『コスモス』は、アメリカの天文学者、カール・セーガンが監修し、自らナビゲータとして進行を担当した、宇宙と生命をテーマとする、全13回のドキュメンタリー科学番組である。日本で初めてテレビ放送されたのは、1980年のことであるが、2000年に7枚組みのDVDが発売されたので、それを見て思いついたことを7回にわたって書いてみたい。
12. ヒエログリフの解読
ジャン=フランソワ・シャンポリオンは、ロゼッタ・ストーンを手掛かりに、ヒエログリフを解読したエジプト学の父である。シャンポリオンは、12歳のとき、ジョゼフ・フーリエの部屋でロゼッタ・ストーンの碑文を目にし、そこで使われている三種の文字のうち、ヒエログリフはまだ解読されていないと言われ、将来、自分が解読しようと決意したと伝えられている。
ジョゼフ・フーリエは、フーリエ解析で有名な数学者・物理学者だが、ナポレオンがエジプトへ遠征した時、文化使節団の一員として、ナポレオンに随行した。フーリエは、ナポレオンが新設したエジプト学士院の書記としてエジプトの研究に従事し、『エジプト誌』の監修を務めた。
シャンポリオンとともに、ヒエログリフ解読の業績を争ったのは、イギリスの著名な科学者、トーマス・ヤングであった。古代エジプト研究に、フーリエやヤングのような自然科学者が携わったということは、現代の感覚からすれば奇妙に聞こえるが、この当時は、今ほど専門分化が進んでいなかったし、また、古代文明の理解には、科学的な能力が必要である。
現代の、専門分化が進んだ学界では、古文書の研究は、主として、数学や自然科学とは無縁の文学研究者によってなされている。しかし、現代では、テクストの電子化が進み、統計学的解析が可能となっており、計量文体学ないし、計量文献学と呼ばれる数学的アプローチによる文学研究が、画期的な知見をもたらしている。これまで、日本の大学の文学部文学科は、文系の牙城と目され、入学試験に数学が課されなかったが、これからは、文学研究を志す人も、数学を勉強しなければいけない。
13. なぜ核戦争の脅威は減ったのか
全面核戦争により人類が滅亡するシナリオが最も現実に近づいたのは、1962年のキューバ危機の時である。当時、米国は、ソ連との全面戦争に備えて、国内の核弾頭搭載の弾道ミサイルを発射準備態勢に置き、ソ連も国内の大陸間弾道弾やキューバの中距離弾道ミサイルを発射準備態勢に置いた。もし全面核戦争ということになれば、直接的な影響により、米国、ソ連、ヨーロッパで、多数の死者が出るのみならず、核の冬などの間接的な影響により、中立国でも、大量の死者が出たに違いない。人類の滅亡も決して杞憂ではなかった。
現在、イランや北朝鮮の核開発が焦点となっているが、仮に米国がこれらの国々と核戦争を行ったとしても、人類が滅亡することはないだろう。キューバ危機の時よりも兵器の性能がよくなっているにもかかわらず、核戦争による人類滅亡の可能性が小さくなったのは、戦争の性格が変わってきたからだ。かつては、植民地の利権をめぐって先進国どうしが戦争をしたが、今では、米国、EU、日本といった先進国どうしが戦争をするということは考えられなくなってきた。冷戦崩壊後起きている戦争は、先進国による途上国への制裁か途上国どうしの紛争で、強者同士の覇権争いというよりも、弱者による強者への謀反という性格を帯びている。
| タイトル | Cosmos Collector's Edition (7pc) (Coll Box) |
|---|---|
| 媒体 | DVD |
| 監督, 出演 | Carl Sagan |
| 出版社と出版時期 | Cosmos Studios, 2002/10/22 |
| 書名 | Cosmos |
|---|---|
| 媒体 | ペーパーバック |
| 著者 | Carl Sagan |
| 出版社と出版時期 | Abacus, 1983/08/11 |



コメントする