名将たちの教育論(第二十四回)

第1章 軍人たちの教育システム

第5節 教官に求めるもの


(忍耐力を付与しよう)

 義務の遂行は容易ではない。あらゆる抵抗に耐えながら目標に向かって一寸でも前進しなければならない。辛抱が将兵に要求される。
辛抱の原則が教えている通り、辛抱は決意の本質から直接に導かれるものである。
「自分の希望をもって忍耐する人は勇気のある人である。臆病者はすぐに絶望する」(「ヘラクレス」ユーリピデス、紀元前422年)
ナポレオンの手紙集にある通り、勇気に次ぐ兵士の資質は忍耐である。将兵にとって辛いことに、“勇気”と“忍耐”は自然に身に着くものではない。意識的に自分に言い聞かせて押し付けなければならない資質である。勇気と同じように
「手の平に“忍”の一字を書いて飲み込み、耐えるしかない」
人間として最も苦しい精神的苦痛は侮辱を受けるときである。侮辱を受けても勇気と能力があれば怒りを起さない。しかし臆病と無能な人間は侮辱を受けると怒りを覚えることになる。しかし無能だから怒りは恨みとして心の底に沈殿してしまう。だから挑戦心は生まれず侮辱は精神の鍛錬には役立たない。
「君は兵士に対して心無い言葉、侮辱、悪態、下品な言葉を使ってはならない」(ド・ギソール仏元帥が息子の任官にあたり、1990年)
しかし屈辱は精神を鍛える。
「戦った。敗れた。また戦った」(アメリカ独立戦争における南部戦線の勇者、グリーン少将、1781年)



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非常時の備え