1. 序文
ロタの魅力とは一体何であろうか?
ロタに長年滞在しているダイバーたちの想いを通じてロタの魅力を考えてみる本企画の第一弾と第二弾はダイビングショップSIRENAのオーナー林万記さんとRUBINのオーナー山本博さんにご回答いただいた。本企画の第三弾は一つ趣向を変えて、ロタで最もお洒落なレストラン、TONGA TONGA CAFEのオーナーであるEIKOさんにお願いすることにした。EIKOさんはロタで現地の方とご結婚され、3人の娘さんに囲まれながら日々レストラン経営に従事されている。ロタ在住歴が既に20年に及ぶということだけではなく、ロタへの想いは他の誰にも負けず一層深いものがある。EIKOさんにはどのようなロタの魅力を語っていけるのであろうか。乞うご期待あれ!



2 .TONGA TONGA CAFEオーナーが語るロタの魅力
「初めて、ロタ島を訪れたのは28歳の時でした。花柄の飛行機から降り立ったロタは、風が心地よく、村へ続く道から望む海岸線が見とれるほど美しくて、思わず車を止めた事を覚えています。崖から見下ろす海は青く透きとおってキラキラ輝いてました。道路を行き交う車同士が、手を挙げて挨拶を交わすというのどかさが何とも素朴で、忘れかけた人のぬくもりを呼び戻してくれた気がしました。あの時、何か出来そうな、そんな可能性を感じたんですよ。」と20年前の当時を回想するEIKOさん
「手付かずの自然に恵まれ、これだけ上質な水が一年中沸いているという島は他に見あたらないと思うんです。これから世界中で深刻な水不足が引き起こされると心配されている中、ロタ島はまさに最後の楽園なのかもしれませんね。」
北マリアナ連邦諸島の中で、ロタ島は大いなる自然の神々に最も愛されている土地であると思う。その内陸部に鬱蒼とした原生林だけでなく、世界有数の透明度を誇る真っ青な海。ロタ島を構成するあらゆる自然がこの地を訪れる人々を魅了してきた。またこの島はチャモロ人の伝統文化が最も色濃く残っていると言われている。28歳当時のEIKOさんもロタ島の人と自然に魅了された日本人の一人だったのである。

野口五郎と三井ゆりが結婚式を挙げたハニーガーデン
3 .TONGA TONGA CAFEオーナーEIKOさんの略歴
人生にはターニングポイントという運命の分水嶺があると言われる。多くの人間はその人生の分岐点で躊躇して行動をおこさず、後になってその節目を捉え損ねたことに後悔することになる。しかし彼女は人生のターニングポイントで果敢に自分の夢を追い、目標に向かって決断してきた。彼女の人生はまさに決断の人生であったと言える。
「南の島にいつの日か住んでみたいというのが私の子供の時からの夢でした。当時25歳だった私は、東京で休暇が自由にならない事以外、仕事内容も収入面でも恵まれた職についていたのですが、子供の時からの夢も捨てきれずにいたのです。それでそのままこの職をつづけるのかどうしようかと思い悩んでいる時に当時おつき合いしていて、将来は結婚を約束していた方とささいな気持ちの行き違いから婚約を解消することになったんです。それがきっかけとなり、いつか伊豆で見たスキューバダイビングをやりながら、南の島に住みたいという自分の夢を真剣に考え始めました。そう決めたら、さっさと会社に辞表を提出して、退社した翌日からスキューバの講習に参加したんです。」
自分の夢へむかって大きな一歩を踏み出したEIKOさんだったが、彼女がロタと出会うまでには会社を退職してから3年の歳月を経ることになる。その空白の3年間に彼女はどのような人生を歩んでいたのだろうか
「スキューバダイビングは、やってみると、お気楽なスポーツじゃなかったんです。最初の頃は地道に潜って、技量を磨く事で精一杯。そこそこ自分でコントロールが利くようになるには2年程かかりました。そして、やっと27歳の時、ハワイに半年程ダイビングをしながら住む事になるんです。あの頃の生活は忘れられません。ずっとこのままハワイに居られたらと思いつつ、ビザの関係上半年経って日本に戻ったんです。」とEIKOさん

タオタオモナの精霊が宿る巨木
4. そしてロタとの出会い
「ハワイのダイビングショップで働いてみないかというお誘いもあったのですが、当時私が持っていたダイビングライセンスがNAUIという団体発行の物でした。お誘いを受けたショップはPADI系列店でしたので、そこで働くにはライセンスを変更しなければならなかったのです。それには多額の費用が掛かる事も帰国後に判明しました。どうしたものかとハワイに戻るのを躊躇していたある日、たまたま手に取った雑誌にロタで働きませんかという募集広告があったんです。その頃からロタは”最後の楽園"と称され、ダイバー憧れの島の一つでした。是非一度訪ねてみたい所だったのです。運良くその会社に採用されて、そしてすぐ、研修期間としてロタ島に2週間行く事になります。現地の方の暖かいもてなしの中、毎日が過ぎていきました。そんな中で知り合ったのが今の主人でした。その会社とは肌が合わず、東京へ戻ると採用を辞退させて頂いたのですが、彼への熱は抜けきらず、そしてまたロタに戻りその一年後主人と結婚することなります。」
もし彼女が始めて取得したダイビングライセンスの団体がPADIだったら、様々な雑誌、ラジオ、テレビ局に取り上げられてきた今日のロタ島にあるTONGA TONGA CAFEは存在しなかったということになる。そしてその時、運命の女神の投げた賽の目は彼女をロタ島へと導くということになった。

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5. TONGA TONGA CAFEオープン!
現地の素材を使用した、TONGA TONGA CAFEのチャモロ料理はロタを訪問する観光客からとても評判が高い。そのような素敵なレストランがロタに誕生した背景にはどのようなドラマがあったのだろうか。
「結婚して姑と暮らし、毎日の生活の中でチャモロ料理を覚えていきました。またチャモロ達はとてもパーティが好きで、結婚式、誕生日等の行事に出される一切の料理を自らの手で作っていきます。特に9日間に渡るお葬式では朝昼晩と島中から押し寄せる訪問者に労う料理を100人分くらい準備しなければいけません。それは、牛、豚を屠殺するという事から始まります。魚は鱗を剥がし、捌いていくという具合です。そんな日本では味わえない経験から、チャモロ料理のノウハウが鍛え上げられていったのです。」
「当時、家の傍らにあるトンガケーフには毎日ホテルのツアーバスが何台も乗り付けされていて、ケーフに上がる階段はきつく、さぞかし喉が渇くだろうなという発想から小さな喫茶売店という形で1991年にTONGA TONGA CAFEがオープンしました。ビールや炭酸飲料の他、ヤシの実や「ヤシ刺し」(注)販売していました。((注)ヤシは飲んでから更に割った中の果肉(コプラ)。醤油をかけて食べるとおいしい。)これが予想に反し大評判!メディアにどんどん取り上げられ、店内に入りきらんばかりのお客様が連日押し寄せることになるのです。この頃は予約制でチャモロ料理も出していました。」
その後、度重なる台風で、最初のTONGA TONGA CAFEは一年たらずで飛ばされてしまうのだが、予約無しでも食べられるチャモロ料理のレストランとして再オープンしたのが1992年のことである。

これがTONGA TONGA CAFEで大ヒットしたヤシの実ジュースとヤシ刺しだ

1991年開店当初のTONGA TONGA CAFE、どこか趣きがある。

1992年に再オープンしたTONGA TONGA CAFE
6.TONGA TONGA CAFEの料理とインテリア
「こちらの料理は日本人風にアレンジされてますかとよく聞かれるのですが、味付けに関しては一切しておりません。姑からの伝授とパーティ料理手伝いなどで学んできたものです。唯一アレンジしたというならば日本人ならではの一手間を掛けていることかもしれません。例えば、スープのアクを丁寧に取り除いたり、ご飯を炊く時は米を洗って暫らく置いてから炊くという程度です。また、チャモロ料理は、ココナッツミルク、レモン、唐辛子を使うのが特徴なんですが、チャモロ料理だけですと、どうしても片よる味付けになってしまうので、私のアイデアというか現地の食材を使った創作料理的なモノもあります。例えばヤシの芽のサラダ。チャモロ達もヤシの芽は食べるのですが、こんな風にサラダにしてるのは私のアイデアです。」

TONGA TONGA CAFEの人気料理ケラグエン・マノック(マノックはチキンという意味)
ケラグエン:チキン、ビーフ、シーフードなどの新鮮な素材を塩とレモンで〆め、ネギや生姜など香味野菜と引いたココナッツなどで合えたもの。ケラグエン好きなチャモロ達はなんとスパムまでもケラグエンにしてしまう。

牛肉とタロ芋のココナッツミルク煮:ビーフチャウダー(カドンカッニ)

ヤシの芽のサラダ:ヤングココナッツサラダ

筆者が大好きなレッドライス(左)とチャモロ料理を彩るロタレモン(右)
「また、何も無いロタですから、必要なものは自ずと作らねばなりません。店の設計からインテリアに至るまで、全て私がデザインし、大工に頼んで作ってもらいました。特にテーブルは自信作。中に貝殻を埋め込んだ一見アンモナイト風です。」とEIKOさん


(左)トイレにも素敵な演出がされているのだ。
(右)貝殻で作られたクリスマスツリー。恐れいりました。

TONGA TONGA CAFEでの晩餐は素敵な思い出となります。
7.最後に
ソンソン村の南に位置し、その形状からウェディングケーキマウンテンと呼ばれる山に「The Legend Of Wedding Cake Mountain」という伝説がある。今日に至るまでロタの美しい花嫁は不運にして、亡くなった自分の花婿をウェディングケーキ山で待ち続けているのだそうだ。そんな伝説へと想いに耽けつつ、星が燦々と輝く美しい夜空を見ながら、TONGA TONGA CAFEでロタの郷土料理をいただくのはいかがであろうか。それがとても素敵な時間になることをお約束する。(ライター:峯山政宏)



トンガトンガのウェディングメニューは素敵な夜を演出してくれる。
8. レストランTONGA TONGA CAFEへの連絡先
ホームページはこちらをクリック!
電話番号&Fax番号: 1-670-532-1010
メールアドレスはこちらをクリック

TONGA TONGA CAFEのオーナーEIKOさん
9. 参考記事
山脇正俊教授による連載コラム2 : 楽園ロタ島
山脇正俊教授による連載コラム4 : 清水と旨い食物
山脇正俊教授による連載コラム8 : その歴史とコミュニティ
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