首都直下地震の被害は100兆円

2007年01月13日、千島列島沖で M7.2の地震が発生しました。この地震は、2006年11月15日に発生した千島列島沖地震(M7.9)の余震となります。2006年12月26日に発生した台湾南部地震(M6.7)では海底ケーブルが切断され、支那や東南アジアで通信しにくい状態となりました。インターネットは災害に強いという触れ込みですが、通信が集中する海底ケーブルが何本も切れるという事態が起こると、通信速度が落ちたり、不安定になります。ネットワーク社会は災害に弱いものだという認識をしておいた方が良いでしょう。日本列島近辺は地震が発生しやすい地域の1つで、地球全体の1割も発生しています。大きな被害をもたらした地震をいくつか列挙すると以下のとおりです。

●1923年09月01日 大正関東地震 - M 7.9、死者10万5000人以上(日本災害史上最大)。被害総額:55億円(当時のGDPの4割以上)当時の国家予算(15億円)の3年分以上

●1995年01月17日 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、阪神大震災) - M 7.3、兵庫県南部で最大震度:7、死者6,434人、当初は最大震度6だったが、実地検分により7に修正された。被害総額:約10兆円(GDPの2%程度)

●2004年10月23日 新潟県中越地震(新潟県中越大震災) - 本震は M 6.8、新潟県中越地方で最大震度:7、死者67人。震度6弱以上の余震を4回観測。被害総額:約3兆円

●2004年12月26日 スマトラ島沖地震 - M 9.3。インド洋周辺諸国の海岸地域に大規模な津波被害をもたらした。死者・行方不明者は約30万人。被害総額:約10億ドル

一極集中が進む東京

●2005年07月23日、千葉県北西部でM6.0の地震が発生し、東京都足立区で震度5強でした。首都圏では新幹線とJR在来線が一斉にストップした。私鉄や東京メトロも運休、道路は渋滞し交通網がまひした。夏休み最初の週末でにぎわうターミナル駅などは大混乱となりました。64,000台のエレベータが停止するなど、都市ならではの問題点が浮き彫りとなりました。地震に対する対策をしないといけないという声は、喉元すぎたらなんとやらで、最近ではめっきり聞かなくなりました。平成になり、東京一極集中がどんどん進んでいます。東京23区の湾岸エリアでは高層ビルやマンションがどんどん建てられています。東京一人勝ちといったムードを作っています。銀座やお台場を歩くと、まるて別の国に来たような錯覚を覚えます。砂浜でお城を作っても、潮が満ちてきたら、波に飲み込まれてしまい、次の日には跡形も残りません。東京の繁栄が永続できるでしょうか? 東京は江戸時代から度々、地震や火事が起きていました。スクラップ&ビルドをしながら、今の東京へつながっています。

東京は世界の大都市で最も災害危険度が高い

◆ミュンヘン再保険会社(ドイツ)は、東京と横浜が世界主要50都市の中で最も災害危険度が高い都市であると評価しています。東京は災害が起こりやすい都市なのです。

MegacityTotal risk
Tokyo-Yokohama710
San-Francisco Bay167
Los Angeles100
Osaka-Kobe-Kyoto 92
Miami 45
New York 42
Hong Kong 41
London 30
Paris 25
Beijing 15
Shanghai 13
Sydney6.0
Shingapore3.5
Berlin1.8
Baghdad1.3

※出展:中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」(第1回:平成15年09月12日)資料(P39)

首都直下地震の想定被害

中央防災会議が想定している地震のうち、首都圏直下型地震はいくつかありますが、最も被害が大きいケースは東京湾北部地震です。首都直下地震対策専門調査会報告書の概要 (平成17年7月)によると、東京湾北部地震 M7.3、冬18時、風速15m/s のケースで、死者:約1万1千人、経済被害額:112兆円という、膨大な被害の発生を予測しています。日本のGDPの2割、国家予算の1年半分です。そんなお金、一体どこにあるのでしょうか?(日本がこんな状況でも米国債は売れないでしょうし)

地震による経済的影響

地震により、多くの人が亡くなり、建物が破壊または焼失し、電気・ガス・水道・通信のインフラはズタズタとなる。道路などはガレキの山でふさがってしまう。主要道路は早い段階で使えるようになるが、被害の規模が大きいため、復興には時間がかかる。その中で、地震による経済的な影響を見ると、こんなところではないだろうか。

(1) 個人に関連した影響

 物価高騰、所得減少、失業、住宅の確保が困難、借金増加、震災孤児の発生、病気(PTSD含む)、治安の悪化、犯罪の増加が考えられる。その結果、東京から地方へ転居する人が増える。

 関東大震災の時は、ラジオがなかったこともあり、正確な情報が伝わらず、デマや偏見によって殺される人も大勢出ました。

(2) 企業活動や物流への影響 

 工場や建物が破壊、焼失するため生産力がダウンする。道路や鉄道の破壊されるため、流通速度が落ち、物流が停滞するのは避けられません。その結果、生活必需品(水、食料、薬)を始め、多くの物資が不足する。多くの会社が倒産したり、人減らしを行うため、失業者が大量に発生する。

(3) 金融システムへの影響

 金融システム停止したり、決済不能な手形が大量発生する。預金引出しのニーズが増す。通貨を増発、手形の支払いの延期、震災手形や国債の大量発行を行うため、円安やインフレが発生する。

(4) 国や地方自治体の活動

 災害からの復興のため、歳出が増加する一方で、税金が減るため、財政は悪化する。大量に発生するゴミの処分に苦労する。

(5) 首都機能の消失と代替

 東京に集中している情報システムが破壊されるため、復旧に時間がかかる。銀行システムのようにセンタ設備を東京と大阪というふうに分散設置している大規模システムはそれほど多くはありません。東京一体で広範囲な停電が何日も続いた場合、全国に被害が広がってしまう。

首都圏直下地震の場合、被害が神戸の何倍にもなります。1923年の関東大震災と比較して、日本全体に対する東京の集中度が高くなっていることと、国も地方自治体も借金漬けになっていることから、今度大地震が起きたら100兆円以上のお金を刷ってハイパーインフレを起こすか、これ幸いに徳政令や支払い先延ばしを宣言してしまうなどして、事実上国家破産となってしまいかねません。

橘みゆき 拝

【関連記事】

天災は忘れた頃にやってくる(執筆:橘みゆき) 2006年09月30日のコラム

中央防災会議 首都直下地震対策専門調査会

首都直下地震対策専門調査会報告書の概要 (平成17年7月)

関東大震災80年を経ての教訓 総務省消防庁

阪神・淡路大震災教訓情報資料集 内閣府

●2004年10月23日 新潟県中越地震(新潟県中越大震災)M6.8 の経済的影響
※日本政策投資銀行による緊急レポート(平成16年11月)

【雑誌のバックナンバー】

科学雑誌ニュートン 2006年1月号では首都大地震についての特集(P28-P57)

科学雑誌ニュートン 2000年10月号では、ワーストケース東京壊滅巨大地震の特集(P34-P119)

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.cyberuls.com/blog/mt-tb.cgi/484

コメントする