前回のコラムで、3種類の支配者階級 で、社会は3つのグループ(武人、知識人、富裕者)で順番に支配者が交代していき、富裕者の時代の終わりに社会革命が起き、再び武人の時代に戻ることを紹介しました。

社会的地位、名誉や名声、快適な生活を達成するための野心を持っている人達が、切磋琢磨して目標を達成するには、3つの手段があります。(1) 武力で目標を達成する武人。(2) 知識を使って目標を達成する知識人。(3) 富の力を使って目標を達成する富裕者。むろん、野心のない労働者(生活するのに精一杯だったり、人並みで満足する人達)もいます。

社会は支配者になる武人、知識人、富裕者の3つの階級に加えて、支配者にならない労働者の4つの階級から構成されます。これらは江戸時代の士農工商とかインドのカースト制のように身分の上下を規定したものではなく、人間の個性の違いですから、途中で階級が変わることもあります。ラビ・バトラの師匠にあたる、プラバート・ランジャーン・サーカーは、これを四階級社会体制と呼びました。武人、知識人、富裕者、労働者の区分はラビ・バトラの本に書かれていますが、サーカーはクシャトリア(武勇派)、ヴィプラ(知力派)、ヴァイシャ(蓄財派)、シュードラ(庶民)という名前を使用しています。武人と知識人の両方を兼ねる人もいますし、巨額の富を得て富裕者になる人もいます。各階級の特徴をまとめると以下の表のようになります。
| ラビ・バトラの区分 | 武人 | 知識人 | 富裕者 | 労働者 |
|---|---|---|---|---|
| サーカーの区分 | クシャトリア | ヴィプラ | ヴァイシャ | シュードラ |
| 力の源泉 | 武力、肉体的能力 | 知識、宗教、権威 | 富、資本、設備 | 特になし |
| 野心 | ○ | ○ | ○ | × |
| 肉体的体力 | ◎ | |||
| 教育水準 | ○ | ◎ | ○ | × |
| 蓄財能力 | ◎ | × | ||
| 典型的職業 | 兵士、警官、スポーツ選手、熟練した肉体労働者 | 聖職者、科学者、作家、法律家、技術者、ホワイトカラー | 実業家、商人、銀行家、金貸し、大地主 | 未熟練労働者、肉体労働者 |
| 社会への貢献 | 法と秩序の維持 | 哲学と宗教の提供 | 経済の発展 | 労務の提供 |

このように、「武人の時代」→「知識人の時代」→「富裕者の時代」→「社会革命」→再び「武人の時代」というふうに社会を支配する階級が循環していきます。社会革命は誰が起こすのでしょうか? サーカーは、労働者(シューラド)の立場にいる人が、腐敗し堕落した支配者(富裕者)に対して、革命や社会運動を起こす時、リーダーに求められる素質は、「武人としての能力」と「知識人としての見識」の両方ともに必要と指摘しています。さらに富裕者に買収されないために、モラルの高い人でないといけません。そういう人が団結して、多数の労働者達を扇動し、大きな流れを作って社会革命を起こします。多くの場合は大量の血が流れます。社会革命が成功した後、秩序を回復するために、武人の力が強まり、武人の時代となります。単に富裕者に搾取されることへの怒りから反乱を起こした場合、成功しても社会に混乱をもたらすだけで、新しい時代を開くことができません。下手をすると内乱が長期化したり、外国が介入するため、多くの人が犠牲となります。
橘みゆき 拝
【参考文献】
新たな黄金時代―腐敗政治と経済混乱が新時代の革命を生む ラビ・バトラ (著)
【関連するコラム】
「3種類の支配者階級」 橘みゆき:2007/05/09
「移りゆく季節の中で」 橘みゆき:2007/05/02
「バブルの発生と覇権の移行」 橘みゆき:2007/04/25
