日本の京都議定書達成の鍵は水素社会の実現である(6)

11. アラブ首長国連邦で開始されたClean Development Mechanism (CDM)

先日、アラブ首長国連邦で最初のCDMプロジェクト承認という記事が現地の新聞紙に掲載された。本プロジェクトは副題に「先進技術でゴミ処理上の悪臭を消散する」とあるように、ゴミ処理場でバクテリアが発生するメタンガス(温室効果ガスの一つ)の削減を目的としたものである。ゴミ処理場や埋立て地におけるメタンガス回収・削減プロジェクトは既に日本国政府の承認による類似の案件が多数存在している。本プロジェクトは地球規模での温室効果ガス削減という趣旨には沿っているが、地域住民に多大な恩恵を与えるプロジェクトではない。本来であれば、連山編集長の永井俊哉氏が提案するように湾岸諸国の人たちが目に見える形で恩恵を与えかつ温室効果ガスが削減できるという複合的なプロジェクトこそ望ましい。湾岸諸国において、そのような強固な相互利益型CDMプロジェクトというのを以下考えてみよう。キーワードは膨大な水とエネルギーの需要である。

A project to develop a landfill in the Emirate of Sharjah was approved during a meeting of the Clean Development Mechanism (CDM) Higher Committee held in July 2007. The meeting was chaired by H.E Mohammed Bin Dhaen Al-Hameli, Minister of Energy. The landfill project will be executed by a private company, following the Government of Sharjah's approval. In 2005, the Environment Agency - Abu Dhabi (EAD) was nominated as the Designated National Authority for CDM. According to Majid Al Mansouri, Secretary General of EAD, the advanced technology, known as the SWS SMELL WELL SYSTEM, that will be used in this project is certified by Japan and Germany. This technology will help solve any problems associated with odors emanating from any bacteria.

例えば、工業プロセスで発生する二酸化炭素を回収・貯蔵する炭素隔離事業のように、温室効果ガスを削減する効果しか持たないプロジェクトは、追加性ゆえに、京都議定書が定めるクリーン開発メカニズムの承認を得やすいが、途上国の人々に歓迎されない。他方で、自分たちの生活を目に見える形で向上させる効果を複合的に持つプロジェクトなら、歓迎される。コベネフィッツ型温暖化対策を行うには、京都議定書という枠組みよりも、政府開発援助の枠組みで行う方がよい。

12. アラブ首長国連邦における現状についての考察(水・電気)

アラブ首長国連邦は現在、未曾有の経済発展のために多くの外国人労働者が流入している事と、政府が格別の人口抑制策を取っていないことや、衛生状態の飛躍的な向上という原因により、世界で最も高い人口増加率(1995~2002年の間に年率5.38%)を示している。1980年代初頭に100万人程度の人口であったのが、(外国人含む), 2005年度の国政調査によると人口は410万人にまで膨れ上がっている。よってその人口増加に比例して、水と電気の需要も飛躍的に増加しており深刻な水とエネルギーの供給不足が顕在化している。

12.1. アラブ首長国連邦における現状についての考察(水)

アラブ首長国連邦は一部の地下水を除いて、水需要のほとんどを海水蒸留水で賄っており、天然ガスを使用した発電・海水淡水化の複合プラントが主流となっている。2003年度のデータによると水の年間生産量は2164億ガロン、アブダビ首長国連邦のみのデータによると、1993年の水の生産量が352億5200万ガロン,2003年の1204億1400万ガロンと10年で水の生産量はほぼ4倍に達しており、年間増加率が13%以上と人口増加率の2倍以上の数値を示している。アブダビ水・電力庁(ADWEA)作成による2006年度の年次報告書によると2009年度以降、アブダビの水の需要量が供給量を上回るという驚異的な事実を知る事ができる。水の確保とその節約がこの地域が今後、経済発展するために重要なファクターであることが伺い知る事ができる。

12.2. アラブ首長国連邦における現状についての考察(電気)

アラブ首長国連邦は総発電量の約97%が天然ガスを使用しており、その生活基盤となる天然ガスの不足という事実が顕在化している。天然ガスに関して、アラブ首長国連邦は世界の3.4%(世界第5位)の埋蔵量を有しているにも関わらず、そのガスが不足しているというのは次の事実による。

カタールを除く湾岸諸国の国々は外貨獲得手段としての石油資源の保存を優先したいことから石油に随伴するガスを望みどおりに生産拡大することはできないでいる。また、アブダビに見られるようりに、同国は世界第5位のガス埋蔵量を誇っているが、石油生産維持のために油層にガスを再圧入する必要があったり、ガスがサワー(酸性)で生産が困難であるとの状況がある。


よって、今後UAEの経済を電力および水の供給から支えるために、2007年7月10日にようやくカタール・ノースフィールド・ガス田から、カタールのラスファンにおけるプラントを通して、UAE(アブダビ)タウィーラへの送ガスが開始された。本プロジェクトはDolphin Projectという名称で知られている。UAEの電力需要は年平均10%で増加しており、2003年の総発電量は481億6300万kW・hにまで達している。電力も水と同様にアブダビ水・電力庁(ADWEA)作成による2006年度の年次報告書によると2009年度以降、アブダビの電気の需要量が供給量を上回るという驚異的な事実が報告されている。

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