対談レポート1:江田島孔明(1)

地政学を知らなければ世界を知ることができない


江田島氏と半年ぶりにお会いしたのは、典型的ともいえるほど清々しい秋晴れが映える東京都、都内某所であった。騒々しい学生街である高田馬場などとは対照的なこの街のとてもシックで落ち着いた感じが、江田島氏にはとても似合っていると思う。ところで、読者の方は江田島氏に対してどのような印象をお持ちであるだろうか? その名前からずばり三国志の諸葛亮孔明を想像される方が大半かもしれない。もしくはもう少し時代をおいて戦国時代に活躍した竹中半兵衛や黒田官兵衛などの軍師を想像されるかたもおられるかもしれない一方、私の氏への印象は幕末に活躍した薩長の浪士のようなものであった。眼光鋭いその視線とその冴えきった舌鋒は馴れないうちは少し怯んでしまう。また一方で私の浅薄な地政学や社会情勢に対する質問に対しても、馬鹿にすることなく真剣にご回答をいただいた。インタビューというより私個人の勉強会になった節もあるが、氏より学んだことを本サイトを通じで報告していきたい思う。氏はどこか若い人たちに期待されているのだと思う。江田島氏のコラムを読んで感銘を受けた若者は是非、氏の学問を現実社会で応用していただきたたい。地政学なしに歴史を理解することはできないし、これから起こる国際情勢を読み解くこともできないであろう。未来はいつも意識の高い若い人たちによって作り出されるべき性質ものだ




中国の偉人が愛した中華料理店


ある共産党幹部が好んで訪れたという中華料理店の日本支店で、江田島氏へのインタビューが始まった。ランチのメインもお互い、エビのチリソースと鳥肉とガーシュナッツの炒め物を選択するなど食への相性は同じようだ。

まず地政学がわからなければ、一体どのようなことになるのかという好例があるのでここで紹介したい。この件に関しては江田島氏の世界史に見られるランドバワーとシーパワーの戦略vol120にも記載されているので併せてご確認頂きたい。

「サハリン2工事」は総事業費200億ドル(約2兆3000億円)で、英ロイヤルダッチ・シェルが55%、三菱商が25%、三井物が20%を出資している事業。市場には「ロシア側の権益確保が目的」との見方が強く、既にある程度予想されていたこととはいえ2008年にも日本への天然ガス輸出が予定されていた工事が中断に追い込まれたことで、両社にとってのマイナスの影響は不可避だ。

「サハリン2工事」の中止は先月日本を震撼させたニュースなのでまだ記憶に新しいと思う。2兆円以上をかけた開発工事で2010年から100億円程度の利益が見込まれていた。その目前で今回の開発取り消し騒ぎに怒りとも驚きとも言える日本のメディアの関心であったが、江田島氏に言わせると、ランドパワーの本質がわかっていないと、このような憂き目にあうという好例なのだそうだ。

ランドパワーの定義


ランドパワーとは土地支配に執心し、おもに大陸内部を故郷とし、きわめて土着的性格を有し、閉鎖的、集団的といった形質を備える海から切り離された過酷な自然環境の中で、異民族との生存競争を戦い抜く過程で、内には土着的、閉鎖的、専制的となり、外には狡猾、残忍、獰猛さを身につけた。ユダヤ人、ホロコースト、ロシア革命、文化大革命など、歴史上の大流血事件はランドパワーが引き起こしている。共産主義国はほとんどがランドパワーである。「陸軍国家」

代表例


古代ペルシャや元、近 代ではナチス・ドイツ、ソビエト・ロシア、中国の華北政権 (清、中華人民共和国)

シーパワーの定義


土地支配よりも交易を重視し、大陸の外縁部を故郷とし、先進的、開放的性格を有し、個人的、合理的形質を備えるシーパワー(海洋国家)は、大陸の外縁部、島嶼部を生存圏とし、土地所有よりも交易を重視する。。海上交易を生業とする所から、開明的、先進的、合理的、かつ自由主義・個人主義的な性格を身につけている。交易は相互依存関係であるから、外交においても協調・同盟関係を志向する。ただしシーパワー同士で海上の覇権を争うこともある。資本主義国は、ほとんどがシーパワーである。「海洋国家」

代表例 古代ギリシャ、中国の華中・華南政権(宋、明)、ベネツィア[a]、近代のオランダ[b]、イギリス、アメリカ

日本の生きる道は、シーパワー(海洋国家)諸国との「環太平洋連合」にあるより

ランドパワーとは端的に言えば陸軍国家であり、独裁国家である。従って資本主義や金融業というものを基本的に認める姿勢はないという知識は今回の例を教訓にして日本の歴史教科書にも記載すべきではないだろうか。そのような重要な事例を教えられずに、社会に出た日本人が同じ失敗を繰り返すことは国家的な損失である。ましてやエネルギー政策による失敗は国民生活に大きな影響力を与えるので同じ失敗は決して許されるものではない。是非、シーパワーとの対比により両者の性質を見極め、世界情勢を読み解く一つの視点にしていただきたい。

次のニュースをご覧頂きたい

「野村証券を中核とする野村グループは日本の証券会社として初めてモスクワに拠点を設立する。ロシア経済の急成長をにらみ、企業の資金調達や企業買収の助言など投資銀行業務を本格展開する。ロシア企業の新規株式公開(IPO)の主幹事受託も内定しており、ソ連崩壊後の1990年代に相次いで拠点を設け先行する米ゴールドマン・サックスなど欧米有力証券を追撃する。

それではランドパワーであるロシア連邦の首都モスクワで金融業を操業する日本企業の運命はどうなるのであろうか 江田島氏曰く「ランドパワー国家のロシアが外資の金融業などを認めるわけがない。利益が確定した段階で難癖付けて没収するのが目に目得ている。」これもランドパワーの本質を知らない人間がビジネスを行うとこのような失敗するんだという一つの例に将来、上げられる可能性は高いであろう。ロシアはランドパワーだから将来、三井物産と三井商事と同じ憂き目に遭う可能性があるが、これからモスクワでの支店設立を廃止しようと言っても誰かの責任問題になるので内部でそのような意見は抹殺されるに違いない

江田島氏の舌鋒の鋭さはインタビューが2時間以上経過しても冴えに冴え渡っていた。幕末の薩長藩士もこのような情熱で倒幕の必要性を死の恐怖を顧みず、京都や江戸の有志に語っていたのであろうか。その溢れ出る情熱の泉を持った氏と対談していると、まだ日本にも武士と言われる人たちが残っていたのかと少し安心した気持ちになった。日本の改革と世界の改革には江田島氏のような気力と勇気と知恵を持った武士階級の存在が必要不可欠であると思う。対談は場所を変えて、六本木ヒルズのカフェで行うことにした。私はこれが始めての六本木ヒルズ訪問ということになったが、そのダンジョンのような複雑怪奇な仕様に少し戸惑った。奇数階しか止まらないエレベータとか偶数階しか止まらないエレベータとかテナントに入って馴れている人はいいのかもしれないが始めて訪れる人には使い勝手が悪く迷惑千万である。


江田島氏曰く
「六本木ヒルズは現代のバベルの塔ですよ」その発言の意図は拝金主義と資本主義を混同した金の亡者を象徴する現代のバベルの塔は遅からず瓦解してしまうということに違いない。和をもって尊しとする日本社会に独り善がりな拝金主義のシンボルを建てられても日本国民の反発から免れることはできない(次回、インターネットという革命の本質は一体何か)