1.序文
今後、数世紀に渡る人類の生存を考えるならば、中長期的には人類が現在排出している温室効果ガスを半分に削減しなければならない。その人類史をかけた第一歩が1997年に日本で開催された「京都会議」である。そこで採択された京都議定書の第一約束期間が2008年から開始されることになる。日本は議長国として、見事に目標を達成して各国から信頼を得る事ができるのだろうか? そして、その目標を達成するための日本の方程式とは一体何か? 3週に渡りこの問題を考えてみよう。
2. 京都議定書
1997年、日本の京都市で開催された「気候変動枠組条約3回締約国会議」(COP3)」において、京都議定書という国際的な約束が取り交わされた。気候変動枠組条約の付属書1にリストアップされた先進国や経済移行国が2008年~2012年の間に、温室効果ガスの排出量を1990年のレベルより全体で5%以上削減しなければならないという内容である。
日本は2002年の6月に京都議定書に批准したことにより2008年~2012年の間に、温室効果ガスの排出量を1990年と比較して6%削減しなければならない。その削減義務が開始される2008年度は既に間近に迫っている。
3. 京都議定書目標達成の判断基準
「1990年度比で6%の温室効果ガス削減」という日本の目標達成の可否はどのように判断するばよいのであろうか?
図の左側をご確認いただきたい。基準年の1990年度の温室効果ガス排出量から6%指し引いた値を5倍したものが、2008年度から2012年度における日本の温室効果ガス排出量の理想値である。これに京都メカニズム(クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)、排出権取引(ET))で獲得した各種のクレジットや国内の森林整備による吸収量から算出されるクレジットを加算したものが日本が京都議定書に批准した温室効果ガスの排出総量である。一方図の右側は2008年から2012年までの日本の実際の温室効果ガスの排出量である。(理想)≧(実際)となれば、日本は京都議定書を達成したということになる。、2015年度末にその達成の可否が判断されることになる。
4. 京都メカニズム
日本の温室効果ガスの排出権を増加させる一つの方法として京都メカニズムが挙げられる。簡単に京都メカニズムの3つのシステムを確認してみよう。
(1)共同実施(JI)
先進国同士が共同で事業を実施し、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる制度。(根拠条文:京都議定書6条)
(2)クリーン開発メカニズム(CDM)
先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる制度。(根拠条文:京都議定書12条)
(3)排出権取引(ET)
各国の削減目標達成のため、先進国同士が排出量を売買する制度。(根拠条文:京都議定書17条)
京都メカニズムが今日世間の注目を浴びているのは、海外で実施した温室効果ガス排出削減量を、自国の排出削減約束の達成に利用できるからである。つまり日本国内のみで温暖化ガスの排出削減を行い、森林整備を実施するだけでは日本の京都議定書を達成できそうにないという背景がある。
まずは上記の内、先進国と途上国もしくは先進国間で温室効果ガス削減につながるプロジェクトを実施して、その結果生じた排出削減量の一部の自国の削減量と見なして獲得できる「クリーン開発メカニズム(CDM)」と「共同実施(JI)」が検討されるべきである。なぜならCDMとJIの実施は日本の京都議定書達成という目標だけではなく、地球全体の排出量の減少につながるからである。一方、「排出権取引(ET)」で(注1)ロシアのように努力しなくても排出量が割当られた枠に達しない国から日本が排出権を購入した場合、日本の京都議定書達成にはつながるが、地球全体の排出量は増加する結果となる。
(注1)ロシアの削減義務は1990年比プラスマイナスゼロ%とされた。ただでさえ1990年代の経済活動の停滞で、実際の排出量は基準年の1990年を大幅に下回っているのにである。さらに、ロシア代表団の強硬な主張の結果、ロシアの広大な森林による炭素吸収活動で見込まれる二酸化炭素吸収量(シンク)が、それまでの了解の2倍近い3300万炭素トンとされた。こうしてロシアの排出枠には膨大な余剰が生まれることとなり、各国、とりわけ日本が京都の削減義務を満たすためには、最終的にはロシアとの排出権取引に大幅に依存をせざるを得ない状況がほぼ確実視されている。こうして、2000年時点で世界のエネルギー起源二酸化炭素排出量の6%を占めるロシアが、削減義務ゼロ%と大量のシンクにより、実質的な削減にあまり取り組まずにすむという事態が生まれることとなった。環境関係者は、いつしか温暖化緩和に寄与しないロシアの二酸化炭素排出枠を、「ホット・エア」と呼ぶようになった。
日本は第一約束期間に日本国内のみの森林整備の実施と省エネ技術の進歩により京都議定書の目標を達成する事は可能であるのか? もしくは京都メカニズムのうち、CDM,JIのみで未達成分を補う事ができるのか? もしくは大量の税金を投入してロシアなどから膨大な排出権を購入するしか方法がないのか?次回は日本の温室効果ガスの現状を確認してみよう。

コメント
仏原子力庁CEA 傘下のHélion社は100%フランス製の燃料電池を製造した。
リン酸型PEM 燃料電池の設計開発を行い、特に潜水艦の電源の開発に成功した。
仏国防省調達本部は300kW の潜水艦用燃料電池の実用開発に成功した。
日本は歴史の正念場に立っている。そして、それは悪い方に現状傾いている。
Posted by 仏の国 at 2007年7月 7日 00:48
BMW未来型 水素エンジン車を展示
http://www.sankei.co.jp/keizai/sangyo/070707/sng070707004.htm
欧州とアラブとロシアが戦略提携し始めた。中国はどうでるのかな。
Posted by 仏の国 at 2007年7月 8日 19:46