財政再建団体を宣言した夕張市

2006年6月20日、夕張市市議会の定例議会冒頭で、後藤市長が自主再建が困難であると判断し、法の下での財政再建に取り組む決断をしたとの表明がされました。 平成になって財政再建団体となったのは、1992年の福岡県赤池町(現在は福智町)以来の出来事です。(赤池町は2001年度に再建が完了しました)夕張市は財政再建のため、職員のリストラを始めとする財政再建計画を策定中です。夕張市のホームページを見たところ、2006年11月18日から23日にかけて住民に対する説明会で使った資料が公開されていました。

「夕張市財政再建の基本的枠組み案について(PDF:28KB)」 【要約は以下のとおり】
1.解消すべき赤字額 約360億円(平成18年度末見込)
2.歳出の削減、歳入の確保の取り組みの内容
 (1)総人件費の大幅な削減  (職員数を減らす、給与水準を3割下げる 等)
    →退職金も大幅に下がるため、大量に職員が退職するとの報道もありました。
 (2)事務事業の抜本的見直し
 (3)観光事業の見直し (不採算の観光事業を行わない)
 (4)病院事業の見直し
 (5)施設の統廃合   (小学校と中学校の統廃合を進める)
 (6)市民の皆さまの負担の増加 →幼児がいるケース3の負担増が大きい
    ケース1 一人暮らし  年金収入200万円 年 4,320円負担増
    ケース2 夫婦2人暮らし  収入300万円 年 25,400円負担増
    ケース3 夫婦2人子供2人 収入400万円 年165,880円負担増
    ケース4 夫婦2人子供2人 収入500万円 年 48,480円負担増
3.財政再建期間  20年程度

夕張市は北海道の指導の下、財政再建を図っていくのですが、その北海道はどうかというと、約6兆円もの借金を抱えています。(「全国都道府県の借金時計」参照) 日本全国借金だらけなのですが、北海道よりも長期債務残高が多いのは、東京都(約17兆4千億円)と、大阪府(約6兆3千億円)位です。北海道は公共事業削減による景気の底冷えの他、いくつもの自治体が続けて財政再建団体となり、北海道にぶら下がってくると予想されます。大阪府の場合は、バブル時代に建設した大型施設やバブルの塔がたくさんあり厳しい状況です。東京都は首都圏を直撃する大震災が襲った場合、深刻なダメージを受けます。東京オリンピックを誘致している場合ではありません。

アメリカのゴーストタウン

アメリカのように国土が広く、自分の住みたいところを移住する人達で構成されている場合、どうなるかというと、夕張市のように破綻宣言をするのではなく、全住民が去ってしまいます。町がゴーストタウンとなってしまうので、再建する必要もありません。ただ消え去るのみです。日本では最終的には国にツケが回されるため、どこにも移住できない人達によって、規模を縮小して運営することになるでしょう。ですが、山奥の集落などは過疎化が進み、住み続けることができなくなり、棄村状態となる地区が出てくるのは避けられません。(自治体が破綻しなくてもこれは起こります) 他の事例では、2006年12月30日に、峯山政宏さんのコラム「北マリアナ連邦国家破産」にて、サイパン周辺の北マリアナ連邦が事実上国家破産しているとの記事を書いています。日本からの観光客が激減したのと縫製産業が崩壊したため、税収入が減ったためと指摘しています。この状況を打開するために当事者達がいろいろ策を考えて実施するのですが、島で採れる特産物を作ったり、観光客が何度も来てくれる豊かな自然を再生することで解決への道を見出すのが良いではないでしょうか。

抜本的改革のスタート

公務員の改革をしようとする場合、破綻するまで抜本的な改革は進みません。給料がもらえるうちはなんとかなるだろうと思ってしまうからです。財政破綻して給料が払えなくなって、なんともならなくなった時、当事者達で議論して、これしかないと腹をくくった時、再建への道が開けてきます。1990年代、多くの銀行が破綻したり救済合併されたりしまいたが、最初のうちは地方銀行や信用金庫は破綻しても他の銀行が救ってくれたりして、後で破綻した銀行よりもまだマシでした。今後、夕張市と同様に借金を返済できないと降参してしまう自治体が出てくるでしょう。夕張市は全国に先駆けて抜本的改革を行った自治体として先行事例として全国から注目を集めます。成功しても失敗しても。現時点で夕張市の市民には2つの選択肢があります。1つは夕張市に見切りをつけて札幌や内地に新天地を見つける。もう1つは夕張市の市民として財政再建に協力する。夕張メロンを作っている農家の人は地元に残るのでしょうが、1万3千人に選択が迫られています。ちなみに夕張市の人口はピーク時に12万弱でしたから、9割近くの人は既に夕張市を去っています。何人位夕張市に残るのかわかりませんが、残った人達が協力しあい、夕張市ならではの強みを見出すことができれば解決策が見つかることでしょう。

橘みゆき 拝

【関連記事】
北マリアナ連邦国家破産(執筆:峯山政宏) 2006年12月30日のコラム
全国都道府県の借金時計
夕張市のホームページ
市民のみなさんへ緊急報告 法の下での財政再建を決断 (2006年7月3日)
夕張市財政再建の基本的枠組み案について(PDF:28KB) (2006年11月14日)
※平成18年11月18日から23日に実施した住民説明会の説明資料
自治体連続破綻の時代 (著者:松本武洋) amazon
自治体破たん・「夕張ショック」の本質―財政論・組織論からみた破たん回避策 (著者:橋本行史) amazon

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コメント

夕張に住宅資産をもっている(残債あり)個人には非常に厳しく思います。国が今後回復の見込めない過疎地を買い上げて(例えば新築だと800万、築40年で50万くらい)近隣の都市に移住させる政策等はとれないのでしょうか?日本全国の過疎地にばら撒き公共事業を続けるより予算はかからないと思うのですが。

移転先の都市は人口が増えるので活性化するので経済効果も高いと思います。究極をいうと半径60キロ程度の過疎市町村を合併して青森市のように一箇所に集中させる。農業も車やバスで通勤するスタイルにする。今後の老齢化社会を考えるとコンパクトシティを全国に提唱すべきだと思います。

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