核戦争を待望する人びと―聖書根本主義派潜入記
内容(「BOOK」データベースより) 聖書の説くこの世の終末(ハルマゲドン)、キリストの再臨は、核戦争でしか可能にならない―とする右翼キリスト教派・聖書根本主義派は、現代アメリカの大衆はもとより政界にも少なからぬ影響力を持っている。恐るべきハルマゲドン幻想に踊り、その舞台となるイスラエル支援に熱中する人びとの生態をビビッドに描く。(amazon.com)
1. 序章
核戦争を待望する人びとがいる。中東の地でハルマゲドンという世界最終戦争を起こした後、キリストが再臨し、キリストの教えに忠実に生きているキリスト教徒のみが救い出され、その後1000年に続く王国が建設されるのである。このような信仰を持つ人びとはキリスト教右派(クリスチャンシオニスト)と呼ばれる。彼らが居住するアメリカとは一体どのような国家であるのか。彼らが画策するハルマゲドン(イラン戦争)は不可避であるのだろうか。発禁となった「核戦争を待望する人びと(聖書根本主義派潜入記)」グレース・ハルセル著 を読んで考えてみたい。

2. クリスチャンシオニストに支配されたアメリカ

(左) クリスチャンシオニストの旗 (右)イスラエルの国旗
「全国宗教放送者会議の年次総会に集まる4千人の福音派・聖書根本主義派牧師たちのうち、3千人はキリストの再臨は核戦争でしか可能にならないと信じる天啓的史観の持ち主と見られている。彼らの主張は全米1400余の宗教放送局へ流されていく。毎日400以上のラジオ局から放送する8万人の福音主義者牧師たちの大半が、やはり天啓的史観論なのだ。(p26)」「4千万人を超えると言われる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体形を打ち立てている(p12)」
「1984年のヤンケロヴィッチ社の世論調査だと、大地が火によって破壊されるという聖書の記述は、核兵器を駆使したハルマゲドンで私たち自らの手で地球破壊する意味にとっているアメリカ人が39%に達する(p20)」
本が執筆された、1980年代当時で、4千万人以上のアメリカ人が、ハルマゲドン(世界最終戦争)を熱望するクリスチャンシオニズムを信奉し、1400以上の宗教放送局や、400以上のラジオ局を通じて日々、彼らの信仰が宣伝され続けている。そして実に8500万人以上のアメリカ人が核兵器によって地球破壊がなされることを信じている。
ハリウッドなどで宣伝されるアメリカの光の部分だけではなく、その影の部分は日本人にはあまり知られていない。このような宗教的な背景の下にイラン戦争が着実に準備されている。
「されど我ら汝らに告ぐ、汝らの敵を愛し、汝らを迫害する人のために祈れ」はイエス・キリストの山上の説教の一節である。隣人愛というのは、そもそもキリスト教の根幹にある大切な教えではなかっただろうか。
クリスチャンシオニズムの信仰は聖書の一部のみを拡大解釈して核兵器による世界最終戦争を引き起こすことが、自分たちがキリストによって救われる方法だと本気で信じている。世界最終戦争を引き起こす前に、国内の貧困層に施しをすることを考えたり、パレスティナ問題に関して、イスラエルだけではなく、パレスティナも含めて双方の意見を聞くべきだと主張する上院、下院の議員達も当然いた。彼に対してどのような対応がとられたのだろうか
「31ものユダヤ系政治行動委員会が、ほとんど無名の私の政敵に14万4325ドルも資金を集めましたからね。今に至るもそういう政治行動委員会が集めた金が10万ドルを超えたのは、この時だけですよ。(p246)」
政敵に対する多額の政治献金、または刺客候補の擁立。2005年の衆議院解散後の総選挙で自民党造反組に擁立された刺客は伝統的なユダヤ人の手法の適用したものである。これらの手法により、アメリカでクリスチャンシオニズムに反する意見は政治的に抹殺されていった。一種のタブーがアメリカに存在することを日本人は認識しなくてはならない。
3.クリスチャンシオニストたちの歴史認識

ユダヤ教、イスラム教だけではなく、キリスト教にとってもエルサレムという土地は聖地であり、様々な聖地巡礼ツアーが存在する。そのツアーに同行したクリスチャンシオニストの平均的な女性が現地のパレスティナ人を見て次のような発言した。
「パレスティナ人ですって? 何者よ、それ?ここに住んでるのはみんなユダヤ人じゃないの?」
著者によると平均的なクリスチャンシオニストはヘブライ人(ユダヤ人)がほんの一時期エルサレムを支配して以後、この地域で何が起こったかなどはまるで知らないのだそうだ。中東のことはほとんど学校では教わらず、その地域のことはユダヤ人が大昔に書いた聖書の部分だけを知るのみということだがそれは本当なのだろうか? イラン戦争を起こそうとする当時者が中東地域の歴史認識に2000年以上の空白があることが仮に事実だとしたら驚くべきことである。詳細な調査が必要だが、イラン戦争の一方の当事者であるアメリカの現状を把握するメモとしてここに記載しておきたい。
4.世界最終戦争を熱望するもう一つの宗教国家イラン
イランは国民の大多数がシーア派を信奉する国家である。2005年8月に就任したアハマディネジャド大統領は熱心な終末思想の持ち主である。西暦873年に"お隠れ"なった最後のイマーム(血統上正当な指導者)マフディが世界最終戦争でキリストが再臨する前に地上に現れるというのだ。
「イスラム教もキリスト教も「大戦争が起きた後に救世主が来て、至福の時代になる」と預言しているのを利用して、ブッシュ政権がイスラム世界に対して仕掛けてきた喧嘩(戦争)を積極的に買い、大戦争を起こすことで、救世主の出現を誘発するのがアハマディネジャドの企てである。」
イランにとってアメリカはサタンであり、アメリカにとってイランがサタンになる。両者とも世界最終戦争により自分たちが神によって救出されることを熱望しているという点で共通している。両者が金ではなく宗教的な情熱によりイラン戦争を望んでいる。その回避はほとんど不可能ではないだろうか。そうなれば、イラン戦争を被害を最小限に押しとどめる事と戦後の安定した国際社会の構築の2点に我々は焦点を絞る必要がありそうだ。引き続きイラン情勢からは目を離すことはできない。
韓国の聯合ニュースは16日、4月25日に平壌で行われた北朝鮮の朝鮮人民軍創建75周年記念パレードで初公開された新型ミサイルについて、ワシントンの軍事筋の話として、北朝鮮がイランで発射実験をしたとの情報を米韓の軍情報当局が入手し、事実かどうかの確認作業中だと報じた。同筋によれば、このミサイルは旧ソ連が開発した潜水艦発射ミサイルSSN―6を改造したもので、射程2500~4000キロの中距離弾道ミサイル。米情報当局が、ミサイルの配備された場所の地名から、「ムスダン」と命名したものだ。同筋は、北朝鮮は国内で一度も同ミサイルの発射実験を行っていないとした上で、「その代わり、北朝鮮がイランで発射実験を行ったとの情報を入手し、関連国の情報当局がこれを追跡していると承知している」と述べた。
また、最近ではイスラエルのシャロン首相が倒れた際「犯罪人が先祖の仲間入りをしたとの報が最終のものだと望む」と首相の死を望むような発言をし、再び国際社会からの反発を招いている。また、北朝鮮と血盟関係であり、核の連鎖が懸念される核開発問題も現在深刻化している。

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