第三巻 第一章
アルメニア王はキュロスの使者から話を聞くと、次男サバリス、妻、息子の妻、娘達を山へ送り、兵を集め各部署に配置した。しかし、すでに彼と彼の兵達が近くに来ている事を知って、王は退却した。次男達が山でつかまり、王は丘へと逃亡したが、全面包囲に観念しキュロスの所へ下りて来た。キュロスが、王らを中央に陣を設営した時、昔の狩猟仲間であるアルメニア王長男ティグラネスが旅から戻ってきた。彼はティグラネスに対して友好的な態度を取らず、真実を知る王の証人達(アルメニア貴族と馬車の女達)を呼び寄せて、裁判を始めた。
キュロスの問いに答える王の言葉を聞いて、息子は冠を取り、女達は死への恐怖で混乱した。彼はそれを制し、王に「自身の正義に従ってこの裁きについて助言する事」を求めた。王は自分を殺すよう助言すべきか困り果て、そこで息子がキュロスの許可を得て父の代弁をした。
「殿下にとって味方の獲得が得になるのであれば、味方を殺すことは損失になります。父は殿下を恐れております。人を奴隷にするのに激しい恐怖以上のものはありません」とティグラネスが述べたので、キュロスは「私は強制されて仕事をする召使より、好意や愛情で義務を果たす者たちを望んでいる」と返した。「殺され奪われるのが当然だと思っている者らを殿下が助けられた場合、その者らは最大の恩義を感じて、進んで殿下に服従いたしましょう」このティグラネスの言葉に、叔父との約束が達成されたと思いキュロスは喜んだ。
キュロスは、捕らえた者達を王の所に戻し、彼らと和解した。そして互いに友好を示し、食事を共にした後に別れた。翌日、王はキュロスとその全軍に贈り物を届けた。出陣するアルメニア軍は王の息子ティグラネスが率いる事になった。
第三巻 第二章
翌日、キュロスはティグラネス達とアルメニア国内を巡察し、その大部分がカルダイオイとの戦で無人となり耕作されていない事を知った。そして、彼らが侵入して来る山に城砦を築く事を決めた。次の日、ティグラネスとアルメニア軍が到着する前に、キュロスは神々からの吉兆を得た。彼は、皆が集まると指揮官を召集してその事を伝え、「迅速を味方にし、敵よりも先に山頂を奪取する事」を命令。各軍に指示を与えた後、進軍した。
そしてキュロス達は瞬く間に山頂を占拠した。彼は全兵を集めて昼食を取った後、城砦を築き始めた。また、負傷者の治療を命じ、捕虜となったカルダイオイ兵達に「アルメニア人との平和を思い我々と友人になるのなら、武器を持たずに戻ってくるように」と伝え、彼らを釈放した。ティグラネスがキュロスの依頼で、父に大工や石工を連れてくるように要求したので、アルメニア王は急いで大工達を連れて山頂へやって来た。王はキュロスに多くの感謝とカルダイオイ兵たちへの敵意を述べた。カルダイオイ兵らが和睦の為にキュロスの下へ戻ってくると、三者で話し合いをした。
そして彼らは、互いは独立国であるとして軍事同盟を結び、両者間での結婚、耕作権、放牧権の合意についての協定を結んだ。夕方、キュロスは友人として両者を食事に招いた。カルダイオイ兵が「我らの中には耕作を知らず、略奪や傭兵だけで生きている者もいる」と言ったので、キュロスは傭兵を雇う事を申し出た。インド王の傭兵をしていた者も居ると聞き、キュロスは両者に「財貨獲得の為、インド王へ使者を送るので、道案内と助力者を付き添わせてほしい」と依頼した。彼らはそれを受け、翌日、出発するキュロスの使者に適者を同行させた。
第三巻 第三章
キュロスは城砦に守備隊を配置し、残りの兵とカルダイオイから得た4000の兵らと共に、下山した。居住区ではその誰もがキュロスを称え、彼に贈り物を贈った。アルメニア王は祖国が平和になったので、従軍させる兵数を増やした。翌日、キュロスは軍隊と財を叔父の所へ送った。彼がメディアに着いた時、直属の中隊長に「彼らが彼らの部下達を表彰できるように」と充分な財貨を与えた。各々が表彰されるに相応しい財貨を得られたのは、優秀な兵士であったからだと述べ、今後もそうあるように奨励した。
また、キュロスは、軍を完全武装で整列させると、各指揮官達を招集して隊列を組ませ、皆の前で彼らを率い、同盟軍の各兵力が強い理由を明示した。指揮官達には「部下にこの行軍法を教える事。そして、皆に出陣への強い欲求を抱かせて、明朝にはキュアクサレスの陣営に到着するように」と指示した。翌日キュロスは指揮官達と共にキュアクサレスの所へ行き、出陣の同意を得ると、神々に犠牲を捧げ吉兆を得た後、出陣した。越境直後にも神々と英雄達に祈りを捧げ、また他の神々が現れれば丁重に扱った。そして歩兵隊を前進させ、騎兵隊は襲撃で略奪物を入手しつつ、敵陣に接近していった。両軍間が約1パラサンゲス(約5.5km)になった夜、アッシリア軍は目立つ所に陣を張り、騎兵による奇襲に備えて堀を巡らした。片やキュロス側の軍は敵から隠れた場所に陣を設営した。
次の日、アッシリア王とクロイソスは軍隊を堅固な陣営内で休息させ、キュアクサレスとキュロスの軍は戦闘隊形を組むが、敵軍の動向を判断した結果、出陣しなかった。その翌日、キュロスが貴族達と共に神々に犠牲を捧げると、「戦が起こり勝利する」という予兆を得た。貴族と後衛指揮官に指示を与え、皆に朝食を取らせている時、アッシリア軍は、既に朝食を済ませ、王が戦列を組んでいる兵達を激励していた。キュロスは、キュアクサレスから2度目の使者が来ると、神々に祈り、秩序正しい戦列で素早く出撃した。神の名を合言葉に巡らし、敬虔に軍歌を歌い挙げると、互いに側の者達の名を呼び何度も励ましあい、また、後ろに居た者達は先頭にいる者達に勇敢に先導するよう激励した。

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