非政府系の政府とは何か
地球を復元するプロジェクトを始めるには、要するにアメリカがやってきたことの逆をやればよい、ということがこれまでの報告を見れば分かるだろう。ドルをローカル通貨に戻して新しい中立・中性の機軸通貨に変更する、というのがこれから生まれる革命政府の実行するべき二番目の仕事になるだろう。できてしまった偏りをなくすためには、軸足を国家にではなく惑星の上に置かなければならない。革命政府とは言うものの、実態は国境を超越した民間の非政府系組織の集合体のことである。(表現上の撞着は現象界の通弊なのだ。「無」を説明するのに、その言葉を存在させた状態を以て証明する以外に方法というものがない。ミンコフスキーの時空間には、不整合性というものが仕込まれている) 国境線に拘束された国を代表する組織という形ではなく、惑星を代表する組織であればその出自が何であったとしても差し支えはない。この惑星にできている不具合の殆どは、ドルが起源となって生み出したものだった。
【地球政府が着手すべき最初の仕事というのは、水素エネルギーシステムを供給するという事業である。エネルギー資源の供給事業抜きで地球政府を樹立しようとするのは、無謀な行為だ。水色革命の中核となるものがプログラムに装備されていなければ、求心力を引き出してアメリカが生み出した誤りを反証することはできない】
国連が国の集まりであったのに対して、水色革命が生む地球政府という未知の組織体は、枠の制約に捉われない茫漠とした意識の集合という形態をとるだろう。内外を隔てているものは国家であれば国境だったが、惑星にはそのハザマとなる部分はみあたらない。国境の内側を代表するのが、これまでの政府という概念であった。水色革命でいうところの地球政府とは、惑星を代表する意識の集合体のことである。従って、国境線による制約からは完全に解放された状態を保つ存在となる。特定の国に偏ることなく、一定レベルの認識に基づいた判断が可能になっていれば、国家による対立の原因を生まない滑らかな活動を行うことができるようになるだろう。平和を求める人の意識を繋いでネットワークを構築し、究極のエネルギーである水素の資源化を実現してその手段とする。水の惑星と呼ばれる地球の回復は、地球政府の成立時期如何にかかっている。その中核となるのが、水素エネルギー供給にかかわるハード成分とシステム化のための方法なのである。
なぜ国連ではダメなのか
国家という枠組みを残したまま新しい組織へと移行しても、グローバルな課題を扱うための健全な機能を引き出すことはできない。地球政府は国家の利益を代表するものではなく、惑星の利益を代表するものでなければならないのだ。国家は国家のままであった方が、国民の具体的な利益に適うだろう。国のアイデンティティは、外交交渉では欠かすことのできない要素である。国家という枠の中で従来通りの責務を果すというのが、政府としての本来の義務なのだ。ここでいう地球政府とは、国家を代表する政府にはできなかったことを実行するための暫定組織なのである。水素エネルギーシステムの供給をその手段として、あらゆる民族が繁栄するための文明の基礎となることを目指すべきであろう。平和な状態を保っているためには、健全な経済成長が維持されている必要がある。国境を超越した活動ができる状態を保つためには、既存の政府が備えている形に収まっていてはならない。国連は、国の利益を代表する機関の集合であった。調整するための機能が備わっていても、変革を進めて状況を改善するという能力が備わっているという訳ではないのだ。(京都議定書は温室効果ガスの排出削減を期限までに実現することはできない) 地球政府はどこかの国の一部を借りて、そこに独立した統治地域を樹立して活動するのがよいだろう。国連本部がニューヨークにおかれているのは、はじめから平等性を放棄するというメッセージを世界へ伝えているようなものだった。常任理事国という特別な国が存在する、ということからもわかるだろう。
独自の通貨を新たに発行する必要があるというのは、現在の機軸通貨であるドルが問題の根源になっていたからである。他の国がアメリカと同じことをやろうとしても、それは不可能な話なのである。機軸通貨としての能力は、あらゆる地域と国家で通用するという普遍的な価値をもっていなければならない。ドルには、石油という価値の裏づけとIMFによるSDRという資本の裏づけが与えられている。文明の基礎はエネルギーの確保にあったのだ。しかし、炭素というエネルギー資源を採用した結果、地球がもっていたエコシステムに重大な影響がでてしまったのである。温暖化による気候の変動は、その結果であった。水素エネルギーでなければ、新たな時代の指導的な役割を果すのは不可能なことなのだ。また水素であればよい、という訳でもないのである。経済合理性が備わっていなければ、水素であっても資源としての価値は消えてしまう。安全で且つ低廉な水素エネルギーを制御する能力をもたない限り、この惑星に進化を生み出すことはできないのである。
平和本位制は文明の基礎
水素エネルギーシステムの供給は、平和本位制という枠組みに基づいて実施されなければならない。地球政府と呼ぶべき民間の組織が発行する通貨(名称未定)は、軍事費の負担率の差で交換比率が決定されるだろう。軍事予算の少ない国なら、最も有利な条件で新通貨と交換できるようになるという訳である。軍事大国は、当然ながら最も不利な価格で水素エネルギーシステムを導入しなければならない。水素エネルギーシステムによって得たクリーンエネルギーで生産した製品に価格差がつくことから、軍隊のない国に最も有利な経済条件が与えられるという社会構造が作られる。後れていた経済成長を取り戻し、先進国に追いつくには現在の貧困をアドバンテージに換えてやればよいのである。水素エネルギーで経済発展を目指そうとするなら、先進諸国はまず軍事予算を率先して減らさなければならない。経済格差を縮小均衡させるには、平和本位制という枠組みを採用するのが最も効果的な方法なのである。
通貨の選択が平和を導くものであることが理解されると、再生産に繋がらない破壊のための投資をしようとする国は減ってゆくだろう。生産性の高い仕事が重用され、付加価値の落差と品質との総合力で製品が評価されるようになるはずだ。優れた産物がより優れた産物を生む好循環がものの価値を高めるようになってゆく。このような循環にはいると、文明の質はひと際高まることだろう。エネルギー消費にコストが発生しなくなれば、市場が拡大して生産は刺激され、経済をより活気づかせるようになるのである。生産性が向上すると、余暇時間と可処分所得は共に増加する。これが人類の進化を促す方向へと作用する。文明は花開き、より高いレベルの生活を楽しむような暮らしが当たり前になっていくのである。余裕は豊かさを導き、豊かさは余裕の質に影響を与える。労働の歓びや消費の楽しみなどは、文明を育むメリハリを人類に与えるだろう。この段階になると高い認識が生まれ、無意味な消費は擯斥されるようになっていく。経済不均衡を均して条件などの平等化を進めていけば、国家間にあった経済格差は徐々に縮まっていくようになるだろう。
新通貨発行の権利と義務
水色革命の基礎となる水素エネルギーシステムは、平和本位制に基づいて地球政府という第三者組織が直接供給するべきだ。決済方法は新通貨を以て行い、その国の経済が活力を取り戻すまでの間、相対取引で行うのが市場規模の拡大に繋がって行くだろう。水素を製造する装置はいくらでもある。だが、高い生成効率と安全性、安定性があって且つ備蓄供給までが単一のシステムとなっているものでなければならないのだ。マスタープランをもっている地球政府以外には、できないことである。そのノウハウは日本の中で現在眠っている状態にある。システムとして統合された水素エネルギーを供給するという事業は、全体で一式となるものである。このため、単独で一部分だけを切り出しても経済効果というものは引き出せない。炭素エネルギーを代替する能力にも欠けるので、原油相場が急騰しない限り経済合理性は得られない。炭素エネルギーより低廉な水素資源でない限り、「水克炭」という効果を引き出すことはできない。地球政府が独自の新通貨を発行できるとするその根拠は、誰にもできない高効率の水素エネルギーシステムのノウハウをもつということにある。その上で事前にプログラムしてあるプロセスを適宜打ち出していけば、追随してくることができる企業は最終的になくなってしまうだろう。
地球政府は惑星の利益代表となるため、水素エネルギーの供給を拒むことはできない。だが、究極のエネルギーを平等に分配しなければならない、という義務があるという訳でもないのだ。そこで、この星の秩序に影響を与えている軍事費の割合をみて、適切なレートで水素エネルギーシステムを供給するということになるのである。つまり、平和を実現するためにどれだけ有効な努力をした国なのか、ということが交換レートを決める評価基準になるということなのだ。地球政府が得た外貨は、その国に再投資するためにだけ当面使われるだろう。アメリカは、この再投資に回すべき資本を軍事力の増強という手段に使ってしまったのである。この恣意的な行動が軍拡だけでなく、核の拡散までをも実現させてしまったのだった。アメリカがやってきたことを廃して、やらなかったことをこれから実行すればよいということが、やがて誰の目にも見えてくるようになるだろう。平和本位制が定着するまでの間、ドルの役割の一部も残しておく必要がある。ワーストケースであるハイパーインフレがおきると、ドル資産をもつ世界の国々と組織や個人を直撃してしまうようになるからだ。
地球政府の担当分野
新通貨を発行することにより、ドル本位制が生み出していた多くの問題を地上から一掃してしまうことができるようになる。その手段となる水素エネルギーシステムは、温暖化防止効果を発揮して気候の変動をもとの安定な状態へと連れ戻すのだ。つまり、最終的に地球のエコシステムを復元するということなのである。そのプロセスを一段階ずつ実現していくことによって、国際政治の舞台から軍事支出を減らし平和の実現を近づける効果を引き出だしてゆく。経済力が備わっていなかった国には、これまで先進国だけが得ていたのと同様の優位性が与えられるだろう。軍事力を持ち続けようとする国からは、経済力が次第に失われていくようになるということなのだ。このプロセスを設けることによって、相互間の認識を統一する効果が早く得られるようになるのである。経済に均衡状態が成り立つようになると、軍事力の保持はマイナス方向へと作用するより強い要因へと変わっていくのである。
ドルの弊害は、これまでのレポートで概観してきた通りの状態を「今」だに維持している。現象として生起している問題の多くは、IMF体制によるドル経済圏の中でおきていたことなのだ。水素エネルギーの普及が進みだすと、ドルの需要が減るのは石油・ドル本位制の宿命である。これを回避する術はない。ドルの供給が増え過ぎてどんな結果を惹起したのかということは、これまでに繰り返し何度も言及してきた通りである。ドルの買い手があるうちはドル安効果を引き出せても、ドルの値下がりがある閾値を超えてしまうと、その通貨を必要とする買い手そのものがいなくなってしまうのだ。この段階でドルの暴落が起きるのである。ドルは、既にその発行残高が過剰と言われるほどにまで多くなっている。石油の需要が減れば、ドルの価値は下がりだす。そして、ついには止まらなくなってしまうのである。ドル資産はリスクそのものだった、ということがその時になって漸く目に見えるようなものになる。地球政府が発行する新通貨は、ドルがやったような過剰流動性を生み出すことはない。アメリカの行為に学べば、不具合を消して合理性がすぐにでも生み出せるようになるだろう。
新通貨の価値を裏づけるもの
平和本位制は、ドルの機能を代替する能力をもっている。価値の裏づけとなるものは低廉な資源である水素エネルギーの安定供給と、平和の実現による財政収支の改善である。軍事予算を減らすことができれば緊張が解け、歳出項目を再生産のための予算へと振り替えることができるようになる。新通貨の発行を担当する地球政府には、水素エネルギーシステムの供給をその手段として平和を実現する機会が与えられるだろう。通貨交換のレートを定めるための決め手となるのは、その国の財政収支に占める軍事予算の割合なのだ。軍事予算がゼロであれば、最も有利な交換レートを適用することができるようになるのである。財政が健全化されていれば、その国には経済リスクというものがなくなっているはずである。軍隊が企業化した民営の形態をとっていたとしても、それが産業として成り立っている地域には、水素エネルギーの供給は同じ条件でなされるようなことはない。平和の価値を理解した国にだけ、究極の資源である水素エネルギーシステムを有利な条件で提供することができるのだ。これは、地球政府がもつ基本的な義務の一つなのである。
地球政府は、平和本位制のもつ意味を認識した当該国の特定の組織に、その推進業務を依託するだろう。水素の供給を事業とする者は数多く誕生しているだろうが、システムとして評価に耐えるものでなければ合理性がなく最後まで生き残ることはできない。核となる水分解装置がなければ、平和本位制の実現は困難だ。水素エネルギー供給システムに価格競争力がなかったら、通貨の発行権など本来生み出せるはずがない。温暖化が進めばエコシステムが破れるため、生命を維持するサイクルであった食物連鎖も機能しなくなるのである。地下資源は有限であるため、希少価値が高まるに連れて奪い合いなるという展開が高い確率で予測されている。豊かであった地下資源の底が見えてくれば、より深いところの資源を採掘する必要がでてくるだろう。温暖化対策では将来炭素税の導入もあり得る。水素と炭素のエネルギーコストは、益々開いてゆくことになるだろう。炭素エネルギーから経済合理性が失われてゆくのは、火を見るよりも明らかなことなのである。
循環再投資による螺旋形の成長
アメリカがやった失敗の実例に学ぶと、通貨交換で得た外貨はその国の繁栄に限定した再投資を行い、資本の循環を増幅させてやればよいということが分かるはずである。アメリカが得てきたドルによる資本の攻勢は、その国を繁栄させることを無視して米政府による軍事費の充当へと使われてきたのである。ドルの求心力を善用していれば、市場全体が拡大してアメリカが得ていたものも更に拡大することができていただろう。ドルによる利潤の回収を一旦先送りしてやれば、その国の潜在市場を扶育して購買力を増やすことができていたのである。(中国の経済政策の成功がその証明である。消費市場の拡大が求心力を引き出している) このような展開を形作っていくようにするならば、世界中から貧困をなくすことができるようになるのである。資本の論理を極めてゆくと、自分の毒で自らの成長を止めてしまう自家中毒の状態に陥るのだ。外来種の植物が繁茂してもやがて枯れてしまうのは、毒性が強すぎて自らの生命力が失われてしまったからだった。戦略的なファンダメンタルズの動向をそのまま放置していると、拡大基調が飽和して収束へと向かう時を早めるのである。その予兆を、反米国家の簇生という最近の傾向にみることができる。ドル経済圏という枠組みは、エネルギーの枯渇で頓挫するという終末期をほどなく迎えることになっている。温暖化が進めば、更に早い生命の終焉が待っているのである。
実のなる種は、大きく育ててから収穫を行うべきである。成長させる喜びと育ったものをみる楽しみを味わおうとしないドルという名の集金システムは、南北問題を深刻化させて軍事費の増加を一掃拡大してゆくものになってしまった。イラクでの駐留期間が長引いているため、米政権には深刻な資本の必要性が生まれている。ドルがこれまでに導いてきた国際経済というものは、常に拡大を目指すことを義務付けられているのである。経済成長とは、規模の拡大を意味するもののことなのだ。目先の利益の回収に躍起になっていると、長い焦点でものを見ることができなくなる。国際社会に今できている軋轢の殆どは、余裕が失われたことによっておきたことなのである。平和本位制の導入によって文明が復活すれば、エネルギーは自在に作り出せるようなものとなり、貧困の状態は短期間で改善されるようになってゆくだろう。

コメント
※最初に
私は、現在少し難しめのシステム系学校に受かり、4月からはそこの学生なのですが、母子家庭で家計はとても厳しく、缶コーヒーを買う余裕すらありません。裕福な育ちと誤解される事がよくあるので、これを最初に訂正させてください。
私はここ最近、連山に若干懐疑的な見方があったのですが、(まだ部分的な飛ばし読みしかしていませんが、今の空き時間を利用して読んでいきたいと思っています)読み進めていくうちに、連山に対する不審が解けて、基本的なスタンスが見えてきた気がしています。
歴史に偶然は無いというだけでなく、人の運命もまた、偶然はありません。先日、書籍 水素文明の扉絵を掲載させて頂いた事もまた、私の中では(後から振り返ってみれば)運命の必然だったのかもしれないと感じています。最終選考に残らならない場合も残った場合も、当方にとっては勉強になると感じています。
水色革命。この言葉と、普遍的な物質形態である水の化学を用いた水素文明には、実を言うと、私の前世記憶に重なる部分があります。
私個人としては、今度こそ失敗しない文明が築ければどんなに良いだろうかと思っています。(前世では、理想を掲げたものの方針を大きく誤り、全面的に失敗した上に住民から痛烈な非難を浴び、惨めな最期を遂げました。)
この件の詳細については、長年沈黙しておりましたが、記載したホームページで明日中に記事を書く予定なので、ぜひご参照ください。
中村剛志
Posted by Meaning at 2008年2月19日 21:13
水色革命と平和本位制へシフトするためのプログラムは既に起動しております。
水素資源の活用には拙速にならないよう慎重な検討が一層必要になりました。懸念していることがらに関しては、以下のサイトで概要をご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/plan_es/archives/51383782.html
ご不明の点はメールでお問い合わせください。
Posted by 古畑 嚆矢 at 2008年5月23日 20:37