関東大震災(1923年)の被害を伝える横網町公園

1923年 9月 1日 11時58分 関東大震災(M7.9)が発生した

看板部分を拡大:丸善ビルの鉄柱熔塊
関東大震災の時に猛火と熱風で溶解した丸善ビルの鉄柱熔塊関東大震災の時に猛火と熱風で溶解した丸善ビルの鉄柱熔塊

 1923年(大正12年) 9月 1日11時58分、相模湾北西部を震源とするM7.9の大地震が発生しました。帝都東京はもちろん、関東地方南部に大きな被害をもたらしました。死者および行方不明者は14万3千人弱。地震そのものによる犠牲よりも、火災により亡くなった方が大勢出ました。現在、両国国技館の北側の横網町公園となっている「陸軍本所被服廠跡地」では火災旋風が発生し、そこだけで 3万8千人もの方(旧東京市全体の死者5万8千人の約2/3になります)が亡くなりました。上記の写真は、「陸軍本所被服廠跡地」(現在は横網(よこあみ)町公園)で撮影した震災時の火災の強さを85年経過した現在でも生々しく語り続けています。

横網町公園の看板
震災記念堂 東京都慰霊堂震災記念堂 東京都慰霊堂

陸軍本所被服廠跡地は、震災の前年(1922年)、東京市が陸軍被服廠の移転した跡地を買入れて、公園を造成している途中だったため、広い空き地となっていました。そのため、地震発生後、多くの方がここに避難しました。そして、火災旋風の犠牲になってしまいました。ここで亡くなった方は、3万8千人にもなったため、遺体を集めて火葬し、お坊さんが背丈よりも高い骨の山に向かって読経し、慰霊堂の後ろにある納骨堂に納められました。(この場面を描いた絵が、納骨堂内部に展示されていました:【東京都慰霊堂(被服廠跡)】で見れます 東京都慰霊堂は、1930年(昭和5年)に、関東大震災で亡くなった5万8千人の遺骨を納められました。また、1945年3月10日の東京大空襲の犠牲となった10万4千人を加え、16万3千人の遺骨が安置されています。

復興記念館復興記念館

関東大震災の被害を後世に伝えると共に、帝都復興事業を記念するために作られたのが、、復興記念館です。館内には震災の記録、遺品、震災の様子を描いた絵、日記や報道記事などが展示されています。上野公園から隅田川の方を眺めた光景を描いた最も巨大な絵は、感動ものです。入口で関東大震災と東京大空襲の小冊子がそれぞれ100円で売っています。これはお薦めです。

YOKOAMI OPEN GALLERY復興記念屋外ギャラリー

復興記念館の周囲には、火災で融けた鉄柱や洋釘の塊など展示されています。いくつか写真に撮りました。

解説:鉄筋コンクリート柱
折れ曲がった鉄筋コンクリート柱折れ曲がった鉄筋コンクリート柱

解説:百馬力電動機
焼損した100馬力の電動機
違う方向から撮影しました焼損した100馬力の電動機

解説:釘の熔塊
釘の熔塊
ズームアップした写真釘の熔塊

関東大震災 朝鮮人犠牲者 追悼碑

横網町公園には、関東大震災における朝鮮人犠牲者に対する追悼碑があります。1923年の時点ではテレビもラジオもありませんでした。新聞はありましたが震災による火事で普段どおり発行することはできませんでした。情報途絶状態で、頼りになるのは口コミだけ。この状況で多くの流言、デマ、ウワサが飛び交い、何が正しく、何が間違えているということが解らず、とりあえず近所の人達で自警団を作って、自分達の安全は自分達で守らざるを得ませんでした。極度の不安と混乱の中で、自警団の人達は「朝鮮人が暴動を起こすのではないか」と恐れた結果、多くの朝鮮人の方が殺害されることとなりました。震災前の地元住民(日本人)は朝鮮人に対して悪いイメージを持っていたために起こってしまったのではないかと私は仮説を立てています。非常時には通常時と違って、冷静な判断ができない状態です。誰かが扇動した方向に集団で暴走してしまったのではないでしょうか。現在の東京では情報途絶は起こらない、ラジオやネットを通じて正しい情報が伝達されるだろう・・。そう信じたいのですが、一般電話や携帯電話が災害時につながりにくくなるように、ネットだってつながりにくくなります。みんなが知りたいと思う情報源ほど、つながりにくくなります。いざという時に頼りになるは、近所に住んでいるお友達ですから、地域のイベントに積極的に参加したり、面倒なことを引き受けたりして、地域の人に顔を覚えられるようにしていれば、殺されることはないだろうし、情報も入手できます。隣の人の顔も知らないという状態は、いざというとき助けてくれる人がいないということなのです。そう考えると、現在のTVでの報道や番組を通じて、悪いイメージを作られた異質な集団(別に外国人とは限らない)が、首都直下地震のドサクサで虐待されるのではないかと危惧しています。

平成関東大震災は首都直下型地震でも被害は大きい

首都直下型の地震では、緊急地震速報も役に立ちません。あと数秒で地震が発生すると言われても、できることは安全な場所に逃げる位です。

 首都直下地震が起きた場合、地上デジタル放送(地デジ)で受信すると地上アナログ放送と比べ、強い揺れを事前に伝える緊急地震速報の揺れに間に合わない範囲が、9倍強に広がるという試算を横浜国立大がまとめた。 地デジは高画質で情報量が多いため、放送局から送る際とテレビで受ける際の画像処理に、アナログ放送よりも数秒余分にかかってしまうのが原因。 アナログ放送は2011年7月に終了し、地デジに完全移行する。揺れまで秒単位の余裕しかない緊急地震速報では、わずか数秒の遅れでも影響は大きく、研究チームは「国と放送局は、地デジの技術的な改善を急ぐべきだ」と訴えている。 高橋冨士信教授(医療情報通信工学)は、横浜市でアナログ放送と地デジを映すテレビを並べ、NHKと在京民放キー局5社の各番組の時間差を測定。地デジは平均1・95秒遅かった。 このデータをもとに、東京湾北部で深さ40キロを震源とするマグニチュード(M)7・3の地震について、緊急地震速報のテレビ表示が、揺れに間に合わない範囲を計算。その結果、アナログ放送では震源地から半径9キロまでの千葉県沿岸部や東京都のごく一部だったが、地デジでは半径28キロに拡大、東京23区の大部分や川崎市、千葉県柏市なども含まれるという。

緊急地震速報を受信したら自動的に電源ONになるAMラジオを用意しておけば良いのではないか。アナログだし。だいぶ昔、実家で飼っていた鳥は、なぜかP波を感じたら、夜でもバサバサして、止まり木から下にボトンと落ちていたので、大変重宝でした。(動物を飼うという方法もあります)

 2005年7月に政府・中央防災会議が公表した「首都直下地震対策専門調査会報告書の概要」によると、東京湾北部地震(M7.3)で経済被害額は112兆円とのことです。 3大都市圏、特に東京に都市機能を集中しているため、地震が発生した際の被害は、膨大なものとなります。 ちなみに、直下型地震の経済被害想定(東京112兆円、大阪74兆円、名古屋33兆円)には、発生しない前提の原発震災や放射能汚染による被害、発生するメカニズムが不明な火災旋風による被害は含まれていません。
中央防災会議が想定している地震のうち、首都圏直下型地震はいくつかありますが、最も被害が大きいケースは東京湾北部地震です。首都直下地震対策専門調査会報告書の概要 (平成17年7月)によると、東京湾北部地震 M7.3、冬18時、風速15m/s のケースで、死者:約1万1千人、経済被害額:112兆円という、膨大な被害の発生を予測しています。日本のGDPの2割、国家予算の1年半分です。そんなお金、一体どこにあるのでしょうか?(日本がこんな状況でも米国債は売れないでしょうし)
出展:首都直下地震の被害は100兆円 橘みゆき 2007年 1月16日のコラム

東京都防災ホームページを見ると、東京に大きな被害を与える地震は、関東大震災のように、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートがもぐりこむことによっておきる「海溝型地震」と、内陸型の首都直下型地震、東海地震の3種類を説明しています。直下型の地震の場合、震源が浅くなるため、被害が大きくなります。東京の場合は安政江戸地震(1855年)にあたります。

関東大震災の時に猛火と熱風で溶解した丸善ビルの鉄柱熔塊関東大震災の時に猛火と熱風で溶解した丸善ビルの鉄柱熔塊

東京で首都圏直下地震が発生した場合、1万人以上の犠牲者が出ると想定されていますが、発生しないことになっている原発の被害や、発生のメカニズムが判明していない火災旋風による犠牲者は含まれていません。1923年の悲劇が再び発生することだって有り得ます。関東大震災の猛火で熔けた鉄柱を見た時、同じわだちを踏むというコトワザを思い出しました。地震は天災ではあるけれど、被害を減らすことは可能だから、大きな被害につながった場合は人災の側面もあるのではないでしょうか。四川省で発生した大地震による被害を伝える映像を見たり、阪神大震災の記録映像を見ると、明日はわが身ではないだろうか。そんな気分になります。

橘みゆき 拝

【関連するHP】
東京都慰霊堂(被服廠跡) 関東大震災の被害を伝える悲惨な絵を見ることができます
☆ 東京都慰霊堂 ☆ 東京都慰霊堂の由来が大きな写真で読めます
関東大地震の跡と痕(アト)を尋ねて 紹介記事がコンパクトです
横網町公園を紹介しているページ
東京都防災ホームページ
東京都の震災対策 (東京都防災ホームページの一部です)
関東大震災(Wikipedia)
安政江戸地震(Wikipedia)

【2008/05/31 08:40追記】
本コラムと同じ日、オーマイニュースに、横網町公園の写真付きで、【いつ起きても不思議ではない巨大地震 「今すぐには起きるまい」と考えていませんか : 矢本 真人(2008-05-30 13:00)】の記事が投稿されています。たいへん参考となる記事ですので、こちらの記事もぜひ読んでいただければ幸いです。  橘みゆき 拝

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