第1章 軍人たちの教育システム
第5節 教官に求めるもの
(勇敢を教えよ)
生まれながらにして勇敢な人は数少ないとなれば、凡人の我々は救われる。しかし、ここに教育の重要性がある。勇敢な国民が多い国は発展することはローマ共和国の発展の歴史が示している。戦略の父と言われるカルタゴの名将ハンニバルによって敗北に次ぐ敗北を重ね、ローマを守るベテラン兵士が底をついたとき、多くの軍事に素人のローマ市民が戦力の回復に死を覚悟して兵士に応募した。
このローマの再挑戦魂は世界軍事史の中で燦然と輝く教訓である。偉大なローマ帝国はこの敗戦の中から立ち上がったときがスタートだと評価して差し支えない。
日本が第二次世界大戦に敗北したからといって国民が腰抜けになっては古代ローマ人から笑われるだろう。そんな根性では、国家はもちろん日本人の尊厳も威信も回復できない。
「戦場は錯誤と失策と臨機応変で充満しているものである」(リッコヴァー米海軍少将の議会証言、1964年)
勇敢であるためには常に自分の心に“勇気”を自分で押し付けていなければならないが、受身の勇敢だけでなく冒険心や侠気(義を見てせざるは勇なきなり)の勇気も必要であるし、神風特攻隊の勇士たちが示した「滅私報国」の勇気はもっと尊い。
「手の平に“勇”と書いて飲み込み、相手に立ち向かえ!」
名将たちの教育論(第十八回)へ続く
