| 書名 | 日本の選択 |
|---|---|
| 媒体 | 単行本 |
| 著者 | ビル・エモット 他 |
| 出版社と出版時期 | 講談社インターナショナル, 2007/03/01 |
<本の概要>
本書は、イギリス出身のジャパン・ウォッチャーによる対談を通じて、流動的で予測不可能な世界に、日本はいかに対応し、リスクやチャンスにどう向かいあうのかについて、日本の選択肢を提示している。2人の著書で既に書かれていることばかりであるが、再確認する上で本書を読まれる方もいるだろう。また、2人とも日本経済について楽観的であるため、悲観的な読者の場合、多くの箇所で、そんなはずはないだろうと、引っかかりながら読むため、読了するのに時間がかかるかもしれない。(私がそうでした)
<目次>
まえがき -ビル・エモット-
第一部『日本は正しい選択ができるか』
1.復調の日本経済にひそむ問題と今後1年の展望
2.このまま「反成長主義」を貫くのか
3.世界の動向の中で揺れる日本
4.これからの日本の重要課題
第二部『日本の未来を決める決断』
5.アジアと組むか、アメリカと組むか
6.実践的軍事力か、平和主義か
7.グローバル化か、日本的孤立主義か
8.日本はいま、第三の過渡期
9.「美しい国」か、「刺激的な国」か
あとがき -ピーター・タスカ-
著者について
【ビル・エモット Bill Emmott】 1956年イギリス生まれ。1980 年に英「エコノミスト」誌ブリュッセル支局に参加。ロンドンでの同誌経 済担当記者を経て、1983年に来日、東京支局長としてアジアを担当。86年に 金融担当部長として帰国、その後ビジネス部門編集長となり、1993~2006年、同 誌編集長を務める。1990年、日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』がベ ストセラーに。2006年には日本の経済復活を宣言した『日はまた昇る』が再び 話題となる。ほかに『20世紀の教訓から21世紀が見えてくる』『これから10年、 新黄金時代の日本』など。 【ピーター・タスカ Peter Tasker】 1955 年イギリス生まれ。ドレスナー・クラインオート・ベンソン証券にて日本 株担当ストラテジストとして長く活躍後、アーカス投資顧問株式会社を設立。独 特の歴史観と国際的視点に基づく新鮮な分析は高い評価を受け、各界に大きな影 響を与えている。1992~1996年、日本経済新聞社調査によるマーケット・アナリ スト・ランキング5年連続1位。『Newsweek』『フォーサイト』などに寄稿。著書 に『日本は甦るか』『不機嫌な時代』『日本の大チャンス』(講談社)『カミの 震撼する日』『ハゲタカの饗宴』(講談社インターナショナル)等がある。
本書は、日本でも知名度が高いイギリス人、ビル・エモットとピーター・タスカによる対談(電子メールでのやりとり)を中心に構成されている。2人とも日本経済について、楽観論の立場をとっているため、立場が異なる読者(悲観論者の私)が読むと、多くの箇所について、そんなことはないだろうと突っ込みやコメントを本に記入しながら読み進めるため、240ページのボリュームの割りには時間がかかった。イギリスは1970年代からしばらくの間、英国病と言われるほど、長期にわたる不景気が続いた。サッチャー首相がフォークランド戦争をやったから景気がよくなったわけではなく、ロンドンのシティを開放するなど、規制緩和や、大々的な経済改革を断行したからだ。。。ということになっている。景気はよくなったが、イギリス国民の経済格差が広がり、国際都市ロンドンとそれ以外の地域というふうにイギリスが分裂した。それを良しとするのが本書の著者の立場である。幕末時代でいう開国派の意見がずらずらと書かれている。21世紀の日本でいえば、国際都市東京と、それ以外の観光と農業で経済を回している地方という構図となろうか。橋本内閣が日本版ビッグバンを提唱し、小泉内閣が「改革なくして成長なし」というスローガンで、金融を開放し、規制を緩和し、都市銀行を3つに統合し、郵便貯金を民営化してきた。日本の財産を外人にみすみす渡してしまっているだけにしか見えないのだが、イギリス人やバイキングの末裔達には、国民が豊かになるためには仕方がないというか、自分達の財産を売って、世界の良い商品やサービスを買っているのだ。という論調には、とても違和感を感じます。多種多様用の意見があって良いのですが、例えば日本銀行株の過半数が外人のものになる(日本銀行は店頭公開企業だから理屈の上ではありえる)なんていう未来が現実になってほしくないものである。また、三菱銀行と住友銀行、第一勧業銀行(みずほ)の3行の株主が外人になった日には、この3行から融資を受けているほとんどの日本企業が事実上支配されてしまってもおかしくない。これは偏見であるが、外国人が日本に来るのは日本人の財産を奪うために来ているようなものだと割り切って対応した方が良い。むろん例外は多く、個人的なつきあいの場合はそうではないでしょうが。・・・話を戻して、1990年のバブル崩壊から15年以上経過し、ようやく景気が回復しつつあります。周りを見ると、世界の警察官を自称していたアメリカの力が急速に弱まっていき、ロシアが資源高を背景に力を強めつつあります。支那は環境問題とバブル崩壊に直面しそうです。戦後60年にわたって日本は平和主義を貫けましたが、どうやら、アメリカにおんぶに抱っこは許してもらえない状況になりつつあります。安全保障の面でも、経済の面でも、エネルギー問題、水や食糧問題と、多くの問題をかかえていています。日本はアジアにつくか、アメリカにつくかということを論じていますが、支那の属国よりは、アメリカの属国の方が、まだマシだと思います。は重要かつ多くの選択を迫られている。グローバル化の波に乗るのか、金融鎖国の道を歩むのか。アメリカと組むのか、アジアと組むのか。東京をロンドンのようにウィンブルドン現象を受け入れつつ、他の地域を独自路線を歩むのか。そういった選択をここ10年のうちにしないといけない。ちなみに最悪の選択肢は「何も選択せず、ただ単に時流に流される」です。バブル崩壊後の政治の漂流を見ると、この選択になってしまう可能性が高いでしょう。世界地図を見ると、日本とイギリスはユーラシア大陸の東西を挟む位置にあるため、アメリカとしてはオーストラリアとインド、中東と軍事同盟を結んで、ハートランドを押さえ込みたいところですが、アメリカのパワーが弱まっていくと、日本は極東の老人国として、死んだふりをしているのが、最良とはいえないが、最悪の選択からだいぶ離れているだめベターな選択肢に見えてしまう。大勢の人が飢えたり、財産がパーになるなど、失うものは大きいけれど。ランドパワー国同士が互いに争い、疲弊の極みに至るまで死んだふりをしていれば、日の目を見る機会もあるだろう。数十年、いや百年位かかるかもしれないが。
橘みゆき 拝
【他の方の書評を見る】
株式日記と経済展望(2007年4月9日) (toraさん) 本書の重要な部分がコンパクトにまとめられています
【参考HP】
平成元年以降に提携・合併した銀行のリスト 全銀協のHP
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