名将たちの教育論(第三十八回)

第2章 部隊の練成

第2節 団結心の培養


(「ドイツ国民に告ぐ」)

兵士は現在の組織に属する一人ではない。彼の背後には家族があり、家族の隣には兄弟があり、さらに背後には先祖から続く一族が居る。指揮官は一人一人の兵士について、その重みを感じなければならない。一人一人が重いのだ。“人は石垣、人は城、情けは味方、仇は敵”である。
「諸君の軍団は先祖代々からの家族と考えよ。単なる家庭ではない。だから自己中心に考えるな! 一族中心に考えよ。一族の中に君の家族が在る。君が戦死すれば妻子は悲しむが、我慢して家族を救え。一族が君の残された妻子を支える」(「軍人のための記録」、ロシア・トルコ戦争の英雄ドラゴミロフ露大将、1890年)
 1806年、ナポレオンはプロシャを占領した。翌年、彼はニーメン河の筏の上でロシア皇帝アレキサンドルおよびプロシャ国王フリードリッヒ・ウイルヘルム三世と会見してチルジット条約を締結した。これでウイルヘルム三世はポーランド大公であることを止め、さらにプロシャはエルベ河以西の国土をフランスに譲渡することになった。
 意気消沈したプロシャ国民に対し、哲学者フィヒテはベルリン・アカデミー講堂においてプロシャ国民に対し『ドイツ国民に告ぐ』と題して14回にわたり講演し、国民の奮起を促した。
 利己主義の行き着く先は自己を見失うことになる。国民は“拡大された自己”を獲得せよ。拡大された自己とは、現在生きている自分だけではなく、先祖から孫子に連なる一族の中の自分を認識することである。国民は欧州人である前にドイツ民族であり、ドイツ民族である前にプロシャ国民である。
 したがって教育はプロシャ国民のための教育であり、ドイツ人のための教育であり、プロシャ国家のための教育でなければならないと国民の団結に資する「公教育」の重要性を訴えた。



名将たちの教育論(第三十九回)へ続く


求む(平成19年12月23日迄に投稿)



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