序文
4月25日に連山コラムニストとして、執筆していた峯山政宏さんが、「高級リゾート地で見た悪夢 地獄のドバイ(彩図社)」というタイトルで文庫本を発売されました。連山ではその発売を記念して、著者の峯山さんに緊急インタビューを行うことになりました。全12回で読者の皆様にお伝えする予定ですので、乞うご期待ください。
拘置所の中には他にどんな人がいたのですか(後編)
先週に非続きまして、アブダビ中央拘置所で、僕と同じ監獄に収容されていた他の囚人たちを紹介していきたいと思います。
ソマリア人
ソマリアっていうのは、危険な国の代名詞のようなところでして、1960年には、イギリスからの独立を遂にを果たすんですが、民族が6つの氏族、16の準氏族に分かれていることから、独立後から血で血を争う飽くなき権力争いが続いていたんです。1991年の内戦により国土はソマリアとソマリランドに分断され、事実上の無政府状態が続いているという世界最悪の内戦地帯なんです。外務省の渡航情報でも、ソマリアは最大級の危険地域に指定されています。
ソマリアに対する渡航情報(危険情報)の発出 全土:「退避を勧告します。渡航を延期してください」(中略)2005年、「ソマリランド」ではアル・カーイダ戦闘員が逮捕されたほか、ソマリア全土には、アル・カーイダと関連のあるテロ組織アル・イッティハード・アル・イスラミーヤ(AIAI)などのテロ組織が活動しているとされています。ソマリア沖海域では、外国籍の船舶が銃撃・拿捕される事件が相次いで発生しています。(中略)以上の状況を踏まえ、依然としてテロ・誘拐等が各地で多発していることに十分留意し、ソマリアに渡航することは、どのような目的であれ、絶対に見合わせてください。
実は、僕の寝床の右隣はこのソマリア人だったんですが、ちょっと思いきって聞いてみたんです。毎日ソマリアでは何をしているんですか?って。そのソマリア人はかなり気さくな男だったんですが、こう僕に答えてくれたです。「ソマリアでやることっていったら、銃撃戦に決まってるんだよ。」って。もー、えーーーって感じで絶句してしまいそうになったんですが(笑)、予想に違わぬ超危険な国であるらしいソマリアからもたくさんの人がこの監獄に拘束されていました。
スーダン人
スーダンというのも、これまた強烈な国でして、知る人ぞ知る、ダルフール紛争があるところなのです。スーダン政府に支援されたアラブ系による「ジャンジャウィード」と呼ばれる民兵と地域の非アラブ系住民との間に起きている民族紛争が行われているわけなんですが、もう余りに被害がひどすぎて、民族紛争というか、これは民族浄化ではないのかと言われているレベルなんです。wikipediaの情報だと、2003年2月の衝突以降、2006年2月時点での概算で18万人が既に殺害されているのだそうで、1956年の独立以来、1972年から1983年の11年間を除いて、200万人の死者、400万人の家を追われた者、60万人の難民が発生しているとされています。国連のアナン元事務総長は、「人道上最悪の危機」が起きているという発言したことからもこの国が、いかに悲惨であるかということがわかります。2004年4月3日のワシンポストの記事を少し拾ってみましょう。
ACCORDING TO THE United Nations, one of the world's worst humanitarian crises now afflicts a Muslim people who face a horrific campaign of ethnic cleansing driven by massacre, rape and looting. (span) Maybe because there are no Westerners or Israelis to be blamed, the crisis in Darfur, in northwestern Sudan, has commanded hardly any international attention. (span) More intervention is needed, and urgently.
(和訳)国連の情報によると、世界最悪の人道的な危機によって、1つのイスラム民族は大虐殺、強姦、略奪などの民族浄化という恐ろしい政治運動に悩まされ続けています。(略)おそらく、非難の対象となるような西洋人やイスラエル人がいないせいで、スーダン北西部のダルフールの危機は国際的な注意を引き起こさなかったのだと思います。(略)これらの地域にはより多くの干渉が緊急的に必要です。
このような超悲惨な状態に置かれているスーダンからもこの監獄の中には、たくさんおられたわけです。監獄にいたスーダン人が、虐殺される側の人なのか、虐殺している人なのかわかりませんでしたが、どちらにしても民族浄化が現在進行中で行われている当事者の人たちです。
パレスチナ人
パレスチナとイスラエルの争いは一番有名かもしれませんね。この問題の根源はそもそもイギリスにあるんです。この地域は元々オスマントルコの支配地域だったんですが、オスマントルコの支配が終わった後に、この地域を誰が所有するのかについて、イギリスは二重の契約をしたんですね。アラブのフセイン(ハシム家の首長)にはフセイン・マクマホン書簡で、ユダヤ人には「バルフォア宣言」でその領有を認めたわけなんです。なので、どちらもその地域の領有について、正当性があると言えばあるわけなので、お互い一歩も引かないわけでして、血で血を争う領土争いという悲惨な現実がそこにはあるわけです。
【ガザ地区(パレスチナ自治区)前田英司】「私は(イスラム原理主義組織)ハマスでも何でもない。なぜ、こんな目に遭わなければならないのか」--。先月27日以降、イスラエル軍の攻撃にさらされるパレスチナ自治区ガザ地区。パレスチナ人死者数は2日、100人を超えた。墓地では犠牲者増を見越して新しい墓穴が準備されている。前回と今回の全2回でご紹介した民族以外にも、バングラディッシュ人とか、ナイジェリア人とか、エジプト人とか、中国人とかがいました。まあ、このような大内戦地帯の人たちがたくさんいるわけですから、一度監獄内で紛争が起こりますと、それはもう凄まじいものでして、この模様は、拙書「高級リゾート地で見た悪夢 地獄のドバイ」で詳しく書きましたので興味のある方はご一読ください。
更に続く・・・

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