キュロスの教育〔第八巻(4)〕最終回

第八巻 第七章

キュロスは老齢になり、ペルシアに戻った。彼の統治下では7度目である。キュロスは慣習通り犠牲を捧げ、ペルシア合唱隊の先頭に立ち、全ての者に贈り物を与えた。

キュロスは、夢のお告げで人生の終わりが迫っているのを知ると、山の高みで、ゼウス、ヘリオス、全ての神々に供犠を捧げて祈った「神々からの配慮が認識出来た事、自分が謙虚で有り続けられた事に感謝致します。家族と友人達に幸運を、自分には相応しい人生の終末を与えて下さい」。

宮殿に戻って横になると、食欲も無く、飲み物を飲むだけで、翌々日には息子達、友人達、ペルシアの行政官達を呼び集めた。「私はもうすぐ死ぬ。私の人生は幸運だった。常に立派な成果を享受し続け、求めたものは全て手に入った。友人達を幸せにし、敵対者を隷属させ、今は勢力ある祖国を残す。将来苦しい経験をするのではないかという恐怖が、私を自制させた。愛する息子達よ、祖国の慣習と法(第一巻参照)を受け入れ、カンビュセスが王位を継げ。そして信頼すべき友人達を好意によって得て王位を守れ。タナオクサレスはメディアとアルメニアとカドゥシオイの太守に任命する。カンビュセスに心から奉仕し、その益を享受せよ。息子達よ、兄弟の絆の恩恵に基づいて事業を構築しろ。兄弟間の不正は全ての人々からの信用を失う。神々を畏敬し、互いに尊敬しあい、人々に敬意を示せ。味方に親切にすれば、敵を懲罰できるのだ。私が死んだら出来るだけ早く、美と生命を生み出す大地に返してくれ。私の墓に人々を集めて、私が如何なる災厄も受けない状態に居るのを、共に喜んでくれ。来てくれた者達には習慣通りに恩恵を施して帰らせよ」。このように遺言を述べたキュロスは、息子達と友人達に右手を差し伸べ、別れを告げて、この世を去った。

第八巻 第8章

キュロスの意思一つで統治されていた巨大な王国は、彼の死によって急激に悪化した。兄弟は争い、諸都城、諸種族は離反した。家族を裏切ってでもペルシア王の為に有利な行いをする者が最大の栄誉で報われ、大罪者達だけではなく善人をも捕縛して財貨の支払を強要したりした。ペルシア人達の不敬や不正が知れ渡り、国民達は彼らを信用しなくなった。アルタクセルクセス王と廷臣達は酒に溺れ、彼らは狩猟や鍛錬する者達を憎んだ。各種競技や教育も廃れた。裁判も金次第で勝利が得られ、子どもらもそれを知り正義を失った。毒殺も多発した。ペルシア人は、飽食に走り、酒杯の数を自慢し、虚弱になって寒暑にも耐えられなくなった。戦の時は、酌人、浴室係、化粧係などを騎兵にし、鎌戦車も突入前に御者が落下するか飛び降りるので、無人化した鎌戦車が味方に損害を齎す事も多かった。ペルシア人は、ギリシア人の援助無しには戦争をしなくなった。

求む(平成19年12月23日迄に投稿)

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