紅い新嘉坡、黄金の豚年

独立後アジアでも有数の経済発展を遂げたシンガポールにSpring Festival春節(中国の旧暦元旦)が近づいてきた。複合民族国家とはいえ住民の80%近くが華人(中華系)なので1年で最も重要な祭日Lunar New Year又はChinese New Yearチャイニーズニューイヤー(シンガポール人的に略してCNY?)と呼ぶで街中は賑わっている。2月17日がイブで18日から休みが続く。 シンガポールは英語・マレー語・タミル語も公用語であるが、華人系の多さから何より標準中国語を聞いたり目にしたりすることが多い。私もよく中国人と間違われて話しかけられてしまうが、国語はマレー語というから驚きである。しかしマレー語というのは儀礼的でビジネスや行政では英語がほとんどである。華人系でも英語系華人(英語を母語とする人々)がいるので教育(特に大学)でも英語が中心のようである。シングリッシュとして有名な独特の訛りも政府は排除に真剣に取り組んでいるようだ。シングリッシュを含む放送は禁止され、シングリッシュ矯正講座まであるという。ただしやっぱり病院に行っても代理業者と話しててもOK,lahといった状態。シンガポールと言えば日本人旅行者にとっては「キレイなところ」だが、シンガポールは都市の美化のためにペナルティーをたくさん設けている。それはFine CityとかFine & Fineとか呼ぶ所以であるが、罰金の告知はあちらこちらにある。MRT(地下鉄内)↓

放っておいたら密林になってしまいそうな植物や虫もペストコントロールしてるシンガポール。しかし、もちろん何処でもキレイなわけではない。それにどうも奇抜なアートが多く、何だか変な気分になる場所でもある。シンガポールアートは現代アートっぽいものが多く、そのセンスは凄いものがある。地下鉄までの道や壁には何やら得体の知れないアートがある。

 

オーチャード通りの街路樹       六本木ヒルズでのクサマトリックス

これは特に印象的だった血管みたいになった赤・白の水玉模様を巻きつけた木(2006年9月4日-2006年11月12日のオーチャードロード) 。日本人アーティスト草間弥生 YAYOI KUSAMAさんの作品らしいが...うーん、とにかく奈良や京都やったら絶対にできないものである。ただしシンガポール人は水玉が好きな人が多いようだ。若者の服をお店を見ていても水玉模様のものが多い。私は正直水玉(ブツブツは)苦手だし、水色地に白玉のワンピースのような爽やかさならまだいいもののあんまり赤地に白玉とかあんまり好きではない。日本の国旗のシンプルさはOKだが、密集させなくていいと思う。上の右の作品も「水玉脅迫」という題らしいが、確かにその強さは十分に表現できてると思う(脅迫に納得)。クリスマス近くは赤字に白玉(上の写真と同じ)のキノコアートが道にあった。ちなみに最近の街路樹は新春のお祝いモードで胃にもったりくるようなピンクの花の飾りがついている(バスの中から撮影)。

最近は新年が近いので、「恭喜発財」とか「財源廣進」や「大吉大利」などいかにも拝金主義として名高いシンガポール人が好みそうな文字が金(黄)やら赤やらで書いた看板があちらこちらで見られる。 おめでたいので悪い気分はしないが、金塊モチーフのグッズや看板もとても多く目に映るのは赤に金ばかり。今年は日本のTVや雑誌、新聞などでも取り上げられている黄金の豚年!ということで豚もあちこちで見かける。「金猪拝年」日本では猪だが中国では豚(私も猪年生まれの年女)。中国では豚は汚いとか怠け者だとかいう意味で罵る言葉に使う反面、可愛いとか裕福だという意味で親しまれてもいる。日本人ほど豚と猪を区別していないようで猪は「野猪」つまり野生の豚だと思っている。野猪には野生で凶悪で農業に被害をもたらすために醜い印象が強いようだ。だからこそイノシシ年ではなくブタ年なのかもしれない。

なんでも韓国や中国では2007年は陰陽五行で60年に一度の赤い豚年とか600年に一度の金の豚年とかおめでたい年だそうなのでおもしろい騒ぎとなっているようである。私はしばらく豚を嫌うアラブにいたのでシンガポールの華人社会がChinese New Year前に豚グッズに溢れているのが特に新鮮だった。とはいえマレー系のイスラム教徒もいるシンガポールなので豚を抑えている部分もあるそうだが...やはり街角に豚だらけの光景が見られるので配慮しているようには思えない。

豚グッズもたくさん売られている。少し粗い写真になってしまったが、ある商店に飾られていた招き猫ならぬ「招き豚」?!耳だけ見ると猫だけれど顔が、鼻が、体型が・・・

すごい顔した豚グッズがあちらこちらで売られている。

何故かニタニタした笑顔の豚が多い。下の写真の豚が抱えているのが金の鋳塊。この形をしたお菓子も売られている。

まぁ黄金の豚年というのは単なる迷信だったとしても豚は多産なので子孫繁栄としても歓迎されている。「黄金の豚年には財運が高まる」ということで財運に恵まれる子供を産もうと出生率増加の兆しがあるそうだ。少子化の韓国や日本としては国家的にもチャンスなのだが、一人っ子政策のある中国は少し違う。財運のある子供を産むために香港での出産が増えているそうだ。中国ではまたまたベビーブームかもしれない。

マネーと言えば銀行では日本のお年玉のような紅包(ホンバォとかアンパオとか)と呼ばれるもののための袋とかピン札のセットSGD500が売っていた。これは子供用というよりは既婚者が未婚者に対して渡すものであるようで、SGD2からOKのようだ。ただし独身に渡すとなると子供だけではなくいい年した成人も含むのでその数や関係上の相応しい金額は結構な出費に(年上であっても自分が既婚、相手が未婚の人に正月に会えばもちろん渡さなければいけないようだ)。華人系でない者もこの制度に便乗してボーナス要求などするようだ。

上の写真が銀行で無料サービスしてもらったその点袋ならぬ紅包。下がスーパーFair Priceの紅包。Fair Priceにはベジタリアン向け商品もよく売っている。

これには福という漢字が書かれているが、よく中華系の所で見るのは「福」とか「春」が逆さまにされているもの。中国語の漢字の発音の関係で「来る」という意味で使われている。そういえば日本では「福は内...」の節分が終わったところ。この紅い袋は結婚式や長寿のお祝い用もあるそうだが、書いている漢字やデザインで判断するようだ。日本と同じく4の字はあまりよくないらしいが、2,6,8のような偶数金額が喜ばれる。

お歳暮はないが、年始に人を訪ねて歩くことは盛んなシンガポール。「恭喜発財(儲かりますように)」といって財産とか大吉の意味のある橘子(ミカンというよりオレンジ?)を2つ差し出すそうだ。それ専用の小さい紙袋が文房具店に売られていた(店員さんが私に熱心にオレンジが丁度2つ入る袋を薦めてくれた)。日本のいかなごのくぎ煮のように家に貯まってしまって毎日食べないといけないはめになって困るのでは?と心配してしまったが、どうやら2つ渡して帰り際に2つ相手からもらうらしく、たくさん家や会社を回っても2つ残るという具合にあまりお金がかからない。

下の写真は黄金色の金柑の植木。実の黄金色はお金を表し、1度にたくさんの実をつけるので「商売繁盛」「子孫繁栄」の意味で飾られるようだ。

JALでは2月18日成田行き朝便JL712でCAのお姉様方がチャイナドレスを着用して搭乗者全員に特性コイン型チョコ入りの紅包をプレゼントしてくれるらしい。チョコレートと言えばバレンタインが終わったところだが、シンガポールのバレンタインは日本のように「女の子が男の子に告白する日」ではなかった。どうやら男の子が女の子にプレゼントする日だったようで特に花束を持った男性をちらほらと見かけた。中にはひまわりの花束(花畑ではなく花束)という驚きのものからクマのぬいぐるみ付きまで様々だ。いつもよりオシャレをして(るように見えた)花束を持って嬉しそうにしている男性もいれば、たぶん花を届ける業者かなんだろうか紙を見ながらオフィス街を忙しそうに歩く人もいた(オフィスに花束を届けるつもりだろうか?)。まぁこの暑さでは冬の日本と違ってチョコレート効果は出ないだろう(冷蔵庫から長時間出したらふにゃふにゃ)。

話は中国旧正月に戻って...流石!商魂たくましいシンガポール人、中国本土には無いような習慣?儀式?「魚生(ユーシェン)」というものがある。これは「撈起(ローヘイ)」と言って魚を釣り上げるようにして食卓で皆で混ぜるお刺身サラダである。大漁だということからお金儲けの意味が込められている(ローヘイの動画のあるSEEK SINGAPORE)。下の写真は ベジタリアン用魚生のセット。中には赤や緑に色のついたものが...あまりに豪華な色づけなので写真だけ撮らせてもらった。ベジタリアン同士で集まって中国正月を祝うにはモッテコイかもしれない(シンガポールにはそういうベジタリアン(観音信仰の人とか)がいそうだ)。とにかくベジもノンベジも含めてまさにシンガポール中縁起物だらけである。ライオンダンス

魚?モチーフの看板も多い。大きな口を開けて海から飛び出ている迫力抜群の広告など。

ちなみに昨年世界中の記事でもよく取り上げられていたのが中国の犬年の結婚ブームChina wedding boom fuelled by big spenders。2006年の戌年は双立春ということで1年に立春が2回とこれまた結婚におめでたい年なの昨年1月29日から今年2月17日までに中国人はドドドッと挙式をあげたようだ。しかも亥の年は立春がないとか寡婦の年だとかいう噂のせいで、この2ヶ月は婚礼ラッシュ!(迷信だろうが、1日違いで大違い...仏滅に婚礼を嫌うようなものだろうか)そしてさきほども記載した通り豚年生まれの子供は「多福」ということで2006戌年結婚→2007豚年出産というこれにあやかろうとするカップルは多いようだ。結婚ブームの高まりを受け、中国結婚博覧会を開催ー北京市

China Wedding Expo held in Beijing

新年関連商品もいろいろとある、日本で言えば大晦日そして正月に近くなると大量に売り出される鏡餅や注連縄みたいな感じである。スーパーには赤いパッケージの品や紙でできた良い意味の漢字の飾りがどんどこ積まれていて、チャイナタウンでは伝統的なお菓子から豚などがまるまま下の写真のように売られていた。

この写真を見ておいしそうだと思うか、可哀想だと思うかはベジタリアンへの一つの別れ道となるようだ。しかしあくまで基準のひとつ・・・動物愛護の精神とは別にベジタリアンをしていればそんなに心は痛まないだろうし、「可哀想だわ、あまり長く見ていたくない」と思っていてもカットされて食卓に出れば何も感じずに食べてしまう人もいるだろう。私は動物に対して愛情を持てとか動物の権利はどうするとかは言わない(正直、これらの写真を見ても私はベジタリアンとして気持ち悪いとか可哀想だとか思わない・・・別に今までおいしいといって食べてきたのだから)、しかし自分でさばけない(スーパーでパックになって売っているものしか買わない)なら食べない方がいいと思っている。パックのものを買うのが悪いのではなく、自分の手で殺したり、洗ったりはできない(気持ち悪いからしたくない)のに食べる?!人が増えてるのは変な感じだ。誰かさんの代わりに鶏がらを洗ったなぁ。最近は特に動物=肉というイメージがわかない。10代の頃にオーストラリアで養豚場の体験お手伝いをしたが、狭い飼育ケージの中で子豚が異常に太らされた母豚の下敷きになって死んでいることなんてよくあった。魚を釣ったりさばいたりするのも一緒で、魚は触りたくないけど食べたい・・・のはズルイ?かもしれない。

これは家鴨かな。保存食品としては確かに価値があるだろうが、現代人はそれに頼りすぎて新鮮なものを食べなくなってきているのかもしれない。子供にソーセージには血液や内臓を混ぜたりすることもあることを教えているだろうか?そもそもカタカナにすればピンとこないから生々しくならないように腸詰と言わないように日本人はする。私も菜食主義者と言うよりベジタリアンと言った方がなんとなくイメージがやわらぐような気もする。"30 Reasons to Go Vegetarian"(PETA)に子供に何を食べているか嘘をつかなくて済みたいな理由があったが、何故食材に嘘をつく必要があるのか?食べるなら判って食べた方がいいし、隠すくらいなら食べなくていい。嘘をついてまで食べさせる食材なのかが疑問。

ベジタリアン用、BBQ味の素肉乾まで売られていた。シンガポールでは有名な美珍香の猪肉乾は甘辛いタレに漬け込まれた豚肉を焼いたものでお土産と知られる。ベジタリアンになってからはもう食べることもなくなった照り焼きバーベキューポークだが、これのベジタリアンバージョンらしきものがスーパーの新年商品と共に売っていたので早速購入。結構いろいろなんでもあるものだ。もどき肉って凄いなぁと思う。日本ではなかなか手に入らないらしいが。

「人間は肉無しで生きられるかのか?ベジ肉もどき生活」で紹介したベジ肉もどきの新たな商品である素肉乾。「素」がつけばVegetarian用商品だが、2パック買ったおまけに素肉松というのがついてきた。英語ではVegetarian Meat Floss...フロスというだけあってふわふわした繊維っぽい。シンガポールではパンの上にまでびっしり乗っていることさえあるものだが、チャーハンにかけて食べてみた。パンよりもやはりご飯に合うと思う。豚ばっかりのシンガポールもわざわざ豚商品を豚抜きでベジタリアン商品にしているところがおもしろい。 ここはやっぱりベジタリアンの多い国だ(卍マークの道教や仏教の菜食主義者とインド人菜食主義者が多いからアジア系のベジタリアンレストランや食品が多い)。

シンガポールは兎に角食べ物屋さんが多い、レストランの数も半端でない。ホーカーと呼ばれる安いフードコートはいつも人が途絶えることなく何かを食べている。働く男性はもちろん女性も自分で料理するよりも時間の節約になるし、材料揃えることを考えればほとんど同じ値段で食べられてしまうので外食中心となる。日本でもコンビニや外食で済ませる人が多いだろうが、ここではホーカーでの外食がむしろ当たり前のような人もいる。まぁ料理をしないことがいいとは言わないが、ホーカーは比較的素早く食べれて(ファーストフードと読んでいいものか?)値が張らないので非常に助かる。自分で惣菜を選ぶ形式のものも多いが、種類は豊富なので毎日ハンバーガーな外食に比べれば栄養もいいんでないかと思う。下はあるホーカーにある私のお気に入りのベジタリアン料理のお店。ここのお店はいつも選び悩んでいると適切な(強引でもなくバランスの良さそうなオススメ商品を)アドバイスしてくれる。

見た通りベジタリアンと言ってももどき肉も多用した豊富なラインナップ。

チョイスする経済菜飯の他に今日特別(本日のスペシャル)などのお決まりのメニューもある。メニューを拡大してみると...

ん?香鶏飯(チキンライス)?叉焼飯(チャーシュー)?これはもちろんもどき肉メニューということ。シンガポール名物海南チキンライス(ハイナニーズチキンライス)とは全く違うものだが、トッピング野菜を下の写真から選ぶことができる。味もとてもおいしいし、彩りもキレイ、とはいえついついもどき肉を選んでしまうが(ブロッコリーはここで食べなくてもいいや・・・とか)。

まずご飯か麺かを選んで食べたいものを選ぶ。最後にカレーの汁(どろどろしていないサラサラのもの)をかけるか聞いてもらえる。今日はビーフン(米粉)でカレーソースあり。それが下の写真、これでランチSGD3.30、日本円だと250円前後。選ぶ品目が少なければもちろんその分安くなる。

これに無料サービスの甘辛い味噌ダレ?みたいなもの(ただしこれはご飯の方がよく合う)と青唐辛子酢漬けの輪切り(グリーンチリ?)を横に沿えて食べた。

テイクアウトもOK!ただしシンガポールではtake outではなくtake awayと言わなければならないが...以前インド料理屋でテイクアウトと言ったらなかなか通じず「テイクアウェイだよ!」と笑われてしまった。やっぱり米語と英語の違いだろうか。シンガポールはイギリスの植民地だったこともあり今でもシングリッシュを除いて基本的にイギリス英語。インドももちろんそうなのでインド人に向かってテイクアウトと言った自分が悪い。エレベーターもリフト、アメリカンスラングなんかも通じない...などアメリカ英語を基礎にしてる人(日本人には多い?)にはシングリッシュ矯正講座ならぬ米語矯正が必要?!その前に関西弁矯正口座も必要な自分。

お持ち帰りの3点はどれもSGD2.50(日本円だと200円前後)。ちょっと中身がごっちゃり混ざってしまったが、結構おいしい。香菜(パクチー)は好きなのでもっとたくさん入れてもらってもいいと思った。

見た目通りしっかりした味つけ。しかし見た目ほどは濃くない...中身は豆腐系とかなので。ベジタリアン料理のいいところは何だかんだ言っても胃や身体に優しいものが多いようだ。理由はどうであれベジタリアンは健康で長寿な人が多い。きっちりした栄養管理が必要なお年寄り・妊婦・子供には注意が必要なベジタリアン(特に完全菜食主義者)だがそうでない人達...比較的ゆるいベジタリアンや妊婦でも幼児でもお年寄りでもない人には理想的な食事だ。ベジタリアンの栄養源はピーナッツだと書いているサイトがあったが、私はベジタリアンになってからピーナッツを食べていないと思う。テーブルの上でピーナッツがこちらを向いて「なんで食べないの?」と聞いているが、単に食べすぎで吹き出物ができたら嫌だなぁと思っている(一度食べると止まらなくなりそう)。高血圧や心臓病・動脈硬化・ガンになる可能性が低いことが魅力だが、精神が安定し頭がすっきりするそうだ(自分ではあまりよく分からないが、肉食の時より少なくとも体調はよくなった)。更にサラサラ血液&口臭・体臭が少なくなるとか書いているサイトがたくさんあるが、五葷(ネギとかニラとかニンニクとか)を食べないベジタリアンのことかも知れない。このページに載せている写真はいずれも入っていないが、私はたまにニンニク&ネギを思いっきり食べてしまう。そうなるともちろん歯磨きなど消臭も必要になるし体力が充満してそれを消化するために運動しないといけません。冷え性克服や体力増強にはいいかもしれません。つまり興奮させて欲望を旺盛にしてはいけない宗教修行者としては不適切だが、ベジタリアンになることで自分が消極的で精力が弱まってしまうのではないかと心配の人は五葷入りベジタリアンになってみましょう。

3月からはレギュラーコラムニストとして連山で連載予定。ベジタリアンとして女性や若者にも見てもらえるようなコラムを書きたい。