911後、アメリカはパキスタンを脅迫し、アフガニスタンとイラクに侵攻し、政権を交代させました。アフガニスタンはともかく、イラクでは民主的プロセスで選挙をしたら、イランの影響が強いシーア派が勝ってしまい、新米政権とは距離を置いた政権となっています。アメリカが中東を軍事力で安定化させたいのなら、戦前のイギリスが中東に駐留させていた位の人数が必要となります。今の人数では全然足りないので、イラクではいまだに争いが絶えません。
CIAの仕事
シリアナという地域は、特に明言されてはいないが中東地域(イラン、イラク、シリア)を示唆している。シリアナの原作本:「CIAは何をしていた」(著:ロバート・ベア)は、CIAのエージェントとして20年間、中東でスパイ活動を行ってきた著者の回顧録です。スパイといえば、私達は映画「007」に登場するショーン・コネリーのような人を連想してしまいますが、現地に深く入らないと手に入らない情報を本国に送る人にあたります。また、公開された情報を分析することで秘密を見つける人もいます。現在のスパイは後者の仕事をしている人が多いという話を聞いたことがあります。いずれにしても、世界中から集めた情報を、自国の国益になるように政治家や企業家を動かすには、新聞のデスクに相当する役職の人が、どの情報を捨拾選択して、シナリオを作るかがポイントとなります。
シリアナ(SYRIANA)」 とは、CIAによって作られたワシントンの外交・安全保障の業界で使われる言葉でイラン・イラク・シリアの3国がひとつの民族国家になることを想定した中東再建プロジェクト
映画シリアナの紹介
2005年に公開された映画「シリアナ」は、興行成績はよくないが、多くの人にアメリカが中東で何をしているのかを伝えてくれる映画です。DVDとして売られているが、一度見ただけではよくわからないので、何度も繰り返し見て、ああこれってそういうことだったのかと気づくものです。そういうわけでレンタルビデオで観るのではなく、DVDを購入して、繰り返し観ることをお薦めします。映画ではいろんな立場の人がそれぞれの役割をしているのですが、結果として、中東から石油が出る限り、石油を巡る陰謀や、貧困に起因するテロが繰り返される、見もふたもない話となります。とはいえ、ソ連崩壊後のアメリカが中東でやってきたことと問題点が、手っ取り早く映像として示されており、中東問題(宗教対立を除く)を理解する教材となります。 主な登場人物 ナシール王子:中東某国の外務大臣。アメリカ資本と対決するため、某国を近代化し、改革しようと志す。 メシャール王子:ナシール王子の弟。石油メジャーの圧力を利用して次期王座を狙う。 ボブ:CIAのエージェント。一応主役。 ベネット:有能な弁護士。石油会社コネックス・キリン社の合併を進める。 ブライアン:スイスのエネルギーアナリスト。石油王のパーティーに家族で参加するが、息子を事故で失う。ナシール王子の経済アドバイザーとして雇われる。 ワシーム:パキスタンから出稼ぎに出て、コネックス社の石油施設で働いていたが、首になった。アラビア語がしゃべれないため、新しい仕事につけなかった。地元のマドラッサに帰り、神学校で学ぶ。そこでイスラム原理主義を学ぶ。 映画の概要と感想(ネタばれ注意) 中東某国は、石油の輸出で王族達は贅沢を極める一方、石油関連施設で働く外国人労働者は貧しかった。アメリカ(CIA)は、石油の利権を狙って、中東に新米国家を作ろうとしていた。某国の国王は、アメリカに対抗せず、アメリカに自国の石油をいいように奪われていた。外務大臣であるナシール王子は、石油はメジャーのものではなく、代替エネルギーも実用化していくなかで、石油資源の有効活用と、自国の近代化による改革をめざしていた。石油の輸出でメジャーよりも良い条件を提示した支那に石油を売ったり、イラン経由でパイプラインを使った欧州や支那への輸出も検討していた。メジャーはナシール王子の弟であるメシャール王子と連携して、ナシール王子と対決した。ナシール王子は、アメリカの国益に反するため、暗殺されてしまった。某国にとって有能な指導者は殺され、アメリカの言うことを聞く王子が次の王となる。アメリカ国内では石油会社の合併を巡って、弁護士が辣腕を振るうこととなる。弁護士による法律の身勝手な解釈(依頼者の意向が強いのだが)や、石油会社オーナーの金さえあれば黒をしろにできる傲慢さと、アメリカと某国との裏取引を行うビジネスが展開される。一方、某国では若者を神学校で教えていく中、自爆テロの首謀者になるように教育する一方で、その宗教学者は自分では決して自爆テロを起こさず、次々に若者を教育していく。中東を分裂させ、互いに争うようにして血を流し続けることにより、アメリカの石油権益が守られる。。アラビア半島に石油が見つかる前、王族達は遊牧民でした。それゆえ、映画の中にも羊達の群れがナシール王子達の車列を止めた場面もありました。そこをアメリカに狙われてしまいました。映画に出てくる石油プラントですが、UAEのものだそうです。となると、砂漠のシーンなどもUAEなのかもしれません。
バブル崩壊、地震、戦争
中東で戦争が起こる時、どの情報が最後に出てくるかというと、武器商人の国、ロシアからもうすぐ戦争が始まるよというニュースが発信されます。いまのところ4月6日かもというニュースもありますが、戦争を始めるには、物資や食糧、兵隊さんを充分用意するところから始めますから、時間がかかります。開戦するため、国連決議とかの大義名分も必要です。今日明日には戦争は始まりませんが、イランもアメリカも戦争回避のための交渉ではなく、お互いに挑発しているようなニュースが出てきています。私見ですが、アメリカが戦争を始める日もそう遠くはないのではないでしょうか。4月末に安倍総理が中東諸国を訪問するそうなので、そこまで延期となるかもしれません。夏の暑さを避けて、秋まで延期とか、考えたらキリがありません。アメリカ国内を見ると、4月2日、不動産ローンを提供しているニュー・センチュリーが破綻しました。アメリカの住宅バブルがはじけて、株価も為替も下がることになりそうです。アメリカの公共事業である「自国以外での戦争」をやって景気にてこ入れをしてくるかもしれません。日本の場合、先週、能登半島地震が発生しましたが、地震が起こって日本経済に大きなダメージを与えることも考えられます。また、昨今、原子力発電所の臨界事故隠しに見られるように、深刻な事故があっても隠してしまって、真相は関係者しか知らないというケースが増えているように見受けられます。能登半島地震は北陸地方は地震が少ないという神話を吹き飛ばしてしまいました。狭い日本はどこも揺れると割り切るしかありません。備えあれば憂いなしといいますし、天災は忘れた頃にやってくるともいいます。大地震になってもあわてない程度に準備しておけば安心です。中東戦争になると、相手がイランなのでホムルズ海峡を通って石油が入って来なくなりますから、日本と支那は途端に苦しみます(支那は石油の備蓄もそれほど多くないと聞きます)。アメリカも無傷というわけにはいきません。日本のように座して死を待つことをせず、無茶苦茶なルールを世界中に押し付けてくるケースが想定されます。逆ニクソンショックでドルの信用を取り戻すという大技をすることだってあるでしょう。戦争が始まる前に、金本位制度が崩壊した1930年代出来事や、ポンドが機軸通貨から降りたときの経済混乱など、20世紀前半の歴史をもう一度読み直して、21世紀前半にどんなことが起こるか予想してみることは決して無駄にはならないでしょう。
橘みゆき 拝
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