名将たちの教育論(第十回)

第1章 軍人たちの教育システム

第4節 士官学校の教育


 日本においては、戦場往来の経験豊かな老兵が若武者に対して兵学書を参考資料にして、主として実戦体験の教訓を語って育成した。よく知られている“炉辺兵談”である。こうしてみると軍事教育法の本質は「徒弟教育」と断言して差し支えないだろう。
 近代的な陸軍士官学校について見るとアメリカのウエストポイント陸軍士官学校は前身がアメリカ陸軍工兵学校で1802年に士官学校となった。
 軍事高校や士官学校の教育の最大の特色は全員寮制で部隊のように編成されて生活し、教官、先輩、後輩の関係を大隊長、中隊長、小隊長、分隊長、戦友のように律して一種の「組織的な徒弟教育」を行なうことである。
 イギリスの陸軍士官学校は1741年創立の王立陸軍士官学校と1799年創立の王立陸軍大学校が合体して第二次世界大戦後の1947年に現在のサンドハースト陸軍士官学校となっている。
 ドイツの陸軍士官学校はフレデリック大王が7年戦争のあと1764年に創設した。数々の名将を輩出している。
 日本の陸軍士官学校が東京の市谷に開校したのは1874年である。
 世界で三つの著名な海軍兵学校の一つは王立海軍大学校を前身とする現在のイギリスのダートマス海軍兵学校(1863年に移設)である。
 次がアメリカのアナポリス海軍兵学校は1845年に開校した。三つ目は日本で、1869年に創設された海軍操練所が翌年に海軍兵学校と改名したものである。日本は海洋国家として世界に誇る「船乗り教育機関」を持っていたのだ。
 士官学校の教育において、究極的に学生に求めるものは
「戦場においての判断と決断は、何も頼るものがない。自分で考えよ」



名将たちの教育論(第十一回)へ続く

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