燃料か食料か

ブッシュ大統領がバイオエタノールに注目していると演説したからではないが、バイオエタノールの人気が上がっています。バイオエタノールの原料となるトウモロコシやサトウキビの価格が上昇し、果樹園や大豆畑を潰してトウモロコシを作るようになる。そうすると果物や小麦が不足するため、価格が上昇。回りまわって、日本で売っている果汁飲料やマヨネーズが値上げされました。トウモロコシのような食料から作らず、捨てている部分から作れば良いのですが、効率やコスト面で負けているのが現状です。話を見やすくするために、トウモロコシに限定します。トウモロコシは飼料でもありますから、そのうち肉や卵の価格も上昇していくでしょう。多くの農家がトウモロコシを売るのに、飼料会社に売るよりも、バイオエタノールを作る会社に売る価格が高いからです。純粋に高く買ってくれるところに売っているだけです。車の燃料に回した分、人間や家畜が食べるトウモロコシが減るわけで、どこにしわよせが行くかというと、貧しい人達が食料を買うのが困難になります。トウモロコシ畑をどんどん増やして価格上昇の影響を減らそうとすると、森や草原を潰してトウモロコシ畑を作るため、環境破壊につながります。ガソリンに替えてバイオエタノールにしても、トウモロコシを食べるのか、燃料にするのかという問題に突き当たり、高く買ってくれる方が優先されます。20世紀と同じようにエネルギーを大量に消費するスタイルは、ガソリンからバイオエタノールに切り替えるだけでは問題解決にならないということが、バイオエタノール狂想曲から見えてきます。では、車に乗るのを減らそうという運動(例えば、ノーカーデー)をした場合、今までと同じように暮らそうとすると、かなり不便になります。エネルギーをあまり使わない生活スタイルに切り替えて、車をあまり使わないように変えた人なら、あまり不便に感じることはないでしょう。アメリカ人のように郊外の住宅から車で職場に通ったり、大都市に密集して生活していると、どうしてもエネルギーを多く使わざるを得ません。現在の生活を改善したり、無駄に使っているエネルギーを減らして、現在の生活スタイルを維持しようとしても、1割程度減らせれば万々歳です(もちろんやらないより、やった方がいいのは確かです)。ですが、ハイリゲンダム・サミットで示された「2050年には温暖化ガスの排出を半減させよう」という目標を達成するには、農業革命や産業革命に匹敵する変化を必要します(現在の延長線では不可能です)。

橘みゆき 拝


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