は、既存の枠組みを大きく変える契機となるだろう。ことの成否を決定する鍵となるのは、水を分解する効率の高さとその持続安定性並びに安全性などの維持である。
水素資源を安定的に生産しこれを大量備蓄しておくための有効な技術には、これまでに複数の方法のあることが確認されている。残された課題は、水素を水から取り出すための方法の標準化ただひとつだけである。その他の技術に関するさまざまな方法は、最も合理的なモデルを一つだけ選択すればよいレベルに達している。水以外のあらゆる資源では、エネルギーと環境そして経済に通有する諸課題を解決することはできない。持続して再生する能力をもっていないエネルギー資源では、必ず飽和するという結果を生み出すのだ。この課題の持つ意味を認識することができるなら、惑星の回復と文明の再生は可能であろう。
手順書の抄録
住宅用の水素抽出モデルは、できるだけ小さなものの方が望ましい。技術開発は日々進んでいる。水素を原子の状態で備蓄しておく技術に人類が気づくなら、多くの研究者が一斉に手を挙げるだろう。真実はシンプルなものなのだ。エネルギー産業の研究所が最も早く水素原子の創出法を知る、という可能性は頗る高い。水色革命の要諦となる技術の核とは、電子スピンのエネルギーレベルを基底状態におくというだけのことなのだ。最も効果的な触媒の組み合わせ方が定まったら、それが世界標準のモデルになるだろう。水素ガスを圧縮して貯蔵する方法は、その時点で意義を失ってしまうのだ。同一の電子スピンをもつ水素原子同士は、共有結合をとることができない。従ってH2という分子となることができず、相互に反発しあうという物理化学的な作用は発生しなくなる。これが水素ガスの圧縮プロセスをなくし、水素資源を安定状態で長期保存しておけるようにするのである。触媒は、電子のもつ量子特性に作用する能力を秘めている。
水を元素にまで分解するその反応速度が早いものであるならば、水から直接水素原子を取り出すというシステムを構築することができるだろう。天然水がやっていることを人工的に効率化して、水素資源を取り出すというだけのことなのだ。水を一次資源とする方法に気づいたら、水素の状態にまで資源を精製しておく必要そのものがなくなってしまう。水分解反応を素早く行うモデルを導入することによって、水素を瞬時に取り出してやれば水素分子を貯蔵するというプロセスは基本的に不要なものとなる。水素ガスを高圧化して大量に備蓄しておくための設備は、そこにあっても殆ど意味のないものになってしまうだろう。
原油と並んで現在主流になっている炭化水素をエネルギー転換すると、地球のもつ水の絶対量が増えてしまうという深刻な副作用が新たに生じるのである。温暖化によらなくても、水位の上昇は既に引き起こされている。天然ガスを燃やすと二酸化炭素と気体の水が同時生成するからだ。天然ガスを燃やすと、大気の湿潤化が進んで降水量が増加するのである。これが新たな気候変動の要因になっていることを知るべきだ。このメカニズムについては後日別便で詳細を報告することになるだろう。
誰も知らないこと
水素を備蓄するのではなく水槽の水資源から直接水素が取り出せるようにする、というのが水色革命を成功させるポイントの一つになるだろう。この装置が行き渡るようになると、エネルギー消費は自動的に拡大してゆく。水はどこにでもある物質だからである。雨や雪になって落ちてくるものがそのまま資源として使えれば、だれも石油や天然ガスを買おうとは思わない。エネルギー資源を奪い合う必要もなくなるから、資源を守るための武装も排除することができるのである。水の発見によって、人類は枯渇しない究極の資源を遠からず手に入れる。雨水などを貯めておくことにより、自宅や企業などで直接エネルギーを取り出すというシステムが登場するだろう。夢のような話だと思うかもしれないが、量子特性を活用すればそんなことが可能になるのである。従って資源を調達するためのコストは、当然ながらかからない。これこそが智恵と呼ぶべきものであろう。
運転コストを最小化するモデルが標準化されると、普及は大いに早まるだろう。システムとしての環境負荷は、排熱を除けば限りなくゼロに近づく。水を循環させてエネルギーを取り出すというシステムであるところから、持続再生が可能な最終モデルになると言ってよい。つまり、人類が消費するエネルギーに制限というものはなくなってゆくのである。この方法を活用することによって、誰にもできない水素エネルギー社会を実現することができるようになるのである。プログラムは既にできている。その実現はタイミング次第。地下資源よりも低廉な水素資源でない限り、水色の革命は成就しない。経済合理性を確保することができなければ、人類を含むあらゆる生命の維持は極めて困難なものになる。統合システムの完成度が高ければ、イニシャルコストが高くても運用コストは低下する。量産段階では初期投資さえも大幅に縮小するようになるのである。普及のためのプログラムを少しく検討することにより、量産効果によるコストダウンの実現はより容易な仕事になるだろう。
混沌から秩序へ
手順に従ってシステムを進化させていけば、エネルギー消費を増やして文化生活を謳歌することができるようになるはずだ。電気代は基本的にかからない。ガソリン代も不用である。ガス代も消えてしまうだろう。システム設計と供給方法を工夫するだけで、エネルギーの安全保障は住宅単位でできる簡単なものとなる。殆どのエネルギーは、水からとりだすようなものになってゆく。水分解反応で必要とされる複合触媒は、簡単に手に入るものである。劣化が遅いためきわめて長い期間使い続けることができるだろう。
ライフタイムの長いキャパシタは、蓄電装置を買い替える必要そのものを生み出さない。住宅が健在であるうちは、蓄電ユニットをそのまま使い続けることができるのだ。電気を熱に変えるというのは、決して合理的な方法ではない。このため、蓄熱システムの開発は急務となる。解決策はたくさんある。この部分が充実してゆくと、熱源にかかるエネルギー負苛は最小化する。水分解で必要となる熱がそこから取り出せるようになると、最も発電効率の高い固体酸化物型の燃料電池を組み合わせることが可能になる。蓄電装置がそこにあるというだけでバッファ効果が生まれ、発電機にかかる負担を大幅に軽減することができるようになるだろう。発電機の小型が可能になるという訳だ。
温暖化防止は難しい課題ではない
京都議定書の遵守は、現段階でみるときわめて困難な課題であろう。たとえ現状を維持できたとしても、温暖化は止まらずに悪化する一方である。成層圏付近の二酸化炭素は自然に減ってゆくものなのだが、それには長い時間が必要なのだ。二酸化炭素を増やすのは簡単である。人口が増えるというだけで、その効果が引き出せる。戦闘機が空を飛び回ったり、軍用車輛や艦船が移動したりするだけで、より多くの酸化物を二次生成して大気中へ排出するようになるのである。軍事用の移動体は、エネルギーの消費効率を考慮して作られていない。民生用の移動体とは比較にならないほど二酸化炭素とその他の酸化物を大量に生み出している。戦闘訓練に励めば励むほど、CO2、NOx、SOxの濃度は上ってゆかざるをえないのだ。実際の戦闘になったら、大気圏に酸素化合物が短期間でどれほど増加するのだろうか。第二次世界大戦の末期には、二酸化炭素の大量発生が記録されている。
自動車の生産台数も年々伸びていた。メーカーの業績は、生産台数の多寡と収益率などで評価されている。たとえそれが温暖化の元凶になっていたとしても、自動車の生産台数を競いあっているというのがこの業界の姿なのである。温暖化はメーカーの問題ではなく、ユーザーに帰属する問題だということになっているようだ。二酸化炭素の次に多い温室効果ガスであるメタンは、CO2より20倍以上もの熱を貯め込む能力をもっている。六フッ化硫黄にいたっては二万三千倍の温室効果さえ発揮するのである。この物質は絶縁性能の高さが評価されて、変電所の断路器などに必ず使われているものである。人類が交流送電に依存しなくなれば、二酸化炭素と六フッ化硫黄によるリスクは減って行くだろう。交流送電に固有のリスクとロスとコストなどは、次世代のエネルギーモデルでは死語になっているはずである。交流送電に依存しない社会の建設は、決して不可能なことではない。原発の温存に拘っている一部の議員諸氏が、主務官庁と一般電気事業者にこれまで高い圧力をかけていた。核軍拡に転用できるリスクの存在にアメリカが気づいたため、原発の推進は日本にとって地政学的にはマイナス要因になるという国際環境が今生まれようとしているころなのだ。

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