産油国の未来

石油に限らず、多くの資源を採掘する場合、採りやすいところ(=採掘コストが安いところ)から手をつけていきます。また、質が良いものと悪いものが一緒にある場合、質が良いものから先に手をつけます。石油をどんどん採掘していくと、質が良くて採りやすいところの油田は枯れていきますから、将来、質が悪くて採りにくい(=採掘コストが高い)油田からでないと石油がない時代がやってきます。石油価格が高騰していくと、採掘コストが高いところでも採算がとれますから、多少はしのげるかもしれませんが、代替エネルギーにシフトしないと石油文明は行き詰まりとなります。

今、産油国は我が世の春を歌っていますが、自国の油田が枯渇した後はどうなるのでしょうか? 類似の例で、南太平洋のナウル共和国のケースを見ましょう。1906年からリン鉱石の採掘を行い、20世紀末まで、リン鉱石の輸出によって豊かな経済を保っていました。国民は働く必要もなく、税金もありませんでした。労働力は外国からの出稼ぎ労働者に頼っていました。1989年にリン鉱石の産出量が減少しだし、最盛期には年間200万トンだった産出量も2002年には5万5千トン、2004年には数千トン程度となりました。ナウルにはリン鉱石以外の産業はほとんどなく、食料や生活物資のほとんどを輸入に頼っているため、経済的に破綻してしまいました。ナウル政府は何もしなかったわけではなかったが、かつての繁栄を再び手に入れるのは不可能です。

砂漠の国で緑を求めて遊牧の民に戻るのを良しとするか、今あるキャッシュを使って未来の産業を産み出していくのか。後者を選択するなら、何をやればよいのだろうか。産油国はいろいろ智恵を絞っています。UAEの場合、先代の国王以来、ドバイを中東の金融センターにしたり、観光の街として世界中から観光客を呼ぼうとしています。UAEが21世紀以降もエネルギーや水、食料で困らないようにするための試みとして、MASDARプロジェクトも立ち上がってきています。ポスト石油時代をにらんだ動きを今のうちから手をつけているのです。

中東の産油国には、石油とカネはあるが水がない。未来を拓く技術的な蓄積がない。逆に日本には、石油はないが、水と技術がある。カネは・・アメリカに貢いでもう国内にはない。財政赤字もすごいので実質チャラとしても、お互いに協力すると、相互に相手のないものを補完することができます。100年先とは言いませんが、これからの先行きを考えると、日本の技術を中東で活かすことはポスト石油時代を創ることにつながり、歴史的にも有意義な取組みとなりましょう。

橘みゆき 拝