あなたはバリスタって何か知っているだろうか?語源はエスプレッソやカプチーノと同じくイタリア語で珈琲を淹れるスペシャリストを指す言葉である。つまりワインにおけるソムリエのように珈琲に関して豊富な知識と抽出技術、接客能力を持つエキスパート。世界の珈琲消費は1年で4000億回分、珈琲関連で働く人々は6千万人にも上る。アルコール禁止!のムスリム国家においては居酒屋やバーの代わりに和んだり情報交換するのがカフェテリアとなる。特にローカル男性の溜まり場はスターバックスのような場所。文化的な背景からローカル女性と男性が同席して珈琲を楽しむ姿は見られないが、比較的リベラルなドバイではヨーロッパ人も多く利用客も多い。元々砂漠の民ベドウィンには珈琲による歓待の伝統がある。車がなかった時代、ラクダに乗って砂漠を越えるキャラバンの旅行者は砂漠での安全な避難所を確保するためにベドウィンのキャンプに立ち寄った。砂漠という広大なそして時に危険な場所で保護してもらう代わりに食糧を渡したり、必要な補給品や手工芸品を買い取るシステムがあった。ベドウィンにとって自分達のキャンプに迎え入れることは旅行者をキャンプから出るまで安全保障するという責任を負うことになっていたのである。そこで自分がベドウィンに歓迎されているか?ベドウィンはその責任を負いたいと思っているのか?を知るのに使われたのが珈琲のサービスであった。ベドウィンから珈琲をサービスされれば安全保障してもらえたというわけで、例えば夜中に旅行者が襲われたりした場合は、ベドウィンはその攻撃に復讐する責任があった。つまり旅人であってもキャンプの人々が歓迎する気持ちになるまでは珈琲を飲ませてもらえないのだ。このシステムのおかげで敵と味方は明確にすることができ、相手の自分に対する気持ちが容易に理解できる慣習であった。今日でも家を訪問した時に珈琲を勧められなければホストは訪問者を歓迎しておらず、また出された珈琲などの飲み物を客が飲まなければホストを快く思っていない証拠である。この場合、話し合いが行なわれ、珈琲を出し、受け入れれば対立解消となる。珈琲は日本人の以心伝心よりもはっきりとした意思疎通の道具であった。
今回はそんなアラブの国ドバイの知識村にできた中東区域で初のバリスタ養成の珈琲スクールInternational Institute of Coffee & Barista Training(IICBT)インターナショナル・インスティチュート・オブ・コーヒー・アンド・バリスタ・トレーニングを取材した。ここはコーヒーの知識とバリスタのスキルトレーニング、小売販売法など珈琲サービス関連全般を学ぶ教育機関である。設立を考案したのはホテル等のサービス業界で20年以上のキャリアを持ち、コーヒーショップやレストランでコンサルティングを行なってきたDavid Thomas氏。コーヒーなんて機械さえあれば誰でも適当にしてれば淹れれそうなものだが、自動のマシーンだけではどうしても味が落ちるという。テクニックと愛情が必要だそうで、アメリカ・カナダ・イギリスでは珈琲の教育も珍しくないそうだ。ドバイの知識村にオープンしたのはここにはたくさんの教育機関が集まっているので、アカデミックな場所でコーヒーの知識をいろいろな人にシェアしてもらいたい!中東でのきっかけを創造したい!という思いがあったからである。高級ホテルやレストランも急発展し、 その数は怖ろしいほど増加するドバイでは質の高いサービスをしてもらいたいので従業員を教育して欲しいという需要もある。エミレーツ・グループ等の従業員がここで教育を受けた。日本にもたくさんあるスターバックス等のカフェでパートで働きたい人や家でおいしいエスプレッソを楽しみたい通の人にも門戸は開かれている。
今回お話しを伺ったのはインド人のVivek Shuklaさんとブルガリア人のRadosveta Ilievaさん。お二人共ホテル等のサービス産業では10年以上コーヒー関連では5年以上の経歴を持つ同校のインストラクターである。 インタビュー中Radosveta Ilievaさんは「バルゲリア出身だ」と言われ何処の国かよく分からなかった。日本語ではヨーグルトでお馴染みのブルガリアの英語表記はRepublic of Bulgaria、発音すればバルゲリアだと気がつかなった…そんな国あったかなぁと不思議な顔をしていると「ヨーグルトは好きですか?」と聞かれてしまった。Vivek Shuklaさんによるとインドの一部では珈琲を飲むことは何年も前から当たり前の習慣だそうで…彼自身2・3歳の頃から飲んでいるとのこと。日本では(ブルガリアでも)珈琲は大人の飲み物だが、最近では確かにティーンを中心にコーヒーは若者に人気が出ている。
ここは珈琲やエスプレッソマシーン製造会社等と提携しておらず、純粋にどこの珈琲でもどこのマシンでも国際標準のスキルをマスターできるようにしているそうだ。コース修了後は世界で通用するバリスタとなれるようなトレーニングを行なう。もちろん修了証明書も発行される。学習コースは3つ、学費は平均して1コースAED1200(約40000円弱)ほど。①コースは12時間で珈琲の全般的な知識について学ぶ②コースは15時間でバリスタとしてのスキルトレーニング③コースは10時間で主に販売スキルを学ぶ。それぞれ何日間かけて学ぶ等は要相談ということで学費も前後する。1コースを2日で学ぶ短期集中派もいれば4日間ほどかけてじっくり学ぶこともできるわけだ。主なコース内容は以下の通り。
①コーヒーの全般知識
珈琲の歴史・パーフェクトなエスプレッソ抽出・蒸気で温め泡立てたミルク・珈琲のタイプ(コーヒー豆)・レシピと準備・基礎用具のメンテナンス
②バリスタ・スキル・トレーニング
接客・個人の清潔と実習・カウンターサービスと販売スキル・販売のポイント・珈琲準備とサービス・テーブルサービス
③小売販売スキル
消費者ケアサービスとコミュニケーション・売り込み方法・ベストセールスビジネス実習...等。
バリスタの先生Radosveta Ilievaさんがおいしい珈琲を淹れてくれた。Vivek Shuklaさんによる最後のスマイルアートが可愛い。
最後にVivek Shuklaさんから日本の皆さんへのメッセージ!
