第1章 軍人たちの教育システム
第5節 教官に求めるもの
(勇敢を教えよ)
勇敢な人間になればよいと人は言うかもしれないが、そんなに簡単に勇気のある人間になれるものではない。
「恐怖心は意志を粉砕する。そして目標に対する精神集中を失わせる。恐怖心は危険のバロメーターなのだ。肉体的恐怖は肉体力をつけて克服できるが、精神的恐怖は目標を見詰めることによって克服すべきである」(「戦争学の基礎」フラー少将、1926年)
ここで勇気ある人間を育てるために三人の名言を味わいたい。
「人間、生まれながらにして勇敢な者は少ない。大部分の人たちは規律と教育訓練によって勇者になる」(「ローマの軍事教書」F.V.レナタス,378年)
「恐れを知らぬ資質が勇気の定義なら、余は勇者を見たことがない。すべての人間は恐怖心を持っている。知的な人ほど恐怖心が強い。勇敢な人は恐怖にかかわらず勇気を自分自身に無理強い続ける人である。恐怖の最中にあって規律、誇り、自尊心、自信、栄光を求める心が人を勇者にする」(「私の知る戦争」パットン大将、1947年)
「自制は自尊心の核心であり、自尊心は勇気の核心である」(「ペロポネソス戦史」ツキディデス、紀元前404年)
名将たちの教育論(第十七回)へ続く
