究極のエネルギーである水素を供給する組織が相互に連携をとりあうようになると、惑星の環境を変える新たな力が生まれてくるようになる。水素資源とその抽出システム並びに分散型エネルギー供給系の普及を担当する未来の組織は、惑星の環境を回復させるだけでなく、文明の再生をも果すことになるだろう。この活動を推進するための基盤づくりを急ぎ、惑星の機能を早く回復させるための努力を続けなければならない。ニューラルネットワークが形成されるようにして、繋がる相手を相互に見出しながら着実に成長していけばよい。NGOとして機能する地球政府(撞着語法についいては「水にまつわる物語(二)」でその背景を説明している)というものは、既存の政府が国境線の内側の利益代表であるのに対して、国境の制約を越えた惑星の意思決定機関という位置づけになる。国会を支える下部組織に地方議会が位置づけられているように、地球政府の下に各国の政府が配されるようになるだろう。究極の資源を手段とする平和な革命は、生命の繁栄と快適な文明を実現するためのものなのだ。国連が抱え込んだこの閉塞した状況を脱して、新たな枠組みの確立を速やかに進めなければならない。
プログラムの背景
既存の政府のやってきたうしろ姿を映し出してみせる鏡、というのが非政府系の地球政府が担う当初の役割の一つである。中核を構成するユニットは基本プロジェクトの統括業務を担当し、さまざまな経済活動を側面から支援することになるだろう。ドル本位制が招いた数々の不具合を指摘し、その具体的な対応策を示さなければならない。NGOの組織化がいつできるのかということは、このブログを始めとしていくつかの情報サイトへ集ってきた認識の量で決まることである。今できることは、基本コンセプトを示して反応をみるということだけなのだ。繋がる相手を間違えると、取り返しのつかないことになる。究極の資源は、究極の目的のためだけに使われなければならない。目先の利益にとらわれていると、平和を実現するための戦略の全貌が見えなくなってしまうのだ。扱う資本が巨額なものになるために、要らぬ誘惑に惑わされてはならない。
組織の核となる部分は、時間をかけて見定めたそれぞれの知性が決めるだろう。コアができたら水素エネルギーの普及を進めるという手段を用い、温暖化などの20世紀が生み出した変化を悉くなくしていく行動に着手する。具体的なプログラムを策定し、直ちに実行することになるはずだ。その内容については中核部分ができた後で、広報部門から適切なタイミングで詳らかにされるだろう。経済格差が生み出した各種の国際的な軋轢を緩和し、対立を強めて武力抗争に走ってきたこれまでの展開に早くけりをつけなければならない。中立状態で独立性を保つ姿勢を堅持するということは、惑星の将来にとって極めて重要な意味をもつ。足下の利益だけを追求しようとしたために、見知らぬ街に張り込んでしまうようなことがあるのだ。アメリカが迷い込んだのは、イラクという名の奇妙な街であった。国際経済は既に、アメリカが犯した過ちに大きな影響をうけるようになっている。弊害の多くは未だ潜在化している状態にあるの。このまま推移していくと、やがて測り知れない対立項となって改めて浮上してくるようになるだろう。
炭素資源が生み出したもの
IMF体制はアメリカにだけ利益をもたらすものだったが、米政権はそのメリットを自国の軍事力に厚みをもたせるために使ってきたのである。力の政治が平和を維持する、とアメリカは世界中に対してそう信じ込ませてきたのだった。その結果、軍事予算はアメリカに引き摺られるかたちで年々増加する一方となり、核の拡散さえも歯止めが効かなくなってしまったのだった。経済成長を続けている国なら問題にはならなかったのだが、リセッションにはいった国では財政赤字を増やすという問題を悪化させるのである。現状をみると、戦争抑止力の強化という名目で核燃料の軍事転用が図られている。ある圧力の作用を受け続ける系では、対抗するための内発的な圧力を生み出して平衡状態へと移ろうとする。対立がせり上がっていくのは、どちらの勢力も力に頼るしか方法というものをもっていなかったからなのだ。力が生みだすものは、新たなる対立でしかない。力に恃む対応の仕方というものが、20世紀までの歴史を作ってきたのだった。
IMF体制が生み出した結果から人類が学べば、この逆となるプロセスを地球政府が実行すればよいということが判るだろう。水色革命と呼ばれる運動の推進母体となる組織は、国連では出来なかったことを可能にする能力をもつようになるだろう。現在の国連という枠組みの中では、制約となる項目が多すぎる。国家の利益を代表する反応場というかたちでは、惑星全体の利益を扱うことはできない。京都議定書が効果のないものになっているのは、国家相互間の利益調整が円滑に進まなかったからだった。石油の消費を前提として成り立つドル本位制というものは、二酸化炭素を削減するための国際条約である京都議定書からアメリカを早々に離脱させてしまった。炭素燃料の消費が減れば、その分だけドルの権能を損なってアメリカに不利益をもたらす、ということが米政権には分かっていたからであろう。
ドルの活用法を先鋭化させたもの
機軸通貨になっているドルのもつ求心力は、アメリカにだけ富を積み上げるという結果をもたらした。あらゆる国から固有資産の所有権を奪って、その名義を悉くアメリカ化しようとしている。その運用益はアメリカ本国へと移転され、分配再投資されてゆくのである。ドル経済圏という枠組みの中では、アメリカが栄えると、地上のどこかで困窮に苦しむという国を生みださざるを得ないのだ。資本の論理は、ドルの発行権をもつ国にだけ特別な優位性を与えてきたのだった。だが、温暖化対策が進むようになれば、石油に代表される炭素資源の消費は減らざるをえなくなるのである。炭素燃料の消費が低下すれば、ドルの需要は同じ割合で減ってゆかなければならない。これは、アメリカにとって不利益以外のなにものでもないだろう。米政権はドルが世界中から集めてきた富を、悉く蕩尽してしまっている。
国債発行で得たドルの支出先は、イラクとアフガニスタンなどをはじめとして地球全域に展開している米軍を維持するための経費だったのである。ドルという通貨が持っていた神通力というものは、水素エネルギーが普及していくに連れて次第に弱まっていかざるをえないのだ。ドルの力が衰えると、アメリカのもっている力も同じようにして劣化していくことになるだろう。ドルの持つ属性の一つである過剰流動性は、その仕向け先となる国を求めて各国の通貨に対して攻撃をより強めていくだろう。その先鞭をつけたのは、政府日銀のとってきたこれまでのビヘイビアであった。戦費の追加が必要になったブッシュ政権に、ドルの機能を高度化させる道を選ばせてきたのは日本政府なのである。米国債を売りつけることを最終目的とした外貨高の誘導を演出し、当該国の中央銀行に市場介入を強制するよう配慮させたのは、日本がこれまでにとってきた通貨政策の結果だったのである。国債の発行によって戦費を調達するという手段を与えた最初のケースになったのは、紛れもなく日本という国だった。
【イラクでは米軍の駐留期間が予想を超えて長引いたため、駐留を継続するための費用を追加して捻出する必要に迫られている。ブッシュ政権は、ドルを手段とした集金作戦を見境なく展開するようになってしまった。その手口が年々増長するようになっているのは、ブッシュ政権自体が追い詰められている証拠なのである。ドル経済圏というからくりの仕掛けを顕在化させてでも、米軍を維持するための資本を調達しなければならなくなっている。もはや末期症状というべき事態なのだ。国際経済はいずれ、ドルの機能を見直さざるを得なくなる時を迎える】
人工の基軸通貨が平和を導く
ドルの需要が減ると、アメリカは軍事費を減らさざるを得なくなる。米軍を世界中に展開している強い経済力というものは、アメリカという国から次第に失われてしまうのである。最後のエネルギー資源である水素がドル以外の通貨で手に入るのなら、米国民以外誰もドルという名の通貨を必要とはしなくなる。それによって世界が不安定化するということは、おきない。炭素資源を奪い合う最悪の事態が回避されていれば、どの国でも新たな侵略を行う理由はなくなっているからだ。大義名分のない戦争は事態を悪化させて、攻撃をはじめた国を却って軍事的に拘束するのである。そして、ついには疲弊させるという結果を招くのだ。イラクにおけるアメリカの事例が絶好のサンプルになるだろう。ブッシュとフセインの持つ力の差は歴然としていたのだったが、米軍は最終的にイラク領内から撤収することさえできなくなってしまったのだった。米軍の駐留が長引けば長引くほど、ブッシュ政権がこれから抱え込むことになる赤字は増加せざるを得なくなる。アメリカの経済は、このようにして次第に逼迫してゆくことになっている。アメリカを支えてきた先進諸国は、自国の経済を犠牲にしてアメリカに更なる奉仕をしなければならないだろう。
アメリカがイラクで使う戦費を直ちに調達するためには、ドル売りを仕掛けて外貨高を誘導し、ドルを買い支えるための介入を強要してやればよい。米国債の追加需要を喚起すれば、米政権には自動的にドルが現金でやってくるようになっている。人民元が高くなっている状態を続けているのは、ドル資本による元買いがすすんでいるということを示している。中国政府は、ドルの価値と元とを狭い範囲で連動するよう制御している。元が買われて高くなると、ドルは相対的に安くなる。元ドル間にある通貨価値の乖離が拡大しないようにするためには、安くなったドルを中国政府自らが買って通貨価値を復元する必要があるのだ。
元を安くするという方法が一番効果的にみえるかも知れない。だが、その有効性を引き出す戦略を中国は知らない。人民元がただ安くなっていくだけだったのなら、ドル資本にとっては元への投資がより有利になるだけのことなのだ。火に油を注いだら、一気に炎上するのは明らかであろう。下手な手を打てば、為替操作国として指弾されることにもなりかねない。市場経済から切り離されたら、国の成長速度は衰える。繁栄が止まって国民が離反していったら、政府自体がもたなくなってしまうのである。元安という状況を中国政府が先に提供してくれるのなら、アメリカにとっては願ってもないことだろう。少ないドルでより多くの元が買えるようになるからだ。展望のない元安政策というものは、ドル資本による対外資産の買収工作を一気に進めさせてしまうのである。
風が吹いて儲かるものは
日本の例では、米政権の意を受けた小泉内閣が政策として外資導入を行ってきた。政府が外資を国内に呼び込んでいるのだから、効率的なドル売りができるような環境を政府自らがしつらえていた、ということができるだろう。周期的な円高とドル安のサイクルの出現は、その結果減衰しない波を作り出したのだった。ドル売り円買いというドル資本による投資戦術が、日銀にドルを買わせる動因として95年の円高以降はたらいている。この事実が外貨準備高を押し上げていったのである。日銀が買ったドルは90%が米国債になっている。円高が続いている限り、日本のドル資産は回収することができない塩漬け状態になってしまったのである。外貨準備高というのは、不良債権の残高と同じ意味なのだ。ドルの需要が減ってゆくと、アメリカには収入源となっていたものが消えてしまうのである。中国と日本の外貨準備高が突出して高くなってしまったのは、中銀と日銀が為替市場に介入して積極的にドルを買ってきたからであるに相違ない。ドル安を演出して相手国の中央銀行に為替介入するよう仕向けると、アメリカの国債が大量に売れるというあの「風と桶屋」の関係がつくられていたのだった。
ドルの需要が減っておきる流動性の低下という局面では、市中に滞留していたドルが行き場を失うことになっている。ドルの通貨価値を保っていたシステムが、やがて毀損されてしまう時が、いつか必ずやってくる。価値の下がったドルを欲しがるような国はない。ドルでなければ石油は買えなかったのだが、環境負荷のない水素資源なら地球政府が発行する新通貨があれば簡単に手に入る。そんな時代がやってくるのである。ドルがあっても、地球政府が供給する水素エネルギーシステムを買うことはできない。価値が下がったドルの引き取り手がなくなった時、アメリカにはハイパーインフレという状態が確実に訪れる。その時日本と中国などの債権国が保有するドル資産のすべては、短期間で価値のないものになってしまうのだ。ドルに代わる新しい機軸通貨を予め作っておく必要があるというのは、破局の時が近づいているからである。そのきっかけとなるのが、京都議定書の遵守とその強化策の励行だったのである。低廉かつ安全な水素エネルギーとその応用技術が日本から登場すると、アメリカはもっていた力を急速に失ってゆくだろう。
平和は価値の代表だ
アメリカの力が衰えると、その隙に乗じる国がでてくると思うかもしれない。だが、その見通しは正しくない。アメリカが繁栄してこられたのは、ドルが機軸通貨として機能することが許されていたからなのだ。ローカル通貨のままのドルであったのなら、富の求心力を引き出すことは不可能だった。自国に充分な経済力が整っていなければ、覇権を握っている状態を維持することは困難だ。収入源となる植民地をもっている国が群雄となり、世界を支配しようとした時代の末に今日のドル経済圏が作られている。だが、歴史はアメリカにだけ教訓となる見本を残そうとし、環境破壊と核の拡散を最終結果として与えたのである。アメリカには問題を認識する能力も意志もなかったため、テロリストの術中にすっかりはまってしまったのだった。状況認識ができていれば、イラク侵攻が拙速であったことは分かっていなければならない。ドイツとフランスという二つの国家が、その点を当初から指摘していたという事実が存在する。
ロシアがエネルギー資源を手段として活用することはできるが、低廉な水素エネルギーが登場した時点でそのポテンシャルは一瞬で陳腐化するだろう。中国の経済成長率は今後も維持されるにしても、アメリカの凋落に伴って生じるハイパーインフレでは、一兆ドルを超える在外資産を失うのである。日本の外貨準備に充てられているドル資産も、同様にその価値を失ってしまうことになる。邦貨換算で100兆円の在外資産が水の泡と化す可能性は、とても高いものなのだ。外貨準備という在外資産が資本の空洞化を生んだのだった。外貨準備に充てられている資本を外資導入の実施以前に国内市場に投入していたら、日本の繁栄は保証されたものになっていただろう。そうではなかったために、日本の労働者は二極分化することになったのである。外資はその収益を悉くドル転してしまったのである。日本経済からはこうして利潤の循環作用が消失していったのだ。カネが回らないというこの状況を生み出すことになったのは、政府の判断が基本的に誤っていたからなのである。格差社会というものは、そこから生まれてきたものだった。政策判断の失敗であったということは、一目して瞭然たるものがある。国民を困窮させたその責任は、政府においてその総てを負うべきものであろう。
水素エネルギーのノウハウをもつ地球政府は、軍事大国が備えてきた武力を無効化する能力をもつだろう。力による世界支配は、炭素エネルギーを手段として発展してきた歴史の結果だったのだ。それが有限な資源であったことから特別の価値をもつようになり、互いに希少価値を奪い合うという展開をとることが時の経過と共に濃厚になってゆくのである。(日中間の課題である春暁ガス田を巡る経過などはその典型といえる) イラク戦争はその最初のケースになっていたのだった。アメリカに力を与えていた石油・ドル本位制というものが、世界の平和を遠ざけて緊張を強いてきた原因になっている。究極のエネルギー資源がありふれた水であったということが理解されるようになると、価値はものから概念へとシフトする。既存の価値を裏付けていたものは金であったり石油であったりしたのだったが、水色革命ではものではなく、平和という概念が一切の価値を代表するものになるのだ。
エネルギーは繁栄の基礎
人類の生存と繁栄は、エネルギー資源の確保を前提としなければ成り立たない。どこへ行くにしても、エネルギーは絶対的に必要なものなのだ。徒歩では体内に蓄えた脂肪を燃やしてエネルギーに変えているのだし、電車では電気エネルギーだった。自動車ならガソリンなどの揮発油を爆発させ、直線運動を円運動に変えて推力を得ている。エネルギーを熱(量)や動力に換えることができなければ、生命を存続させることは一切できない。現在は炭素資源から熱エネルギーを取り出しているため、限りある地下資源を掘り出すことで国の成長と繁栄とが維持されている。その代わり、CO2という二次性生物の増加で温暖化がすすみ、気候の変動を自然災害が凶暴化するほどまでに悪化させてしまったのである。
この原因となった二次生成物というのが、二酸化炭素をはじめとするその他多くの酸化物であったのだ。このような状態を世界中で維持し続けてきたために、地球の温暖化がこのところ急速に進んだのだった。二酸化炭素濃度の変化をみると、僅かに40ppm増加しただけなのである。この程度に過ぎない二酸化炭素濃度の微量な変化というものが、マクロベースで自然災害を巨大化させるようになってしまったのである。この事実は、温暖化が臨界条件を既に突破した、ということを示唆するものであるといってよいだろう。海流が消失してしまったら、海洋生物は絶滅する。食物連鎖の頂点に立つ人類は、海産物を摂取することができなくなる。また、旱魃も同時に進むことから、農作物などの収量は悪化せざるを得なくなる。この淘汰の時代を生き延びる個体の数は、とても低いものとなるだろう。
クリーンエネルギーは平和の礎
途上国では遅れていた経済成長を急ぎ、先進諸国に追いつくためのエネルギー資源の確保に腐心するようになっている。地下深くに埋蔵されている炭素資源を大量に手に入れるためには、アメリカの通貨であるドルを調達して決済しなければならない。アメリカには自国通貨であるドルを供給することで、あらゆる国の通貨が大量にやってくるようになっている。ドルを発行することについては、特段の制限は設けられていない。発行し過ぎて余ったドルがある時などは、金利を引き上げれば直ちに回収することが可能になるのである。余ったドルを回収したら、それを日本などの貿易黒字国へと売りつけてしまえばよい。そのドルは米国債となって、直ちに現金で戻ってくるようになっているのである。問題がみえていないと、アメリカだけが得をする経過を傍観していなければならない。知識のただしい活用法を、人類は再点検する必要があるはずだ。
ドル売りの窓口となっているファンドなどには日本の資産が手に入るだけでなく、米政府には国債の追加発行が可能になるのである。このような状態が米政府には与えられていたのだった。つまり、ドルの過剰流動性を貿易黒字国に割りふってしまえば、リフレッシュされたドルが現金で米政府へと還って来るようになっていたのである。ドルを売り続けていれば、ドルの通貨価値が高くなるようなことはおきない。世界各国がもっているドル建ての債権などは、ドル安の状態である限りアメリカの外へ出ることはできないのだ。このからくりに世界はほどなく気づくことだろう。金融当局者に通貨ダイナミックスの意味が分かっていても、国民が知らなければ問題になるようなことはなかったのだった。すくなくとも、いままでは。
水色革命は日本が起点
アメリカがドルを供給して得た富を政権の裁量で恣意的に使ってしまったために、地球には経済の不均衡が生みだされ、ミリタリーバランスを維持するための軍事予算の増加が強制されるようになっていったのだった。核の拡散、南北問題そして温暖化による気候の変動までが生み出されてしまったのは、ドル本位制の結果なのだった。アメリカがドルを発行することで得た各種の資本効果をイラクなどで使い果してしまったとしても、米軍の駐留経費が足りなくなれば国債を追加発行して戦費を調達することができるのだ。ドル売り外貨買いを進めれば、米国債が自動的に売れるようなシステムになっていたのである。アメリカが売るためのドルは、市中に余っている。日本のこれまでの対応をみると、システマティックな通貨戦略をアメリカに取らせるキッカケとなっただけでなく、実際にドルをリフレッシュするための再生工場に自ら率先してなっていたということが見えてくるだろう。自覚なき日本政府の対応はアメリカを増長させ、ドル資本による日本買いを慫慂して国内市場をアメリカのためのものにしてしまったのだった。これほどの売国行為は他にあるまい。この事実を国民は正しくみていない。
自国で発行したローカル通貨を売ってドルを買ってきた国では、アメリカに渡した自国通貨で固有の資産を改めて売り渡さなければならなくなっていったのだ。これはドル需要国すべてにとって、避けることのできない運命なのである。アメリカはドルが世界に与えてきた経済格差を放置して拡大し、ドルを供給して得た外貨でその国に再投資という経済攻撃を繰り返し行ってきたのである。その結果ドルを買えば買うほど、その国は貧しくなる一方という展開へと陥っていったのだ。
貧困国がドルを買うのは必需品を購入するためだったのだが、アメリカにはその国から得るべきものがなくても、ドルを遅滞なく供給しなければならないという義務があった。石油・ドル本位制という枠組みは、ドルを発行する権利をもつ国の繁栄と、石油を買うために自国通貨を売ったことで貧しくなっていく国とを、同時併行的に生み出していたのだった。
誤謬の連鎖
アメリカが世界を牽引して行くに足る能力を持つ国であったのなら、偏頗でアンバランスなこのような国際社会が生まれるようなことはなかったであろう。ドルを供与する国が受けるべき当然の権利として、アメリカは獲得したその外貨から得た資本の使い道を、軍事力を充実させて戦争抑止力として使う道を選んだのだった。アメリカが力を恃んで平和状態を維持するためにその資本力を使ってきたことから、終わりのない軍事予算の拡大へと世界は邁進してゆくことになったのである。ドルの発行国であるアメリカは、ドルを買った国が受けている困窮の意味を理解することができなくなっている。
単なる通貨の取引であるという観念から出られなかったアメリカ人は、セプテンバーイレブンや反米国家が現れている事象の裏にある背景の意味を推し測りかねている。この姿こそが、アメリカの現状をよく表わしている。米国人にとってドルは、単なるローカル通貨でしかないのだ。ドルが帯びている特別な優位性などは、当然の権利としてしかみていない。アメリカがテロの対象とされなければならなかったその理由を、アメリカ人が一番理解できていないのである。イラクで内戦状況が悪化する一方となっていったのは、アメリカ国民が問題そのものを正しく見ることができていなかったからなのだ。同時多発テロの攻撃を受けて噴気にかられ、アフガニスタンを解放したときの勢いのまま、イラクを攻撃しようとする政府を支持してきたのである。大量破壊兵器という未確認情報を信じたために、イラクにはもともと存在していなかったテロリストをそこへ呼び込んでしまったのである。それだけではなく、破壊活動を国際化させてしまうという結果まで招き寄せたのだった。米国民は最近になって事実関係を認識できるほど冷静になったため、さきの中間選挙ではブッシュの敗北が決定的になったのである。
問題点が見えていないと、対策を誤ってより悪い結果を手に入れることになるのである。バブルの崩壊でも日本政府はその対応を完全に誤ったのだった。日本が受けているこの困難な現状は、当時の為政者がとった不作為というその行動の連鎖によって生み出された結果だったのである。政府が対策らしいものを講じたのは、銀行の救済という選択が最初の政策判断であった。短焦点でしかものを見られなくなっていた国会は、当時急務となっていた取り付け騒ぎを抑えるために公金を急いで支出してしまったのである。これが日本の将来を決定付けた直接の原因になったのだった。
腐った銀行に国税を投入してしまったために、客観的な判断を行う余地を失ったのだった。国庫から支出した貸付金の回収ができなければ、国民に損失となったその理由を説明しなければならない。取り付け騒ぎに対応させるための国庫からの資本供給は、その時既に実施されてしまっていたのである。潰すべき銀行を蘇生させたというのは、公金の投入が先になされてしまっていたからだった。政府自らが銀行を潰すという選択肢を放擲してしまったため、その後貸し付けを拒まれた中小企業経営者が大量に自殺せざるを得なくなっていったのである。政策判断の誤りが、多くの中小企業経営者の命を奪い、社員を路頭に迷わせてはローワークの作業密度を上げることになったのだった。
ターンニングポイント
水素エネルギーへの転換を先延ばししてはならない。チャンスを進んで放棄するような行為は、国の繁栄を失わせる結果を招く。温暖化は総ての生命にとってピンチだが、水素エネルギーの実用化に成功した国は世界のエネルギー需要を統御する力をもつのである。この部分が政府に見えていたなら、全精力を傾注して水素資源の開発を急ぐべきだったことは分かっていなければならない。水素エネルギーを確保することは、文明にとって最後のチャンスなのである。未解決の技術的な課題は既にない。効率化を進めていくことにより、アメリカがもっている優位性に等しい立場を手に入れることができるのだ。
政府自体が自立するという強い意欲を持たなければ、日本で眠っている水素エネルギーのノウハウは、アメリカの制御下におかれてしまうだろう。正しい判断ができなかったからこそバブル後の処置を誤ったのだし、外貨準備高を膨大な額にまで膨らませてもその意味に気づかない。獲得した知識を活かすものは、ものを考えるための力なのである。知識をもっているというだけでは、なにも変わらない。国民に愛国教育を施すその前に、政府はアメリカをではなく、日本の国民を率先して愛さなければならない。問題のある教育システムに則ったまま愛国教育を施しても、反発を募らせるだけだろう。判断能力を涵養しなければ、どれほど知識があってもそれを使いこなすことはできない。正しい判断を行うためには、要素抽出を怠ってはならない。充分な知識があれば、得たデータの変数処理をすることができるだろう。要因分析をするには知識水準の高さというものが必要なのだ。権威の判断に頼るのではなく、自己責任で問題の本質に迫るべきである。失敗の積み重ねというこれまでの時の厚みが、その時きっと役に立つだろう。
おわりに
本稿をもって「太陽系第三惑星で今おきていること」というこのシリーズは終了します。三ヶ月間という枠の中で多くのものを盛り込んだため、記事単体のボリュームが拡大するということになりました。お伝えしたかったことの本質的な部分には、ほぼ言及することができました。人類にとって最終最後のこのチャンスを、ぜひ活かしてほしいと願っています。最後になりましたが、この場を提供してくださいましたチーム連山の皆様に御礼申し上げます。拙い訳文になりましたが、些少でも参考となることがありましたら以て幸いといたします。

コメント
貴氏の深い省察に敬意を表します。これからも頑張って下さい。ちなみに私の考えの一端は孔明氏の新春特別号に記載されています。 和中 勝
Posted by 和中 勝 at 2007年3月11日 16:27
古畑嚆矢氏の投稿をざっと斜め読みした。
(中略)
連山関係者の皆さん。新人コラムニストの登竜門とのことだが氏を合格とされるのかな。
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「情報システムの脱中心化」をお読み下さい。
また、他に
「情報革命は経営と雇用をどう変えるか」も参考にして下さい。
情報化時代に対応して新ドクトリンに従い新人コラムニストを選抜しています。
詳細の説明を後日、掲載する予定です。
産業型社会(中心的な系)とは違いリゾーム的な役割を持って可としています。ハンニバルの戦闘教義におけるケルト歩兵に近い形の重要な役割を担っています。
歴史は「選択する事によって選択されている」という理念です。
また2年間、読者がちゃんと読めば情報革命で貧困層に落ちる知的階級がグローバルなマーケットネットワーク(知的交易システム)に独自に参加できるようにする為の教育実証の面もあります。
Posted by われたまほーびん at 2007年4月14日 19:10