キュロスの教育〔第八巻(4)〕最終回
第八巻 第七章 キュロスは老齢になり、ペルシアに戻った。彼の統治下では7度目である。キュロスは慣習通り犠牲を捧げ、ペルシア合唱隊の先頭に立ち、全ての者に贈り物を与えた。 キュロスは、夢のお告げで人生の終わりが迫っているのを知ると、山の高みで、ゼウス、ヘリオス、全ての神々に供犠を捧げて祈った「神々からの配慮が認識出来た事、自分が謙虚で有り続けられた事に感謝致します。家族と友人達に幸運を、自分には相応しい人生の終末を与えて下さい」。 宮殿に戻って横になると、食欲も無く、飲み物を飲むだけで、翌々日には息子達、友人達、ペルシアの行政官達を呼び集めた。「私はもうすぐ死ぬ。私の人生は幸運だった。常に立...
キュロスの教育〔第八巻(3)〕
第八巻 第五章 キュロスは、バビュロンの状況が良くなったので、ペルシアへ行軍する事を決めた。キュロスの軍は、秩序正しく迅速に陣営を設置することが出来た。キュロスの天幕は東に向けて張られ、パン職人達は右手側、料理人達は左手側、馬を右手側、駄獣を左手側と決め、その他も、場所と形状から各々が自分の場所を見分けられるようにした。 陣を引き払う時は、各人が荷物を纏め、輜重兵が駄獣にその荷物を載せた。こうして一つの天幕を撤収する時間で全天幕を撤収した。荷物を解くのも同様に、料理においても分業を行い、時間の短縮を図った。 キュロスは、戦いを有利に導く機会は非常に短時間であり、各人が準備の為にそれに乗り遅れ...
キュロスの教育〔第八巻(2)〕
第八巻 第三章 キュロスは宮廷から聖域まで壮大な行進を行う準備をした。まず、主要指揮官達に色とりどりのメディア服を与え「私がお前達を着飾らせるように、これらで友人達を着飾らせよ」と言い、聖域に犠牲を捧げに行く事、またその整列はペラウラスが指示する事を伝えた。 キュロスはかつて「各人が功績に応じて名誉を付与されるべき」だと自分に賛成してくれた平民出身のペルシア軍指揮官ペラウラスを呼び「好意を持っている者には最も美しく、悪意を持っている者には最も恐ろしく映る行進」について相談し、二人の意見の一致でそれが決定された。キュロスは行進を明日挙行するようペラウラスに命じ、指揮官達が彼に快く従いやすいように...
キュロスの教育〔第八巻(1)〕
第八巻 第一章 キュロスの演説に次いでクリュサンタスが述べた「優れた支配者は、立派な父同様に、善事を見放さず、幸福への助言をして下さる。私達が最善の結果を獲得できる唯一の方法は、司令官に服従する事である。命令を中途半端で放棄せず、常に軍を最強にする事で、私達は勝利とその享受を維持できよう。その為にも王様の命令に従い、役所に集まり、訓練し、自身を必要な時に提供しようではないか」皆がこれに賛同した。こうして、貴族達の宮廷待機や、彼ら自身を王に提供する事が決められ、このように、キュロスは支配権を維持する制度を作った。 キュロスは徴税官、主計官、工事監督官、会計主任、生活必需品担当者、動物担当者など、...
キュロスの教育〔第七巻(下)〕
第七巻 第四章 パンテイアの死後、カリア人が城砦内で内紛を起こし、キュロスに助けを求めてきた。キュロスはサルディスで戦闘機械と城壁破壊機を作っていたので、至極優秀なペルシア軍指揮官であるアドゥシオスに軍隊を委ねてカリアへ派遣した。 アドゥシオスが到着すると、カリアの両陣営から援軍受け入れの使者が来た。アドゥシオスは双方に「私を受け入れてくれた者達に下心無く尽くす為、城壁内に入る」と誓約し、相手にはキュロスとペルシア軍に有利な働きをするよう誓約させた。それから打ち合わせをして、夜の内に城壁内に攻め入って陣営を占拠しあった。 明朝、アドゥシオスは軍を陣の中央に率い、カリア軍双方の指導者達を呼び寄...
キュロスの教育〔第七巻(上)〕
第七巻 第一章 指揮官達は神々に祈ると、自分の隊へ戻った。召使が飲食物を持って来たので、キュロスはその中から神々に犠牲を捧げ、朝食をとり、最も空腹の者に食事を与えた。キュロスが神酒を注いで祈り酒を飲み、神に懇請して騎乗すると、側近達も同様にした。側近達は金色の武具を、キュロスは鏡のように輝く武具を身に纏っていた。キュロスの右手に雷鳴が響くと、彼は言った「神よ、私達はあなたに従います」。 キュロスは右手にクリュサンタスと騎兵隊、左手にアルサマスと歩兵隊を率い、彼らに軍旗を見て歩度を合わすように命令した。軍旗には、長い槍の上で翼を広げる黄金の鷲が描かれていた。 三回の休憩を挟みながら約20スタ...
キュロスの教育〔第六巻(下)〕
第六巻 第三章 キュロスは犠牲を捧げて吉兆を得ると、軍隊を率いて出発した。初日は近い所に野営した。 先行した偵察隊の報告により敵が近いのを知ると、キュロスは兵達に朝食を取らせ、騎兵隊と歩兵隊と戦車隊の指揮官達、戦闘機械隊と荷馬車隊と天蓋馬車隊の隊長達を集めた。その時、探索に行っていた騎兵達が敵軍の捕虜を連れてきた。尋問すると「大軍の為に全てが物資不足なので、前哨を超えて集めに来ていた。約11パラサンゲス先に私達はおり、皆は敵が間近に迫っていると知り悲しんでいる。毎日戦列を組み、命令しているのはクロイソスとギリシア人と脱走者のメディア人だ」と言った。 次いで、偵察隊長からの伝令が届いた「平地に...
キュロスの教育〔第六巻(上)〕
第六巻 第一章 翌早朝、キュアクサレスの司令部に、同盟軍の全指揮官が集まった。盛装したキュアクサレスが王座に座り、口火を切って議論を開始した。ヒュルカニアの王、カドゥシオイ王、キュロスの親族と名乗ったメディアの若者アルタバゾス(ペルシア軽装歩兵指揮官アルタバゾスとは別人)、ゴブリュアスが遠征を続ける意思を示し、最後にキュロスが発言した「軍を解散すれば、勢力が弱まり敵から害を受けるかもしれない。しかし、冬がやってくる。飢えや寒さと戦いながら戦争は出来ないので解散すべきだ。それでも戦を続ける場合は、食料確保の為に多くの城砦を奪取し、また築く必要がある。それから、敵に最も近い守備については、自国...
キュロスの教育〔第五巻(下)〕
第五巻 第三章 彼らは4日後、越境して敵地に入った。キュロスは戦列を配置し、騎兵には武器保持者を殺害するよう、又、捕獲した家畜を持ってくるように指示した。多くの家畜が集まると、皆を呼んで話し合い、神々への物と軍への補充分を取り分けた残りをゴブリュアスに贈る事を決めた。 それから、キュロス達はバビュロンに進軍した。アッシリア軍が攻撃して来ないので、キュロスはゴブリュアスに「アッシリア王が国防の為に戦うのであれば、私(ゴブリュアス)も共に戦おう。だが、そうしないのであれば私は勝者に従わねばならぬ」とアッシリア王に言うように指示。ゴブリュアスがそのようにすると、アッシリア王は「戦おうと思うのなら30...
キュロスの教育〔第五巻(上)〕
第五巻 第一章 キュロスは、キュアクサレスに最も信頼されている者達に彼の取り分を保持するよう命じた。そして、自分の取り分については「喜んで受取るが、それらを必要とする人が使うように」と言った。すると、一人のメディア兵が「私に歌姫を一人与えて下さい」と申し出た。キュロスは彼に好意を示せる事を感謝して歌姫を与えた。「彼の私への感謝以上に、私はお前達を喜ばせることを熱望している」 キュロスは、年少の頃からの友人であるメディアのアラスパスを呼んだ。キュロスは祖父のアステュアゲス(メディアの先王)の所からペルシアへ帰国する時、自分の着ていたメディア風の服を脱いで、特に愛していたこの友人に与えたのだった(...
キュロスの教育〔第四巻〕
第四巻 第一章 敵の反撃は無かった。キュロスは撤退し、野営の準備をした。歩哨を配置し斥候達を放つと、キュロスは部下を集めて中央に立ち、神々と兵達を称え、服従能力と指導能力に秀でていたクリュサンタスを大隊長に任命し、彼を皆の前で表彰した。 アッシリア軍は司令官や多くの勇敢な兵士が戦死したので、脱走兵が耐えなかった。リュディア王クロイソスと同盟軍は落胆し、夜間、多くの財貨を残したまま陣を去った。翌朝、キュアクサレス王率いるメディア軍とキュロスのペルシア軍は、無人となった敵陣で朝食を取った。キュロスは、叔父のキュアクサレス王の所に行き、残兵補足の為に志願兵を募りたいと話すと、王は難色を示した。そ...
キュロスの教育〔第三巻〕
第三巻 第一章 アルメニア王はキュロスの使者から話を聞くと、次男サバリス、妻、息子の妻、娘達を山へ送り、兵を集め各部署に配置した。しかし、すでに彼と彼の兵達が近くに来ている事を知って、王は退却した。次男達が山でつかまり、王は丘へと逃亡したが、全面包囲に観念しキュロスの所へ下りて来た。キュロスが、王らを中央に陣を設営した時、昔の狩猟仲間であるアルメニア王長男ティグラネスが旅から戻ってきた。彼はティグラネスに対して友好的な態度を取らず、真実を知る王の証人達(アルメニア貴族と馬車の女達)を呼び寄せて、裁判を始めた。 キュロスの問いに答える王の言葉を聞いて、息子は冠を取り、女達は死への恐怖で混乱した。...
キュロスの教育〔第二巻〕
第二巻 第一章 国境に着くと二人は神々に祈り、抱き合った後、別れを告げた。父は戻りキュロスはキュアクサレスのもとへ急いだ。彼は叔父の所へ着くと抱擁し、それから敵や見方の兵力などについて話し合い、作戦を練った。 騎兵 戦車 リュディア王クロイソス 1万 軽装歩兵+弓兵4万以上 大プリュギアのアルタカマス 8千 軽装歩兵+槍兵4万以上 カッパドキア王アリバイオス 6千 軽装歩兵+弓兵...
キュロスの教育〔第一巻〕
第一巻 第一章 人は誰かに支配されそうになった時、支配しようとする側に反抗するものである。しかし、言葉の違う多くの種族を支配したキュロス(ペルシア大王 前559-530年)にとって、人を隷属させる事は困難では無かった。彼は領地全ての者を恐れさせた。しかも、彼は人々の心に自分を喜ばせたいという願望を引き起こすことが出来たので、人々は常に彼の意思によって導かれることを欲した。彼はこのような「人を支配する賢明な方法」を、どのような教育で得ることができたのだろうか。彼の人生はどういうものだったのだろうか。 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』大キュロスより 第一巻 第二章 キュロスは...
