第1章 軍人たちの教育システム
第6節 将校を育てる
(将校とは)
軍人社会はフリー・メイスンの社会に似た傾向がある。戦争ではないときには世界中の軍人に国境がなく仲間である。軍隊は発生論的に言えば国家と無関係な組織である(「軍隊は戦争機械」比較法史研究 第12巻)から世界中の軍人社会には将校の親睦互助会であり、研修会としての「将校団」が相互に交流を図っている。そこには国籍がなく階級だけが区分原理になる。
「階級とは、命令違反するときを判断できる能力に応じて与えられる」(プロシャのフレデリック・ウイリアム皇太子、18世紀初期)
その能力とは軍事的識能にほかならない。だから軍人の機能的な忠誠は“腕前”に捧げられる。
「国家防衛システムの骨幹は正規軍であり、正規軍の骨幹は将校である。彼らは軍の魂である。予算を縮小しても最後に残さなければならないものは“将校団”である。将校1名の価値は兵士1000名の価値がある。彼らは異質な人間の寄せ集めを同質の人間団体に変質させる唯一の人間である。政治家は将校団の育成・維持こそ国防政策の第一歩でなければならない」(1933年における議会証言、マッカーサー元帥)
将校には4つのタイプがある。おそらく一般社会でもこの分類は適用できるだろう。
「将校は“頭脳明晰”、“勤勉”、“横着”、“鈍感”の4要素によって分類できる。一人の将校はこのうち少なくとも2つの要素を持っている。余は頭脳明晰で勤勉な将校を参謀大学に入学させる。ある特定の状況では横着で鈍感な将校が役に立つ。頭脳明晰で横着な将校は最高の指揮官として選定する。なぜなら彼は困難な決断を行うに必要な神経の図太さと英知がある。しかし、鈍感で勤勉な将校は“将校団”から排除する」(ハンメルステイン独大将、1933年)
名将たちの教育論(第二十八回)へ続く
