トラの保護

このようなトラの惨状を見て、トラの保護に動き出した人たちもいます。

1.推移
・1970年代
トラの保護が始まったのは比較的最近で1970年代からだと言われています。1975年にはワシントン条約(CITES)の付属書Iにトラが載り国際取引が禁止されましたし、1985年にはそれまで載っていなかったアムールトラが追加されました。

・ 1990年代
ワシントン条約で規制されても、密猟や密輸が絶えることはなく、インド・ロシアでトラの状態は危機的になりました。1994年、第9回ワシントン条約締結国会議でトラ生息国とトラ製品消費国とで密猟防止と取引規制に関する法整備と取締り強化が決議されました。

・ 2000年代
2002年第12回締結国会議ではトラのほかにアジアの大型ネコ科動物(ヒョウ、ユキヒョウ、ウンピョウ)についてもトラ同様の措置をとることが決議されました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――印象的なのは、一時的にトラの保護が盛り上がって、トラの個体数が回復すると、トラ保護熱が冷めてしまい、また密猟・密輸による個体数減少が起るということが繰り返されていることです。

一時的な個体数回復では安心できない、トラの敵は執念深いと言うことです。

2.生育国における状況
・ インド
インド亜大陸を主な生息地とするベンガルトラは、インド、バングラデシュ、ネパール、ブータン、ミャンマー西部に分布しています。この中で特に重要なのはインドとバングラデシュにまたがるガンジス川河口のスンダーバンズです。ここはマングローブに覆われた、1000平方キロに及ぶ広大な大湿地帯が広がっており、両国がそれぞれの領土を国立公園に指定しています。これを一つのまとまったトラ保護区としてみると世界最大のトラの生息地になります。

・ ネパール
インドとの国境にまたがる国立公園、野生生物保護区に主に生息しています。

・ ブータン
トラの生息に適した環境は多くありませんが、僅かながら生息が確認されています。

・ 東南アジア
ミャンマーからベトナムにかけて広がるインドシナ半島一帯は、インドシナトラの生息地です。最大で1800頭ほどが生息していると推定されていますが、生息している熱帯雨林の調査は大変難しく正確な数字は分かっていません。しかし、同地では熱帯雨林の大規模な伐採が行われているためトラの生息地は急速に失われているので、深刻な個体数減少が起きていると考えられています。

・ ミャンマー
内政の混乱のため、ここ数十年間トラの生息状況調査が行われていません。そのため、実際の生息数は分かりません。

・ タイ
20箇所近い保護区でトラが生息していると思われますが、5箇所を除いてその生息数はごく僅かになっています。

・ ベトナム
トラの生息に適した森は残されていますが、11箇所ある保護区での正確な情報はありません。ムオンネ以外の保護区は500平方キロ以下の小さなものです。保護区外でもトラの生存が確認されていますが、おそらく国内の総数は200頭ほどと考えられています。

・ カンボジア
長年にわたる内戦のため、野生動物の調査が行われていませんでした。国内に150~300頭が生息していると推定されていますが、トラ保護区の隣接地帯で大規模な森林伐採が行われるとトラが壊滅的な打撃を受けることが予想されます。1994年には350万ヘクタールにおよぶ森林が法律で保護されることになりましたが、その時には既に大部分の保護区は危機的な状況でした。

・ ラオス
住民へのアンケート調査ではトラが多くいるような回答が出ていますが、実数調査は進んでいません。また14箇所の保護区設立の計画はありますが実現していません。トラの生息地の多くで密猟や開発計画が行われています。

・ マレーシア
マレー半島の熱帯林にはインドシナトラが生息しています。広い野生動物保護区や森林保全地域があり、各地で生息が確認されています。しかし、平地部では森林の伐採が進み、今残されている山地の森も同様の危機にさらされています。また、トラによる家畜や人の被害も出ています。

・ インドネシア
かつては3つの亜種が生息していましたが、ジャワトラとバリトラは20世紀に絶滅し、残っているのはスマトラトラだけになりました。スマトラ島の5箇所の国立公園と2箇所の保護区に約400頭が生息していると推定されています。しかし、その多くが生息地の分断、人間との衝突、密猟に脅かされています。

・ 中国
かつて中国にはかなりな数のトラが生息していました。黄河以北にシベリアトラ、長江流域にはアモイトラ、南部国境地帯にはベンガルトラやインドシナトラ。しかし、今日生き残っているのは推定100頭前後、絶滅寸前です。
華南のアモイトラは20~30頭ほどで絶滅寸前、北東部のシベリアトラはロシアとの国境付近で僅かに見られ、約30頭と推定されています。

・ 極東
ロシア沿海州のシホテ・アリニ山脈にシベリアトラが生息しています。1996年の調査で500頭以下、その後さらに減少していると見られています。
中国との国境付近、ウラジオストックのケトロパヤパジ保護区でも生息が確認されています。

3.トラの保護活動
WWF
パンダマークで有名なWWFですがトラの保護にはかなり力を入れているようです。ホームページのトラ関係の資料も大変充実しており、今回のブログでも大いに参考にさせていただきました。

トラ保護基金
NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)がトラの保護活動に助成金を出しています。ここのホームページも参考にしました。トラのほかにクマ、タイマイ、サイ、クジラも扱っているようです。

国連
国連もトラの保護に取り組んでいます。しかし資料は豊富でありません。