ドル経済圏成立の来歴
国際経済の基盤になっている現在の石油・ドル本位制という枠組みは、ドル経済圏を主軸とする市場経済システムというべきものを生み出した。この経済基盤を作りだしていたものがIMF体制と呼ばれるものである。ドルで決済する仕組みを国際経済に与えて、ドル経済圏そのものの存立を支援するための土台を構成するという役割を果している。ドル・ショック以降ドルの価値を裏付けるものの代表が石油だとされ、その延長線上に今日の国際経済というものが成り立っている。先進諸国がIMFに積み立てたSDRと呼ばれる資金は、ドルの発行権をもつアメリカに通貨価値の補償を行うためのサブシステムになっている。当初はブレトンウッズ体制と呼ばれていたドルを機軸通貨と定めた連合国による合意は、金本位制から一方的に離脱したニクソンのあの時の決断以来、IMF体制と呼ぶべきものへと変貌を遂げている。
【前身のブレトンウッズ体制という名称は、第二次世界大戦の復興を進めるための方法について討議したワシントン郊外の地名から取られている。1944年のことだった。ヒットラーの自殺によってドイツの敗戦が確定したのは、翌年の五月のことである。二度の原爆投下で日本が受諾した敗戦という結果は、その三ヵ月後のことだった。連合国側では当時、戦後処理についての計画が既に討議され合意が成立していたのである。ドルが機軸通貨として認定されたのは、この時の会議で決まっていたことだった】
アメリカに繁栄を補償していた仕組み
ローカル通貨の一つに過ぎなかったドルが機軸通貨として指定されたのは、金の保有率で最も高い50%を確保していた国が当時のアメリカだったからである。その後フランスがドルと金との兌換を実際に求めたことから、アメリカの金保有率が半減してしまったのだった。そこで金本位制の桎梏から離れてドル経済圏を拡大するための方策が検討され、あのドル・ショックというものが生みだされている。金本位制から一方的に離脱するという意思決定の仕方は、時の大統領であったニクソンの英断によるものである。1971年のことだった。そこでドルという通貨の裏づけとするための新たな価値が必要となったことから、石油が担っていたエネルギー資源としての価値を以て金を代替するように変更したのだった。その結果経済基盤にあった上限という制約が消え、金融市場が急拡大するようになってデリバティブなどの新たな金融手法が編み出されていったのである。金のもつ量的な制約から離れてドル市場全体が急拡大したことから、米政府は爾来潤沢な資金を手に入れることに成功してきたのである。
為替市場では変動相場制への移行が進められ、固定相場制をとっていた日本もその枠組みの中に取り込まれていった。通貨価値の切り上げを迫られるようになり、一ドルが360円と定められていた円は、短期間でその価値を三倍相当にまで上昇させてしまうようになっていった。為替相場にみられる円の下限は、今の所120円の手前辺りに設定されているようだ。これ以上の円安は、ドル資産の還流を促す可能性を顕在化させるというアメリカにとっての危険性を秘めている。つまり円安の更新は、アメリカにとって大ごとになるのである。債権の償還とその還流が可能な状態になると、ドルの求心力が失われてそれが遠心力になってしまうことになるからだ。ドルが高くなり過ぎると、ドル資産に固定されていた資本が流動化するのである。このことは、驚異的な規模のインフレがアメリカで発生するということを意味していた。
ドルが高くなると、エネルギー資源を買うためだけでも余計な費用が発生することになる。これは物価の上昇と同じことなのだ。ドル高では債権国がもっているドル建ての長期債が解約され易くなるため、長期金利は自動的に上昇してしまう。ドル高になると、アメリカ国外では物の値段が上がると同時に、国内では債権国による長期債の売却が発生して長期金利は上がりだす。これだけで、世界規模のインフレと呼ぶべき状況が発現してしまうのである。被害を最小化しようとしてドル資産を処分しようとする動きが顕在化すると、アメリカのハイパーインフレは眼と鼻の先である。ドルに投資していた国が一斉に資本を引き上げだしたら、インフレを止めることはもう誰にもできなくなるだろう。アメリカ国内には売られたドルが溢れだし、過剰流動性が顕在化するだけでなく一層際立つようになってゆくのである。その結果、ますますインフレが募って最悪の事態が出現するということなのだ。アメリカにとって債権国の通貨価値を引き下げるというタイプのドル高だけは、絶対に回避しなければならないものなのである。
機軸通貨であるドルが国際市場で余りだすという事態は、アメリカが最も警戒していたインフレを惹起する前駆症状なのである。変動相場制の下では、機軸通貨であるドルの発行権(シニョレッジ)をもっているアメリカが絶対的に有利なのだ。賭場に参加する胴元と同じ結果が得られるからである。ドルの需要を国外に意図して作りだしてやれば、自国通貨を発給するのに制約というものがなくせるのである。ドルの需要とは、貿易取引で生じるものだけがその対象ではない。
世界の市場でダブついたドルを回収するために、金利を引き上げて呼び戻すというのがこれまでのFRBがとってきた戦術であった。その余って回収したドルを用いてファンドに日本などの貿易黒字国へと投資させてきたのが、これまでに観測されているアメリカの手口になっていた。ファンドに円を買わせて日本の資産を買収するよう促すと、官民ともに大きな利益が得られるようになっていたのである。現在アメリカが採用しているドル安という政策には、過剰流動性を貿易黒字国に吸収させて尚、当該国の資産を買収するという意味が込められている。
ドル操作国という存在が問題の生みの親
原油相場を上昇させてやれば、ドルの需要は自動的に増加する。もっと簡単なのはターゲットと定めた国にドルを大量に売りつける、という方法なのである。目的とする国の資産に投資先を振り向けてやるというだけで、ドル安を誘導することが間単にできるようになっている。ドルには過剰流動性という属性が常に付き纏っている。インフレを予防するためにこの過剰流動性を回収してきたのが、中央銀行の元締めとなっているFRBであった。政策金利の引き上げという手法で、これまで段階的な利上げを着実に行ってきたという事実が記録されている。このような方法で過剰流動性を解消してきたのだったから、ドル高を演出するのは簡単なことだった。ドルがダブついていなければ、ドルの供給量を絞り込むだけでドル高は簡単に実現するのである。ドル安にしたいのであれば、回収したそのドルを積極的に再利用すればよい。ドルを売って特定の外貨を集中的に買っていくと、日本なら円高ドル安という状態が即座に生まれでるのである。アメリカは、このような手法を使って強いドルと弱いドルとを巧妙に使い分けてきた。このためアメリカには二種類のドルがある、というのが研究者一般の共通認識になっている。
要するに、アメリカが望めば任意の価値をドルに与えることができるようになっている、ということなのである。輸入するにはドル高の状態にある方がアメリカにとっては有利なのだが、では何故ドル安政策がこれまで延々と実施されるようになっていたのだろうか。ドル高からでは得られない大きなゲインが、おそらくそこにはあったはずなのだ。ドルを売り惜しめばドル高が出現するのだし、外貨を求めればドル安という状態を誘導することができる。通貨価値の決定権は、アメリカだけがもっている特権だったのである。円ドル相場で何が起きていたのかということを、日本はこの際よく承知しておくべきである。ここがみえていたら、アメリカの目論見と戦略とが浮き彫りになっていたはずなのだ。その戦術となっていたのがドル安政策だったということなのである。アメリカが仕掛けていたこれら通貨に関する戦略というものは、要因分析がしっかりなされていれば95年暮れ頃までには遅くても判明していたはずのものである。日本の金融当局者は円高が異常昂進した当時の経過をおしなべて謎と形容するばかりで、原因を突き止めようとした形跡はみられない。経緯を調査したとするその結果は、今以て一つも発表されたものがない。
これまでの主な経過
金本位制を離脱したあとのアメリカには、ドルの発行に制限というものがなくなっていた。需要がある限り、ドルを供給することができる立場が確保されていたからである。ドルのもつ機軸通貨としての機能が洗練されたものになり、アメリカがドルの効力を最大化したことで市場経済へと向かう動きが急速に進んでいったのである。85年にはプラザ合意という歴史的な決定がなされている。アメリカと当時対蹠的な立場にあったソビエト連邦では、IMF体制によるドル経済圏のマスが急拡大したことによって計画経済体制の崩壊を早めている。これはアメリカの通貨戦略がもののみごとに奏功した結果だったと言ってよいだろう。ドルのもっていた求心力がアメリカの軍事費を増やし、経済規模を拡大できなかったソ連の軍事費負担をより過酷なものへと変えてしまったのだった。ソ連型の赤色革命で生まれた共産主義体制は、その後5年を経ずして終焉を迎えることになったのである。バブル景気の絶頂期にあった日本の繁栄振りが、共産圏の消費者に与えた影響は大きなものがあったようである。米ソの軍縮合意に調印するための首脳会談で日本を語る時の両巨頭の表情には、日本に対する羨望の眼差しが相互に映し出されていたものだった。
ソ連崩壊後はドルという通貨がなければ国際間のあらゆる決済ができなくなっただけでなく、エネルギー資源を確保することさえ不可能になっていったのだ。市場は金本位制だった頃の数倍規模へと急速に拡大している。アメリカには、ドルを発行したことに伴う外貨収入が押し寄せてくるようになっていた。米政府はドルを売って得た外貨をファンドに貸し与えることによって、相手国資産の所有権を確保するという戦略を陰で支援してきたのである。ドル安外貨高を誘導していたのは、先進諸国に対してのことであった。それ以外の国にはドルは高いままの状態を維持し、一次産品などの購入には入手済みの現地通貨を以て支払ってきた。それらの国では恒常的なドル不足が発生し、石油を買うことさえままならないという状態に陥っている。これが南北問題と呼ばれているものを生み出した原因になっている。テロの淵源を探ってゆくと、結局ドルの供給を惜しんだアメリカの仕業へと還元されてしまうのである。南側の貧困は、ドルを買ってからでなければ一切の決済ができないようになったことからおきたことなのだ。一方貿易黒字国に対しては、反対に積極的なドル売りの波状攻撃を進めさせてきた。こうすることによってドルのもつ過剰流動性を日本などに吸収させ、ドル安を誘導して円高状態の維持更新を進め、米系ファンドに利潤の回収を有利な条件で行えるよう取り計らってきたのである。
アメリカの手口
円高になればなるほど日本では日銀が為替市場に介入してくるため、円売りドル買いをどんどん進めさせるためのドル売りが可能な状態になっていた。ファンドに円資産を買い続けさせていれば、金利をあげて回収してきたドルを日本に改めて売りつけることができるようになっていたのである。日銀ではドルを大量にもっていても、それが実需の決済に使えるという訳ではなかった。そこで最も安全だと信じられていた米国債への投資が行われるようになっていったのである。アメリカがドルの過剰流動性を外国に吸収させようとすると、最終的に長期債が売れるようになっていたのだった。しかもファンドには日本の資産までが手に入るような結果が用意されていたのである。円高になってさえいれば、より少ない円で多くのドルを買い戻すことができるため、ファンドが日本であげた収益を還流させる時には為替差益までが獲得できるようになっていた。
金利を上げて高くしたドルを使って円を大量に買う往路では、その場で円高ドル安という状態が実現するのである。世界市場で余ったドルは、このようにして日本に吸収させてしまえばドルの過剰流動性を抹消することができるのだ。だからアメリカはインフレにならなかったのである。ファンドが得た円資産で計上した収益は円高状態になるのを待ってドル転し、それを還流させてやればより少ない円で多くのドルが復路でも戻ってくるのである。ファンドの投資行為は、資本の行き来だけでも利潤を生み出すようなものになっていた。ドル資本が国内に流入してきたというだけで国が貧しくなっていったのは、このようなメカニズムが働いていたからなのである。日本は円高を強要されてドルを買わされてきたのだったが、このドル資産は外貨準備高という名称で一括りにされ取り崩せないものになっている。在外資産としては貸し方勘定になっているのだが、原資は財務省の借り方勘定であるところの借金なのである。得をしているのはアメリカただ一国だけである、ということはもはや言うまでもないだろう。
ドルが安くなっている限り、この在外のドル資産を日本は取り戻すことができない。円高状態の時に手持ちのドルを円転すれば、必然的に円高がより進んでしまうことになるからだ。このためアメリカがドル安政策をとり続けている限り、米政府には償還を求められない安全な債務が積みあがっていくようになっていたのだった。財務官僚と日銀の双方が共にこのアメリカの戦略に気づかないフリをしているため、国民の多くは未だに盲目状態のままに置かれ続けているのである。つまり、現実認識が国全体でできていないということになるだろう。この背景を知っていて国を売る行為に加担するような政治家は、この国にはいないと信じたいものである。認識なしに固有の資産を売り渡してきた指導層を無知と形容して憚らなかったのは、自らが国に損害を与えていたという事実が見えなくなっていたからである。
ファンダメンタルズとは何か
ファンドが投資行為の表向きの窓口となっているために、為替相場の値動きはファンダメンタルズを反映したものであるとされている。だが、アメリカはドルの価値を任意に決定することができる立場を保っており、ドルをツールとして使うことで世界中から資本を回収する身分を享受してきたのである。アメリカは任意の通貨政策をとることによって、市場経済がドルを動かしているかのように見せかけることができる立場にあったのだ。その役割を実際に果していたのが、ドル資本と呼ばれるファンドの一群だったという訳である。ファンドはアメリカの意を受けて市場からドルを調達し、その資本で外貨を買って成長力のある貿易黒字国の資産へと投資を行ってきたのである。この段階で円高ドル安が確定するようになっていたのだった。ファンダメンタルズという経済の基礎的な諸条件などは、戦術核が担っているような役割を商取引の分野で果すためのアメリカ側の方便に過ぎなかった。
世界中がドルという通貨を必要とする経済環境ができあがってからというもの、アメリカにはあらゆる地域から富が集まってくるようになっていった。ドルを需要に応じて発行すればするほど、外貨がアメリカの資産として集積されてゆくのである。アメリカに富が集中するようになったため、政権はドルが生む求心力をより多く使えるようになったのだった。ドルに過剰流動性が付随しているということは、既に繰り返し述べてきた。市場にドルが余りだすということは、そのままインフレに直結するという意味である。そこでFRBが政策金利を引き上げてインフレに陥る前にドルを市中から回収するような制度がつくられていた。日本はアメリカが発行しすぎたドルの再生工場にさせられていた、ということができるだろう。円売りドル買いという通貨政策を日本がとり続けて外貨準備を積み上げている以上、この国の民が困窮しないはずはなかったのである。
現在の経済状態がFRBによって保たれている限り、アメリカにインフレが起きるようなことはない。過剰流動性は外貨準備高の多くなっている国が率先して引き受けているからである。ドルを際限なく追加発行しても、市場にはインフレリスクを回避するようなシステムができていた。イラクでの戦費が嵩んだとき、ドル全面安の展開になったことがある。今年は二回そのような現象が観測されている。自国通貨が買われてドル安を仕向けられた国では、どちらにせよドル買いで対応せざるを得なくなるのである。その結果ドルが売れるだけでなく米国債までが追加発行できるようになり、米政府には使途に制約のないドルが現金で大量に戻ってくるという仕掛けが機能するようになっていた。しかも、その債務はアメリカにとって返済を求められない種類のものなのだ。ドル資産というものは、ドル安政策を続けている限り永遠にアメリカの外へでることはできない。外貨準備高とは、要するにドル建ての不良債権という意味をもつもののことなのである。
ドルは集金システムになっている
ドルが機軸通貨となっているために、南北問題、テロリズム、温暖化などの多くの未解決の課題が生み出されるようになったのである。水素資源が実用化されるようになると、ドルの価値を裏付けている石油はドルを支えることが困難になる。水素資源によるエネルギー消費が増えはじめると、炭素資源によるエネルギー消費は減ってゆく。低廉良質な水素資源が登場するというだけで、炭素資源を簡単に駆逐してしまうことになるのである。水素が高価な資源であると信じられているため、アメリカは今のところ鷹揚に構えている。だが、日本にある技術を統合することにより、低廉で安全な水素を大量に供給するのは不可能なことではなくなるのである。原油の需要が減ればドルの需要も同じような割合で減ってゆく。ドルは市中に広く出回っているので、原油が値下がりを起こしたと言うだけで余ってしまうようになっている。ドルの通貨供給量が増えているというこの現実は、インフレになる確率が高まっているという意味をもつ。ドルが予測を超えた値下がりを始めたとたん、ドル資産の投売りが一斉に始まってしまうようなことは実際に起こり得ることなのだ。
原油の決済でユーロを指定するケースが増えているのは、ドルのもつインフレリスクが高まったことを示すものである。アメリカのインフレがはじまると、成長性の高い国の通貨がドルで買われるようになる。このため、日本なら円高ドル安という状態が再現されることになるだろう。95年四月にはこの先駆的な円高現象がおきていた。この歳の暮れにEUの通貨であるユーロが正式に採用されることが決まっている。ドル資本は、EU市場から日本へと半年早く緊急避難を開始していたのだった。日本はバブルの崩壊から丁度五年という年月が経過していた頃である。このタイミングで急進的なあの円高がおきたのだった。そろそろ回復期に入ってよい頃だと、多くのファンドが推測したとしてもおかしくはないだろう。インフレの前ぶれは、急激な円高の再来という予兆を伴うのである。為替相場の値動きを見ていれば、インフレ懸念がどの程度深刻なものなのかを予測することは充分に可能である。
水素エネルギーが実現するもの
水素エネルギーが普及段階を迎えると、ドルは機軸通貨としての役割を終えることになるだろう。ドルという通貨では、低廉な水素エネルギーシステムを導入することができなくなっているからである。ドルが問題だったのは、ドルと交換した外貨がアメリカの集金システムの道具にされていたからである。アメリカが獲得した外貨は、実需を除くとその国の資産を買い占めるために専ら使われていた。単純な投資行為であるため、ファンダメンタルズの結果だと説明することができたのである。ドル資本は現地通貨で買収した資産を使って得た収益を、全額本国へと送金してしまう。ファンドは投資効果の実績を作らなければ、出資者から見限られてしまうのだ。
外資系のファンドは四半期毎に決算を行っているため、日本で発生した利潤のすべては速やかにアメリカ本国へと還流していくようになっている。その結果、ドルを買った国からは富を逸早く流出させ、その国でおきるべき資本の循環が生み出せないようになっていた。最善を尽くしたと信じたその結果が、アメリカへの富の流出を急がせていたということになるだろう。自国通貨をファンドに売り渡した国から経済活力を奪ってゆくようなシステムが、日本政府によって維持されている。それが根付いてしまっているということが、この国の現状を生み出していた。知識の修得に熱心になった余り、要素を抽出して要因となったものを分析することに関心が向かなくなってしまったようである。
反米国家が誕生し続けているというのは、ドルの持つこのメカニズムに国民が気付き始めたという証拠なのである。自分達の貧困がドル資本の流入の結果だと察知したことが、反米色を強めさせるようになっている。時とともにアメリカの繁栄がすすみ、自らは貧困の淵に沈んでゆくという経過を年毎に体験するなら、どの国であったとしてもおのずから真実が見えるようになって当然なのである。貧困の病根は、アメリカに資本を集約する富の一極集中という傾斜を米政権とFRBが作り出したその戦略の結果だったのである。アメリカが繁栄すればするほど困窮する国が増えていたというのは、ドルのもつ属性である求心力が作用していたからだった。
アメリカは世界中から集めた富を使って軍備を整え、その他の軍事大国に防衛予算を増加させて当該国の財政収支を圧迫するという戦略をとっている。核の拡散はその結果の一つなのである。アメリカが悪の枢軸と規定したことが、北朝鮮とイランに核装備を急がせた原因になっている。イラクに大量破壊兵器が存在しなかったにも関わらず、アメリカは国連を押し切って一方的に侵攻し時の大統領だったフセインを逮捕した。本来ならこの逮捕は無効とされなければならない。根拠のない侵攻で行われた逮捕だったからである。(12月27日の報道ではフセインの死刑がこの日確定している) 水素エネルギーの実用化を急ぐことによって、ドルが世界に与えてきたこのような不合理なダイナミズムを消し去り、繁栄による平和な状態を早く地上に導くことができるようにしなければならない。それが、これから低廉な水素エネルギーシステムを供給する側の責務というものになるだろう。
