2004年6月に日本でも公開された「デイ・アフタートゥモロー(The Day After Tomorrow)」はカリフォルニアが竜巻に教われ、二ューヨークが大雪に見舞われる異常気象を描いて観客を驚かせた。この映画の基礎になったのが、ここでいう「ペンタゴンレポート」である。
出典
この報告書は原題を“An Abrupt Climate Change Scenario and Its Implication for United States National Security”(急激な気候変動とそれが米国国防に持つ意味)と言い、2003年の10月にピーターシュワルツとラグランドールがまとめて報告した。もともとは秘密報告であったはずなのだが、2004年2月にオブザーバー紙がその存在を公表した。ここからシナリオを書いていたのでは4ヵ月後の2004年6月に日本で公開することは難しいだろう。映画制作者はなんらかのルートで情報をその前に入手していたものと思われる。
出典
原文は下記で読める。
原文
以下にこの報告書の小見出しを書き上げてみる。これでおおよその内容が予想できるだろう。何回かに分けて、この内容を順番に紹介し、私の考えをまとめることにする。
考えられないことを想像する(序)
要約
はじめに
歴史を振り返る
8,200年前の寒冷期
ヤンガードライアス期
小氷河期
予測される気候変動
2010年までは温暖化
温暖化の結果
2010年から2020年に何が起るか
海洋熱塩循環の崩壊
南半球の場合
自然資源への影響
国防との関連
輸送力の低下
輸送力低下と戦争
気候変動による紛争の予想
本当に起るのか
歴史の繰り返しに備える
結論
要約
21世紀中に温暖化はゆっくりと進むと思われている。その変化は緩やかなので、大抵の国は対策を取ることができるだろう。しかし、最近の研究によりこの緩慢な温暖化が、突然海洋熱塩循環を遅らせることによって、世界の食糧生産国の冬の寒さを厳しくし、土壌の水分を減少させ、強風に襲われるようになる可能性があることが分かってきた。これに対
する備えが不十分だと、世界中の輸送能力が大幅に落ちるかもしれない。
海洋熱塩循環
この研究によれば、気温がある閾値を越えると、突然10年間に3~6℃の速度で気温が下がり始め、それが長期間続くことがあると言う。例えば、8,200年前に海洋熱塩循環が崩壊した時には寒冷な気候が約1世紀続いた。極端なのは12,700年前のヤンガードライアス期でこの時は1000年続いた。
8,200年前の気候変化
・ 毎年平均気温がアジア・北アメリカで2.8℃、北ヨーロッパで3.6℃下がった。
・ 毎年平均気温がオーストラリア、南アメリカ、南アフリカで2.2℃上がった。
・ ヨーロッパ、アメリカ東北部では旱魃が10年間続いた。
・ 冬の嵐が起った。西ヨーロッパと北太平洋では風が強く吹いた。
このように気候が突然変わると、争いが起き易く戦争になることもある。
1. 農業生産が減ることによる食糧不足。
2. 洪水と旱魃が頻発することによる上水の不足。
3. 海の凍結と嵐によるエネルギー不足。
資源のある国はその資源を守るために守りを固める。ない国は近くの仲の悪かった国の資源を強奪しようとする。宗教、イデオロギー、国の名誉よりも生存するための資源が重要になる。
米国は次のような対策を取るべきだ。
・ 天気予報の改善。
・ 突然気候が変わった時に食料、水、エネルギーにどのような影響が出るかを予測する。
・ 気候変動に最も弱い国を予想する。その国は暴力的になるかもしれない。
・ 今何をしておけば後悔しないで済むかを明らかにする(水管理など)。
・ 柔軟な対処ができるように演習する。
・ 近隣諸国との友好。
・ 気候をコントロールする方法の開発。
近年北大西洋では過去40年間に、氷河の解凍、雨量の増大、水の流出により海水の塩分が減っている。これは海洋熱塩循環を遅らせる可能性がある。

出典
(第二回目に続く)

コメント
ペンタゴンレポート興味深く読みました。
別サイトではレポートの完全和訳もあります。
一点疑問があります。
レポートの中の「気候ジャンプ」がどの様にして起こるのか。
ネットを漁ったところ「スペンスマーク効果」が原因と推測されます。
しかし、仮に「スペンスマーク効果」が原因であったとしても、太陽活動の
長期未来予測は未だ未領域な分野であったはず。
では何処からペンタゴンレポートは「気候ジャンプ」が近い内に起こる事を予測し、その対策(中東オイルの支配権獲得)を提案したのでしょうか。
この予測が何処から来ているのか、そこが記述されてないのが疑問です。
Posted by つる姫 at 2007年2月19日 19:52
ご返事が遅くなってしまって申し訳ありません。
「スペンスマーク効果」については私はよく知りません。今調べてみたのですがやはり分かりませんでした。
ペンタゴンレポートは慎重に断言を避けているように思います。「寒冷化の予言」ではないのでしょう。
「こんなことが起ったら大変だね。ちょっと考えて見よう」というシュミレーションだと思います。
確かに寒冷化が起れば難民と戦争が起ることでしょう。
Posted by 原 亨 at 2007年2月20日 06:37
ご返事ありがとうございます。
>「こんなことが起ったら大変だね。ちょっと考えて見よう」というシュミレーションだと思います。
そのような思いつきの動機でこれだけのセンセーショナルなレポートを作るでしょうか。
以下にこのレポートでの重要な所を抜粋してみました。
『ペンタゴンレポート』からの抜粋
http://nobuokimura.hp.infoseek.co.jp/Pentagon%20Report.htm
------------前略------------------------------------------
最近の証拠は、10年間かあるいは1世紀に渡る漸次の温暖化ではなく、より不吉な気候シナリオが開くかもしれないという
可能性を示唆しています。
これが、突発的気候変動(気候ジャンプ)によって起因する食物供給、健康および病気、商業および貿易、およびこれらの
国家安全保障に連座(密接に関係)する事柄をペンタゴンが調査する理由です。
------------中略------------------------------------------
突発的気候変動(気候ジャンプ)の過去の例は将来においても当然の事ととして突発的気候変動(気候ジャンプ)がありそれに
注意を払うべきことを示唆します。
特にいくつかの最近の科学的発見は我々がこのような出来事に至る尖った先にいる可能性を示唆しているのです。
(※引用注意:この「最新の科学的発見が何なのか説明が無いのがおかしい)
我々が構成した将来のシナリオは、今から8,200年前の出来事のに基づきます、それはヤンガードリアスよりもはるかに
暖かく短時間であったのですが、小氷河期よりは厳しい状況であったようです。
------------中略------------------------------------------
(※引用注意:ここから先、近年始まる事を前提にシミュレーションをしている)
このイベントの継続時間が、10年間か、100年間か、もしかすると1000年間であるか、そしてそれが今年始まるのか
遠い将来に始まるのかに思いを留めてください。
気候変化崩壊シナリオをここに提案し、我々は漸次の温暖化が2010年に至り終焉することに注意を払いそしてその後の
10年間の概略を述べます。
(すなわち)8200年前のイベントのように突然の気候変化に伴う寒冷化パターンの気候状況変化が起こる事を述べます。
------------以上------------------------------------------
明らかに、単なるシミュレーションでは無く、今そこにある危機と米防衛対策を提唱しています。
このレポートの発端は、ここ30年、米軍に大きな影響を与えてきたペンタゴンの伝説的有力者、防衛顧問
アンドリュー・マーシャル(82才)の委託によってまとめられた。彼はラムズフェルド国防長官のもとで米軍改革を主導し、
弾道ミサイル防衛を推進するとともに、純評価局(Office of Net Assessment)という防衛リスク評価の秘密シンクタンクも
率いている。
執筆者は、ピーター・シュワルツ(CIA顧問、前ロイヤル・ダッチ・シェルの政策トップ)と
ダグ・ランドール(カリフォルニアに本部をおくグローバル・ビジネス・ネットワーク)
そうそう足る人物によって提唱され執筆された内容だと推測できます。
『スペンスマーク効果』はこのサイトで理解できます。
http://noyatetuwo.hp.infoseek.co.jp/politics/gw1.html
http://www.geocities.jp/obkdshiroshige/tnmsut/tnmsut.html
要約すると、
太陽活動活発、フレア爆発、太陽風飛散
↓
銀河宇宙線、太陽風により地球に降り注がず
↓
雲の核となる銀河宇宙線減少、雲減少
↓
太陽からやってくる熱エネルギーをダイレクトに受ける(日傘効果→温暖化)
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しかも、この「スペンスマーク効果」はIPCCで却下された。
IPCC に関するうがった考察はこちら。
http://kuri8.livedoor.biz/archives/13648149.html
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調べれば調べる程にIPCCの提唱する「CO2増加に伴う地球温暖化」がうさん臭い、政治的バイアスのかかった組織ではないかと
言う事です。
また「ペンタゴンレポート」が昨今のアメリカの動きから見るにつけ、単なる予測の域を越えている点です。
Posted by つる姫 at 2007年2月21日 00:18
報告書に関するまとめ記事、期待しています。
Posted by つる姫 at 2007年2月26日 19:34
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