北マリアナ連邦は既に国家破産をしている

北マリアナ連邦国家破産


クリスマスを目前に迎えようとする12月22日、Marianas varietyの一面にショッキングな記事が掲載された。タイトルはGov't bankrupt つまり「国家破産」である。事実上の経済の死亡宣告は立法府の報告書により次のように表現されている。

A LEGISLATIVE report says the CNMI government is bankrupt and the only reason it cannot declare bankruptcy is that it cannot do so under existing laws.

「北マリアナ連邦は既に国家破産をしており、それを宣言できない理由は現行法で宣言する事が禁止されているからだ。」破産宣告はないが、すでに国家破産しているという北マリアナ連邦であるがもう少しことの詳細を見ていきたい。

“The Legislature recognizes that the commonwealth lacks the financial resources to pay off a $500 million unfunded government liability to the Retirement Fund and that a rescue and reform plan is necessary to restore the Fund to a more sound financial footing,” the committee report stated, adding that this liability precludes the CNMI from entering the bond market without incurring a huge interest rate.

「北マリアナ政府は退職基金(公務員用)に対して、およそ600億円の短期政府債務を支払う財政資金を欠いている」と記載されている。要するに政府の役人用に積み立てていた年金資金を使ってお金がない政府の運営を行っていたが、それを返すことがまず不可能であるから政府は既に債務超過で国家破産したというのが新聞の要旨である。実際にどの時点で北マリアナ連邦が国家破産をしたのかという論議はひとまずおいて、それでは国家が破産した場合、その国の国民に一体どのような影響を与えるのかということを少し考えみたい。国家破産とはかいつまんでいえばどういうことのだろうか。

まず「国家破産」について確認しておくと、それはわれわれの暮らしが貧しくなることである。国家破産以後は失業率が20%を超えるから、街にはホームレスがあふれ失業者はお腹をすかして道をさすらうだろう。当然、犯罪は増え、街は荒廃する。まさに、第2次大戦後にあった復興期の街の光景がよみがえるのだ。

藤井厳喜氏の「国家破産」以後の世界では自己破産と同様、国家破産は国民の生活がまずしくなることということが記載されている。国民の大多数が政府関係の仕事に就く北マリアナ連邦ではその給与が支払われなかったり、公務員の大幅な解雇が既に実施されているので、かつてのサイパン経済の繁栄を思えば、その凋落ぶりは目を覆いたくなるほどだ。サイパンの一番の繁華街であるガラパン地区には観光客がほとんどいない。どこか殺伐とした雰囲気だ。ロタではコンチネンタル航空が定期便に切り替えたことにより、今年の10月以降、売上が90%以上も落ちているという。またサイパンの荒廃ぶりも目を見て確かめることができる。それでは北マリアナ連邦はなぜ、国家破産をしたのだろうか。これを防ぐことはできなかったのだろうか。この問題に対する検証は後ほど行うとしてまずは北マリアナの国家破産に引導を渡した2つの象徴的な事件を今いちど振り返ってみたい。

1.JALの撤退


JALはサイパン繁栄時代を象徴するシンボル的な存在である。日本人観光客が全観光客の80~90%以上を占め、その半数以上の日本人をサイパン空港につれて来ていたのがJALである。サイパン経済に引導を渡す撤退宣言が行われたのは昨年の7月29日のことであった。まだ一年と数ヶ月しか経っていない。トライアスロン団体KFCのHPに以下の考察がなされている。将来の利益の見込みがないために撤退を決断したというのだが私も長くつぶさにこの土地に住みこの国を観察しているとその実感をあらたにすることになった。

JAL本社は北マリアナ諸島(主にサイパン島)の将来性を綿密に分析した結果、撤退を決定したのである。JAL本社の人間とサイパンについて話したことがある。彼らはサイパン政府が想像する以上、サイパン観光資源(特に海水の状況)の現状や政府観光局の能力、政治家及び政治形態、財政状況、米国の意向等々の詳細な多くの情報を持っていた。親北マリアナ諸島派のKFCにとっては残念だが、これらのことを分析した結果、将来も利益が見込めないと決断したのである。要は、サイパンに見切りを付けたのである。

2.縫製産業の崩壊


北マリアナ経済のもう片翼を担っていたのが縫製産業と聞くと、初めて聞く人は少し意外に感じられるかもしれない。これは北マリアナがおかれた特殊な政治状況の盲点をついたのだ。その盲点とは北マリアナはアメリカ合衆国ではないが、その自治領ということで輸入割当制限や関税が免除されるという点だ。これに目をつけた中国企業がサイパンに工場を建設して、安い中国からの労働者を雇用して安い衣類を輸出することになった。一種の規制に守られた産業であるが、このサイパン縫製産業は2005年1月、WTOの協定により衣類の合衆国向けの輸入割当制限が廃止されると一気に崩壊する憂き目をみるとになった。縫製工場の撤退、ダウンサイズはすでに実施されているが、1400人の労働者を抱えるサイパンの最大の縫製工場であるConcorde Garment Manufacturing Corp.が撤退を発表した事はこの流れを国民に最終的な認識を促すの決定的な事件となった。サイパン空港を訪れるとサイパンを離れて中国に戻る縫製工場の労働者の姿を見る事ができた。その後ろ姿はどことなく寂しい。

SAIPAN, CNMI (Marianas Variety, Dec. 11) - Just weeks prior to Concorde Garment Manufacturing Corp.’s announcement that it would be closing on or before Feb. 6, 2007, it continued to bring in new workers from China who paid close to $3,000 in recruitment fees for three-year jobs at Saipan’s biggest garment factory with 1,400 employees, Variety learned.

261 former employees of the defunct Concorde Garment Manufacturing Inc. are scheduled to be repatriated to China on Friday.Tan Holdings Corp. chief legal counsel Steven Pixley said the group will be flown at company expense on a chartered China-based carrier.Last week, 152 garment workers from Concorde, which was forced to shut down ahead of its scheduled Feb. 6, 2007 closure, flew back to China aboard Air China, which now regularly flies twice weekly between Beijing and Saipan.status in the commonwealth.

それでは北マリアナ連邦が国家破産をした原因について私なり考えてみたい。北マリアナは太平洋戦争の日本の敗北によりアメリカの委任統治領となり、自治領として一定の独立を勝ち得たのは1978年のことである。私が生まれる一年前のことだ。アメリカの統治政策はそれ以前の日本の統治政策とは全く真逆のものであった。その統治政策の根幹は補助金つけである。チャモロ人を労働のかやの外においた。そして北マリアナの学校施設をはじめ各種のインフラをアメリカが整備した。また所得が少ないチャモロ人世帯にはフードスタンプという食券が配られ、住宅も支給されることになった。私はこのアメリカによるチャモロ人、スポイル政策が今回の国家破産の直接の原因だと考えている。その国の国民が働かないのに長い経済の繁栄を約束されるというのは常識で考えるとありえないことだからだ。また自国の通貨を発行しないドル経済圏であったというのも私は彼らにとって不幸な事実であったと思う。彼らはろくに働きもせず強いドルでフィリピンやバングラディッシュ、中国の安い労働移民を働かせることを考えた。その象徴的なものが上記に述べた縫製産業であると思う。中国移民の労働力を使用してドルを稼ぎ、税金として大半が公務員につくチャモロ人の給与が賄われるという図式だ。私はJALの撤退は低採算であるという事実よりも、この国の行政統治の能力の欠如が原因であると考えている。汚染されたビーチの浄化は一行に進まず、不安定な電気設備や不十分な下水管や水道施設が改善される目処もたたない。この国の電力会社であるCUCは長年の怠慢な経営とここ数年のオイル高の煽りをうけて電気代金を今年の中旬に2倍以上に引き上げた。日本で月の電気使用量が3,000円程度の自分が、この国で15,000近くの電気料金を支払ったのはとても印象的な事実として覚えている。そして長年のアメリカのスポイル政策によりチャモロ人の精神は大きく腐敗して頽廃している。私はこの国でビジネスをおこなう交渉するたびに、この国の役人に賄賂を要求されたことが1度成らず2度もある。たった半年の駐在で2度もあるのだから、JALなどの大企業は何度も賄賂を要求されたのではないだろうか。ロタ空港に降りたち、車で5分程度行ったところにシナパル村という集落が存在する。その集落にあるシナパルの小学校を設立したのはロタの某日本企業がビジネスの見返りに要求された政治献金であるというのは有名な事実だ。また最近、北マリアナ某前自治領主がサイパンのカジノ化政策に積極的な発言をしているが、これは韓国、中国のカジノ業者が袖の下で賄賂が支払われているからだというのがこの国のもっぱらの噂である。賄賂を好むチャモロ人と、マネーロンダリングのためにこの地にカジノ建設を目指す賄賂好きな韓国人、中国人。その先にある未来が個人の自己保身による国家の破産であるのだからこれは悲劇を通り越して私には今世紀最大の喜劇に見える。その国の統治者が自己保身に走ったらどうなるのかという良い例が北マリアナ連邦である。北マリアナ連邦は日本国にとって他山の石である。我々はこの国を良い反面教師としなければいけない。










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コメント

こんにちは、私も以前サイパンに住み日系企業で働いていた者です。 久しぶりにサイパンが懐かしくなり朝から関連したサイトを探して見ておりました。

私自身も数年前にサイパン経済の崩壊を確信して2004年にサイパンから撤退しました。(縫製工場やJALの撤退は一部では早くから囁かれていましたので)

経済再生は誰の手でもない現地の人達の手で頑張って欲しいものです。

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