地球寒冷化に関するペンタゴンレポート・2

はじめに

現在の気候変動に関する常識は、たとえ気候変動があったとしてもそれは緩やかなもので、現代文明なら充分対応可能だというものだろう。
しかし、南ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、は旱魃、酷暑、水不足、による不作で悩むだろうが、北ヨーロッパ、ロシア、北アメリカは大丈夫だろう、と言う考えは甘い。

たとえばオーストラリアの報告書は放牧地の降雨量の減少によって、牛の重さが12%、牛乳の生産は30%減り、果樹園では病害虫が増え、飲料水は10%減ると予測している。

貧しい国では気候の変動に上手く対応できず、難民が流出して例えばアメリカのような比較的豊かな国に押し寄せる恐れがある。

しかしもっと恐ろしいことが起こるかもしれない。

歴史を振り返る


元の報告書から転載

8,200年前の寒冷化

グリーンランドのアイスコアの調査によれば、8,200年前に100年に及ぶ寒冷期があったことが分かる。その時は現在のような温暖期の後、突然寒冷化が起っている。北大西洋地域では気温が約2.8℃下がった。農作物の収穫は減少した筈だ。そしてこのような寒冷化が起った原因は海洋熱塩循環が崩壊したことにある。
過去730,000年の間に寒冷化は8回起っている。その原因も海洋熱塩循環の崩壊であった。


凍結したマンモス
出典


ヤンガードライアス期

約12,000年前、グリーンランドでは気温が15℃下がった。その時も海洋熱塩循環の崩壊が見られた。このような寒冷化は北大西洋地域全般に見られ、1,300年間続いた。この時は3℃近い気温低下が何十年も続いた。そして寒くて乾いた気候が1,000年以上続いたのである。ポルトガル海岸には氷山が現れた。現在同じことが起これば多くの死者が出るだろう。

「海洋熱塩循環」とは何か?極地で海水が凍る時に、大量の塩が排出されてその付近の海水の塩分濃度が高くなり、比重が重くなるので下に沈みこむ。これによって海水が動き出して海流が生まれる。
温暖化によって氷山が溶け出せば、逆に軽い真水が氷山から出るので、海水の動きが止まる。つまり海流が止まってしまう。寒流が止まれば、暖流も止まり、北大西洋地域は寒くなる。これが「海洋熱塩循環の崩壊」である。

映画「不都合な真実」予告編より
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小氷河期

北大西洋地域は1300年から1850年まで寒冷化した。これを小氷河期という。寒冷化の原因は太陽活動のほかに暖流の停滞にもよっていると思われる。その間、冬の寒さが酷くなり、気候が急変した。その結果、ヨーロッパの農業、経済、政治は大きな影響を受けた。

不作、飢餓、疫病、移民が絶えず、アイスランドやグリーンランドの住民は生きるためにバイキングになった。1315年から1319年の間に何十万人が飢え死にしたと伝えられている。グリーンランドの社会は崩壊した。百万人が死んだと言うアイルランドのポテト飢饉もこの結果であり、それから175年も経っていない。


【雪中の狩】ピーテル・ブリューゲル[フランドル 1525/30-1569]
出典


予測される気候変動

過去に起ったことはこれからも起ると考えて、我々は8,200年前の寒冷化を参考にすることにした。ここでの目的は予測を正確にすることではなく、起る可能性のある事態に対する対策を議論することである。
何時寒冷化が始まり、どの位続くのかは分からないが、以下では2010年まで温暖化が続いた後、急激な寒冷化が起るものと仮定した。

2010年までは温暖化

2010年までは世界の平均気温は1年で0.3℃上がり、地域によっては1.2℃上がる。20世紀末の傾向が持続するのだ。
北アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカの一部の気温が50℃を越える日数は1世紀前よりも30%以上増え、氷点下以下になる日数ははるかに少なくなる。山岳地帯での洪水が増え、耕作地での旱魃は長引く。それだけでも国際社会と米国の安全保障にとっては脅威となる。

温暖化の結果

温暖化が加速して1年間の温度上昇は倍になる。林地も草地も乾燥し山火事が起る。
2005年までには気象災害の増える地域がある。台風とその被害は益々大きくなる。2007年には激しい台風がオランダの堤防を破壊し、ハーグには人は住めなくなる。カリフォルニア サクラメント川の中州の堤防が決壊して内海ができると共に北部から南部への送水路が機能しなくなる。ヒマラヤの氷河が溶けてチベット人の一部は移住しなければならない。夏の北極氷山は2010年までにおおよそ無くなる。波が高くなり海岸の町に被害を与える。2003年に比べて約4倍の数百万人の人が洪水の被害を受ける。海水温度が変わるので魚の生息域が変わり、漁場が変わる。
北大西洋では淡水が増えるために熱塩循環を抑制する。


映画「不都合な真実」のポスター
出典

(つづく)