名将たちの教育論(第二十五回)

第1章 軍人たちの教育システム

第5節 教官に求めるもの


(忍耐力を付与しよう)

 筆者の座右の銘は1775年にワシントン大統領が決意を誓って友人へ送った手紙の文章である。
「忍耐と気迫は年齢を問わず事を成す」
失敗は手段方法の誤りと考え方の誤りに存在する。そこで教育にあたって教官は手取り足取りで成功のための手段・方法や考え方を教育しようとする。しかし、それでは被教育者は問題解決能力を増すことはできない。「守(師の方法を守る)」
「破(師の方法から抜け出す)」
「離(師の方法よりも優れた自分の方法を編み出す)」
これは剣道の教育の三段階であるが、最初の「守」においても被教育は自分の納得と考えで師の手段・方法を取り入れなければ身に付かない。借り物の衣服を着たようになる。したがって教官の教育手法は「ヒント方式」となる。茶道のような日本文化の教育には“形より入る”手法が重視されるが名先生は“形”の所以を暗示的に説明する。
 日本の武道の教育方法は、しばしばこの手法が使われてきた。剣道において打ち込みの距離が少ない被教育者に対しては、打ち込みの距離を伸ばせと指導しても効果はない。毎朝、廊下の清掃に雑巾掛けをさせると足腰が強くなる。それで打ち込み距離が自然に伸びる。それに気付いて本人が足腰の鍛錬に工夫するキッカケを与えるような方法である。
「求められるまで、“仕方”を教えるな。“目標”だけを与えよ。これが教育法の原則だ」(パットン米大将)
 自ら納得した技術や知識が本物である。すなわち、
「本物の優秀は習性になっていなければならない。それは忍耐によって培われる」(アリストテレス)



名将たちの教育論(第二十六回)へ続く

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